AWS DevOps Engineer - Professionalとは?試験範囲・実務活用・キャリアをわかりやすく解説

AWS資格

はじめに

AWSが提供する多様なサービスは、クラウド上でのシステム構築や運用に多くの可能性をもたらします。

その中でも、DevOpsエンジニアとしての専門性を認定する資格が、AWS DevOps Engineer - Professionalです。

この資格はAWSの上級資格に位置づけられ、システムの運用・管理や継続的な自動化を推進するスキルを証明します。

クラウドネイティブな時代において、運用から開発までの一連のプロセスをシームレスに繋ぐDevOpsは注目度が高いといえるでしょう。

一方で「資格試験」というと少し難しく感じる方もいるかもしれません。

しかし、試験勉強を通じて習得した知識は実際の業務で役立つケースが多々あります。

そこで、この記事では試験範囲や実務活用のポイントなどを丁寧に解説していきます。

この記事を読むとわかること

  • AWS DevOps Engineer - Professionalの概要や特徴
  • 試験範囲と出題内容のポイント
  • AWSサービスを使ったDevOps実践例
  • 資格取得後に期待できるキャリアパス
  • 実務にどう役立つのかの具体例

これから資格取得を目指す方だけでなく、既にAWS環境を少し触ったことがある方にも役立つ内容になっています。

AWS DevOps Engineer - Professionalとは

AWSが提供する認定資格の一つで、運用と開発を円滑に統合する能力を証明するものです。

インフラ管理やデプロイの自動化、継続的インテグレーション・デリバリー(CI/CD)など、DevOpsを実践するうえで欠かせない要素を幅広くカバーしています。

資格の概要と特徴

この資格の特徴としては、アソシエイトレベルの知識を前提としたうえで、運用と開発のプロセスを統合的に理解していることが要求される点が挙げられます。

たとえばCloudFormationやCodePipelineなどの各種サービスを活用し、インフラからアプリケーションのデプロイまでを一貫して管理できる力が必要です。

開発チームと運用チームが協力してシステムをより効率的にリリース・運用するためのDevOps文化を実践できるかどうかも問われます。

他のAWS認定資格との違い

ソリューションアーキテクトやデベロッパー、SysOpsアドミニストレーターといったアソシエイト資格では、AWSサービスの基本的な利用方法やセキュリティ設計、アーキテクチャ設計などを中心に学びます。

一方、DevOps Engineer - Professionalはそれらの基礎を踏まえ、ビルドからデプロイ、運用監視までの一連の流れを自動化と継続的改善の観点で体系的に扱うのが大きな特徴です。

開発と運用をつなぐために高度なAWSサービス活用力や、チーム全体のパフォーマンスを最大化する視点が求められるといえるでしょう。

DevOpsの基本概念とAWSでの位置づけ

DevOpsとは、 開発 (Development) と運用(Operations)を一体化して考えるアプローチです。

ビジネス要件の変化に素早く対応し、継続的に価値を提供できるようなシステムを構築することを目的としています。

AWSはこのDevOps文化を支えるための豊富なサービスを用意しており、DevOps Engineer - Professionalの試験でもそれらを正しく使いこなす力が重視されます。

CI/CDの考え方とAWSでの実装例

CI(継続的インテグレーション)は、コードの変更があるたびに自動的にビルドとテストを実行し、問題が発生していないかを早期に確認するプロセスです。

AWSでは主にCodeBuildを用いてビルドとテストを行い、その結果を開発者にレポートします。

CD(継続的デリバリーまたは継続的デプロイ)は、テストで合格した変更を自動的に本番環境やステージング環境に反映していく流れです。

AWSのCodePipelineは、ソースコードの取得からビルド、テスト、デプロイまでを一元管理できるパイプラインを実装可能です。

このように、小さな変更を頻繁に取り込むDevOpsの考え方を体現するサービスが充実しています。

インフラ自動化を支えるサービス

DevOpsにおいては、クラウド環境そのものをコードで管理して、バージョン管理する手法も重視されます。

AWSのCloudFormationは、その代表的なサービスといえます。

たとえばVPCやEC2インスタンス、RDSなどの設定をテンプレート化し、同じ構成を何度も迅速にデプロイできます。

同時に、変更差分が明確になるため、インフラの変更管理がしやすいのも利点です。

このような Infrastructure as Code (IaC)の思想が、DevOps Engineer - Professionalで取り上げられる重要なポイントとなります。

試験範囲と対策ポイント

AWS DevOps Engineer - Professionalの試験範囲は大きく以下のような分野に分かれます。

  • 継続的デリバリーとプロセスの自動化
  • セキュリティコントロールとガバナンス
  • 高度な運用、監視、トラブルシューティング
  • ネットワーキングや高可用性の設計

基本的にはDevOps全般に関わるプロセスをAWSでどのように実装するかが問われます。

試験ドメインの構成

試験は複数のドメイン(大項目)にわかれ、それぞれのドメインでAWSサービスをどのように利用するか、または運用を効率化するテクニックをどの程度理解しているかが評価されます。

具体的なドメインには、継続的デリバリーやアラート設定、可観測性の向上、イベント駆動型アーキテクチャの活用などが含まれるでしょう。

それらを総合的に把握しているかが重要です。

よく登場するAWSサービス

CodeCommitCodeBuildCodePipelineなどのCI/CD関連サービスはもちろん、CloudWatchX-Rayによるモニタリング、SNSSQSといったイベント通知関連のサービスも頻出です。

さらに、Elastic BeanstalkECSEKSなどのコンテナ運用、そしてLambdaを活用したサーバーレス設計の知識も試験で問われることがあります。

これらをすべて網羅するというより、使いどころや特徴を正しく把握しているかがカギとなります。

試験対策の進め方のヒント

実際の試験対策では、まず自分で手を動かしてサービスを試すことがとても有効です。

たとえば、自動化の流れを学ぶなら、簡単なアプリケーションをCodeCommitで管理し、CodeBuildを使ってビルド、その後CodePipelineで本番デプロイするパイプラインを構築してみるという形です。

試験問題は実務を想定したシナリオで出題されることが多いので、知識だけでなく実践経験があるかどうかが大きく影響します。

実務で求められるスキル

試験に合格するには、AWSサービスを一通り触れる技術力はもちろんですが、チームでDevOpsを推進するためのコミュニケーションや設計力も大切です。

クラウドネイティブ環境での設計と運用

オンプレミスと異なり、クラウド環境ではリソースの作成や削除が容易なので、設計思想が大きく変わります。

一度構築したインフラをコードベースで管理し、必要に応じて再構成できる設計が好まれます。

たとえば、ステージング環境と本番環境を同じCloudFormationテンプレートで構築し、本番リリース前に実機検証を行うなどの方法です。

このように、クラウドならではの動的なスケーリングとインフラ管理ができる知識が求められます。

モニタリングとログ管理

クラウド上のサービスは自動スケールされることが多いため、状態の変化を把握しやすい仕組みが欠かせません。

AWSのCloudWatchCloudTrailを使ってログとメトリクスを収集し、アラートを設定するといった一連の流れを深く理解する必要があります。

何か異常が起きた場合にもすぐに検知できる体制を構築することは、信頼性を保つうえでも重要です。

自動化とパイプライン構築

DevOpsで特に重要となるのが、ビルド・テスト・デプロイといった工程を自動化することです。

手作業が増えるほどミスや時間コストが増大するので、CodePipelineCodeDeployを利用して、更新をスムーズに反映させるパイプラインを確立します。

コンテナ化されたアプリケーションであればECR(Elastic Container Registry)を活用し、ECSEKSへ自動でデプロイを行う体制を組むのも一般的です。

これらを運用に乗せるにあたっては、IAMロールの設計やセキュリティにも配慮する必要が出てきます。

権限管理を適切に設定しておかないと、自動化がうまく機能しないだけでなく、セキュリティリスクにもつながります。

キャリアパスや市場価値

AWS DevOps Engineer - Professionalを取得することで、クラウド時代の運用エンジニアとして高い評価を得ることが期待できます。

AWS DevOps Engineer - Professionalが評価される理由

DevOpsエンジニアには、システム全体を見渡す能力だけでなく、ビジネス要件やチームの状況に合わせて柔軟にツールや手法を選択するスキルが求められます。

AWSの資格は世界的に認知度が高く、日々の業務において即戦力として見なされやすい点がメリットです。

これまでは開発と運用が分業されていた現場でも、DevOpsを取り入れる流れが加速しており、それに対応できる人材は重宝されるでしょう。

資格取得後の働き方とキャリアビジョン

AWS DevOps Engineer - Professionalを取得すると、CI/CDパイプラインの構築やインフラの自動化を中心としたポジションに携わる機会が増えます。

将来的には、DevOpsリーダーアーキテクトとして、複数チームを横断しながらプロセスの最適化を指揮する道も考えられます。

また、コンサルティング業務を請け負う際にもこの資格の知名度は高く、クライアントに対する説得力が上がるケースが多いといえます。

学習を続けるための心構え

AWS DevOps Engineer - Professional合格がゴールではなく、実務に活かすことこそが大切です。

資格取得で学んだサービスや自動化の考え方を日々の開発・運用に反映し、継続的に改善していく姿勢が求められます。

やってみながら学ぶ大切さ

初心者の方は特に、最初に完璧を求めすぎると挫折しやすいものです。

たとえば小さなアプリケーションを対象に、CodePipelineでテストデプロイまで自動化してみるといったステップから始めると理解しやすいでしょう。

試行錯誤する中で、IAMロールの設定ミスやネットワーク設定の問題など、実務でよくある課題を体験的に学べます。

DevOps文化と継続的改善

DevOpsは単にツールを導入すれば終わりではなく、チーム文化と密接に関係しています。

障害が発生したときに責任の所在を追及するのではなく、どうすれば再発を防げるかをみんなで考える姿勢が重要です。

そのためには、情報共有をスムーズにするドキュメント管理やログ収集、さらに自動化テストの拡充など、常に改善サイクルを回し続ける意識を持つことが大切になります。

具体例:CI/CDパイプラインのシンプルな例

ここでは、AWSを使ったシンプルなCI/CDパイプラインの例を簡単に示します。

# これはCodePipeline用のCloudFormationテンプレートの一部例です

Resources:
  MyPipeline:
    Type: AWS::CodePipeline::Pipeline
    Properties:
      RoleArn: arn:aws:iam::123456789012:role/CodePipelineServiceRole
      Stages:
        - Name: Source
          Actions:
            - Name: Source
              ActionTypeId:
                Category: Source
                Owner: AWS
                Provider: CodeCommit
                Version: 1
              Configuration:
                RepositoryName: MyRepo
                BranchName: main
              OutputArtifacts:
                - Name: SourceArtifact
        - Name: Build
          Actions:
            - Name: Build
              ActionTypeId:
                Category: Build
                Owner: AWS
                Provider: CodeBuild
                Version: 1
              InputArtifacts:
                - Name: SourceArtifact
              OutputArtifacts:
                - Name: BuildArtifact
              Configuration:
                ProjectName: MyBuildProject
        - Name: Deploy
          Actions:
            - Name: Deploy
              ActionTypeId:
                Category: Deploy
                Owner: AWS
                Provider: CodeDeploy
                Version: 1
              InputArtifacts:
                - Name: BuildArtifact
              Configuration:
                ApplicationName: MyCodeDeployApp
                DeploymentGroupName: MyDeploymentGroup

このテンプレートではCodeCommitにプッシュされたコードがトリガーとなり、CodeBuildでビルドし、その後CodeDeployで本番サーバーへ反映するフローを構築しています。

実務でもこのような構成をベースに、テストステージやステージング環境へのデプロイを追加したり、コンテナ技術やサーバーレスを組み合わせたりすることが多いでしょう。

障害対応の流れを意識する

DevOpsにおいて障害対応のプロセスは特に重要です。

監視ツールからの通知を受け取った際、ログを確認し、原因を特定して再発防止策を導入するという一連の流れを効率的に回すことが求められます。

AWSではCloudWatch Logs Insightsなどを使い、ログを素早く分析できる体制を整えておくのがおすすめです。

障害発生時には単に修正を行うだけでなく、同じ問題を防ぐためのパイプライン変更やテスト強化まで踏み込むと、今後の安定運用につながります。

監視とアラートのベストプラクティス

障害対応をよりスムーズにするために、アラートの粒度監視の設計にも気を配る必要があります。

  • アプリケーションレベルのメトリクス(例:APIリクエスト数、エラー率)
  • インフラレベルのメトリクス(例:CPU使用率、ディスクI/O、メモリ使用量)
  • ログ監視(例:エラー発生時のスタックトレースなど)

これらをCloudWatchSNSで適切に通知を行い、担当者がすぐに気づける仕組みを構築しましょう。

通知先としてはメールやチャットツールを使うことが一般的です。

ただし、アラートが多すぎると「アラート疲れ」を起こしてしまい、重要な通知を見落とす原因になるので注意が必要です。

インフラ構成管理とTerraformとの相性

AWSに限らず、マルチクラウド環境を扱う可能性がある場合、TerraformなどのIaCツールを使うシーンが増えるでしょう。

Terraformを使うとAWS特有の部分だけでなく、他のクラウドサービスの設定も含めて一括管理できます。

AWS DevOps Engineer - Professionalを学ぶ過程で、CloudFormationを深く理解すると同時に、Terraformのような外部ツールを絡めてインフラ管理を自動化する考え方も身につきやすくなります。

試験対策の範囲としては必須ではないかもしれませんが、実務での活用範囲が広がるので、取得後に学んでみるのもよいでしょう。

コンテナ運用のポイント

DevOpsの取り組みでは、コンテナ技術を使ったリリース高速化も重要なポイントです。

AWSはECS(Fargateを含む)やEKS、さらにECRといったコンテナに関するサービスを数多く提供しています。

コンテナベースで運用を行う場合でも、CI/CDパイプラインの概念は同じです。

ソースコードをプッシュ -> ビルド -> コンテナイメージをプッシュ -> 本番環境に自動デプロイ、といった一連の流れを整備すれば、アプリケーションの変更をより迅速にリリースできます。

試験問題でも、ECSやEKS、ECRを利用した自動化のシナリオが出題されることがあります。

サーバーレスとDevOps

AWS Lambdaを中心としたサーバーレスアーキテクチャでも、DevOpsの考え方は必須です。

Lambda関数のバージョン管理やデプロイ方法、イベントソースとしてのS3やAPI Gatewayとの連携など、多岐にわたる設定を継続的に管理する必要があります。

サーバーレスはサーバーの管理こそ不要ですが、アプリケーションのバージョン更新新しいイベントハンドラの追加など、DevOps視点での自動化や監視は依然として重要です。

AWS Serverless Application Model(SAM)やServerless Frameworkなどを使うケースもありますが、基本的な思想はCloudFormationやCodePipelineと同様です。

複数環境の管理とステージング戦略

本番環境だけでなく、開発環境、ステージング環境、テスト環境など、複数の環境をAWSで運用するのが一般的です。

DevOpsエンジニアとしては、環境ごとにインフラ構成を微妙に変えるのではなく、できるだけ同じコードやテンプレートで構成を揃えるアプローチが推奨されます。

CloudFormationのパラメータやTerraformの変数を使い、環境ごとに必要な違いだけを設定で切り替える方法が代表的でしょう。

こうすることで、本番リリース前にステージング環境で実際の動作を確認しやすくなり、トラブルの早期発見に役立ちます。

DevOpsを支えるチーム文化

DevOpsは技術的な側面だけでなく、チーム文化やプロセスが大きく関わります。

例えば、開発チームと運用チームのコミュニケーションを良くするために、イテレーションを短くして小さな機能をすぐにリリースするなどのやり方があります。

また、障害やエラーが起きたときには振り返りの場を設け、今後の対策をチーム全体で話し合う姿勢がポイントになります。

AWS DevOps Engineer - Professionalの学習で身につけたスキルを最大限に活かすには、こうした人的な要素や文化面での改善も欠かせないでしょう。

まとめ

AWS DevOps Engineer - Professionalは、アソシエイトレベルを超えた高水準のAWS活用スキルと、開発と運用のプロセスを自動化・効率化する知識を証明する上級資格です。

資格の勉強を通じて学んだCI/CDやInfrastructure as Codeの取り組みは、日々の実務でも十分に活かせるでしょう。

  • AWSサービス (CodePipelineやCloudFormationなど) の実践的な理解
  • クラウドネイティブな設計や運用のノウハウ
  • チーム文化としてのDevOps推進に必要な考え方

これらを一通り学ぶことで、継続的な開発と運用をスムーズに実現し、ビジネス価値を高めるエンジニアとして期待されやすくなります。

資格取得を目指す過程で実際に手を動かしてサービスを試しながら、学びと実務を結びつけていくとよいでしょう。

今後、クラウド時代の標準スキルとしてDevOpsの需要はさらに高まる可能性があります。

そのステップとして、AWS DevOps Engineer - Professionalは十分に挑戦する価値がある資格といえるのではないでしょうか。

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