AZ-204とは?実務で活かすAzureクラウド開発を初心者向けに解説

はじめに

クラウド開発の分野では、さまざまなサービスを組み合わせて効率的にシステムを構築するケースが増えてきました。
なかでもMicrosoft Azureは豊富なサービスとグローバルにわたるリソース展開が特徴です。
そして、 AZ-204 (Developing Solutions for Microsoft Azure)は、Azure上でアプリケーションを開発・管理するための知識とスキルを問う資格として注目されています。

初心者の方にとっては「クラウド開発」「サービスを組み合わせる」という言葉が少し難しく聞こえるかもしれません。
ただ、実務ではアプリケーションの公開やデータの保存、アクセス管理などをクラウド環境で行うことが多いです。
AZ-204を学ぶことで、こうしたクラウド開発の全体像を理解できるようになります。

本記事では、AZ-204の概要や実務における具体的な利用シーンを紹介しながら、初心者でも理解しやすいよう平易な言葉で解説していきます。

この記事を読むとわかること

  • AZ-204 (Developing Solutions for Microsoft Azure)の大まかな試験内容
  • アプリケーション開発においてAzureを使う利点
  • サービスごとの具体的な役割と活用事例
  • サーバーレスやコンテナなど、実務でよく使われる技術との関連
  • 資格取得後に広がるキャリアの可能性

AZ-204の概要

AZ-204とは

AZ-204は、Microsoft Azure上でアプリケーションを開発する際に必要となる技術を幅広くカバーする資格です。
たとえば、Webアプリケーションをクラウド環境にデプロイしたり、Azure Functionsのようなサーバーレスサービスを利用したりします。
さらに、データの保存先としてはAzure StorageやCosmos DBなどが登場し、さまざまな場面でサービスを組み合わせる方法を問われる試験です。

ただ、クラウド特有の概念は初心者にとって難しく感じる場合があるかもしれません。
料金の計算方法やリソースの管理など、オンプレミス(自社サーバー)ではあまり考えなかった点にも目を向ける必要があります。
AZ-204は、こうしたクラウドならではの開発・運用に関する基本的な知識を体系立てて学ぶ機会にもなります。

Azureにおけるクラウド開発の位置づけ

クラウド開発とは、ネット上に用意された計算リソースやストレージを活用し、アプリケーションを動かすことです。
物理サーバーを自分で用意する必要がなく、必要なときに必要なだけリソースを確保できるのが強みです。
AZ-204では、Azureの各種サービスを用いてこのクラウド開発をどう実現するかを問われます。

具体的には、Azure App Serviceを使えば、数クリックでWebアプリケーションをデプロイできます。
サーバーレスのAzure Functionsを使えば、サーバー自体を意識せずにコードを動かすことも可能です。
こうした機能を正しく理解し、設計と運用を円滑に行う力がAZ-204で評価されるポイントです。

AZ-204に求められるスキル

Azureの主要サービス

AZ-204では、Azure App ServiceAzure Functionsといったアプリ実行系のサービスを中心に、Azure StorageAzure Cosmos DBなどのデータ管理サービスの知識が問われます。
また、メッセージ送信のためのキューやイベント配信機能を持つサービスも出題範囲に含まれており、アプリ同士の連携や非同期処理にも対応できる力が求められます。

たとえば、フロントエンドからのリクエストを受け取って処理するWebアプリはAzure App Serviceに載せ、データはCosmos DBに保存するといったパターンが一般的です。
ここにAzure Storageを組み合わせて大容量のファイルを保管し、処理ロジックはAzure Functionsでサーバーレス化する、などの形で設計する場面もあります。

アプリケーション開発の基本

クラウドでアプリケーションを動かすときも、基本的にはプログラミング言語の基礎をしっかり理解していることが大切です。
C#やJavaScript、Pythonといった言語でサンプルコードが紹介されることもあるため、簡単な文法や構文は押さえておくとスムーズに学べるでしょう。

また、開発環境の準備やデプロイ作業といった流れにもクラウド特有の手順があります。
AZ-204では、Azure CLIを利用した操作方法や、Azureポータル上での設定画面で行う構成なども出題されることがあります。
初心者の場合、まずはどんな操作が必要なのかを一つひとつ試していくうちに理解が深まるはずです。

データベースやストレージの扱い

AZ-204の範囲では、アプリケーションに欠かせないデータストアの選択や、適切な構成を理解する必要があります。
たとえば、NoSQLデータベースのCosmos DBはスケーラビリティに優れ、膨大なデータを効率よく扱う場面で活用されることが多いです。
一方、構造化データを扱いたい場合はAzure SQL Databaseを検討するなど、サービスごとの特徴を把握することが大切です。

ファイルの保管先としてはAzure Blob Storageを使うケースが定番です。
画像や動画、バックアップデータなどを大量に保存しておく場合に役立ちます。
これらストレージサービスをどのように使い分けるかは、Azureを使う際の基本的なスキルとして重要視されます。

セキュリティとアクセス管理

クラウド環境ではインターネット経由でアクセスされる分、セキュリティとアクセス管理の取り扱いが大切です。
AZ-204でも、認証や権限設定といったセキュリティ周りのベストプラクティスを理解しているかが評価のポイントになります。

初心者の場合、セキュリティという言葉を聞くとハードルが高い印象があるかもしれません。
しかし、AzureにはAzure Active Directory(ID管理のサービス)が備わっており、設定画面からアクセスルールを簡単に確認できます。
どのユーザーがどのリソースにアクセスできるのか、許可や禁止はどうするのかを理解するだけでも、セキュリティの第一歩となります。

パフォーマンスと監視

AZ-204では、アプリケーションを開発して終わりではなく、パフォーマンスや稼働状況を常に監視することも求められます。
AzureにはAzure Monitorという監視機能があり、CPUやメモリの使用率、リクエストの成功・失敗など多くの指標を可視化できます。

たとえば、Webアプリケーションに利用者が殺到して処理が遅くなった場合、Azure Monitorのログを調べることで原因を追求しやすくなります。
必要に応じてリソースを追加したり、コードの書き方を見直したりしてパフォーマンスを改善できるため、これらの知識を総合的に身につけることが大事です。

実務での活用事例

Webアプリケーション開発

最もわかりやすい例としては、Webアプリケーションの開発が挙げられます。
オンプレミス環境と比べて、クラウド上での環境構築は設定の手間が軽減されることが多いです。
たとえば、Azure App Serviceを使えば、あらかじめ用意されたアプリケーションランタイムにコードをアップロードするだけでサイトが公開できます。

このように、WebアプリをAzureで動かすメリットとしては、簡単なスケーリングや監視、ログ収集がすべてクラウド上で完結する点が挙げられます。
小さなサイトから大規模なサービスまで幅広く対応できるので、開発初期からクラウドを使い始める会社も少なくありません。
AZ-204を学ぶと、こうした流れを包括的に理解しやすくなります。

サーバーレスアプリケーション

サーバーレスとは、開発者がサーバーを意識しなくてもコードを実行できる仕組みを指します。
Azure Functionsがその代表例です。
イベントドリブンでコードを実行でき、リクエストが来たときや特定のトリガーが発生したときに自動で関数が走るため、無駄なリソースを消費しにくいのがメリットです。

たとえば、ユーザーがファイルをアップロードしたら、すぐにAzure Functionsが画像をリサイズする。
または、一定時間ごとに外部APIを呼び出してデータを取り込むなど、用途に合わせた使い方が可能です。
従来はサーバー構築やデーモンの常駐などが必要でしたが、サーバーレスを用いることで作業工数を削減できます。

コンテナを使った分散システム

近年、コンテナ技術を利用したマイクロサービスアーキテクチャも注目を集めています。
Azureでは Azure Kubernetes Service (AKS)を利用して、コンテナを管理・オーケストレーションできます。
WebサーバーやAPIサーバー、データベースアクセスなどの機能をマイクロサービスごとに分割し、複数のコンテナとして動かすイメージです。

AZ-204の中にも、コンテナを活用した開発スタイルに関する知識が問われる場合があります。
ただ、初心者にとってコンテナは最初は難しく感じるかもしれません。
まずは「ひとつの箱にアプリが入っていて、どのクラウドでも動かせる仕組み」という程度のイメージを持っておけば十分です。

チーム開発とCI/CD

チームでAzureを使う際には、ソースコードを管理するリポジトリや、自動テスト・デプロイの仕組みも整備されます。
Azure DevOpsを活用すれば、ビルドからテスト、デプロイまでのフローを自動化しやすくなります。
たとえば、Pull Requestがマージされると自動でテストを走らせ、問題がなければ本番環境にデプロイするといった手法です。

この自動化のことをCI/CDパイプラインと呼ぶことがありますが、AZ-204でも基本的な概念として抑えておくと理解がしやすいです。
初心者の場合、いきなり全工程を自動化するのは難しいかもしれません。
しかし、少しずつステップを踏むことで、チーム開発がかなりラクになるはずです。

AZ-204の難しさや学習時のつまずきポイント

クラウド特有のサービス設計

クラウドのメリットは拡張性やコスト効率ですが、その分サービスをどう組み合わせるか判断する必要があります。
たとえば、Blob Storageを使う場面とCosmos DBを使う場面とでは、保管できるデータの形式やアクセス方法が違います。
初心者の場合、この辺りを混同してしまうと構成が複雑になり、コスト面でも無駄が生じるかもしれません。

AZ-204をきっかけに学ぶことで、「ここではどのサービスを使うのが適切か」「コストはどのように計算されるのか」を感覚的に捉えやすくなります。
最初からすべてを理解するのは難しいので、地道に試しながら把握していくことが重要です。

初心者が戸惑いやすい設定

初学者が最も混乱しやすいのは、ポータル上の設定画面やAzure CLIの操作です。
メニューやオプションがたくさんあり、どこをどう設定すればアプリが動くのかがわかりにくいことが多いです。
そうした操作が試験範囲にも含まれているので、慣れないうちは不安になるかもしれません。

たとえば、アプリを公開する際に「どのリージョンにデプロイするか」「SKUをどれにするか」「ネットワーク設定をどうするか」など決める項目が続きます。
ややこしく感じますが、少しずつ試しながら設定項目の意味を理解していけば、徐々にスムーズに扱えるようになります。

試験合格のメリット

キャリアアップ

AZ-204に合格すると、クラウド開発の基礎が身についていることを示す一つの目安になります。
たとえば、社内で新しいクラウドサービスを導入するプロジェクトが始まったときに、積極的に意見を出せるようになるでしょう。
資格を持っていると外部にもわかりやすく実力をアピールできるので、今後のキャリアアップに役立つはずです。

もし今後、プロジェクトリーダーやテックリードといった立場に進みたいと思うのであれば、資格の勉強を通じてクラウド特有の知識を押さえておくことは大きな武器になります。
ただし、資格だけが全てではありませんので、実務経験も並行して積み重ねるのが理想的です。

転職や社内評価への影響

クラウドエンジニアの需要は依然として高く、Azureを扱える人材は多方面で求められています。
AZ-204を取得していると、クラウドに関連したポジションへの転職や社内評価を高めるうえで有利になる場合があります。
企業によっては、特定のAzure資格を持っている社員がいるとパートナー認定などを受けやすくなるため、社内からも評価されることがあるのです。

一方で、実務経験やコミュニケーション能力など、総合的なスキルも重視される傾向は変わりません。
しかし、AZ-204を起点としてクラウド知識を体系化できているという点は、企業やプロジェクトメンバーから信頼を得る材料になります。

具体的な機能例:Azure Functionsの仕組みを知ろう

Azure Functionsとは

先ほど少し触れたAzure Functionsは、サーバーの存在を強く意識することなくコードを実行できる仕組みです。
従来は物理サーバーや仮想マシンを立ち上げ、常に稼働させておく必要がありました。
しかし、Azure Functionsでは関数単位でコードを用意し、必要なときにだけ動かすことが可能です。

たとえば、HTTPリクエストをトリガーにした関数や、一定時間ごとに実行される関数を簡単に作れます。
料金も、関数が呼び出された分だけ従量課金されるモデルを選択できるので、頻繁に動かさない処理であればコストを低く抑えられます。

実際にコードを書く場合のイメージ

Azure Functionsでは、C#やPythonなど複数の言語がサポートされています。
ここではC#を例に、HTTPリクエストを受け取ったら文字列を返す簡単なコードをイメージしてみましょう。
以下のサンプルは、Function App内でHttpTriggerというトリガーを使うイメージです。

using System.Net;
using Microsoft.AspNetCore.Mvc;
using Microsoft.Azure.WebJobs;
using Microsoft.Azure.WebJobs.Extensions.Http;
using Microsoft.Extensions.Logging;

public static class HelloFunction
{
    [FunctionName("HelloFunction")]
    public static IActionResult Run(
        [HttpTrigger(AuthorizationLevel.Anonymous, "get", "post", Route = null)] 
        Microsoft.AspNetCore.Http.HttpRequest req, 
        ILogger log)
    {
        log.LogInformation("HTTP trigger function processed a request.");

        string name = req.Query["name"];
        if (string.IsNullOrEmpty(name))
        {
            return new BadRequestObjectResult("name パラメータを指定してください。");
        }

        string responseMessage = $"こんにちは、{name}さん!";
        return new OkObjectResult(responseMessage);
    }
}

上記のコードは、GETPOSTリクエストでnameというパラメータを受け取り、その値をメッセージとして返す例です。
クラウド環境でこのコードが動き、名前をパラメータとして与えると「こんにちは、〇〇さん!」というレスポンスを返してくれます。
余計なサーバー設定をしなくても短いコードで機能を実装できるのがサーバーレスの魅力です。

AZ-204合格後に広がる学び

他のAzure関連資格へのステップ

AZ-204は開発系の試験ですが、Azureにはインフラ構築やセキュリティを扱う別の試験も存在します。
たとえば、仮想マシンやネットワークの専門知識を問う内容もあるため、インフラ側の知識が深いとワンランク上のクラウドエンジニアを目指せます。
AZ-204で学んだアプリ開発の知識を生かし、インフラ面まで広く理解すれば、より幅広い仕事に挑戦しやすくなるでしょう。

資格はあくまで入り口の一つですが、クラウド開発の面白さや可能性を実感したら、さらに深掘りしてみるのも良い選択肢です。
チームの中でアプリとインフラの両方をつなげられる人材は貴重ですし、今後も需要が高まると考えられます。

実務でのさらなる応用

Webやモバイル、IoTなど、クラウド開発の適用範囲はかなり幅広いです。
AZ-204をきっかけにAzureを使いこなせるようになったら、実務ではAIを活用したアプリやビッグデータ処理など、より高度なサービスを組み合わせた開発にも挑戦しやすくなります。
また、チームの要望に合わせて構成を最適化することで、「なぜこのサービスを選ぶのか」を明確に提案できるようになります。

Azureのサービスは多岐にわたります。たとえば、AI関連では画像認識や自然言語解析に使える機能がそろっており、ビッグデータ処理向けにはデータ解析のための大規模分散処理基盤が用意されています。多彩なサービスを上手に連携させることで、新しい価値を提供できる可能性が広がります。

実務では必要に応じてサービスを切り替えたり、負荷に応じてスケールアウトしたりする判断をする場面も多いです。
AZ-204合格後は、こうした設計の自由度を強みにして、よりダイナミックな開発が楽しめるでしょう。

まとめ

本記事では、 AZ-204 (Developing Solutions for Microsoft Azure)の概要や、実務での具体的な活用場面を紹介しました。
最初は「クラウド開発」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実際にはAzureのサービスを組み合わせることで多くの作業が簡単になります。
資格勉強を通じて、Webアプリからサーバーレス、コンテナ、セキュリティなど幅広い分野に触れられるのも大きなメリットです。

また、AZ-204を取得するとキャリアアップにつながりやすく、社内外での評価にも好影響があります。
さらに、学びを深めることでインフラ構築やデータ解析、AI活用など、さまざまな領域へ広がっていく可能性があるでしょう。

AZ-204は単なる試験にとどまらず、Azureを軸にしたクラウド開発の扉を開くきっかけになります。
これからクラウドを使った開発スキルを身につけたいと考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考に、Azureの世界を楽しんでみてください。

AZ-204はアプリ開発に必要なAzureの基本知識を幅広くカバーしています。資格取得を通じて、チーム開発やスケーリング、セキュリティといったクラウドならではのテーマを理解し、これからのプロジェクトに活かしてみてはいかがでしょうか。

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