Laravel インストールを初心者向けに解説:必要な準備から基本的なセットアップまで
はじめに
LaravelはPHPで作られたフレームワークです。 現代的なWebアプリケーションを構築するのに役立ち、コードの保守や拡張がしやすいという利点があります。 また、コマンド一つで高速に開発環境が整うため、初心者でも取り組みやすいのではないでしょうか。 PHPのバージョン管理やComposerを扱う必要はありますが、それらを順番に学んでいくことでスムーズに習得できます。 ここではLaravelのインストール手順を中心に、Web開発未経験の方でも理解しやすいように解説していきます。
Laravelを使うメリット
Laravelを使うと、Webアプリケーションに必要な機能を素早く組み込めます。 たとえば認証機能やデータベースとの連携など、多くの仕組みが初期段階から用意されているので、基礎部分の実装に時間を取られにくいです。 そのため、複数人での共同開発にも向いていますし、開発規模が大きくなったときでも保守が行いやすいでしょう。
一方で、使うメリットは開発速度だけではありません。 Laravelにはコマンドラインツール「Artisan」やテンプレートエンジン「Blade」が標準搭載されており、これらを組み合わせるとコードの可読性を損なわずに機能追加が行えます。
Laravelの動作環境の確認
Laravelをインストールする前に、まずはPCの環境が必要な要件を満たしているかを確認しましょう。 特にPHPやComposerは必須ですので、バージョンを調べてみてください。 一般的に、Laravel 10はPHPのバージョン8.1以降に対応していることが多いです。 OSはWindows、macOS、Linuxのいずれでも構いませんが、コマンドラインが使いやすい環境を用意しておくことをおすすめします。
PHPのバージョン管理
Laravelを快適に使うためには、指定されたPHPのバージョンを満たすかがカギになります。 PHP 8.1以上が推奨されるケースが多いので、まずは今使っているバージョンを確認しましょう。 確認方法は簡単で、以下のコマンドをターミナルやコマンドプロンプトで実行します。
php -v
もし古いバージョンのPHPになっている場合は、開発環境をアップグレードする必要があります。 Windowsなら「XAMPP」や「Laragon」のようなオールインワンパッケージを使う人もいますが、バージョンをこまめに見直しておくと良いでしょう。
Composerのインストール
次に、PHPの依存関係管理ツールであるComposerをインストールしておくことが重要です。 ComposerがないとLaravelの本体やプラグインをダウンロードできません。 インストール手順は公式サイトからインストーラをダウンロードし、画面の指示に従うだけで完了します。 すでにComposerが入っているかどうかを調べたいときは、以下のコマンドでバージョンを確認してみてください。
composer -V
Composerを正しくインストールしておけば、後ほどLaravel本体を簡単に導入できます。
Laravel インストールの具体的手順
ここから、実際にLaravelを導入するための方法を紹介します。 大きく分けると、「Composerでプロジェクトを作成する」方法と、「Laravelインストーラーを使う」方法があります。 どちらも最終的には同じディレクトリ構成になりますので、使いやすいほうを選ぶとよいでしょう。
Composerを使ったプロジェクト作成
最もシンプルなやり方として、Composerのcreate-project
コマンドを使う方法があります。
やり方は下記のコマンドをターミナルで実行するだけです。
composer create-project laravel/laravel sample-app
このとき、「sample-app」はプロジェクトのディレクトリ名です。 好きな名前に変更して問題ありません。 コマンドが完了すると、指定したフォルダの中にLaravelのファイル一式が自動的に用意されます。
Laravelインストーラーを使う方法
もう一つの方法として、Composer経由でLaravelインストーラーというパッケージを先に入れておく手段があります。 以下のコマンドでLaravelインストーラーをグローバルにインストールします。
composer global require laravel/installer
環境変数(Windowsでは「PATH」設定、macOSやLinuxでは「~/.composer/vendor/bin」など)を通したら、次のようにプロジェクトを新規作成できます。
laravel new my-laravel-app
すると、my-laravel-app
ディレクトリが作成され、中にLaravelの初期ファイルが配置されます。
あとはディレクトリ内に入り、Composerの依存パッケージをインストールすれば準備完了です。
プロジェクトの起動と確認
無事にファイルが生成されたら、プロジェクトのディレクトリに移動して開発サーバーを起動してみましょう。 起動方法は下記のコマンド一発で済みます。
php artisan serve
実行すると、http://127.0.0.1:8000
などのアドレスが表示されるはずです。
ブラウザでアクセスして、Laravelのロゴが表示されたら成功といえます。
もし上記のアドレスにアクセスしてもページが表示されない場合は、コマンドラインの出力内容を確認してみましょう。 ポート番号が別の数値になっているケースもあるので、指定されているURLに間違いがないかをチェックしてください。
インストール後の初期設定
Laravelを導入できたら、次に初期設定を整える作業が待っています。 これを飛ばしてしまうと、データベースの接続やアプリケーションの基本動作がうまく行かないこともあります。 実務でアプリケーションを立ち上げるときには、プロジェクト作成直後の初期設定が大切です。
データベース設定
多くのWebアプリケーションはデータベースを使います。
Laravelの標準構成では、MySQLやSQLiteなどが利用しやすいように設定ファイルが準備されています。
config/database.php
や.env
ファイルの中で接続情報を変更するだけで、好みのデータベースに繋げることができるでしょう。
もしMySQLを使うなら、ホスト名、ポート番号、ユーザー名、パスワード、データベース名を.env
ファイルに書き込みます。
その上で、Artisanコマンドのphp artisan migrate
を実行してみると、Laravelが自動で必要なテーブルを作成してくれます。
.envファイルの編集
.env
ファイルはLaravelの設定を一括管理するための隠しファイルです。
アプリケーションキー(APP_KEY)やデータベース接続情報、メールサーバー設定などがまとまっています。
まずはAPP_KEYが正しく生成されているかどうかを確かめてみましょう。
通常、インストール時に自動生成されますが、もし空欄の場合は以下のコマンドで生成できます。
php artisan key:generate
APP_KEYがないと暗号化などの機能が正常に動かないことがあります。 そのため、アプリケーションの安全性を保つためにも必ず初期段階で設定しましょう。
実務での活用イメージ
Laravelを実務に活用する際は、チーム開発での効率や保守のしやすさが重要になります。 コードの分担が明確になりやすく、MVC構造に基づいて開発を進めることで、誰が見ても理解しやすいプロジェクトが作れるのがメリットです。
Webアプリケーションの構築フロー
たとえば求人管理システムやSNSのようなWebアプリケーションを考えてみると、Laravelを使うと以下のようなフローで作業が進みます。
- データベース設計を行う
- マイグレーションファイルを作成してテーブルを自動生成する
- コントローラーを作成してビジネスロジックを分割する
- Bladeテンプレートを利用してビューを作りこむ
このように、一連の流れを決まった形で揃えやすい点が好評です。
よくあるユースケース
Laravelを使うと、ユーザー登録フォームやショッピングカート機能、管理画面などを手早く構築できます。 実務では、顧客情報を管理したり、APIを連携したり、といった場面で役に立つでしょう。 また、認証機能のスキャフォールド(雛形)が用意されているので、ユーザーログインやパスワードリセット機能などを早めに組み込むことができます。
アプリ開発の段階で複雑な機能が必要になっても、パッケージを追加して柔軟に対応できます。 チームで作業するときも、Artisanコマンドを利用すればコントローラーやモデルの雛形を一瞬で作れます。
トラブルシューティング
開発を進めていると、動作しなくて困ってしまうシーンがあるかもしれません。 ですが、エラーメッセージを丁寧に読むことで、原因を特定しやすくなるのがLaravelの特徴です。 ここではよくある問題を簡単に紹介しておきます。
エラーメッセージが出る場合
もしCannot open input file: artisan
と出る場合は、ターミナルのカレントディレクトリがずれている可能性があります。
Laravelプロジェクトのルートフォルダに移動してからコマンドを叩きましょう。
また、No application encryption key has been specified
というエラーはAPP_KEYが設定されていないときに表示されます。
先ほど紹介したphp artisan key:generate
コマンドを実行し、.env
ファイルにキーが追加されているかをチェックしてみてください。
Permissionエラーに遭遇する場合
LinuxやmacOS環境で、ファイルやフォルダの書き込み権限が原因でエラーになることがあります。
例えばストレージフォルダやキャッシュファイルへの書き込みが制限されている場合、chmod
やchown
コマンドで権限設定を見直してください。
特にstorage
とbootstrap/cache
ディレクトリの権限は重要ですので、アプリケーションが正しく動かないときには確認すると良いでしょう。
まとめ
ここまで、Laravelのインストールに必要な準備や手順を紹介してきました。
まずはPHPやComposerのバージョンを確かめ、Composerを使ってプロジェクトを作成する方法、あるいはLaravelインストーラーを利用する方法を選びましょう。
インストール後にはデータベース設定や.env
ファイルの編集をして、アプリケーションを起動してみると理解が深まります。
最初は小さな機能から試しながら、エラーが出ても慌てずに原因を調べてみることが大切です。
皆さんの開発プロジェクトがよりスムーズに進むように、ぜひLaravelの便利さを体感してみてください。 将来的には認証やメール送信といった機能も使えるようになり、チーム開発にも役立つことでしょう。 まずはインストール直後の手順をしっかり押さえて、次のステップへ進んでみてはいかがでしょうか。