初心者向けWindowsでのRuby on Railsインストール方法をわかりやすく解説
はじめに
WindowsパソコンでRuby on Railsを始めたいけれど、環境構築が難しそうで不安に感じていませんか。
初めてプログラミングを学ぶ人にとっては、言語やフレームワークのインストールからつまずきやすいものです。
ですが、事前に何を準備すればいいのか、どんな手順で操作すれば問題なくRailsをインストールできるのかをあらかじめ把握できれば、落ち着いて取り組めるでしょう。
ここでは、Windowsを使う人向けに、Ruby on Railsを導入してアプリケーションを起動するまでの手順をわかりやすくまとめました。
プログラミングに自信がない方でも、少しずつ取り組めばWindows上でRailsの開発環境を整えられます。
最終的にはRailsを動かして「画面に文字を表示する」というところまで説明していきますので、ぜひ気軽に始めてみてください。
この記事を読むとわかること
- WindowsパソコンでRubyとRailsを準備する流れ
- RubyInstallerを使ったインストール方法
- Railsのプロジェクトを作成し、初期画面を表示する手順
- 実務で想定できるRailsの活用シーンと注意点
- よくあるトラブルやエラーの対処方法
これらを理解すると、自宅のWindowsでRailsアプリ開発に着手しやすくなります。
Windowsでの環境準備
Railsを使うためには、まずRubyというプログラミング言語が必要です。
Windows環境でRubyをセットアップするには、RubyInstallerという専用のインストーラーを利用する方法が一般的です。
ここでは、環境準備を進める上で押さえておきたいポイントを紹介していきます。
RubyInstallerの入手と導入
RubyInstallerは、WindowsでもRubyを簡単に導入できる実行ファイルです。
以下のような流れで設定を進めます。
- RubyInstallerの公式サイトから実行ファイルをダウンロードする
- インストーラーを起動し、規約に同意してインストールを進める
- インストール途中のチェックボックスで「MSYS2を利用したDevkitツールのインストール」を有効にする
Devkitツールを入れておくと、Railsで必要になるネイティブ拡張ライブラリのビルドが可能になります。
セットアップ時に表示されるコマンドプロンプト画面が出てきた場合は、そのまま完了まで待ちましょう。
RubyInstallerが終わると、Rubyの実行環境が整います。
最後にコマンドプロンプトやPowerShellなどでruby -v
と入力してみると、Rubyのバージョン情報が表示されるはずです。
PATHの設定と確認
RubyやRailsのコマンドをいつでも実行できるようにするために、PATHの設定を見直しておくと安心です。
RubyInstallerを使うと、通常はインストール時にPATHが自動設定されます。
しかし、もしコマンドが認識されないときは、環境変数の設定に問題がある可能性があります。
PATHの確認方法は次の通りです。
- Windowsの「設定」から「システム」→「バージョン情報」を開く
- 画面右側の「関連設定」から「システムの詳細設定」を選択
- 「環境変数」をクリックし、「Path」にRubyのインストール先が含まれているか確認
多くの方は自動設定で問題ないはずです。
ここで何も入っていない場合は、インストール済みのRubyのフォルダを追加しておきましょう。
そうすれば、コマンドプロンプトやPowerShellをどのフォルダで開いてもRuby関連のコマンドが使えるようになります。
Railsをインストールする手順
Rubyの準備が整ったら、いよいよRailsをインストールします。
RailsはRubyのパッケージ管理ツールであるgemを通じて、コマンド一つでセットアップできます。
インストールコマンドの実行
コマンドプロンプトやPowerShellを開き、下記を入力しましょう。
gem install rails
これでRailsがダウンロードされ、自動的に環境へ組み込まれます。
インストールが終わったら、試しにrails -v
と入力してバージョン情報が正しく表示されるか確認します。
特に表示がおかしい場合は、先ほど解説したPATHの設定が正しく行われていない可能性があるので再度確認してください。
Bundlerの活用
Railsプロジェクトで使うライブラリの依存管理にはBundlerという仕組みを使います。
Railsをインストールした時点でBundlerも同梱されることが多いのですが、万が一うまく動かないときは下記のコマンドで再度インストールしてみてください。
gem install bundler
このあたりのセットアップでつまずく場合は、Windows環境特有のビルドツール不足などが原因になることがあります。
Devkitを導入していても動かないケースでは、Visual StudioのC++ビルドツールが必要になることもあるので、必要に応じて導入を検討してみましょう。
Railsプロジェクトを作成してみる
インストールが完了したところで、実際にRailsのアプリケーションを作って起動する手順を試してみます。
最初は「どんなファイルがどこにできるのか?」と戸惑うかもしれませんが、コマンドを実行すればRails側でテンプレートを一式用意してくれます。
Rails new コマンドでプロジェクト作成
まず作業フォルダを決めて、コマンドプロンプトやPowerShell上で移動します。
たとえば、C:\RailsProjects
というフォルダをあらかじめ作っておくと分かりやすいでしょう。
次に以下のコマンドを実行します。
rails new my_app
すると、my_app
というフォルダが生成され、その中にRailsアプリに必要なファイル構成がまとめて作成されます。
ファイル数が多いので驚くかもしれませんが、Railsが自動で準備してくれるため、初心者の方は特に細かな設定を気にしなくても大丈夫です。
Railsを起動して確認する
プロジェクト作成が終わったら、my_app
フォルダ内に移動して下記コマンドを実行しましょう。
cd my_app
rails server
しばらく待つと「Listening on tcp://0.0.0.0:3000」といったログが表示され、ローカルサーバーが立ち上がります。
次にブラウザでhttp://localhost:3000
を開いてみてください。
「Yay! You’re on Rails!」という画面が表示されれば成功です。
これでWindows上でRailsをインストールし、実際に動かせる状態になりました。
実務で考えられる活用シーン
初心者の方は、Railsを使って何ができるのか想像しにくいかもしれません。
実務では以下のような場面でRailsが活躍します。
社内ツールの開発
Ruby on Railsはデータベース連携がしやすく、管理画面をすばやく作るのが得意です。
たとえば「在庫管理システム」「顧客管理システム」などを、Railsの標準機能を使ってすぐに構築できます。
フォームからデータを入力し、それを一覧表示するような仕組みを簡単に作れます。
Webサービスやメディアサイトの構築
Railsはユーザー管理機能やセキュリティ面の考慮がしやすいため、会員制のWebサービスを立ち上げる場面でも利用されます。
個人でもブログやSNS風のサイトを作ることが可能で、機能拡張もしやすいのが強みです。
Windows環境での注意点
実際の実務ではLinuxやmacOSでRailsを開発するチームも多いですが、Windowsのまま開発を進めるケースもあります。
担当しているプロジェクトによっては、本番サーバーがLinux系のOSを使っていても、ローカル環境はWindowsのままで運用することも珍しくありません。
もし別のエンジニアとの連携が必要な場合は、ファイルパスの表記がOSによって異なることに注意してください。
Windows向けのパス表記は「C:¥User¥example」のようになり、LinuxやmacOSだと「/home/example」となります。
ソースコードをチームで共有するときは、こうしたOS差異を踏まえた上でテスト環境を統一したり、Dockerなどのコンテナ技術を使うことがあります。
よくあるトラブルと対処方法
Railsを始めたばかりの頃は、予期せぬエラーに困ることもあるでしょう。
よくあるトラブル例と、どこをチェックすればよいかのヒントをまとめます。
パスが通らない
Railsのコマンドを打っても「’rails’ は、内部コマンド...」のようなメッセージが出る場合は、RubyやRailsのインストール先がPATHに設定されていない可能性があります。
Windowsの環境変数からPathを開き、Rubyのインストールディレクトリが含まれているかを確認するのが早道です。
ライブラリのインストールエラー
Railsは多くのgem(ライブラリ)を活用しますが、中にはC言語などネイティブでビルドが必要なものもあります。
Windows環境でネイティブ拡張に失敗する場合は、DevkitやVisual Studioのビルドツールが不足しているケースが多いです。
足りないと感じたら、追加インストールを検討し、再びgem install xxx
などのコマンドを試してみましょう。
Windowsではネイティブ拡張を使うgemがエラーを起こしやすいです。必要に応じてビルド環境を整えるか、エラー文で不足ツールを確認してください。
Railsサーバーの起動が止まる
サーバーを起動したつもりが途中で止まってしまう場合は、ポートが他のプロセスに占有されているか、あるいはRubyのバージョン相性で問題が出ている可能性があります。
一度タスクマネージャーを確認して、Railsサーバーなどが残っていないかチェックするのも手です。
それでも改善しない場合は、使用しているライブラリとの競合がないかも疑ってみてください。
不可解な文字コードエラー
Windows独自の文字コード設定(Shift-JISなど)とUTF-8が混在すると、Rubyスクリプトの読み込み時に文字化けエラーが起きることがあります。
Railsのプロジェクトは原則UTF-8を使うことになっているので、ファイルを編集するテキストエディタやIDEの文字コード設定を確認してみましょう。
Railsアプリの基本構造を押さえる
Railsは MVC (Model、View、Controller)という役割分担で開発を進めるのが特徴です。
初心者の方でも、これをざっくり理解すると全体像をつかみやすくなります。
Model(モデル)
データを扱う部分です。
たとえば「ユーザー情報」「記事情報」などをデータベースとやりとりします。
Rubyのクラスによって定義され、データの整合性チェックやバリデーションを担当することもできます。
View(ビュー)
画面を表示するためのテンプレートです。
HTMLを中心に、動的な表示が必要な部分はRubyのコードを埋め込む仕組み(ERBなど)を使います。
初心者の段階では難しく考えすぎずに「画面に文字を表示する場所」と理解しておくとよいでしょう。
Controller(コントローラー)
リクエストを受け取り、ModelやViewと連携してレスポンスを返す部分です。
利用者の画面操作に合わせて、それぞれのメソッドを呼び出します。
実際の操作の流れは「ユーザーがURLを叩く → ControllerがModelから必要なデータを取得する → ControllerがViewにデータを渡す → Viewが表示画面を作る」というイメージです。
ちょっとしたカスタマイズを試す
Railsが起動できたら、画面に独自の文字列を表示してみると、学習のモチベーションが保ちやすいです。
コントローラーを新規に追加する
my_app
ディレクトリで、下記のようにコマンドを実行します。
rails generate controller welcome index
すると、welcome_controller.rb
というファイルやindex.html.erb
といったテンプレートが自動生成されます。
config/routes.rb
にはget 'welcome/index'
の一行が追加されるはずです。
ブラウザでhttp://localhost:3000/welcome/index
にアクセスすると、空のページが出るでしょう。
ここに何か表示してみると、Railsの仕組みがより理解しやすくなります。
ビューで独自メッセージを表示
app/views/welcome/index.html.erb
をエディタで開き、以下のように書き換えます。
<h1>Hello from Rails on Windows!</h1>
<p>このページが表示されれば、コントローラーとビューの連携はOKです。</p>
ブラウザをリロードすると、追加したメッセージがきちんと表示されるはずです。
Railsは「命名規則」に従ってファイルを配置すると自動的に関連付けしてくれるため、初心者でも画面を作ることが容易です。
こうした小さな変更を積み重ねると「やりたいことをコードで表現する楽しさ」が感じられるようになるでしょう。
Railsは規約に従うと、手動での設定が少なくても自然に動く仕組みが用意されています。
初心者の方はまずは自由に画面をいじってみて、どこを変更すれば何が起きるかを体験してみると理解が深まります。
まとめ
ここまで、Windows上でRubyを導入してRailsを動かすまでの流れを解説してきました。
初心者にとって最初の環境構築は少々ハードルが高いものの、RubyInstallerを利用してPATHさえ確認すれば、大きなつまずきは減らせます。
また、Railsの構造はMVCという考え方をベースにしており、Rubyのコードと画面表示、データベースとの連携を役割で分けているのが特徴的です。
まずはHello Worldのように簡単な文字列を表示してみて、Railsに慣れていくのがよいでしょう。
Railsは企業の社内ツールから商用Webサービスまで、幅広く使われているフレームワークです。
Windowsでも手軽に開発を始められますので、ぜひ手順を確認しながら、オリジナルのアプリケーションに挑戦してみてください。