Node.jsとは?JavaScriptで動作するサーバー環境をわかりやすく解説

はじめに

皆さんは Node.js を聞いたことがありますか。 ブラウザ上で動作するJavaScriptを、サーバーでも動かせるようにしたのがNode.jsです。

かつてJavaScriptはクライアントサイドの開発で利用される言語でした。 しかし、Node.jsの登場により、サーバー側の処理をJavaScriptで書くことが可能になりました。 その結果、フロントとバックエンドの両方を同じ言語で統一できるメリットを得られるようになったのです。

ここでは、Node.jsの概要や実務での利用シーンを通じて、初心者の方でも理解しやすい形で解説していきます。 パフォーマンス面でのポイントやモジュール管理、さらには簡単なサンプルコードも取り上げますので、Node.jsがどのような場面で役立つのかをイメージしてみてください。

Node.jsの基本

Node.jsはChromeのV8エンジンを採用することで、JavaScriptをサーバー上で動かせる環境を提供しています。 JavaScriptでサーバーのロジックが書けるため、フロントとバックエンド双方をひとつの言語でまとめられる点が特徴です。

JavaScriptに慣れ親しんだ人にとっては、クライアント側で学んだスキルを応用してバックエンドの開発に取り組めます。 同じ文法やライブラリの概念が使えることは、学び始めの手間を抑えるうえでありがたい要素ではないでしょうか。 また、Node.jsは高パフォーマンスでありながら、仕組み自体はシンプルに設計されています。 ノンブロッキングI/Oなどの特徴を踏まえて、通信処理を軽快に実行できる仕組みが備わっているのです。

JavaScriptがサーバーで動く意義

JavaScriptがサーバーで動くメリットは、フロントエンドとバックエンドで同じ言語を使えるところにあります。 たとえば、フロント側の機能追加でJavaScriptのコードに手を入れるなら、バックエンドでのデータ処理もJavaScriptベースで書けるため、別言語を学習する必要がありません。

言語が共通化されると、チーム内でもコードスタイルを共有しやすくなることがあります。 特に、小規模な開発チームでは全員がJavaScriptを使うケースが増え、知識を集約しやすいです。 コードレビューも1つの言語にフォーカスするので効率的に進められます。 加えて、豊富なパッケージがNPMを通じて提供されているため、Webアプリ開発でよくある機能を手早く実装しやすいです。

ノンブロッキングI/Oとは

Node.jsが軽快に動作する背景として、ノンブロッキングI/O という仕組みが挙げられます。 これは、入出力処理に時間がかかる場合でも、その処理が終わるまでプログラム全体を止めずに進行できるという考え方です。

たとえば、ファイル読み込みやデータベースアクセスなどはネットワーク遅延やディスクI/Oが発生しがちです。 もし1つの処理がブロックされてしまうと、サーバー全体のスループットが低下する可能性があります。 しかし、ノンブロッキングI/Oを採用するNode.jsでは、これらの操作を待っているあいだに別の処理を同時に進めやすくなっているのです。 これが高いパフォーマンスを保ちながら多くのリクエストをさばく仕組みといえるでしょう。

実務でどのように使われるか

Node.jsは単にサーバーサイドのJavaScript環境というだけではありません。 具体的な開発シーンで利用されるケースをイメージすると、さらにわかりやすくなるでしょう。

Webアプリケーション構築

まず挙げられるのは、Webアプリケーションの構築です。 ユーザーからのリクエストを受け取り、データベースと連携してHTMLやJSONを返却する部分をNode.jsで実装できます。 ExpressやFastifyといったWebフレームワークを使うと、ルーティングやエラーハンドリングが効率的に行いやすいです。 JavaScriptでUIを作成しつつ、同じ言語でバックエンドを仕上げるため、全体の統一感を持たせたいプロジェクトで好まれることがあります。

APIサーバー構築

Node.jsはAPIサーバーとしても使いやすいです。 RESTやGraphQLなど、さまざまな形式のAPIを提供するためのライブラリが充実しています。 フロントエンドや他のサービスと連携するための中核として、短いコード量でAPIを用意できる点が魅力です。 また、非同期処理に強い特性があるので、複数の外部APIにリクエストを投げるケースでもスムーズにハンドリングできます。

リアルタイム通信

チャットアプリやゲームなど、リアルタイムで情報をやり取りする必要があるシステムでも、Node.jsの活用例がよく見られます。 Socket.IOをはじめとするライブラリが豊富に存在し、双方向通信を比較的スムーズに組み立てやすいからです。 たとえば、複数ユーザーによる同時編集機能や、即時更新が必要なサービス開発では、Node.jsのノンブロッキングI/Oが大いに役立ちます。

Node.jsのモジュール管理

Node.jsでは、サードパーティ製のライブラリや自作のモジュールを気軽に導入できます。 特に、JavaScriptエコシステムの一部として大規模に利用されているNPMの仕組みは覚えておきたいところです。

npmとパッケージ管理

npm はNode.js公式のパッケージ管理ツールで、世界中の開発者がさまざまなライブラリを公開しています。 インストールしたライブラリはプロジェクトの一部として管理され、バージョンや依存関係が明確になります。 初心者の方でも npm initnpm install コマンドを使いこなすことで、プロジェクトに必要なパッケージを取り込みやすいでしょう。

同様に、Yarnやpnpmといったnpm以外のパッケージ管理ツールも存在します。 ただし、基本的な仕組みはnpmに近いです。 複数のツールがある理由はダウンロード速度の違いや依存管理の最適化など、プロジェクトによって重点を置く部分が異なるからだと思ってください。 いずれにしても、Node.jsで開発を進めるうえでパッケージ管理ツールは欠かせない存在です。

バージョン管理とLTS

Node.jsには、定期的にアップデートされる最新版と、長期サポート版(LTS)の2種類があります。 最新の機能を試したいなら最新版、安定性を重視するならLTSというように、プロジェクトの方向性によって使い分けることが多いです。 また、バージョンによっては非推奨になった機能もあります。 そのため、互換性を確保するために、どのタイミングでアップデートするかを計画的に検討すると安心です。

Node.jsのバージョンによっては新しい構文やAPIが使える場合があります。 一方で、既存のライブラリがまだ対応していない場合もあるため、導入前に確認することがおすすめです。

Node.jsを使った簡単な例

ここからはNode.jsで簡単なWebサーバーを立ち上げるコードを紹介します。 ターミナルで実行すると、サーバーが起動し、ブラウザからアクセス可能になります。

// server.js
const http = require("http");

const server = http.createServer((req, res) => {
  res.writeHead(200, { "Content-Type": "text/plain; charset=utf-8" });
  res.write("Hello from Node.js");
  res.end();
});

server.listen(3000, () => {
  console.log("Server is running on http://localhost:3000");
});

この例では、標準のhttpモジュールを使ってポート3000番で受け付けています。 ブラウザで http://localhost:3000 にアクセスすると、テキストが表示されるはずです。 もしExpressのようなフレームワークを導入すれば、ルーティングやテンプレートエンジンなどを扱えるようになるため、さらに機能を拡張できます。

運用における注意点

Node.jsは軽量かつ扱いやすい反面、大規模なシステムを運用するときに考慮すべきポイントもあります。 特に、パフォーマンスとセキュリティは慎重に扱いたい分野です。

パフォーマンスと負荷分散

ノンブロッキングI/Oのおかげで、多数のリクエストに対して効率的に応答しやすいとされています。 ただし、サーバーリソースの上限を超えるアクセスが来た場合や、処理が長時間かかるロジックが多いと、全体が重くなりかねません。 そのため、負荷が想定以上に増えたら、クラスターモードを利用してCPUコアを有効活用する方法があります。 また、ロードバランサーを用意して複数のNode.jsプロセスにリクエストを振り分ける構成も検討されるでしょう。

セキュリティ対策

セキュリティ面では、基本的なサニタイズ処理や認証機能はもちろん、外部パッケージの信頼性を確かめることも大切です。 npmでインストールしたライブラリに脆弱性が含まれている可能性もあるため、脆弱性情報をチェックする仕組みを導入するのが望ましいでしょう。 さらに、SSL/TLS通信の設定や環境変数の管理、入力パラメータの検証なども疎かにするとリスクが高まります。 これらはNode.js固有の課題ではありませんが、JavaScriptに慣れた方がサーバーサイドを扱うときには改めて意識しておくと良いです。

Node.jsそのものが高いセキュリティを自動的に提供するわけではありません。 サニタイズやアクセストークンの正当性確認など、必要な対策をしっかり施しましょう。

よくある疑問

Node.jsを初めて知る方の中には、JavaScriptとの違いやフレームワークの役割などに疑問を持つことがあるかもしれません。 ここでは代表的な質問をいくつか挙げます。

JavaScriptとの違い

大前提として、Node.jsで使用される言語はあくまでJavaScriptです。 違いがあるのは、JavaScriptを動かす環境と追加されるAPIの部分にあります。 たとえば、ブラウザ環境ではDOM操作やCookieの管理が可能ですが、Node.jsの環境ではファイルシステムへのアクセスや、サーバーとしての受け口を設定できるAPIが用意されています。 JavaScriptという言語は同じでも、利用するメソッドやライブラリが異なるので、最初は戸惑うことがあるかもしれません。

フレームワークとの関係

Node.js上にはさまざまなフレームワークやライブラリが存在します。 Express、NestJSなどが代表例で、ルーティングからミドルウェアの設定まで多数の機能を提供します。 このようなフレームワークを使うことで、Webサーバー機能を短いコード量で組み立てやすくなるのです。 とはいえ、Node.js本体だけでも基本的なサーバー構築は可能なので、プロジェクト規模に応じて導入するかどうか検討すれば良いでしょう。 フレームワークによっては厳密なディレクトリ構成が推奨されるものもありますが、自由度が高い環境を好む場合はExpressのようにシンプルなものを選ぶと良いかもしれません。

まとめ

ここまで、Node.jsの概要や実務での活用シーン、モジュール管理の方法などを見てきました。 JavaScriptを使うことでフロントとバックエンドを共通化できる点が魅力的ですよね。

また、ノンブロッキングI/Oを活かした軽快な動作や、NPMを通じて豊富なパッケージにアクセスできることも大きなメリットです。 Webアプリケーション、APIサーバー、リアルタイム通信といった幅広い場面で使われているので、まずは簡単なサーバーのコードを試してみるのも良いでしょう。

Node.jsに触れることで、サーバーサイドの仕組みを理解しながらJavaScriptの応用範囲を広げられます。 ぜひ開発の選択肢として検討してみてください。

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