AWS AMIとは?基礎から作成手順、利用方法までを徹底解説
はじめに
AWSでサーバーを立ち上げる際、まずはイメージとなるテンプレートが必要になることがあるのではないでしょうか。 そういったテンプレートを用意しておくと、毎回の環境構築がかなりスムーズに進むはずです。 ここでは AWS AMI (Amazon Machine Image) の仕組みや利点を解説し、どのように作成し利用するのかを具体的に紹介します。 初心者の方でもわかりやすいように、専門用語の説明も含めて順を追って説明していきます。
AWS AMIの概要
まずはAMIの基本を押さえましょう。 AMI とは、EC2インスタンスを起動するためのOSやアプリケーション設定などをまとめたイメージのことです。 このイメージをもとに、AWS上で仮想サーバーを複数台スピンアップできます。 すべてのファイル構成や設定が詰まっているため、一度環境を作り上げてAMI化しておけば、同じ構成を何度でも再現できます。
AMIの役割
AMIはEC2の元となる設計図のようなイメージです。 EC2を作成するときに、このAMIを選択することで、OSバージョンやインストールされているソフトウェアなどをそのまま引き継ぐことができます。 作業時間の短縮や環境間の差分をなくす役割があり、開発から本番運用まで同じベース環境を整えるのにも便利です。 そのため、テスト環境やステージング環境、本番環境などを共通化したいときによく活用されます。
AMIの種類
AMIにはいくつかの種類が存在しますが、大まかに分けるとAWSが公式に用意しているものと、ユーザーが独自に作成したものがあります。 AWSが公開しているAMIには、Linux系やWindows Server系、サードパーティーが提供するアプリケーション込みのものなども含まれています。 ユーザーが独自に作成したAMIは、社内の標準構成をまとめたものや、特定のミドルウェアが導入されているカスタムOSなどが挙げられます。 用途によって自由に選べる点がAWSの魅力と言えるでしょう。
AMIを作成する理由
AMIを使うと、インフラ構築のたびにOSのセットアップやミドルウェアのインストールを繰り返す手間が省けます。 一貫した環境構築が可能になり、本番環境とテスト環境の差異も少なくできます。 また、サービス運用の信頼性向上にもつながります。 エラーが起きたときに、同じ構成のインスタンスを再起動すれば対処が素早く行えるからです。
システムの再利用
特定のアプリケーションや設定を含むOSイメージがあれば、他のプロジェクトで流用しやすくなります。 例えば、社内で採用しているセキュリティ設定をあらかじめ入れておけば、その部分の作業を簡単に再現できます。 この再利用性により、新人エンジニアでも同じ環境を手軽に構築できるメリットが生まれます。 結果として、環境ごとの差異によるトラブルを大幅に減らすことが期待できます。
バックアップ・災害対策
システムのバックアップとしてAMIを取得することもあります。 万が一のトラブルでインスタンスが復旧不能な状態になっても、AMIから新規に環境を立ち上げれば対処が容易です。 ディスク丸ごとバックアップに近い形なので、災害復旧計画の一環として利用するケースも見られます。 複数のリージョンにAMIsを保管しておけば、地域的な障害にも対応しやすいです。
AMIの作り方
AMIを作る方法はいくつかありますが、基本的にはコンソールから操作するか、AWS CLIでコマンドを実行する方法が一般的です。 ここでは初心者が導入しやすい方法として、まずはAWSマネジメントコンソールから作成する流れを見ていきます。 どのOSを利用するかによって多少画面が異なることもありますが、大筋の手順は共通です。 必要に応じて、AWS CLIを使った自動化手段なども後ほど紹介します。
EC2イメージ化の手順
- まず、すでに稼働中のEC2インスタンスを用意してください。
- EC2ダッシュボードで対象のインスタンスを選択し、アクションメニューから「イメージの作成」をクリックします。
- スナップショット用に名前を入力し、必要に応じてタグを設定します。
- 数分待つとAMIが生成され、AMI一覧から確認できるようになります。
これで一度作り上げた環境をテンプレート化できるため、新規にEC2を立ち上げるときも同じ構成をすぐに使えます。
AWS CLIでの操作例
AWS CLIを使えば、コマンド一発でAMIを作成できます。
例えば以下のように create-image
サブコマンドを利用します。
インスタンスIDを指定して、どのインスタンスをイメージ化するかを明示的に示します。
aws ec2 create-image \ --instance-id i-0abcd1234efgh5678 \ --name "my-custom-ami" \ --description "My custom AMI for web server"
このコマンドを実行すると、AWSコンソールで操作した時と同様にAMIが作成されます。 スクリプトでまとめて実行するときなどはCLIが便利です。
AMIの共有とコピー
AMIは同じアカウント内だけで使うものではなく、他のアカウントや別リージョンへコピーして使うことも可能です。 特に大規模な組織では、セキュリティ設定や業務アプリケーションを入れたAMIを社内全体で共有するケースが増えています。 AWSが提供するコピー機能を使えば、リージョンを越えて同じイメージを複製できるので、地理的に離れた拠点でも共通の環境を提供できます。 このようにして組織全体で統一した環境を保つのは、運用効率を上げる鍵になりそうですね。
リージョン間コピー
AMIをリージョン間でコピーすることで、障害対策や海外向けサービス展開にも対応しやすくなります。 例えば、バージニア北部リージョンで動かしていたインスタンスのAMIを東京リージョンにコピーしておけば、同じイメージをそのまま転用できます。 また、冗長化の一環としても有効で、あるリージョンが停止した際に別のリージョンでサービスを復旧するスピードを高められます。 この操作もコンソールまたはAWS CLIで簡単に行えます。
アカウント間共有
社内の別チームや、必要に応じて外部パートナーとAMIを共有するケースもあります。 共有にあたっては、特定のアカウントIDに対してアクセス権限を付与するだけでOKです。 ただし、料金の支払い元やセキュリティポリシーとの兼ね合いには注意が必要です。 AMI に含まれる情報は重要な機密データを含む可能性もあるため、共有相手は慎重に選ぶ必要があります。
AMIの管理と運用
AMIは一度作って終わりではなく、定期的な更新や不要になったAMIの削除なども行うべきです。 古いAMIをそのまま放置しておくと、保守が大変になるばかりかセキュリティ面でも懸念が残ります。 スナップショットを増やしすぎるとコストが増える点にも気を配りましょう。 ここからはバージョン管理やセキュリティ面についてもう少し掘り下げていきます。
バージョン管理
AMIをアップデートする際には、OSのパッチを適用したり新しいアプリケーションバージョンをインストールしたりします。 作業を終えたら新たにイメージを作成し、分かりやすい名前やタグを付与しておくとよいでしょう。 AMI名に日付を入れるなど運用ルールを明確にしておくと、どのイメージが最新なのか一目でわかります。 このルールを組織全体で統一することで、混乱を防ぐことができます。
セキュリティ面の考慮
AMIにはOSやソフトウェアの情報がまとめて入っているため、脆弱性が残っていると大きなリスクになりかねません。 セキュリティパッチの適用を怠ると、まったく同じ脆弱性を持ったEC2が大量に存在する状況になり得ます。 そのため、定期的に最新パッチを当てたAMIを作り直すことが重要です。 機密情報が内包されていないかも改めて点検し、クレデンシャルなどが含まれない状態でイメージ化することが望ましいです。
よくある疑問
初めてAMIを扱うとき、使い勝手や運用費用などが気になる方もいるかもしれません。 ここからは特に問い合わせが多いトピックとして、コスト面やOSのアップデートとの関係について触れます。 とくに小規模なプロジェクトや個人利用のケースでは、不要な出費を避けるための管理がポイントになります。 このあたりをしっかり把握しておくと、後になって想定外の問題で困ることが少なくなります。
コスト面はどうなるか
AMI自体の管理にはスナップショットの料金が関わってきます。 通常のEBSスナップショットと同様に、保存容量分のコストがかかるわけです。 さらにAMIの数が多くなるほど合計料金も膨らむので、利用していない古いAMIは削除するなどのメンテナンスが求められます。 逆に、複数プロジェクトで同じAMIを使いまわすことによって、初期構築や管理のコストを削減する効果も見込めます。
OSアップデートとの関係
OSに定期的なアップデートが入ると、そのたびに新しいAMIを作る必要があります。 一度作ったAMIを長期間放置していると、セキュリティリスクが高まる恐れがあります。 また、ライブラリやミドルウェアのバージョン差が原因でアプリが動かなくなる場合もあります。 そのため、運用ポリシーとして定期的にAMIを更新し、古いバージョンは段階的に廃止するといった管理が重要です。
AMIを利用する際は、事前にOSやミドルウェアのライセンス周りもチェックしておくと安心です。
運用のコツ
AMIを使いこなすには、チームや組織でルールを決めておくとスムーズに進みやすいでしょう。 それぞれのプロジェクトで共通のタグ付けルールを決めたり、更新サイクルをカレンダーに落とし込んでみたりする方法もあります。 自動化できる部分はAWS CLIやスクリプトを活用してAMIの作成や削除を行うと、手作業のミスを減らせます。 また、AMIのサイズが大きくなりすぎないように、定期的に不要なファイルを削除することも大切です。
チームでの共有ルール
AMI名称にプロジェクト名と日付を含めるなどの命名規則を設定すると、検索性が上がって混乱を減らせます。 例えば「webapp-2025-01-24」などのように日付を付けておけば、新旧のイメージを簡単に見比べられます。 また、AMIを作成する担当やリリースフローをあらかじめ決めておくことで、開発と運用がスムーズに連携できます。 こうしたルールを文書化しておくと、プロジェクト外のメンバーにもノウハウが伝わりやすいです。
破棄のタイミング
不要になったAMIをどのタイミングで破棄するかは、運用上の大きな課題です。 過去にトラブルがあったときの検証用として保管しておきたいケースもあるため、一律に全部消してしまうのは注意が必要です。 一定期間を過ぎたものから順次削除するか、必要に応じてアーカイブを取るなどの方策が考えられます。 こうした運用ルールはプロジェクトの性質に合わせて柔軟に設計しましょう。
利用しなくなったAMIやスナップショットを長期間放置すると、思わぬコストがかかる場合があります。
まとめ
ここまで AWS AMI の意味から作成手順、共有方法、運用上の注意点までを見てきました。 AMIを活用すれば、インフラ構築の効率化や一貫性のある環境提供を実現しやすくなるはずです。 一方で、放置するとコスト増やセキュリティリスクを招く可能性もあるため、定期的なメンテナンスを行いましょう。 初心者の方であっても、まずは基本的な操作手順に慣れるところから始めてみると、導入しやすいのではないでしょうか。