AWS Lambda とは?サーバーレスの基本と実務活用までわかりやすく解説

クラウド開発

はじめに

皆さんはクラウドサービスを使ってアプリケーションを作るときに、サーバーを自分で管理する手間を減らしたいと感じたことはありませんか。 そこで注目されているのが AWS Lambda です。 サーバーレスという言葉を耳にする機会は増えていますが、具体的にどのような仕組みで動き、どんな場面で使えるのかを知りたい方も多いでしょう。 ここでは、AWS Lambda とは何かという基本から、実際にどのように活用できるのかを初心者の方にもわかりやすく説明します。 最後まで読むことで、実務でも役立つシーンをイメージできるようになるかもしれません。

AWS Lambda とは

クラウド上でコードを実行する仕組みを提供する、いわゆる FaaS (Function as a Service) の一種です。 物理サーバーや仮想マシンの管理を意識せずに、必要なときだけコードを動かせるのが特徴といえます。 従来のようにサーバーを常時稼働させておく必要がなく、イベントが発生したタイミングでのみ関数を呼び出す形になっています。 そのため、使った分だけコストが発生し、無駄が少ない点が注目を集めています。

基本的な概要

AWS Lambda ではプログラムを「関数」という単位でデプロイします。 複雑なアプリケーションを直接配置するというよりは、小さな処理を必要に応じて組み合わせるイメージが近いです。 これにより、関数ごとに独立して開発やテストを進めることができ、チームで作業する際にも責任範囲が明確になりやすいというメリットがあります。 また、AWS Lambda と他の AWS サービスを連携させれば、S3にファイルがアップロードされたときだけ関数を実行するなどのイベント駆動型の設計ができます。

仕組みと実行環境

AWS Lambda は「ランタイム」と呼ばれる実行環境を選べる仕組みになっています。 JavaScript(Node.js 18など)や Python、Java、Go など、複数の言語に対応しているのが特徴です。 あらかじめ指定したランタイムを使って関数が呼び出されるため、ユーザーはコードの論理部分に集中しやすいという利点があります。 裏側のサーバー管理やスケーリングは AWS が自動で実行してくれるので、インフラ構築の負担が少なくなります。

AWS Lambda が役立つ場面

AWS Lambda は、イベント駆動でコードが呼び出されるという性質を持っています。 ここからは、どんな状況で使い勝手がいいのかを具体的に見ていきましょう。

イベント駆動型のアプリケーション

EC2 などのサーバーを長時間稼働させる必要がないケースで、とりわけ便利に感じられるかもしれません。 たとえばユーザーが画像をアップロードしたタイミングや、SNS 投稿を検知したタイミングなどで特定の処理を自動化できます。 イベントが発生したときだけリソースが起動するので、常時稼働させておくよりもコストを抑えやすいです。 また、イベントが集中しても自動的にスケールする仕組みが備わっているため、アクセス急増時の対応も手軽に行えます。

定期実行タスク

特定の時間や周期で実行するタスクにも AWS Lambda が利用される場合があります。 AWS の CloudWatch Events(EventBridge)と組み合わせることで、バッチ処理のようなタスクを定期的に呼び出せるのです。 深夜にデータを集計したり、不要なログを削除したりするような用途に適しています。 以前はサーバーを常に起動しておいて cron を仕掛けることもありましたが、Lambda と組み合わせればその必要がありません。

AWS Lambda のメリットと注意点

ここでは、具体的なメリットとあわせて、知っておいたほうがいいポイントを解説します。 良い面ばかりではなく、注意が必要な面もあるので、実運用の前にチェックしてみましょう。

メリット

  • 自動スケーリングで負荷が増減しても対応が容易
  • 実行時間やリクエスト数に応じた料金体系で、無駄なコストが発生しにくい
  • インフラ運用の負担が減り、開発に集中しやすい
  • 多様な言語ランタイムに対応しているため、チームごとに使い慣れた言語を選びやすい

サーバー管理がいらないことで、負荷が急に高まったときも AWS が自動でバックエンドをスケールします。 無駄が少ない上に、イベントベースの仕組みが組み込みやすいという魅力もあります。

注意点

  • コールドスタートによるレイテンシの発生
  • 実行時間やメモリ上限に制限がある
  • ローカルでのデバッグ環境を構築するときに工夫が必要

最初の呼び出し時にコンテナを起動するための時間がかかるコールドスタートは、リアルタイム性が必要なアプリケーションでは障害になることがあります。 また、Lambda には実行時間やメモリの上限が存在するため、継続的に実行し続けるようなタスクには向いていない場合があります。

コールドスタート対策としてランタイムをウォームアップする方法も存在しますが、常にウォームアップさせるとコストが増える可能性があります。

実行までの流れの一例

AWS Lambda は、コンソールやコマンドラインなど複数の方法で設定できます。 ここでは、関数が動くまでの基本的な流れをざっくりと確認してみましょう。 これらはイメージであり、実際は細かい手順や設定項目も存在します。

関数の作成

AWS のマネジメントコンソールから、Lambda 関数を新規作成します。 関数名とランタイムを指定するだけでも、ひとまず関数の雛形ができあがります。 Node.js、Python、Javaなど、目的やチームのスキルに合わせて言語を選択できます。 作成後にコードエディタが表示されるので、そこで関数本体を書いていく流れです。

権限の設定

Lambda 関数がほかの AWS サービスを利用する場合は、権限を設定しないといけません。 たとえば S3 へアクセスしてファイルを取得するなら、S3 の読み取り権限が必要です。 AWS Identity and Access Management (IAM) でロールを作成し、最小限のポリシーを付与することを忘れないようにしましょう。 セキュリティの観点からは、不要な権限を持たせないことが大事です。

トリガー設定

イベントドリブンで動かすには、どのサービスのイベントで関数を呼び出すか設定します。 API Gateway からのリクエストをトリガーにする例や、SNS からの通知を受け取る例など、さまざまなパターンが考えられます。 こうした連携設定が正しく行われていれば、イベント発生時に自動で Lambda 関数が呼び出されるようになります。

Node.js で書いてみる

ここでは Node.js のランタイムを例に、コードの雰囲気を見てみましょう。 短い関数であっても、定義方法を把握しておけば色々と応用しやすくなります。

サンプルコード

exports.handler = async (event) => {
  // イベント情報を取得
  const bucketName = event.Records[0].s3.bucket.name;
  const objectKey = event.Records[0].s3.object.key;

  // 処理例:S3内のファイル名をログ出力
  console.log(`ファイルがアップロードされました: ${bucketName}/${objectKey}`);

  // 結果を返す
  return {
    statusCode: 200,
    body: JSON.stringify({ message: "ファイルアップロードを検知しました" }),
  };
};

S3 にファイルがアップロードされたイベントを受け取り、その情報をログに記録するだけのシンプルな例です。 イベント情報にはバケット名やオブジェクト名が入ってくるので、そこから必要な情報を取り出しています。

動きのイメージ

この関数を S3 のアップロードイベントと紐付けておけば、新しいファイルがアップロードされるたびに Lambda が呼び出されます。 例えば画像の圧縮やメタデータの生成など、ファイルのアップロードに応じて自動処理したい場合はこうした設計が便利です。 小さな処理を関数としてまとめておくことで、複数のイベント処理を組み合わせたアプリケーションを柔軟に作れます。

運用上の工夫

AWS Lambda は機能が多い反面、実務で使い始めると工夫が必要な箇所も出てきます。 ここでは、いくつかの視点から運用を円滑に進めるためのヒントを紹介します。

ログ出力の活用

ログは CloudWatch Logs に蓄積されるので、そこから状況を把握できます。 ログが確認しやすければ、不具合が起こったときのトラブルシューティングもスムーズです。 コード中で console.log() を使った分がすべて CloudWatch Logs に送られるため、情報が散らばりにくい利点があります。

性能最適化

Lambda はリクエスト数と実行時間に応じて料金が課金されるため、パフォーマンスを意識した方がいい場合があります。 無駄な処理や大きすぎるライブラリを抱え込むと、関数の起動時間が伸びてコールドスタートの影響が大きくなる可能性があります。 軽量なライブラリや短時間で終了する処理の設計を検討すると、コストとレスポンスの両面でメリットがあるかもしれません。

セキュリティ対策

権限を最小限にするのはもちろん、外部からの入力を検証することも忘れてはいけません。 Lambda 関数が API Gateway 経由で公開される場合は、不正アクセス対策や不要なオープン化を防ぐ仕組みを準備しておくと安心です。 さらに、定期的に権限とログを見直すことで、問題が潜んでいないかをチェックできます。

権限やログの管理を継続的に行うことで、リスクを早期に発見しやすくなります。

まとめ

ここまで、AWS Lambda とは何かという基本から、活用シーンや具体的なコード例などを概観してきました。 サーバーレスの考え方は、初めて触れる方にはややハードルを感じるかもしれませんが、実際には小さな関数を作るだけで動かせる点が魅力です。 必要なときに必要な処理だけ動かせる設計は、学び始めてもコストを抑えやすく、仕組みを理解しやすいのではないでしょうか。 ぜひサービスの特性を踏まえて AWS Lambda を活用し、新しいアイデアを形にしてみてください。

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