Docker Desktop インストール Windows WSL2で始めるDocker入門
はじめに
Dockerという言葉を耳にする機会が増えていませんか。
コンテナ技術の普及に伴い、多くの開発現場でDockerが採用されています。
しかしWindowsユーザーの方からは「インストールの手順が複雑そう」「WSL2って何だろう」といった疑問もよく聞かれます。
そこで本記事では、Docker DesktopをWindows上でWSL2と組み合わせてインストールする方法を初心者にも理解しやすく解説します。
コンテナを活用した開発をスムーズに始めるための参考になるはずです。
この記事を読むとわかること
- Docker Desktopとは何か、その概要
- WindowsとWSL2を使うメリット
- インストールに必要な各種準備と手順
- インストールでつまずきやすいポイントの対処法
- インストール後に試してみると便利なDocker操作の一例
ここから順を追って説明するので、初心者の方でも段階的に理解を深められます。
実務で使うシーンもイメージしやすいよう、できるだけ具体的に紹介していきます。
Docker Desktopとは
Docker Desktopは、Windows環境でDockerコンテナを扱いやすくするための公式アプリケーションです。
インストーラを実行するだけで必要な設定がまとまり、GUIとコマンドラインの両方でコンテナを管理できます。
ただしWindowsでは、従来Dockerをネイティブに動かすのが難しいことがありました。
そこでDocker Desktopは、Windows向けに必要なコンポーネントをパッケージとして提供し、コンテナを簡単に起動できるようにしているのです。
Docker Desktopの役割
Docker Desktopが果たす役割は以下のようなものがあります。
- Docker EngineやCLIツールをまとめて導入
- コンテナ用の仮想環境を自動でセットアップ
- GUIでコンテナの一覧やリソースを管理
- WSL2の統合でネイティブに近いパフォーマンスを提供
こうした機能のおかげで、WindowsでもDockerを扱う敷居が低くなりました。
小規模なアプリから大規模プロジェクトまで、コンテナの管理をシンプルにしてくれます。
WSL2との関係
WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)は、Windows上でLinuxカーネルを動かす仕組みです。
Docker DesktopはWSL2との連携によって、高速なコンテナ実行を実現しています。
WSL2を使う利点には、以下のようなものがあります。
- Linuxカーネルが動作するため、Linux向けコンテナをほぼそのまま使える
- VM(仮想マシン)よりも軽量かつ高速に動く
- Windowsとファイル共有がしやすい
Docker Desktopの裏でWSL2環境が動くことで、Windowsでも安定したコンテナ実行が可能になります。
Windows環境でDockerを使うメリット
Windowsをメインに使っている方がDockerを導入すると、いくつかのメリットを実感しやすいです。
ここでは実務での活用シーンとあわせて紹介します。
実務での活用シーン
例えばWebアプリを開発する場合、Linux上でしか動かないツールやライブラリが必要となることがあります。
それらを直接Windowsにインストールするのは大変ですが、Dockerコンテナを使えば、必要な環境をまとめて用意できるので簡単です。
- PHPやRubyなどLinux上での動作が主流の言語を扱うとき
- MySQL、PostgreSQLなどのデータベースを手軽に試したいとき
- プロジェクトごとに異なるバージョンのツールを使うとき
こうしたケースでもDockerならコンテナを切り替えるだけなので、余分なインストールがいりません。
実務では複数のプロジェクトを並行して進めることも多いため、この手軽さは大きな利点です。
開発効率の向上
コンテナで開発環境を統一できると、チームメンバーとの環境差が減り、開発効率が上がります。
例えば「自分のパソコンでは動くのに、ほかの人のパソコンでは動かない」といった問題が起こりにくくなります。
さらにWSL2と組み合わせることで、Windowsネイティブ環境よりも高いパフォーマンスが得られる場合があります。
ビルド時間の短縮、レスポンスの向上など、細かな作業効率にも好影響が期待できます。
インストールに必要な準備
Docker Desktopをインストールする前に、いくつか確認や準備をしておくとスムーズです。
ここではWindowsの要件やWSL2の導入方法について紹介します。
Windowsのバージョン要件
Docker Desktopを使うには、ProやHomeなどのエディションを問わず、Windowsのバージョンが一定以上である必要があります。
またWSL2をサポートするWindowsの更新プログラムを適用しておく必要もあります。
具体的には、Windows 10やWindows 11であれば定期的なアップデートを実行しておきましょう。
更新が古い場合には、Windows Updateでシステムを最新の状態にすることが大切です。
WSL2の有効化
WSL2を使うためには、まずWindowsの機能としてWSLを有効化します。
手順は大きく分けて以下の2つです。
- Windowsの機能の有効化
- Linuxディストリビューションのインストール
Windowsの機能は、コントロールパネルの「プログラムと機能」などから有効化する方法と、PowerShellを使う方法があります。
PowerShellの場合は管理者権限で起動し、インラインコードブロック dism.exe /online /enable-feature /featurename:Microsoft-Windows-Subsystem-Linux /all /norestart
のように入力することでWSLを有効化します。
続いてLinuxディストリビューションをMicrosoft Storeから取得します。
UbuntuやDebianなどお好みのものを選んで問題ありませんが、多くの方はUbuntuを利用することが多いです。
OS標準機能の確認
Docker Desktopでは、Hyper-VやVirtual Machine Platformといった機能を使う場合があります。
とくにWSL2を使う場合もVirtual Machine Platformが必要になるので、こちらも有効化しておくと安心です。
PowerShellを管理者権限で起動し、インラインコードブロック dism.exe /online /enable-feature /featurename:VirtualMachinePlatform /all /norestart
のように入力すると有効化できます。
これらをセットで行っておけば、Docker Desktopインストール時にエラーが出る可能性を下げられます。
Docker Desktopインストール手順
ここでは実際のインストール作業の流れを説明します。
ステップを順に追っていけば、初心者の方でも迷うことは少ないはずです。
1. ダウンロード
Dockerの公式サイトから、Windows向けのDocker Desktopインストーラをダウンロードします。
サイトを開いたら「Docker Desktop for Windows」を選び、案内に従ってファイルを保存してください。
ファイルサイズが大きめなので、回線速度によっては少し時間がかかることもあります。
2. インストーラの実行
ダウンロードしたインストーラをダブルクリックして実行します。
初回の画面では、ライセンスに関する同意が求められるので内容を確認して進めてください。
その後、「Install required Windows components for WSL 2」などのオプションが表示される場合があります。
既に自分でWSL2を有効化している場合はチェックを外しても良いですが、よく分からない場合はオンにしておくと自動でセットアップしてくれます。
3. 初期設定
インストールが完了すると、Docker Desktopが起動します。
最初の起動時には、バックグラウンドで追加の設定やファイルのダウンロードが行われることがあります。
Docker Desktopのメイン画面が表示されたら、WSL2を使う設定になっているかを確認しましょう。
歯車アイコンなどの設定メニューを開き、「Use the WSL 2 based engine」のようなチェック欄がオンになっていれば問題ありません。
4. Docker Desktopの起動
設定が完了すると、タスクバー付近にDockerのアイコンが表示されるはずです。
このアイコンが緑色もしくは青色になっていればDockerが起動している状態です。
あとはコマンドプロンプト、PowerShell、またはWSL2上のシェルでインラインコードブロック docker version
を入力し、Dockerのバージョン情報が表示されればインストールは完了です。
無事にDocker Engineが動作していることを確認できると、コンテナを扱う準備が整ったことになります。
5. サンプルコンテナの動作確認
最後にサンプルのコンテナを動かしてみましょう。
インラインコードブロック docker run hello-world
のように入力すると、コンテナが起動してメッセージが表示されます。
画面に「Hello from Docker!」といったメッセージが表示されれば成功です。
コンテナのダウンロード、起動、実行結果の表示という一連の流れがスムーズに行われたことになります。
トラブルシューティング
WindowsでDocker Desktopをインストールするとき、いくつかのエラーやトラブルが起こる可能性があります。
ここでは代表的な問題と対策をまとめました。
インストール中のエラー
インストール時に「WSL2を有効化できませんでした」「Hyper-Vが使えません」といったエラーが出る場合があります。
その原因としては以下が考えられます。
- Windowsのバージョンが古い
- Virtual Machine Platformが有効化されていない
- 再起動が未完了
これらが原因の際は、Windows Updateでアップデートを適用し、PowerShellから機能を有効化したうえで、念のため再起動を試してみてください。
WSL2が有効化されていない場合
インストーラのオプションでWSL2を有効化しようとしてもうまく動作しない場合、手動での対応が必要となることがあります。
PowerShellを管理者権限で起動し、WSLやVirtual Machine Platformを有効化してから再度Docker Desktopをインストールすると解決することが多いです。
WSL2機能の追加や再起動の直後は、すぐにDocker Desktopを起動せず、一度Windowsをしっかり再起動してから改めて試すと、エラーを回避しやすくなります。
ネットワーク関連のエラー
コンテナがネットワークにアクセスできないケースもあります。
ネットワーク設定の一部をDocker Desktopが引き継いでいることが原因で、VPNやウイルス対策ソフトと干渉する場合があります。
もし社内ネットワークやVPNを使用している環境でDockerを動かす場合、社内のセキュリティポリシーなどにより、外部アクセスがブロックされていることも考えられます。
この場合はネットワーク管理者に相談して、必要な通信を許可してもらう必要があるでしょう。
Docker Desktopインストール後の基本操作
インストールに成功したら、Dockerを使ってみることで理解が深まります。
ここではよく使われるコマンドや操作を簡単に紹介します。
Dockerコマンドを使う
Dockerでよく使う基本コマンドには以下のようなものがあります。
docker pull
: コンテナイメージを取得docker run
: コンテナを起動docker ps
: 起動中のコンテナを一覧表示docker stop
: コンテナを停止
例えばインラインコードブロック docker pull nginx
を実行すると、Nginxのコンテナイメージがローカルにダウンロードされます。
その後、インラインコードブロック docker run -p 8080:80 nginx
と入力すれば、ポート8080番でNginxが起動するコンテナを立ち上げられます。
Docker Composeを使う
Docker Composeは、複数のコンテナを連携させて起動・停止する際に便利です。
Webアプリとデータベースなど、複数のサービスを一括で管理したい場合に役立ちます。
Docker Desktopをインストールすると、docker compose
コマンドが使えるようになる場合があります。
YAMLファイルに設定を書き込んでおくと、インラインコードブロック docker compose up
だけで関連するコンテナが同時に起動します。
イメージ管理
コンテナイメージが増えてくると、ディスクを圧迫する可能性があります。
不要なイメージを削除したい場合は、以下のコマンドが便利です。
docker image rm <イメージIDまたはイメージ名>
: 指定のイメージを削除docker image prune
: 使われていないイメージをまとめて削除
こまめにイメージを整理することで、ストレージを有効に使えます。
よくある質問
Docker DesktopをWindowsで動かすとき、初心者の方からよくある質問をいくつか取り上げます。
CPUやメモリの割り当て
デフォルトでは、Docker Desktopが自動でCPUやメモリの割り当てを行います。
しかし、より大きなリソースが必要な場合には、Docker Desktopの設定画面で割り当て量を増やすことが可能です。
用途に合わせて調整し、割り当てが過剰になりすぎないよう気をつけると良いでしょう。
Windowsのエディションによる違い
Windows 10 HomeやWindows 11 HomeでもWSL2が使えるため、Docker Desktopを利用できます。
一方で企業などで使われているEnterpriseエディションも、大筋で同じ手順が適用されることが多いです。
ただしセキュリティポリシーなどで機能が制限されている場合は、システム管理者に相談する必要が出てきます。
アップデートの方法
Docker Desktopは定期的に更新されます。
アップデートがあると、Docker Desktopのメイン画面で通知が表示されるか、アイコンのメニューから行えることがあります。
アップデート時に新しいコンポーネントや設定が必要となる場合、再起動が必要になることがあります。
アプリケーションの動作に影響が出る可能性もあるため、作業中のコンテナがあるなら念のため停止してから更新すると安全です。
まとめ
ここまで、Docker DesktopをWindowsでWSL2と組み合わせてインストールする手順を詳しく見てきました。
インストーラを実行するだけでコンテナ環境が整うので、最初のハードルは比較的低いと感じるのではないでしょうか。
WSL2の活用によってパフォーマンス面でも恩恵を受けられるのが大きな利点です。
また、実務では複数のプロジェクトやバージョンを切り替えながら開発する機会が増えるため、コンテナの便利さは一度使うと手放せなくなることも多いです。
Docker Desktopを導入したら、まずは簡単なコンテナの起動やDocker Composeを試してみましょう。
環境が整えばチームメンバーとの共有もしやすくなり、効率的な開発が可能になるはずです。
今後は、さらに高度な設定や複数サービスの連携などにトライしてみると、Dockerのメリットをいっそう実感しやすくなります。
ぜひ今回の手順を参考に、コンテナを活用した開発を進めてみてください。