SVN(Subversion)とは?初心者向けに特徴や使い方をわかりやすく解説
SVN (Subversion) とは何か
皆さんはファイルのバージョン管理という言葉を聞いて、どんな印象を持つでしょうか。
プログラムのソースコードを扱うときは、過去の状態をさかのぼって確認できる仕組みがあると便利ですね。
SVN (Subversion) は、このバージョン管理を行うための集中型システムです。
開発の現場では、複数のメンバーが同じプロジェクトを並行して進めることがよくあるでしょう。
このとき、各メンバーの変更内容をひとつの場所で管理できるのがSVNの特徴です。
特に Apache Subversion 1.14系 など、更新が続けられているバージョンを使うことで、信頼性と互換性のある環境を保ちやすいです。
ただ、SVNはGitのような分散型のシステムとは異なり、サーバーにリポジトリを置いて一元管理を行います。
集中型と分散型の違い
集中型のSVNでは、すべてのデータがサーバーに保管されます。
そのため、メンバーはサーバー上のリポジトリを軸としてファイルを更新し、変更を反映するような流れが基本でしょう。
一方で、Gitなどの分散型システムの場合は、各メンバーの環境にリポジトリのコピーを置いて作業します。
SVNの場合は、ネットワークが常につながっていることが前提になりますが、中央のリポジトリに集約されているため、管理者がアクセス権限を細かく設定しやすいです。
また、リポジトリを一本化することで、運用ルールを一か所に集めやすいのもポイントです。
大きな企業やチームでは、まだSVNを利用しているケースも多く、Gitへ切り替えずに継続するプロジェクトもしばしば存在します。
このような背景から、SVNを理解しておくと、バージョン管理ツールの全体像をつかみやすいと言えるでしょう。
SVNの基本コマンドと操作手順
では、SVNの操作を簡単に体験してみましょう。
まず、SVNではリポジトリを作成し、そのリポジトリから作業コピーをチェックアウトして作業します。
以下の例では、ローカルでSVNリポジトリを作成する方法を紹介します。
# リポジトリを作成したいフォルダで実行 svnadmin create /path/to/svn-repo # リポジトリをチェックアウト(URL部分はファイルパスやサーバーURL) svn checkout file:///path/to/svn-repo /path/to/working-copy # 作業コピーに移動してファイルを作り、SVNに追加 cd /path/to/working-copy echo "Hello SVN" > hello.txt svn add hello.txt # コミットして変更をリポジトリへ反映 svn commit -m "Add hello.txt"
このように、集中型の手順としては リポジトリの作成 → チェックアウト → 作業ファイル追加 → コミット の順番が基本ですね。
コミットするたびに、サーバー側の履歴に更新が記録されます。
履歴を確認するときは svn log
コマンドを使います。
svn log
を実行すると、コミットのメッセージや日時、コミットした人の情報などが一覧で見られます。
コードを間違えてしまった場合も、このログから特定のリビジョンに戻したり、中身を確認したりできますね。
ブランチとマージの活用
SVNには、ブランチと呼ばれる並行開発の仕組みがあります。
大きな機能を開発したいときなどは、メインのコードから枝分かれして作業したほうが安全でしょう。
ブランチを切り替えるコマンドは特別ではなく、サーバー上に branches ディレクトリを用意し、そこへコピーして作業することがよくあります。
# メインブランチ(trunk)から新しいブランチを作成 svn copy file:///path/to/svn-repo/trunk file:///path/to/svn-repo/branches/new-feature -m "Create new branch"
コピーを作ったあとは、そのブランチをチェックアウトして作業するのが基本ですね。
開発が完了したら、変更内容をメイン側(trunk)にマージします。
# メインブランチを作業コピーにチェックアウトしてからマージ svn checkout file:///path/to/svn-repo/trunk /path/to/trunk-working-copy cd /path/to/trunk-working-copy # ブランチの変更を取り込む svn merge file:///path/to/svn-repo/branches/new-feature svn commit -m "Merge changes from new-feature branch"
集中型でもブランチを管理できるのは大きなメリットです。
ただし、Gitのように各ユーザーが自由にブランチを作ってローカルでコミットするわけではないため、運用ルールをしっかり決めることが大切ですね。
チーム開発でSVNを利用するメリット
チーム内でファイルを共有するとき、SVNなら一元管理ができるのが魅力です。
リポジトリを中央に置くため、どのファイルが最新なのかがわかりやすいでしょう。
さらに、SVNではディレクトリ単位でアクセス権限を設定できます。
この機能を使うと、プロジェクトの一部のみを特定のメンバーに公開するといった柔軟な運用が可能です。
また、サーバーにしっかりバックアップを取っておけば、万が一ローカルでファイルを失ってしまったときも復旧がしやすいです。
こういった特性から、企業の開発現場ではSVNが今も重宝されているケースがあります。
Gitと比べるとブランチの操作がやや煩雑ですが、すでに整備されたSVNの仕組みを引き続き使いたいという現場もあるようですね。
具体的な実務シーンでの使い道
例えば、Web制作会社ではデザイナーとエンジニアが同じリポジトリで作業したい場面があります。
画像ファイルやHTML、CSSを一括して管理し、誰がいつどの変更を行ったかを追いやすくするのです。
また、業務アプリケーションの開発などで、大規模なソースコードと各種ドキュメントをまとめて保管するときにもSVNは向いています。
ドキュメントのバージョンを管理できるため、古い仕様書やマニュアルが混在するリスクを低減できるでしょう。
さらに、SVNはネットワークドライブのように扱う運用方法もよく見られます。
新しいファイルを追加するときも、コミット一回で全員が最新の状態を参照できるのが便利ですね。
このように、実務では開発体制や社内ルール次第でSVNが活用され続けています。
SVNを導入するまでの流れ
まずは、サーバー環境にSubversionをインストールします。
Linuxサーバーの場合は、パッケージマネージャーから subversion
を導入する形が一般的です。
次に、リポジトリを作成する場所を決めましょう。
社内サーバーなどでフォルダを用意し、 svnadmin create
コマンドを使ってリポジトリを作成します。
その後、Apache HTTP Serverと組み合わせて、HTTP経由でSVNリポジトリにアクセスできるようにする運用も多いですね。
ユーザー管理を行う場合は、Apacheの設定ファイルなどを使って、パスワード認証やアクセス制限を設定します。
こうして環境を整えたら、あとはメンバーがチェックアウト先のパスを案内してもらい、各自作業を始めるだけです。
SVN用のGUIクライアントもあり、コマンドラインが苦手な方でも操作しやすくなっています。
集中型特有の注意点
SVNはサーバーが停止してしまうと、基本的に新しいコミットができません。
Gitのような分散型なら、ローカルにコミットを蓄積しておけますが、SVNではその点に制約があると考えましょう。
そのため、サーバーのメンテナンスやネットワーク障害が発生しないように、IT部門がしっかりと環境を管理する必要があります。
また、大人数で並行してコミットやマージを行う場合は、どの順番で反映するかを調整することが大切ですね。
運用ルールをチームで共有しないと、競合が頻発して混乱のもとになりかねません。
SVNのブランチやマージ機能を正しく使い、必要に応じてコミュニケーションをとりながら進めるのが理想的でしょう。
SVNサーバーのバックアップは計画的に行うと安心ですね。
まとめ
SVN(Subversion)は、ファイルのバージョン履歴を集中管理できるシステムです。
Gitのような分散型と比べると、サーバーに依存する点や運用ルールのカスタマイズがしやすい点に特徴があります。
実際の現場では、同じプロジェクトに参加するメンバーが最新のファイルを常に把握したいときに便利ですね。
アクセス権限を細かく設定できるため、ドキュメントや画像データなどもまとめて管理しやすいでしょう。
ただ、サーバーへの依存度が高いため、障害対策やメンテナンス計画が不可欠です。
皆さんも、バージョン管理システムの選択肢としてSVNを理解しておくと、さまざまなプロジェクトに対応しやすくなるかもしれません。
SVNの基本を押さえておけば、いざというときに柔軟な対応ができるのではないでしょうか。