Angular CLIを使った効率的な開発手法を初心者向けに解説
はじめに
皆さんは、Webアプリケーションを作るときに多くのファイルを手動で整備するのは大変だと思いませんか。 そんなときに役立つのが Angular CLI です。 これはAngularを開発する上で標準的に利用されるコマンドラインツールで、プロジェクトのひな型作成からテストまで、幅広いサポートをしてくれます。 本記事では、プログラミング初心者の皆さんでも理解しやすいように、具体的な使い方やコマンド例を交えながら解説していきます。 実務での活用シーンもまじえますので、開発現場でのイメージをつかみやすくなるでしょう。
この記事を読むとわかること
- Angular CLIの基本的な特徴
- 新規プロジェクトの作成手順
- コンポーネント開発をサポートするコマンド
- 実務での具体的な活用シーン
- 開発時によくあるトラブルと対処法
Angular CLIの概要
Angular CLI は、Angularフレームワークで開発するときに必要となる基本的なファイルや設定を、自動で準備してくれるツールです。 コマンド一つで新しいプロジェクトの作成や、コンポーネント、サービスなどの追加をすばやく行うことができます。 また、テストやビルド、アプリを起動するためのローカルサーバの立ち上げなども簡単に実行できるため、開発効率の向上に貢献します。
たとえば、何もない状態からAngularプロジェクトを始めようとすると、TypeScriptやNode.jsの設定をはじめ、多くの手動作業が生じがちです。 しかし、Angular CLIを使えば、必要な初期設定がほとんど自動化されます。 そのため、プロジェクトの構造が統一されやすく、大規模開発やチーム開発にも向いています。
Angular CLIが生み出すフォルダ構成は、Angularが推奨するデフォルトの設計方針に沿っています。 そのおかげで、どのチームメンバーがプロジェクトに参加しても同じ構造で開発を始められるため、作業がスムーズに進むことが多いです。 実務の現場でも、この利点を活かして開発スピードを上げるケースがよくあります。
Angular CLIのインストール
まずは、Angular CLIを導入するためにNode.jsの環境が必要です。 Node.jsを導入した後、コマンドラインで以下を実行するとインストールできます。
npm install -g @angular/cli
上記コマンドを実行すると、Angular CLIがグローバルにインストールされます。
この状態でコマンド ng
が使えるようになっていれば、準備完了です。
インストール先のローカル環境を整えることで、複数プロジェクトを管理するときも混乱を減らせます。
新規プロジェクトの作成
Angular CLIを使うと、新しいAngularプロジェクトを数ステップで作成できます。 以下のコマンドでプロジェクトを作成します。
ng new my-angular-app
実行すると、プロジェクト名やルーティングの設定、スタイルシートの形式などを対話形式で聞かれることがあります。 それらに答えると、自動的にフォルダが生成され、必要なライブラリもインストールされるのが便利です。 作成されたフォルダに移動し、アプリを起動するには以下のコマンドを使います。
cd my-angular-app ng serve
ターミナルに「Compiled successfully」というようなメッセージが表示されれば起動は完了です。
ブラウザで http://localhost:4200
にアクセスすると、初期画面が表示されます。
コンポーネント開発を効率化するコマンド
Angular CLIには、コンポーネント をスムーズに生成するコマンドが用意されています。 コンポーネントとは、AngularにおけるUIのパーツを指します。 それぞれがHTMLやCSS、TypeScriptで構成され、画面の一部を担当します。
コンポーネントを作る
新しいコンポーネントを作る場合は以下のコマンドを利用します。
ng generate component sample
上記コマンドを実行すると、sample.component.ts
や sample.component.html
などの関連ファイルが自動生成されます。
これによって、煩雑なファイル作成が不要になり、複数のコンポーネントを短時間で用意できます。
もしサブフォルダにまとめたい場合は、ng generate component pages/sample
のようにフォルダを指定することもできます。
コンポーネントの編集
生成された sample.component.ts
のクラス名は SampleComponent
という名前になり、@Component
デコレーターでメタ情報が付与されています。
HTMLやCSSを修正することで画面表示をカスタマイズできます。
初心者の皆さんは、TypeScriptファイルの export class SampleComponent
にあるプロパティやメソッドを使ってデータを管理してみるとよいでしょう。
コンポーネント同士でデータをやりとりしたい場合は、親コンポーネントにプロパティを用意し、子コンポーネントをHTMLでバインドする形式がよく使われます。
実務での活用ポイント
Angular CLIが用意するコマンド群は、実務で必要になる操作をおおむねカバーしています。 たとえば、社内システムで複数ページを管理するときや、顧客の要望に合わせて画面を増やす場面を想像してみてください。 コンポーネントを増やしてファイルを分割することが多くなるほど、CLIの恩恵を強く感じるでしょう。
また、Angular CLIはテストコードのひな型を自動生成する機能も備えています。 そのため、プロジェクトの開発後期でテストを書こうとしても、CLIが整備した構成をベースに各コンポーネントのテストを追加しやすくなります。 コードとテストが1対1で管理しやすくなる仕組みは、開発者にとって負担軽減につながりやすいです。
アプリを本番用にビルドするときにも、CLIコマンドで簡単に最適化されたファイルが生成できます。
ng build --prod
のようなオプションを使えば、不要なコードを取り除いたうえで出力されるので、実際の運用に耐えうる形で配布できるでしょう。
こうした一連の流れを1つのツールで完結できるのは大きな利点です。
チーム開発でAngular CLIを導入する場合は、プロジェクトの構造が画一化しやすいため、他のメンバーとスムーズにコラボレーションできるメリットが生まれることがあります。
よくあるトラブルと対処法
Angular CLIを使っていると、コマンドを実行したにもかかわらずエラーが出たり、ファイル構成がうまく生成されなかったりすることが稀にあります。 そういったトラブルを避けるためには、まずNode.jsやnpmのバージョン相性などを確認してみてください。 古いバージョンのnpmを使っていると、不整合が起こる場合があります。 また、権限の問題でグローバルインストールが正常に行われないこともあるので、管理者権限の設定を見直してみるのも一つの方法です。
さらに、ng serve
を実行しても画面が更新されない場合は、ブラウザのキャッシュが原因の可能性があります。
その場合はブラウザをリロードするか、キャッシュをクリアしてみると改善することが多いです。
あるいは、ng serve
を再起動してみると解決に至るケースも見受けられます。
プロジェクト内のフォルダ構成を大幅に変更した後は、Angular CLIが依存ファイルを認識できずにエラーとなることがあります。 そのときは、一度プロジェクトの再インストールやビルドを試してから、改めてコマンドを実行すると解消する場合があります。
まとめ
Angular CLI を使うと、初心者の皆さんでも短時間でAngularのプロジェクトを立ち上げやすくなります。 新規プロジェクトの作成やコンポーネントの追加、テストのひな型作成など、煩雑な作業を自動化できる点が大きな魅力です。 実務でもフォルダ構成が整備されるおかげで、チーム間のコミュニケーションが円滑になりやすいです。 トラブルが起きたときの対処法を心得ておけば、開発をスムーズに進められるでしょう。
皆さんがこれからAngularを学びながら開発していく場面でも、CLIを活用することでプロジェクト管理が負担になりにくくなるかもしれません。 ぜひ、この機会にCLIの基本操作を覚え、効率のよい開発フローを体感してみてはいかがでしょうか。