【JavaScript】Blobとは?ファイル操作から活用事例まで初心者向けにわかりやすく解説

はじめに

JavaScriptで大きめのファイルデータを扱う場面は、思っている以上に多く存在します。画像のプレビューやファイルのダウンロード、動画のストリーミング処理など、ユーザーにとって身近な機能として組み込まれていることが少なくありません。

そのとき、Blobというオブジェクトが裏側で活躍しているケースはよくあります。一般的にブラウザが提供している機能のひとつであり、ファイルデータを操作するときに非常に役立ちます。

ただ、初心者の方からすると「Blobってそもそも何?」「どうやって使うの?」と疑問を抱くかもしれません。そこで今回は、JavaScriptのBlobを中心に解説し、具体的な活用方法や関連するWeb APIとの組み合わせを紹介していきます。

最後まで読んでいただくと、Blobの基本や活用事例だけでなく、大容量のファイルを扱う際の注意点やセキュリティに関する話題まで、幅広い知識を得られるでしょう。初心者の方でも理解しやすいように、できるだけ専門用語は噛み砕いて解説していきます。

この記事を読むとわかること

  • Blobの基本的な役割と特徴
  • JavaScriptでのBlobの生成や読み込みの方法
  • 実務でよくあるBlobの活用例 (画像プレビュー、ファイルダウンロード、動画のストリーミングなど)
  • セキュリティ面やパフォーマンス面での注意点
  • 関連API (fetchやCanvasなど) との連携方法

ここからは、Blobを入り口にして、JavaScriptでファイルをどのように操作できるのかを掘り下げていきます。プログラミングに慣れていない方でも理解しやすいように進めますので、まずは気軽に読み進めてみてください。

JavaScript Blobとは何か?

Blob(Binary Large OBject)は、ブラウザが提供しているオブジェクトで、バイナリデータを格納するためのコンテナのような役割を持ちます。イメージとしては、ファイルの実態やデータを塊として扱えるようになる仕組みです。

例えば、テキストファイルや画像ファイルをJavaScriptから操作するときに、Blobを用いるとデータを扱いやすくなります。実は、ファイル形式が何であれ、Blobとして扱うことでブラウザ上で一貫した方法で操作できるため、実装をシンプルにまとめられるのがポイントです。

Blobの特徴

Blobは読み取り専用である点に特徴があります。作成したBlobの内容を直接変更することはできず、新しくBlobを生成することで内容を更新する仕組みになっています。また、大きなファイルであっても扱える柔軟性があるのも特徴のひとつです。

Blobの内容は、文字列や配列バッファなど、複数のデータソースから生成することが可能です。さらに、BlobはMIMEタイプ(例: image/pngtext/plain)を持つことができるので、データの種類をわかりやすく扱うことができます。

BlobとArrayBufferの違い

JavaScriptでバイナリデータを扱う方法として、ArrayBufferTypedArrayなども存在します。ArrayBufferは生のバイトデータを保持するために使われ、内容を自由に読み書きできますが、ファイルとしての性質を持ちにくいという側面があります。

一方でBlobは、ファイルのまとまりとして利用するイメージが強いです。直接バイト列を操作するよりは、特定の処理を簡単に行いたい場合(ダウンロードさせたり、画像をプレビューしたり)に使われることが多いです。実務では目的に応じて両者を使い分けると良いでしょう。

Blobの基本的な使い方

Blobは、JavaScriptコード上で生成したり、ユーザーがアップロードしたファイルをBlobとして扱ったりできます。ここでは、Blobの生成から読み込み、そしてBlob URLの生成といった基本的な流れを紹介します。

Blobの生成方法

JavaScriptでは、次のようにしてBlobを生成できます。

// テキストデータからBlobを作成
const text = "こんにちは、これはテキストデータです";
const blob = new Blob([text], { type: "text/plain" });

この例では、テキスト文字列を配列([text])の形で渡し、オプションとしてtype: "text/plain"を指定することで、テキストファイルを意識したBlobを生成しています。ここで、配列として渡すのは、文字列だけでなく配列バッファなど、複数のタイプのデータをまとめて1つのBlobにできるようにするためです。

FileReaderでBlobを読み込む

生成したBlobの内容を確認したい場合は、FileReaderを使います。FileReaderはブラウザが提供するAPIで、BlobやFileをテキストやデータURLに変換できます。たとえばテキストデータを読み込む場合は以下のように書けます。

const reader = new FileReader();
reader.onload = () => {
  console.log(reader.result); // 読み込んだデータが文字列として出力される
};
reader.readAsText(blob);

readAsText(blob)を使えば、Blobの内容をテキストとして読み込めます。もし画像データなどをBase64形式で扱いたい場合は、readAsDataURLが使われます。

Blob URLを生成する

生成したBlobをHTML要素などで参照したいときには、URL.createObjectURLを利用します。これにより、Blob URLと呼ばれる一時的なURLを作成して、画像タグのsrcなどに指定できるようになります。

const blobUrl = URL.createObjectURL(blob);
const imgElement = document.createElement("img");
imgElement.src = blobUrl;
document.body.appendChild(imgElement);

このように、Blobから生成したURLはアプリケーション内でのみ有効な一時URLです。そのため、不要になったら**URL.revokeObjectURL(blobUrl)**でURLを解放することもできます。これによりメモリリークを防ぐことができるので、特に大きなファイルを頻繁に扱う場合は意識しましょう。

実務的な活用シーン

Blobはファイルの取り扱いにおいて非常に便利なので、以下のように多くの場面で活用されています。ここからは、どのように具体的に使われているかイメージしやすいように事例を紹介します。

画像のプレビュー機能

ユーザーがフォームから画像ファイルをアップロードしたときに、プレビューを表示する機能があります。これは、アップロードされたファイル(Fileオブジェクト)をBlobとして扱い、先ほどのBlob URLを使って画像タグに表示する流れで実現できます。

プレビューを表示できると、ユーザーが間違った画像を選択していないか事前に確認できるため、使いやすいUIを提供するうえで非常に重要です。

ファイルのダウンロード機能

テキストファイルやPDFなどをブラウザからダウンロードさせたい場合にもBlobが役立ちます。Blobを生成した後、同様にBlob URLを作成し、そのURLをaタグのhref属性に設定してクリックさせることで、ファイルとしてダウンロードできます。

ユーザーが編集したデータをそのまま保存させたい場合や、バックエンド側のAPIから取得したファイルをクライアント側で処理してダウンロードさせたい場合などに便利です。

動画のストリーミング処理

動画ファイルの一部だけを読み込みながら再生するようなストリーミング処理でも、Blobが活用されることがあります。ブラウザで提供されるメディア関連のAPIと組み合わせることで、再生パフォーマンスを高めたり、必要な部分だけ読み込む工夫をしたりできるのです。

とくに大きな動画ファイルを扱う場合、Blobと一緒にRangeリクエストを使うことで部分的にデータを取得して再生することも可能になります。

Blobとセキュリティの考慮

データをブラウザ上で操作するとき、セキュリティを意識することは大切です。Blobを利用する場合も、想定外の使われ方をしないように、いくつかのポイントを理解しておくと役立ちます。

同一オリジンポリシーとの関係

Blobから生成したURLは、通常のURLとは違って同一オリジンポリシーの制約を受けずに使用できます。ただし、これが必ずしも「どこからでもアクセス可能」という意味ではありません。

あくまでもアプリケーション内部で一時的に利用するURLなので、外部サイトから勝手に参照されるようなものではありません。それでも万が一の権限設定の不備があると問題が起こる可能性もあるため、権限まわりの設定はしっかり確認しておくことが望ましいでしょう。

大容量ファイルを取り扱う際のポイント

Blobは大容量ファイルも取り扱えますが、そのぶんユーザーの端末リソース(メモリなど)に負荷がかかる可能性があります。実際の運用では以下のような対策を検討することが多いです。

  • 不要になったBlob URLは早めに**URL.revokeObjectURL()**で解放する
  • 部分的にデータを読み書きする工夫をする
  • メモリ不足が起きそうな場面では事前にファイルサイズをチェックする

大容量のファイルを扱う場合、想定外の動作が起きるとユーザー体験の低下につながりかねないので注意が必要です。

大容量のファイルを扱うときは、意図しないメモリ消費やブラウザのクラッシュが起こらないように気をつけましょう。

Blobと他のAPIとの連携

Blobはブラウザが持つさまざまなAPIと連携することで、より幅広い機能を実装できます。ここでは、代表的な組み合わせとしてfetch APICanvas API、そしてWeb Storage APIと連携する例を簡単に見てみましょう。

fetch API

fetch()を使って取得したデータをBlobとして扱うことができます。HTTPレスポンスからBlobを取り出すには、以下のようなコードを書きます。

fetch("some-image.png")
  .then(response => response.blob())
  .then(imageBlob => {
    // 取得した画像データをBlobとして扱える
    const blobUrl = URL.createObjectURL(imageBlob);
    // ここでimg要素などに設定して表示できる
  })
  .catch(error => {
    console.error(error);
  });

サーバーから取得したデータをそのままブラウザ上で扱えるため、ダウンロード処理やプレビュー表示などをスムーズに実装できます。

Canvas API

Canvasで描画した画像をBlobに変換することも可能です。たとえば、Canvasに描いたイラストをファイルとしてダウンロードさせたいケースでは、canvas.toBlob()メソッドが便利です。

const canvas = document.querySelector("canvas");
canvas.toBlob((blob) => {
  // blobとして取得後、ダウンロードなどに利用できる
  const blobUrl = URL.createObjectURL(blob);
  // 以降はダウンロードリンクを作ってユーザーに保存させるなど
}, "image/png");

このように、Canvasで生成した画像データを直接Blobに変換し、ユーザーがローカルに保存できるようにする仕組みを簡単に用意できます。

Web Storage API

ローカルストレージやセッションストレージは、基本的に文字列しか取り扱えません。そのため、BlobをそのままWeb Storageに格納するのは難しいです。もしBlobを保存しておきたい場合は、Base64エンコードした文字列などに変換し、Web Storageに保存するといったアプローチが一般的です。

これは大量の画像や動画を保存する用途には向きませんが、ちょっとした設定ファイルやテキストデータを保持したい場合には使えます。

Blobの上級トピック

より高度な使い方をしたい場合、Blobを活用してオブジェクトをファイル化したり、部分的なデータを合成したりするテクニックも存在します。さらに、Workerスレッドを使うことでメインスレッドの負荷を抑えながらBlobを処理することも可能です。

オブジェクトをファイル化するテクニック

JavaScriptのオブジェクトをJSON化し、それをテキストとしてBlobにすれば、いわゆるJSONファイルとして取り扱えるようになります。ユーザーに設定ファイルをダウンロードさせたい場合や、ブラウザ上で編集したデータを一時保存してもらう場合などに利用されることがあります。

断片的なデータを結合するテクニック

動画や音声ファイルの一部を取得して、後からつなげる実装を行うことがあります。Blobは**new Blob([blobPart1, blobPart2, ...])**のように、複数のBlobや文字列、配列バッファなどを配列として結合して1つのBlobを生成できます。

これにより断片的に取得したデータをまとめて1つのファイルとして扱うことが可能になります。特に長時間録音などのシステムでは、定期的にチャンク(小さい塊)を受け取り、それらを結合してひとつのファイルにまとめるという手法が使われることもあります。

WorkerスレッドでのBlob処理

大きなBlobを扱うときに、メインスレッドで処理すると画面が一時的に固まってしまうことがあります。そこで、Web Workerを使って別のスレッドでBlobの生成や結合処理を行うアプローチがよく取られます。

これによりユーザーがUIを操作するメインスレッドへの負荷を減らし、快適な操作性を維持したまま大容量データの取り扱いを可能にするのです。

Blobに関するよくある疑問

初心者の方がBlobを初めて使うとき、気になるポイントはいくつかあると思います。ここでは、特にありがちな疑問に焦点を当ててみます。

BlobとFileの違いは?

Fileオブジェクトは、ユーザーが実際にアップロードしたファイルなどを参照するために使われます。厳密には、FileはBlobのサブクラスであり、**lastModifiedname**といったプロパティを持ちます。アプリケーション内部でファイル相当のものを新しく生成したいならBlobを直接使い、ユーザーが選択した実ファイルを扱うならFileを使うイメージです。

Blobのサイズに制限はある?

ブラウザや端末のメモリ状況によって実質的な制限はありますが、Blob自体の仕様として明確なサイズ上限は定義されていません。ただし、あまりにも大きいファイルを扱うと動作が重くなる可能性があるため、現実的には数百MB~数GB単位のファイルを扱うときは注意が必要です。

文字コードはどうなる?

Blobに文字列を渡す際に、特定の文字コードを指定しない限り、通常はUTF-8として扱われます。テキストを読み込むときもreadAsTextを使うとUTF-8とみなしてくれますが、もし異なる文字コードを使いたい場合は、オプションを指定してあげる必要があります。

Blobを扱うときの注意点

Blobは便利な反面、大量のファイルや大容量のデータを扱う場合にはいくつかの注意点があります。特に意識したいのはエラー処理やパフォーマンス、メモリ消費の観点です。

エラー処理の重要性

ファイルのアップロードやダウンロードといった処理は、サーバーとの通信状況によって失敗することがあります。fetch()FileReaderなどを利用するときは、必ず例外処理を入れましょう。エラーが発生した際にUI上で何も起きないと、ユーザーが混乱してしまいます。

パフォーマンス面での考慮

画像や動画などの大量のBlobデータを同時に扱うと、ブラウザのパフォーマンスが低下して、動作が遅くなることがあります。ユーザーに快適な操作感を提供するためには、必要なタイミングだけデータを生成し、使い終わったらURLを解放するなどの工夫が必要です。

メモリ使用量への配慮

Blobデータはクライアント側のメモリを消費します。特に大きなファイルや多数のファイルを扱うときは、メモリリークを防ぐためにURL.revokeObjectURL()を呼ぶタイミングを意識しましょう。使わなくなったBlob URLをいつまでも残しておくと、ユーザーの端末やブラウザに負担がかかります。

Blob URLの管理を適切に行うことは、パフォーマンスとメモリ使用量を最適化するうえで欠かせないポイントです。

まとめ

今回はJavaScriptのBlobについて、基本的な概念から具体的な使い方、さらには実務での活用シーンや注意点に至るまで、幅広く取り上げました。初心者の方はとくに、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

Blobは単に大きなデータを保持できるだけでなく、URLを生成してプレビューやダウンロードを行うなど、多様な用途で使われるオブジェクトです。実際にはFileとの違いや、fetch APIなど他のブラウザAPIと連携するケースも多々あります。

また、大容量ファイルを扱う場合のメモリ使用量には注意し、不要になったBlob URLを適切に解放することがパフォーマンス上の重要なポイントです。Workerスレッドを使った処理や、断片的データの結合といった高度なテクニックもあるので、ぜひ必要に応じて学んでみてください。

基本的な活用方法からセキュリティ上の考慮点までしっかり理解することで、より安定したファイル操作や、ユーザーにわかりやすいUIの実装が可能になります。今後、画像や動画の取扱い、さらにはテキストファイルの生成や設定ファイルの取り扱いなど、Blobに関わる場面は少なくないでしょう。ぜひ今回の記事を参考に、開発に役立ててください。

JavaScriptをマスターしよう

この記事で学んだJavaScriptの知識をさらに伸ばしませんか?
Udemyには、現場ですぐ使えるスキルを身につけられる実践的な講座が揃っています。