Next.jsのSSRを初心者向けにわかりやすく解説

はじめに

皆さんはウェブサイトを閲覧するとき、ブラウザでページが素早く表示されてほしいと感じるのではないでしょうか。 とくに、複数ページを行き来するような場面では、一瞬で表示が切り替わると便利ですよね。 ここで注目されるのが SSR (Server-Side Rendering) という仕組みです。 これはサーバー上でページをあらかじめ構築する方法であり、クライアント側での大幅な処理を減らすことができます。 そのため、表示速度を向上させたり、検索エンジンがページ内容を読み取りやすくしたりといった効果が期待できます。

Reactで知られるNext.jsでも、SSRは比較的簡単に導入できます。 本記事では、 Next.js を使ったSSRの基本的な仕組みと、実務でどのように活用できるのかについてわかりやすく解説します。 初心者の方でもイメージしやすいように、実際のコード例を交えながら説明しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事を読むとわかること

皆さんがこの先の記事を読み終わるころには、次のようなポイントが理解できるようになります。

  • SSRの基本概念と役割
  • Next.jsを使ったSSRの仕組み
  • SSRを導入するメリットと気をつけるべき点
  • 実際のコード例を用いたSSR実装の流れ
  • SSRが求められる具体的な活用シーン

こうした知識を把握すれば、Reactを活用したウェブ開発でも「ページがなかなか表示されない…」といった問題を減らせるかもしれません。 また、検索エンジンにページの中身を素早く読んでもらえる可能性が高まり、結果的に多くのユーザーに閲覧されやすくなるでしょう。

サーバーサイドレンダリング(SSR)とは

SSRとは、 ウェブページをサーバー側であらかじめHTMLに変換し、ブラウザに送り返す仕組み のことを指します。 通常のクライアントサイドレンダリング(CSR)では、まずブラウザがJavaScriptを読み込み、画面が描画されるまでに時間がかかることがあります。 一方、SSRではサーバーから受け取る時点ですでにページが完成しているので、ユーザーのブラウザ上ですぐ表示されやすいという特徴があります。

SSRの背景

JavaScriptフレームワークが普及する以前は、多くのウェブサイトがサーバーサイドでHTMLを構築していました。 しかし、Reactなどの登場によってクライアントサイド中心の開発スタイルが広がり、画面の一部を動的に更新できるメリットが注目されるようになりました。 ところが、大規模アプリケーションではクライアントサイドの処理が増えすぎると、初期表示までの待ち時間が長くなるケースがあります。 その待ち時間を軽減するために再び注目されたのがSSRであり、Next.jsはその代表的なフレームワークとして知られています。

SSRのメリット

SSRを導入すると、ユーザーがページを開いた瞬間にほぼ完成形のHTMLが返ってきます。 このため、体感的な表示速度を高めることができるでしょう。 また、ブラウザがJavaScriptを有効にしていない場合でも、初期表示の段階で内容が確認できます。 検索エンジンへのクローリングがスムーズになることも、SSRが持つ強みの一つです。

結果的に、ウェブサイトの訪問者が増えたり、ページを離脱してしまう人が減ったりといった効果が期待されます。 とくに、商品を取り扱うECサイトなどにおいて、ページの高速表示は顧客の信頼を得るうえで役立つのではないでしょうか。

SSRのデメリット

SSRがもたらす利点は多い反面、運用コストが上がることがあります。 まず、サーバーの負荷が増すことが考えられます。 クライアント側で行っていた描画処理をサーバー側で担うようになるため、瞬間的なアクセスが集中すると応答速度が落ちる可能性があります。

加えて、コードの構成が少し複雑になりやすいです。 ページごとにサーバーサイドでの処理を書く必要があるため、開発や保守の段階で「どのロジックがサーバー側で動いているのか」を意識しないといけません。 プロジェクト規模が大きいほど、開発メンバー間の情報共有が重要になります。

Next.jsでSSRを導入する手順

次に、実際にNext.jsでSSRを導入する流れについて解説します。 Reactを使っていて、少しずつフレームワークに興味が出てきた方も取り入れやすいでしょう。 具体的には、 getServerSideProps という仕組みを使うことで、サーバーサイドでページに必要なデータを取得し、そのままHTMLとしてブラウザへ送り返すことが可能です。

プロジェクト構成

Next.jsの開発では、基本的に pages ディレクトリの中にファイルを配置することで、そのファイル名に合わせたURLが生成されます。 たとえば、 pages/index.js がトップページとして機能し、 pages/about.js/about のページになるといったイメージです。 SSRを実現するために、ページファイルの中で特別な関数を定義するだけなので、大がかりなプロジェクト変更は必要ありません。

特にAPI連携を行う場合は、サーバーサイドで外部APIをコールし、受け取ったJSONなどを直接ページに流し込むことができます。 これにより、クライアントサイドで余計なローディングが発生しにくくなり、表示タイミングの遅延を抑えることができます。

getServerSidePropsの実装例

以下は、ごく簡単な例ですが、実際にサーバーサイドレンダリングを行うためのコードイメージになります。 この中で getServerSideProps 関数を定義することで、サーバーがページを生成する前に必要なデータを取得し、コンポーネントに渡します。

// pages/index.js

export default function Home({ message }) {
  return (
    <div>
      <h2>サーバーサイドでレンダリングされたページ</h2>
      <p>{message}</p>
    </div>
  );
}

export async function getServerSideProps() {
  // ここで外部APIなどを呼び出してデータを取得する
  const message = "このメッセージはSSRで生成されています。";

  return {
    props: {
      message
    }
  };
}

ここでは、 getServerSideProps 関数内で文字列を用意し、 props として返しています。 実行結果として、ユーザーのブラウザに返される段階ですでに「このメッセージはSSRで生成されています。」という文言がHTMLに含まれています。 これがSSRのポイントであり、初回ロード時にユーザーの目にはすぐにコンテンツが表示されるわけです。

SSRが有効なケース

SSRがよく利用されるのは、リアルタイムでデータが変化するページや、SEOを意識する必要があるページです。 たとえば、ユーザーごとのダッシュボードや、検索結果の一覧ページでは、SSRが閲覧体験と検索エンジン対策の両方で役立ちます。 ただし、ページ数が極端に多い場合や、アクセスが一時的に急増するサービスではサーバーへの負荷も考慮しなければなりません。

SSRを導入する際は、利点だけでなくコスト面やサーバー負荷も把握したうえで判断することが大切です。

実務での活用シーン

ウェブ開発の現場では、SSRの恩恵がわかりやすく感じられるシーンがあります。 代表的なのは、ユーザーが検索キーワードを入力して動的に結果が変わるページや、商品一覧などがそうですね。

高速表示が求められるページ

サービスや商品を探している人は、ページの読み込みが遅いと離脱してしまう可能性が高いです。 SSRによって初期表示を速くすることで、離脱率を下げる効果が見込まれます。 特に、メインコンテンツがすぐに目に入ると、ユーザーの好印象につながりやすいのではないでしょうか。

こまめな更新が必要なページ

ニュースサイトやイベント情報を扱うサイトのように、頻繁に新しい情報が追加される場合は、サーバーサイドで一括して最新情報を取得する方がわかりやすいかもしれません。 変更があるたびにフロントエンドへ変更通知を渡すよりも、ユーザーのリクエストごとに最新情報をサーバーがマージして返す方が管理しやすいケースもあります。

検索エンジンからの集客が重要なサイト

検索エンジンがページの中身を読み取りやすくするためには、HTMLとしてコンテンツが用意されているSSRが役立つことがあります。 クローラーはJavaScriptを解釈できるようになったとはいえ、SSRの方がより確実にページ内容を解析してもらいやすいと考える人も多いです。

サーバー側での処理が増えるため、インフラの強化やキャッシュ戦略なども合わせて検討する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 Next.jsのSSRは、サーバー側であらかじめHTMLを生成し、ユーザーに素早くページを表示できる点が大きな特長です。 表示速度の向上やSEO対策を狙える一方で、サーバーの負荷や実装の複雑さなどの課題があることも事実です。 しかし、製品やサービスの特性に合わせてSSRをうまく活用すれば、大きなメリットを得られる可能性は十分にあります。

最終的にはプロジェクトの要件や、ターゲットとするユーザー層が何を最優先するかでSSRの導入可否を判断するといいでしょう。 たとえば、リアルタイムで更新されるデータの表示や、検索エンジンからの集客が重要な場合はSSRが適していると考えられます。 一方で、同時アクセスが極端に増えるときはインフラのスケーリングやキャッシュ戦略なども必要になりますので、全体のバランスを見極めてください。

Next.jsなら、CSRや別のアプローチとも組み合わせられますので、今回紹介したSSRの特徴を押さえておけば、将来の開発判断に役立つでしょう。 皆さんもSSRのしくみを理解し、適切なシーンで取り入れてみてはいかがでしょうか。

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