Next.jsで始めるReact Suspense入門:非同期処理のスムーズな制御を実現しよう

はじめに

Reactアプリケーションでは、非同期処理をスムーズに扱うことが大切ですね。 その中でもSuspenseは、コンポーネントの読み込みやデータ取得を見かけ上スムーズにするための仕組みとして注目されています。 Next.jsでReact Suspenseを活用すると、ページ全体の描画体験を改善できる可能性があります。 そこで本記事では、初心者の皆さんにもわかりやすく、Suspenseがどのように機能し、どんなメリットがあるのかを解説していきます。

この記事を読むとわかること

  • Suspenseが果たす役割の概要
  • Next.jsにおける具体的な使い方
  • 実務での利用場面やメリット
  • データフェッチングでの実装例と注意点
  • SSRとの違いと適切な使い分け

Suspenseとは何か

ReactにおけるSuspenseとは、コンポーネントがまだ描画できない状態にあるとき、いったん待機状態(サスペンド)にしておく機能を指します。 例えば、外部APIからデータを取得するときや、遅延読み込みを行うときなど、結果が返ってくるまでの間に表示を中断しておきたいシーンがあるでしょう。 Suspenseを活用すると、データの読み込みやコンポーネントの準備が整うまでフォールバックUIを表示し、利用者に余計なストレスを与えにくくできます。 この仕組みはReactが提供しているため、基本的にはReact 18以降で利用しやすくなっていますが、Next.jsでも組み合わせることでページ全体の流れを最適化できます。

Next.jsでSuspenseを使うメリット

Next.jsでReact Suspenseを使うメリットとしては、まず画面表示の制御が柔軟になることが挙げられます。 ページに必要なコンテンツが多かったり、複数のデータを同時にフェッチするケースでは、表示されるまでの「空白」が目立ちやすいですよね。 Suspenseを用いることで、部分的にローディングUIを適用できるため、ユーザーが実際にどれくらい待っているのかを視覚的に把握しやすくなります。 その結果、ユーザーの離脱リスクを下げつつ、Reactらしいコンポーネント指向のコードが書きやすくなるという利点があります。

実務での利用場面

実務においては、複数のAPIを同時に呼び出し、結果をまとめて画面表示するケースはよくあるのではないでしょうか。 例えば、SNSのタイムラインやECサイトの商品リストなど、膨大なデータをフェッチしなければならないプロジェクトがあります。 こうした場面では、フェッチ処理が完了するまですべてを待つより、一部が準備できたタイミングで表示を切り替えたほうがユーザーにとって見やすいでしょう。 SuspenseはローディングUIの切り替えをシンプルに管理できる仕組みを提供しているため、開発コストを抑えながら応答性の良い画面を作りたいときに有用です。

データフェッチングでの具体例

次に、データフェッチングを伴うシンプルな例を見てみましょう。 以下のサンプルでは、getDataという非同期関数でデータを取得し、Suspenseを使ってフォールバックUIを表示する仕組みを表しています。

import React, { Suspense, useState, useEffect } from "react";

async function getData() {
  // 外部APIからデータをフェッチする処理を行う例
  const response = await fetch("/api/data");
  const result = await response.json();
  return result;
}

function DataComponent() {
  const [data, setData] = useState(null);

  useEffect(() => {
    let isMounted = true;
    getData().then((res) => {
      if (isMounted) {
        setData(res);
      }
    });
    return () => {
      isMounted = false;
    };
  }, []);

  if (!data) {
    // データがまだの場合
    return <div>読み込み中です...</div>;
  }

  return (
    <div>
      {/* 取得したデータを表示 */}
      <p>{data.message}</p>
    </div>
  );
}

export default function Page() {
  return (
    <Suspense fallback={<div>ページを読み込んでいます...</div>}>
      <DataComponent />
    </Suspense>
  );
}

このようにSuspenseタグでラップし、fallbackプロパティにローディング中の表示を定義します。 これにより、DataComponentのデータ準備が終わるまで、画面には「ページを読み込んでいます...」というテキストが表示されます。 全体の実装はシンプルですが、ページ遷移時や部分的なデータ更新時にも適用しやすい構成になっています。

エラーハンドリングとフォールバックUI

Suspenseを使う場合は、成功時だけでなくエラー時の対応もセットで考えるのが良いですね。 フォールバックUIは通常のローディング表示だけでなく、エラーが起きたときにユーザーに伝えるためにも活用できます。 ただし、単純にcatch文でエラーを捕捉するだけでは、エラー内容を正しく画面に反映しづらいケースがあります。 そのため、コンポーネント内で状態を持ちながら、フェッチに失敗したときには「エラーが起きました」と表示するアプローチが一般的です。 また、Next.jsのルーティング構成によっては、ページ単位でエラーバウンダリを設けることもできるため、構造に応じて設計しましょう。

SuspenseとSSRの違い

Next.jsといえばSSR(Server-Side Rendering)が特徴的ですが、Suspenseは必ずしもSSRと同じタイミングで動くわけではありません。 SSRはサーバーサイドでHTMLを生成して返す仕組みであり、初期表示の速度を向上させるのに役立ちます。 一方で、Suspenseは主にクライアントサイドの表示切り替えを制御し、データがまだ揃っていないコンポーネントを待機させるための仕組みです。 つまり、SSRを使ってページの土台を素早く表示しつつ、詳細部分はSuspenseで後から読み込むといった使い分けが可能になります。 必要に応じて、サーバーコンポーネントとクライアントコンポーネントを組み合わせながら、ユーザー体験が向上するバランスを探ることが大切です。

実装を試す際の注意点

Suspenseを活用するときは、複数のコンポーネントでデータフェッチをしている場合に注意が必要です。 一部のコンポーネントがフェッチ中であっても、他のコンポーネントは表示できるように設計しておかないと、ユーザーが何も操作できない状況が続く可能性があるでしょう。 また、フォールバックUIがあまりに多いと、画面全体がローディング表示だらけになってしまい、本来のメリットを活かせなくなります。 そこで、フォールバックUIを表示する単位を決めるなど、プロジェクトの要件に合った粒度で設計することがポイントです。

複数APIからのレスポンスをまとめて扱う場合には、コンポーネントを細分化しすぎないように留意しましょう。

そして、デバッグ時にはコンポーネントごとの読み込み順序を可視化するなど、開発環境を工夫することをおすすめします。 こうした細部の積み重ねが、ユーザーがストレスなく画面を操作できる快適な体験につながります。

まとめ

ここまで、Next.jsとReact Suspenseを組み合わせることで得られるメリットや、基本的な使用例について説明してきました。 Suspenseは非同期処理をわかりやすく扱えるため、初心者の皆さんでも取り入れやすい仕組みと言えそうです。 特に大規模アプリや複雑なデータ処理が必要な画面では、ユーザーが待機している時間を見せ方の工夫で和らげることが重要でしょう。 ぜひプロジェクトの規模や要件に合わせて、ローディングやエラーハンドリングの設計を行い、Suspenseを効果的に活用してみてください。

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