Next.js Templateを使ったプロジェクト立ち上げガイド

はじめに

Next.jsReact をベースにしたフレームワークとして、多くの開発現場で利用されています。

しかし初めての方にとっては、「そもそも何をどうセットアップすればいいのか分からない」という壁に直面しがちです。

そうした場面で役立つのが Next.js Template です。

テンプレートを使うとディレクトリ構成や基本的な設定があらかじめ整った状態でプロジェクトを始められます。

初心者の皆さんでも、煩雑な初期設定を省きながら学習や開発に集中できます。

このテンプレートの仕組みや活用法を理解すると、初めての Next.js プロジェクトでもスムーズに進められるでしょう。

もしこれから Next.js に触れてみようと思っているなら、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

この記事を読むとわかること

  • Next.js Template が何なのか
  • テンプレートを利用したプロジェクトの始め方
  • サーバーサイドレンダリングやルーティングなど、基本的な利用シーンの概要
  • 実務でも使われる具体的な活用例

Next.js Templateとは何か

テンプレートというと、あらかじめ用意されたひな形のようなものを想像する方も多いでしょう。

Next.js の場合も同様で、アプリ開発に必要な初期設定やフォルダ構成があらかじめセットになっています。

これを利用すると、いちいち手動で設定ファイルを作らずにプロジェクトを立ち上げられます。

基本的な構成

通常の Next.js プロジェクトでは、以下のようなディレクトリがよく見られます。

my-nextjs-project
├── pages
│   ├── index.jsx
│   └── api
│       └── hello.js
├── public
│   └── favicon.ico
├── styles
│   └── Home.module.css
├── components
├── package.json
└── README.md

テンプレートを使うと、このような構成がすでに用意されています。

したがってファイルを作る手間が減り、すぐにコーディングを始めることができます。

初心者のつまずきポイントを回避

初心者が混乱しやすい設定例として、ESLintTypeScript の導入が挙げられます。

これらを手動でセットアップしようとすると、設定ファイルを複数用意して細かいオプションをいじる必要があります。

テンプレートの中には、これらの設定が済んだものもあるため、不要なトラブルを軽減できます。

設定作業が少なくなるほど、コードを書くことに集中しやすくなるでしょう。

Next.js Templateの特徴

テンプレートにもさまざまな種類があります。

個人が公開しているものから公式のサンプルリポジトリなど、多彩な選択肢があります。

ここでは一般的な特徴をいくつか挙げてみます。

1. プロジェクトの共通ルールが定まる

テンプレートは、ある程度定まった形でプロジェクトを始められるという点が魅力です。

ディレクトリの配置やファイルの命名規則が統一されているため、複数人で開発する際にも混乱が少なくなります。

2. フレームワーク特有の設定が完了している

Next.js の場合、ルーティングや画像最適化など、フレームワーク特有の設定を最初から含んでいるテンプレートが多いです。

初心者の皆さんでも「なぜ動かないのか分からない」という状況に陥りにくくなります。

3. 必要なライブラリやプラグインが導入されている場合がある

プロジェクトによっては、Tailwind CSSRedux などの外部ライブラリを使うケースもあるでしょう。

テンプレートによっては、そういったライブラリがあらかじめ含まれていることがあります。

学習の初期段階でも、ひととおりの環境が整っているので安心です。

テンプレートを選ぶときは、過剰にライブラリが入っていないかチェックすることをおすすめします。

目的と関係ないライブラリまで組み込まれていると、学習コストが増えるからです。

Next.js Templateの導入例

ここでは create-next-app コマンドを利用する場合の例を見てみましょう。

このコマンドは Next.js のプロジェクトを簡単に作るための方法としてよく使われています。

以下の例では、一部のオプションを指定してテンプレートを導入します。

npx create-next-app my-template-example \
  --use-npm \
  --example "https://github.com/vercel/next.js/tree/canary/examples/with-tailwindcss"

このコマンドでは、あらかじめ with-tailwindcss というサンプルが用意されているリポジトリを指定しています。

コマンドの実行後は、以下のようにプロジェクトが生成されます。

my-template-example
├── pages
├── public
├── styles
├── tailwind.config.js
├── postcss.config.js
├── package.json
└── ...

tailwind.config.jspostcss.config.js など、Tailwind CSS を使うための設定ファイルがすでに含まれています。

このように、必要最低限の構成が完了した状態でプロジェクトをスタートできる点がテンプレートの魅力です。

Next.js Templateの実務での活用シーン

実務の現場でも Next.js Template はよく使われます。

どのような場面で活用されるのか、いくつかの具体例を見てみましょう。

新規サービスのプロトタイプ

新規サービスを立ち上げる段階では、まずプロトタイプを素早く作ることが求められます。

既存のテンプレートを流用すれば、環境構築に時間をかけずに機能検証に集中できます。

たとえばサンプルページが最初から存在するため、「トップページ」「ログインページ」などをすぐに書き換えながら試作できます。

既存プロジェクトのリプレース

古い技術スタックから Next.js へ移行するケースもあります。

その際、テンプレートを参考にしてディレクトリ構成やコンポーネントの配置方法を見直すことが多いです。

テンプレートに沿った形でプロジェクトを再構成すれば、分かりやすいコードベースを保ちやすくなります。

チーム開発でのガイドライン

テンプレートはチームで利用する場合に特に威力を発揮します。

同じテンプレートを使い回すことで、メンバー全員が同じ作法でファイルを配置したり、同じコーディング規約に沿ったりできます。

結果として、コードレビューやバグ修正がスムーズになるでしょう。

Next.js Templateを使う上で理解しておきたいポイント

テンプレートを使うことで便利になる反面、あらかじめ理解しておきたいこともあります。

アプリケーション固有のカスタマイズは必須

テンプレートはベースとなる部分しか用意していません。

実際のサービスに合わせて、APIの接続設定やデザインの調整などを行う必要があります。

そこを柔軟にカスタマイズできるのが、Next.js の利点といえるでしょう。

ルーティングやデータ取得の仕組み

Next.js ではページごとにルーティングが行われます。

たとえば pages/index.jsx はルートパス / に対応し、pages/users/[id].jsx/users/:id という動的ルートに対応します。

テンプレートを利用している場合も、このルールは変わりません。

また getServerSidePropsgetStaticProps を使うことで、データをどう取得するのかを柔軟に決められます。

テンプレートを使えば、そのサンプルコードがあらかじめ含まれていることもあるでしょう。

SSR, SSG, CSRの使い分け

Next.js ではサーバーサイドレンダリング(SSR)や静的サイト生成(SSG)、クライアントサイドレンダリング(CSR)などを必要に応じて切り替えられます。

テンプレートの構成によっては、SSRのサンプルコードが組み込まれていたり、SSGの記述例が含まれている場合があります。

ただしアプリケーションの要件に応じて、適切なレンダリング方式を選択することが大切です。

Next.js Template活用における具体的な手順

ここからは、テンプレートを活用しながら実際にプロジェクトを成長させていく流れをもう少し詳しく確認します。

1. テンプレートの入手とセットアップ

公式のサンプルやGitHubで公開されているテンプレートを取得します。

先ほど紹介した create-next-app コマンドを使う場合は、URLを指定してテンプレートを利用します。

2. 不要なファイルや設定を削除

テンプレートによっては、必要ないコンポーネントや設定が含まれているかもしれません。

プロジェクトで使わない部分は早めに削除しておくと、メンテナンスが容易になります。

3. 独自機能の実装

ログイン機能や特定のAPIとの連携など、アプリケーション独自の機能を追加していきます。

テンプレートのコードを参考にしながら、Next.js の機能を少しずつ組み合わせて実装します。

4. デザインの適用

チーム内で使うデザインガイドラインがある場合は、そのスタイルを組み込んでいきます。

もしCSSフレームワークを導入したテンプレートであれば、既存のスタイリングをベースに拡張していく形になるでしょう。

5. テストやデバッグ

アプリがある程度形になったら、テストを行います。

テンプレートによってはテストツールの初期設定が含まれている場合もあります。

そのおかげで、すぐに動作確認をスタートしやすいでしょう。

Next.js Template活用時の注意点

便利なテンプレートですが、使い方を誤ると大幅な手戻りが発生することもあります。

ここでは注意すべきポイントをいくつかまとめます。

テンプレートの更新

テンプレート自体にもアップデートが入る可能性があります。

しかし、プロジェクトが成長するにつれて、テンプレートから大きく変更された構成になることもしばしばあります。

そのため、途中でテンプレートを更新したい場合は、差分を慎重に適用しなければいけません。

本番運用を想定した構成

テンプレートは最初から本番運用をカバーしているとは限りません。

たとえばサーバー監視やログ収集など、本番環境で考慮すべき事項は別途導入が必要です。

必ずプロジェクトの要件に合わせて調整しましょう。

テンプレートを導入したら、それだけで安心してしまわないようにしてください。

開発の進行に合わせて、設定の見直しや追加が絶対に必要になります。

コミュニティとの連携

複数のテンプレートが存在する場合、どれを使うかで迷うかもしれません。

コミュニティが活発なテンプレートを選ぶと、トラブルが起きたときに情報を得やすくなります。

質問サイトやSNSなどで情報を集めてみると、自分のプロジェクトに合うテンプレートがどれなのかが見えてくるでしょう。

Next.js Template導入後に学ぶとよい機能

テンプレートを使ってひと通り形ができたら、次のステップとして以下のような機能を学んでおくと開発がさらにスムーズになります。

API Routes

Next.js には API Routes という仕組みがあり、pages/api 配下に配置したファイルをサーバー側のAPIとして扱えます。

シンプルなバックエンド機能なら、このAPI Routesだけで実装が完結することもあります。

イメージ最適化

Next.js の Image コンポーネントを使うと、画像の自動最適化が可能です。

テンプレートに組み込まれている場合もありますが、仕組み自体を理解するとパフォーマンス向上に役立ちます。

動的ルーティングとファイルベースのルーティング

pages/[param].jsx のように中括弧で囲うと動的ルートを設定できます。

これによってユーザーIDやブログ記事IDなどをURLパラメータとして扱いやすくなります。

テンプレートを利用していると、こうした設定の一例を見て学べるでしょう。

まとめ

Next.js Template を使うと、初心者でも分かりやすい形でアプリ開発を始めやすくなります。

テンプレートは初期設定が済んでいる分、コードを書くことに集中しやすいからです。

しかしテンプレートはあくまでスタート地点なので、プロジェクト独自の要件に合わせて調整を重ねることが重要になります。

サーバーサイドレンダリングや静的サイト生成など、Next.js の幅広い機能を知りながらテンプレートを活用していくと、より分かりやすいアプリを作りやすくなるでしょう。

テンプレート選びやカスタマイズで迷ったら、まずは公式ドキュメントやコミュニティの情報を確認してみてください。

そして最終的には、自分やチームが使いやすい形へとアップデートしていくのがおすすめです。

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