react buildの仕組みと実務での使い方を初心者向けに解説
はじめに
Reactでアプリを作った後、仕上げとして行うのがreact buildと呼ばれるビルド工程です。 開発中は動作確認のしやすさを重視したモードで動かすことが多いですが、実際に公開する際はパフォーマンスや安全性の観点から、ビルドによる最適化が欠かせません。 とはいえ初心者の皆さんにとって、「ビルド」という言葉自体にハードルを感じることがあるのではないでしょうか。 どんなツールを使い、どんな作業手順で行えばいいのかがわかれば、意外とシンプルに取り組むことができます。 ここではReactでのビルド工程について、具体的な手順や実務との関わりを分かりやすく解説していきます。
この記事を読むとわかること
- react buildの概要やビルドの役割
- ビルドに必要なツールと実際の手順
- ビルド結果の最適化方法と注意点
- デプロイとの関係や導入時のポイント
React buildとは何か
Reactを使って開発したアプリを最終的に動かすために、ビルドという工程が必要になります。 開発中のReactアプリは、ブラウザが扱いやすい形に変換される前の状態を保っていることが多いです。 しかし実際の運用環境では、余計なコードやコメントを含んだままだと読み込みに時間がかかったり、不要な機能が混ざっていたりします。 そこで、ビルドによって不要な部分を削除したり、コードを圧縮したりして効率的なファイルに仕上げるわけです。 このとき、React特有のJSX構文をJavaScriptに変換したり、複数のファイルをまとめたりする作業も同時に行われます。
ビルドの役割
ビルドの主な役割は、コードの最適化とまとめ作業です。 プログラムを開発者にとって扱いやすい形で書いたままでは、ブラウザが読み込むには重くなりがちです。 そこでビルドによって、たとえばコメントやデバッグ用のコードを削除し、サイズを小さくしたりします。 また複数のファイルをひとつにまとめることで、読み込み時のリクエスト数を減らすことも重要です。 結果的に、利用者がアプリを起動したときの体感速度を上げ、快適に使ってもらうことができます。
実務での利用シーン
実務では、Reactアプリをリリースまたは納品するときにビルド作業を行います。 たとえば社内システムや顧客向けサービスを作ったあと、動作をテストして問題なければビルドしてサーバーへアップする流れです。 一方、開発中は頻繁にコードを変更するため、いちいち最適化したビルドを行うより、開発専用のモードで動かすほうが効率的でしょう。 最終段階になったら、ビルド済みの成果物を使って本番環境にデプロイするわけです。 つまりReactのビルドは、開発フェーズと運用フェーズを橋渡しする重要なステップとも言えます。
React buildに必要なツール
Reactのビルドを行うには、複数のツールを組み合わせるケースが一般的です。 しかし、すべてを最初から深く理解する必要はありません。 多くの人は、Reactのプロジェクトをセットアップするときに便利なツールがひとまとめになった仕組みを利用します。 有名なのがCreate React Appやその他のフレームワークです。 こうしたツールセットを使うと、設定の複雑さを意識することなく、コマンドひとつでビルドが可能になります。
webpackとbabel
Reactアプリでは、webpackというモジュールバンドラーが広く使われています。 複数のJSファイルや画像、CSSファイルなどをまとめて最適化し、最終的にパッケージ化する役割を果たします。 一方で、babelはJSXや最新のJavaScript構文を、より互換性の高い形式に変換してくれるトランスパイラです。 これらが組み合わさることで、Reactのコードをブラウザが理解しやすい形に変換し、余計な部分を削除したり圧縮したりする流れが整います。 初心者の皆さんは、まずは「裏側でこういったツールが動いているんだな」という程度の理解で十分です。
bundlerのメリット
bundlerであるwebpackのようなツールを使うと、以下のような恩恵があります。
- 複数のファイルをまとめて、読み込みリクエストを減らせる
- 重複しているモジュールやコードを効率的に整理できる
- ファイルサイズを最適化して配信スピードを向上させる
短いステップで成果物が生成され、配布やデプロイがしやすくなるのは大きなメリットです。 また、バグやエラーが起きにくい環境を提供してくれる点も魅力と言えるでしょう。
create-react-appでのbuild手順
ここからは、初心者の方が最初に触れる機会が多いCreate React Appの例を挙げてみます。 Create React Appは、Reactの開発環境をまとめて用意してくれる便利な仕組みで、特別な設定をしなくてもビルドが行えます。 起動やホットリロードといった開発中の作業はもちろん、本番用にまとめるための設定があらかじめ組み込まれています。 基本的な流れを把握するだけで、ビルドまで一気通貫に進められるので安心感があります。 では、具体的なコマンド例を見てみましょう。
コマンド例
npx create-react-app my-app cd my-app npm install npm run build
上記のようにプロジェクトを作成し、依存関係をインストールしたら、最後にnpm run build
を実行します。
すると、自動的に必要なファイルがまとめられ、最適化された形でbuild
というフォルダに格納されます。
このフォルダの内容をサーバーにアップロードすると、実際にブラウザで動くReactアプリとして公開できます。
生成物の仕組み
npm run build
を実行すると、バンドル後のJavaScriptファイルやHTMLファイル、CSSファイルが出力されます。
このとき、エラーチェックやコード圧縮など、さまざまな処理が自動で施されます。
たとえばエラーログの除去や、開発者専用の警告表示の無効化などが行われることで、パフォーマンス向上が期待できます。
開発時とは異なり、使わない機能が取り除かれたり、ファイル名にハッシュが付与されたりするのも特徴です。
初心者の皆さんには、こうした工程が背後で動いていることを頭の片隅に置いておくと、Reactアプリの仕組みがより理解しやすくなるでしょう。
ビルド結果の最適化
ビルドそのものはコマンドひとつで実施できますが、プロジェクトの規模や用途によってはさらにカスタマイズを加えたくなることがあります。 たとえば複数のエントリーポイントを持つ場合や、大量の画像を扱う場合、さらにはサードパーティのライブラリを組み合わせるケースもあるかもしれません。 ここでは、ビルド結果をもう一歩最適化する上で知っておきたいポイントをいくつか紹介します。 基本の流れを抑えた上で、自分のアプリに合う最適化を探すのがコツです。 焦らずに少しずつカスタマイズしてみると、ビルド時間の短縮やファイルサイズの削減につながるでしょう。
minificationやtree shaking
JavaScriptのコードをminification(圧縮)して、変数名を短くしたり不要な空白を削除したりすることで、ファイルサイズが削減されます。 これにより、ネットワーク越しのダウンロード時間が短縮できるのです。 一方、tree shakingは使っていないコードを自動的に除去する仕組みを指します。 ライブラリをインストールすると、いろいろな機能が含まれてしまうことが多いですが、ビルド時に実際に使用していない部分を取り除くことで、結果的にファイルサイズを最小限に抑えることができます。 こうした最適化技術はwebpackの設定やReactのプラグインを通じておこなわれるため、初心者の皆さんでも比較的簡単に恩恵を受けられます。
環境変数の扱い
Reactアプリでは、本番環境や開発環境で少しだけ設定を切り替えたいケースが出てくることがあります。
そんなときは、.env
ファイルを使うことが多いです。
ただし、ビルド時に環境変数を反映させる場合、書き方を間違えると正しく適用されないことがあるため注意しましょう。
Create React Appであれば、環境変数名の先頭にREACT_APP_
を付与するとビルド時に利用できます。
環境変数にはAPIキーや秘密情報を含めないようにするのが安全です。 もしAPIキーなどを使う場合は、別の方法でサーバー側から渡すなどの対策を検討すると良いでしょう。
デプロイに関するポイント
react buildで生成したファイルは、実際には単なるHTMLやJavaScript、CSSのセットです。 そのため、多くの場合は静的ファイルをホスティングできるサービスやサーバーに配置すれば動きます。 一方で、サーバー側で特別な設定が必要なこともあります。 たとえばページ遷移をReact Routerで制御している場合、適切なリダイレクト設定を施さないと、ルート以外のURLにアクセスしたときに404エラーとなるかもしれません。 デプロイ先のサービスやサーバーの仕組みに応じて設定ファイルを用意し、ビルドした成果物を正しく動かすことがポイントです。 以下では、静的ホスティングの場合と注意点についてもう少し掘り下げてみます。
静的ホスティング
静的ホスティングは、HTMLやJavaScript、CSSをそのままサーバーに置くだけで公開できる方法です。
Firebase HostingやVercel、Netlifyなどがその代表例として挙げられます。
Reactアプリをビルドした後は、できあがったbuild
フォルダ(あるいは同等の出力先)を、そのままアップロードすればページが動作します。
コマンドラインツールやGitHub連携など、手順はいろいろありますが、いずれも最終的にはビルドされた静的ファイルを公開するのが目的です。
初心者の皆さんにとっては、この形が最も取り組みやすいデプロイ方法ではないでしょうか。
注意点
ビルドしたあとのファイルはブラウザに直接配信されるため、変更を反映するには再ビルドして再デプロイが必要になります。 また、ルーティング機能を使っている場合、サーバーの設定で「すべてのリクエストをindex.htmlに返す」ようなリダイレクト設定を行うことがあります。 そうすることで、ブラウザのアドレスバーでURLを指定しても、React Routerの仕組みが正しく働き、画面遷移が機能するようになるのです。
もしルーティングを導入しているなら、静的ホスティング先のリダイレクト設定について公式ドキュメントやサービスのガイドを確認しておきましょう。
まとめ
ここまで、react buildの全体像やツール選択、具体的な手順について概観してきました。 ビルド作業は最初はとっつきにくいイメージがあるかもしれませんが、Create React Appのように設定済みの仕組みを使えば、初心者の皆さんでも気軽に始められます。 さらに最適化のポイントを理解すれば、ファイルサイズを小さくして表示速度を向上させたり、環境変数をうまく使って本番運用を便利にしたりできます。 ビルド後のファイルは静的に配信できるため、さまざまなホスティングサービスで手軽にReactアプリを公開できるのも大きな魅力です。 ぜひ、本記事で紹介した流れを参考に、Reactを使った開発からビルド、そしてデプロイまでの全工程を体験してみてはいかがでしょうか。