React Fragmentを使って要素を効率的にまとめる方法

はじめに

Reactで複数の子要素をまとめたいと思ったとき、余計なタグを増やしてしまうことに悩んだ方はいませんか。 このような場合に役立つのが React Fragment です。 Fragmentを使うと、不要なラップ要素を生成せずにコンポーネント内で要素をまとめることができます。 記事の中では、React Fragmentとは何か、その仕組みや具体的な使い方をわかりやすく解説していきます。 実務での活用シーンを想定しながら進めますので、初めてReactを触る人でもイメージがつかみやすいのではないでしょうか。

React Fragmentとは

Reactでは、コンポーネント内に隣接する要素を複数含むとエラーとなり、ルート要素が一つ必要になります。 通常は <div> タグなどで全体をラップして解決しますが、DOMに余計なタグが増えてしまうことは避けたい場合もあるでしょう。 そこで登場するのが React Fragment です。 Fragmentを使うと、DOM上では一つの親要素を生成しなくても複数の要素をまとめられます。 結果として、DOMが不要にネストしないため、HTML構造がすっきりとした状態を保ちやすくなります。

DOMに与える影響とメリット

React Fragmentを利用すると、レンダリング時に余計なタグが挿入されません。 見た目上は、複数の要素が隣接して存在しているように見えます。 この仕組みにより、デザインやスタイルをカスタマイズしやすくなるのがメリットです。 同時に、ネスト構造が深くなりすぎるのを防ぐことで、DOMを理解しやすくなる利点もあります。 また、大規模なコンポーネント構造では、無駄なコンテナ要素が減るので可読性の向上にもつながります。

使い方の基本

React Fragmentは二つの書き方が代表的です。 一つは React.Fragment をそのまま使う方法、もう一つは短縮シンタックスの <> </> を使う方法です。 どちらもDOMに不要なタグを生成しません。 まずはシンプルな例をご覧ください。

import React from "react";

function UserProfile() {
  return (
    <React.Fragment>
      <h2>ユーザー名</h2>
      <p>ユーザーの簡単な説明をここに書きます。</p>
    </React.Fragment>
  );
}

export default UserProfile;

このコードでは、<React.Fragment> で包むことで、<div> などの要素を増やさずに子要素をまとめています。 もう少し短い記述にしたい場合には、以下のように記述できます。

import React from "react";

function UserProfile() {
  return (
    <>
      <h2>ユーザー名</h2>
      <p>ユーザーの簡単な説明をここに書きます。</p>
    </>
  );
}

export default UserProfile;

短縮シンタックスを使うと、必要最小限の記述でReact Fragmentを利用できます。

注意すべきポイント

React Fragmentにはメリットが多い一方で、いくつか注意しておきたい点があります。 たとえば、短縮シンタックスを使う場合は、属性を追加できません。 後述するような key 属性をFragmentに付与するには、 <React.Fragment> の書き方を使う必要があるので覚えておくといいでしょう。 また、ブラウザの開発者ツールでDOMを確認すると、Fragmentを使っている部分には実際に要素が生成されていないことがわかります。 何らかのスタイリングをあえて親要素に対して施したい場合は、別の要素でラップする必要があります。

実務における利用シーン

実務のプロジェクトでは、レイアウトやスタイルを整えるために多数の要素が並ぶケースが珍しくありません。 そのときに、無意識に <div> タグをいくつもネストしていると、HTML構造が煩雑になりがちです。 特に、モーダルウィンドウのコンポーネントや、リストを表示するコンポーネントなどでは子要素が増えやすく、Fragmentを使うと見通しが良くなることがあります。 たとえば、ナビゲーションメニューのリンク項目が多い場合も、親要素を増やすことなくリンク要素だけを並べられるので、コードの可読性を保ちやすくなるでしょう。 こうしたメリットは、画面設計やレスポンシブ対応など、さまざまな場面で役立つと考えられます。

ListレンダリングとFragmentの組み合わせ

配列をレンダリングするときは、要素に key 属性をつける必要があります。 しかし、何らかの理由でラップ要素を増やしたくないケースも出てくるかもしれません。 そのような場合、 React.Fragment の方に key を付与すると便利です。 以下の例では、サーバーなどから取得したユーザーデータを一覧表示することを想定しています。

import React from "react";

function UserList({ users }) {
  return (
    <>
      {users.map(user => (
        <React.Fragment key={user.id}>
          <h3>{user.name}</h3>
          <p>{user.description}</p>
        </React.Fragment>
      ))}
    </>
  );
}

export default UserList;

短縮シンタックスでは key を書くことはできません。 このように明示的に React.Fragment を使うと、各要素に対して個別のラップタグを生成しなくても、key 属性を振ることができます。 リスト構造が複雑になる場合には覚えておくとよい方法です。

よくある質問や疑問点

React Fragmentの理解が浅いと、どのようなタイミングでFragmentを使うのか迷うことがあるかもしれません。 実際のところ、「DOMに余計な要素を入れたくない」と感じるならFragmentを検討すればよいでしょう。 また、「短縮シンタックスでも <React.Fragment> でも結果は同じなのに、なぜ両方あるの?」と疑問を持つかもしれません。 これは先ほど述べたように、キーなどの属性を付与する場合は <React.Fragment> が必要だからです。 一方で、単純に要素をまとめたいだけなら短縮シンタックスを使うと記述量が減ります。

React FragmentはDOM構造を最適化したいときに役立つ方法です。

Fragmentを活かしたコンポーネントの作り方

Fragmentを使うときは、基本的にコンポーネントのトップレベルの返却要素を包むイメージでOKです。 特にレイアウトコンポーネントの中で、複数の小要素を並べるときにFragmentが多用されます。 たとえば、ヘッダー、メインコンテンツ、フッターをまとめて返すときに、どうしても余計なラップタグを作りたくない場合などです。 複数のコンポーネントを一度に返したいとき、しかもそれらの親要素に特別なスタイルを当てる必要がないときは、Fragmentがよい選択肢になるでしょう。

コーディングスタイルとチーム開発

Fragmentを使うべきか <div> を使うべきかは、実際のプロジェクトで議論になることもあります。 DOMを明確に分けたいなら <div> を使うという意見もあるでしょう。 一方で、要素が大幅に増えると見通しが悪くなる場合もあります。 チームで開発するときは、プロジェクトのガイドラインに合わせて、いつFragmentを使うかを決めておくと衝突を減らせます。 余計な要素が入らず管理しやすいというメリットを理解しておくと、チームでのやり取りがスムーズになるのではないでしょうか。

意図せず複数のフラグメントを入れ子にしてしまうと、わかりにくいコードになることがあります。

Fragmentと他のReact機能との組み合わせ

React FragmentはReactの他の機能とも併用可能です。 たとえば、コンテキストAPIを使ってグローバル状態を管理しているときにも、コンポーネントをFragmentでラップしたまま値を受け取れます。 また、React Routerなどの外部ライブラリと組み合わせる際にも、ルーティング対象の要素をFragmentでまとめる使い方が考えられます。 こうした組み合わせは、レイアウトや構造をシンプルに保つのに役立つことが多いです。 FragmentはReactの柔軟なレンダリング方法を活用する上で、基本的かつ便利な機能と言えるでしょう。

まとめ

React Fragmentを使うことで、複数の要素を一度に描画しながら、不要なDOM要素を追加しないようにできます。 短縮シンタックスと <React.Fragment> の使い方を分ければ、キー属性を必要とする複雑なリストにも応用が可能です。 見た目に反映させたいスタイルがないときや、レイアウトをシンプルにまとめたいときなど、様々な場面で便利に活用できるでしょう。 Reactに慣れてきたら、コンポーネントの再利用性や可読性を高めるためにも、React Fragmentのメリットを積極的に活用してみるのはいかがでしょうか。

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