React StrictModeの効果と使い方をわかりやすく解説

はじめに

Reactを学び始めると、よく目にするのが React StrictMode という機能ではないでしょうか。 この機能は開発時のコード品質向上を助けてくれるものです。

実際に使ったことがないと「何のためにあるのだろう?」と感じるかもしれません。 しかし、React StrictModeを理解しておくと、後々のトラブルを未然に防げる可能性が高まります。

ここでは、このReact StrictModeについて、初心者でもイメージしやすいように解説していきます。 普段はあまり気にしていなかったという方も、ぜひ確認してみてください。

この記事を読むとわかること

React StrictModeがどのような働きをするか、そして具体的にはどんなチェックをしているのかがわかります。 副作用の扱い方や、実務での活用シーンについても見えてくるでしょう。

また、React StrictModeを使う際に気をつけたい点や、導入するときの流れも紹介します。 初心者の方でも理解できるように、専門用語はなるべくかみ砕いて説明していきます。

さらに、具体的なコード例をいくつか提示しますので、Reactプロジェクトでの利用イメージがつかみやすいでしょう。 最終的には、Reactの開発をより安心して進めるために、React StrictModeが役立つ理由が見えてくるはずです。

React StrictModeとは

React StrictModeは、開発中の潜在的な問題を発見しやすくするための特別なモードです。 このモードを使うことで、Reactが内部でいくつかの追加チェックを行い、予期せぬバグを減らせるようサポートしてくれます。

実行時のパフォーマンス向上を目的としたものではなく、あくまで開発段階での不具合やコードの非推奨な書き方を早期に発見するのが狙いです。 一見するとやや地味な機能かもしれませんが、後から振り返ると大いに助けられる場面が多いのではないでしょうか。

React StrictModeの目的

Reactが内部で非推奨とする書き方や、将来的に問題を引き起こしかねないコードパターンを洗い出すのが目的です。 とくに、ライフサイクルメソッドの誤用や、データ取得時の副作用処理などは、意図せず問題を起こすことがあるかもしれません。

React StrictModeでは、こういった部分をあえて強調して表示し、開発者が気づきやすいようにします。 現行のReactの仕様に基づいて動くため、「実装後にあれこれ修正しないといけない」という事態をある程度回避できるでしょう。

使い方

使い方そのものは簡単で、Reactアプリケーションのルート要素を StrictMode で囲むだけです。 通常のコンポーネントをラップするように書けば、特別な設定をすることなく利用できます。

コンポーネントの中身は通常のReact要素と同じなので、StrictModeを適用する段階でアプリのコード全体をガラッと変える必要はありません。 複数のコンポーネントに分割している場合でも、それぞれをまとめてStrictModeで包んでしまえばOKです。

具体的な記述方法

以下は、index.jssrc/main.jsx などのファイルで使われることが多いコード例です。

import React from "react";
import ReactDOM from "react-dom/client";
import App from "./App";

const rootElement = document.getElementById("root");
const root = ReactDOM.createRoot(rootElement);

root.render(
  <React.StrictMode>
    <App />
  </React.StrictMode>
);

上記のように React.StrictMode タグで <App /> を包むだけで、StrictModeを有効にできます。 あとは通常どおりにReactアプリを作っていけば、開発中にチェックを受けられるようになります。

気づきやすくなる問題点

React StrictModeを有効にすると、開発中にさまざまな警告が表示されることがあります。 これは、Reactが潜在的に危ない書き方を検知して、開発者に知らせようとしているからです。

特に、副作用の重複実行やライフサイクルメソッドの誤用などは代表的な例です。 こうした問題は、開発初期には気づきにくいものですが、StrictModeであれば比較的早い段階で検出できるでしょう。

副作用が重複して呼ばれるケース

React StrictModeでは、コンポーネントがマウントされるときの副作用(たとえば useEffect フックなど)が、意図せず複数回呼ばれることがあります。 これはReactが「副作用が正しく実装されているか」を確認するために、あえて開発モードで2回実行する場合があるからです。

ここで何が起きているかを知っておけば、アプリが本番で二重実行されるわけではないことも理解できるでしょう。 ただし、データ取得処理やログ出力を useEffect 内で書いていると「なんだか二回呼ばれてしまう」という現象に驚くかもしれません。

ライフサイクルメソッドの呼び出し

クラスコンポーネントを使っている場合は、ライフサイクルメソッドの一部が追加で呼ばれることがあります。 これもStrictMode特有の挙動で、「コンポーネントにリソースリークや非推奨なAPIの使用がないか」を確かめるために実行されます。

もし未知の動きを目にした場合は、React StrictModeによるチェックなのかどうかを一度確認してみるといいでしょう。 このように、StrictModeは表面上の挙動が若干変わる代わりに、バグを早期発見しやすくしてくれる仕組みといえます。

開発現場での利用シーン

React StrictModeは、日常的なフロントエンド開発の中で大いに役立ちます。 実際のプロジェクトでは、以下のようなシーンで使われることが多いです。

新規開発プロジェクトでの利用例

新しくアプリを作り始めるときに、最初からStrictModeを適用しておくやり方です。 そうすれば、開発序盤で非推奨な書き方や危険な実装を見つけやすくなり、長期的に見て保守コストを抑えられる可能性があります。

チーム開発の場合は、複数人のコーダーがそれぞれコンポーネントを作ることがあるでしょう。 こうした状況でStrictModeが導入されていると、後から誰かがレビューする際にも大きな助けとなります。

既存プロジェクトの段階的な導入

すでにある程度機能がそろったReactアプリにも、後からStrictModeを追加していくことができます。 このとき、いきなり全体をStrictModeで包むと警告が大量に出るかもしれません。

したがって、まずは一部の大事なコンポーネントや、新しく改修予定の部分だけをStrictModeで囲んでみる方法もあります。 少しずつ範囲を広げながら、コードベース全体を整備していくアプローチは現場でもよく見られます。

開発者にとってのメリット

React StrictModeを使うメリットのひとつは、問題が初期段階で見つかることです。 リリース直前になって「副作用が原因で画面がおかしくなった」と気づくのは避けたいところですよね。

さらに、非推奨となったAPIの利用に気づけるという点も、思った以上に便利です。 React自体は比較的互換性を重視していますが、それでもバージョンを重ねるうちに古いAPIが推奨されなくなることはあります。

保守性が高まる

たとえば、一見動いているように見えるコードでも、将来的に動作しなくなる書き方をしているケースがあります。 StrictModeはそうした危険なポイントを警告してくれるため、結果的に保守しやすいコードを残しやすくなるわけです。

開発中に警告を積極的につぶしておくことで、いざ機能追加が必要になったときもスムーズに着手できるでしょう。 また、新しいメンバーがプロジェクトに参加した際にも、StrictModeが不適切な書き方をすぐ発見してくれるので安心感があります。

非推奨APIの検出

Reactが将来的に削除する可能性があるAPIについては、StrictModeのチェックで引っかかることがあります。 これによって、まだ動くコードをあえて書き直すという手間は発生しますが、その分だけ技術的負債を早いうちに減らせるかもしれません。

特に、チーム全員が最新情報を常に追いかけるのは難しいことがあります。 StrictModeを有効にしておけば、React本体がある程度のガイドラインを示してくれるので、規模が大きいチームほど助かる場面が出てくるでしょう。

注意が必要な点

React StrictModeは便利ですが、いくつか注意すべき点もあります。 とくに、開発環境と本番環境の挙動が変わるケースは押さえておきたいところです。

Reactは開発モードでの挙動と、本番ビルドでの挙動に差がある場合があります。 したがって、StrictModeで発生した警告が本番にどの程度影響を与えるか、あらかじめ整理しておくとよいでしょう。

本番環境への影響

React StrictModeのチェックは開発モード特有のものなので、本番ビルドでは通常これらのチェックは動きません。 つまり、StrictModeのためにアプリが本番で遅くなることや、余計な処理が走ることは基本的にありません。

一方、開発中に複数回呼ばれていた副作用が、本番では実行回数が変わるケースがあります。 そのため、「なぜ本番ではうまく動いているのに、開発中は2回実行されるんだろう?」という疑問を持つかもしれませんが、それはStrictModeの仕様と考えて差し支えありません。

ブラウザ拡張や外部ライブラリとの相性

React開発でよく利用する外部ツールや拡張機能が、StrictModeと組み合わせると警告を出す場合があります。 これはライブラリ側がStrictModeに正式対応していない場合や、内部で非推奨APIを使っている場合に起きがちです。

このような警告はライブラリのアップデートで解消されることが多いので、バージョン管理をきちんとしておけば問題は少ないでしょう。 どうしても大きな不具合があるなら、特定のコンポーネントだけStrictModeから除外するなどの対策も検討できます。

React StrictModeの警告が大量に出たときは、慌てずに一つひとつ内容を確認してみましょう。 意外と小さな修正で解決できる場合が多いです。

まとめ

React StrictModeは、アプリが正常に動いているように見えても、将来のメンテナンス性を損ねかねない箇所を早めに教えてくれます。 初心者の方でも導入は簡単なので、開発を始める際にはぜひ設定してみてはいかがでしょうか。

本番環境への影響を心配する方もいるかもしれませんが、StrictModeの機能はあくまで開発時限定です。 もし気になる警告があれば、Reactの公式ドキュメントやコンソールのメッセージを元に対処していけば良いでしょう。

初心者のうちからStrictModeを使うことには、将来的なメリットがあります。 そのおかげで、アプリが大きくなっても「どこを直せばいいのかわからない」という事態を最小限に抑えられます。 ぜひ上手に活用して、React開発をよりスムーズに進めてみてください。

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