VS Codeのターミナルを使いこなそう|統合ターミナルの使い方を初心者向けに解説

はじめに

プログラミングを学び始めたばかりの方にとって、エディタ選びは大きなテーマではないでしょうか。 色々な選択肢がある中で、多くの学習者にとって扱いやすく、多機能な点で注目されているのがVisual Studio Codeです。 その最大の特徴の一つが、エディタ内にある統合ターミナルの存在です。 エディタとターミナルが一つのウィンドウ内で完結するため、アプリ開発やファイル操作、Git管理などを効率よく進められるという利点があります。 しかし、いざ使ってみようとすると「どうやって開くのか」「ターミナルを使うメリットは何か」といった疑問を感じる人が多いようです。

本記事では、Visual Studio Code(以下、VS Code)のターミナルを効果的に活用するための手順とコツを、初心者向けに解説していきます。 簡単なコマンド操作や設定変更の仕方、複数ターミナルの使い分けなど、現場でもよく活用される具体例を交えながら紹介します。 これによって、プログラミング学習の効率が高まるだけでなく、チーム開発の場面でもスムーズに作業を進めやすくなるのではないでしょうか。

この記事を読むとわかること

  • VS Codeのターミナルを使うメリットと基本的な操作方法
  • 複数のターミナルを開く方法と使い分け方
  • ターミナルと拡張機能を連携させて作業効率を高めるコツ
  • 実務でターミナルをどのように活用できるかの具体例

Visual Studio Codeの全体像

VS Codeの特徴

VS CodeはMicrosoftが提供しているエディタで、無料で利用できます。 特に拡張機能が充実しており、多様なプログラミング言語に対応している点が魅力です。 シンプルなインターフェースながら、ターミナルを統合しているため、コードを書く作業とコマンドを実行する作業を分ける必要がありません。 慣れてくると、あまり画面を切り替えずに開発できるのは大きなメリットと言えます。

統合ターミナルがある利点

VS Codeの統合ターミナルを使うと、従来は別ウィンドウで立ち上げていたターミナル(コマンドプロンプト、PowerShell、Bashなど)が、画面下部にまとめて表示されます。 これにより、コード編集→ターミナルでビルド→エラーを確認→修正といった一連の流れをスムーズに行えます。 また、複数のターミナルを並行して使えるため、さまざまな作業を同時に進めることも可能です。

統合ターミナルの基本操作

ターミナルの起動方法

VS Codeを立ち上げた後、メニューバーの「表示」から「ターミナル」を選択することでターミナルを表示できます。

ターミナルの切り替えと終了

ターミナルはVS Codeの下部に表示されるパネル内にタブのような形で並びます。 新しいターミナルを作成する場合は、ターミナルパネル右上の「+」ボタンをクリックします。 終了させたいときはタブ横のゴミ箱アイコンをクリックすればOKです。 複数のターミナルを同時に開いていても、クリック一つで切り替えられるため、環境ごとの作業分担が簡単になります。

ターミナルの種類を選択

VS Codeのターミナルは、環境に応じてPowerShellやCommand Prompt、Git Bashなどを選択できます。 起動時に自動で選択されるシェルの種類を指定する設定項目もあるので、よく使うターミナルをデフォルトにしておくと便利です。 特定のフレームワークを使う際は、そのフレームワーク専用のCLIツールをインストールした上でターミナルを選ぶことで、コマンドを通して効率よく作業を進められます。

複数のターミナルを使い分ける

同時に複数を開いて作業する

例えば、Node.jsの環境でアプリを起動しながら、別のターミナルでGitの操作を行うシーンがあるかもしれません。 従来の方法では、複数の端末ウィンドウを行ったり来たりしていたところを、VS Codeでは画面下のターミナルをタブごとに切り替えるだけで済みます。 このメリットを活かすと、開発とバージョン管理を並行して行う場面で効率的に作業できるでしょう。

スプリット機能で画面を分割

VS Codeのターミナルにはスプリット機能があります。 ターミナル右上のスプリットアイコンをクリックすると、同じターミナルパネル内で左右または上下にターミナルが分割されて表示されます。 画面切り替えを最小限に抑えながら、多角的な作業を同時に進められるため、慣れると便利だと感じるでしょう。

用途に応じて名前を付ける

複数のターミナルを開くとき、タブ名をわかりやすく変更しておくと混乱しにくくなります。 タブ名を右クリックして「名前を変更」を選ぶと、簡単にカスタム名を付けられます。 例えば「サーバー起動用」「Git用」のように分けておけば、視覚的にどのターミナルが何の作業をしているのか把握しやすいです。

ターミナルと拡張機能の連携

拡張機能でさらに便利になる

VS Codeは拡張機能を通して、ターミナルの操作性や生産性をさらに高めることができます。 例えば、GitLensなどの拡張機能と組み合わせると、Gitの履歴や差分を可視化しつつターミナルでコミットやプッシュを実行しやすくなります。 また、プロジェクトに必要なコマンドがまとめられたスニペット系の拡張機能を導入すると、学習初期のコマンド入力ミスが減ることもあります。

ターミナルパネルの操作を自動化

拡張機能の中には、よく使うターミナルコマンドをワンクリックで実行できるようにするものがあります。 これにより、キーボード入力の手間を省き、間違ったコマンドを入力してしまうリスクも減らせます。 また、よく使うコマンドがワンクリックで実行できれば、初心者でも迷いにくいでしょう。

自動化をしすぎると、コマンドの基本的な理解を深める機会が減ってしまうこともあります。 学習初期はコマンドの意味を把握しながら適度に利用するのがおすすめです。

統合ターミナルから直接拡張機能の操作を呼び出す

一部の拡張機能では、ターミナル上で専用のコマンドを実行するだけで各種機能が呼び出せる場合があります。 特に、アプリケーション生成ツールなどは対話形式でセットアップを進められるため、まるでガイドに沿って開発を進めるような感覚です。 こうした拡張機能とターミナルの連携によって、開発の流れが途切れにくくなる利点があります。

ターミナルで使える便利なコマンド例

ファイル操作系コマンド

  • cd ディレクトリを移動する
  • mkdir 新しいフォルダを作成する
  • rm / rmdir ファイルやフォルダを削除する

ファイル移動や削除はGUIでもできますが、ターミナルから操作すると慣れてきたときにより素早く対応できるでしょう。 VS Codeのターミナルで慣れると、他の環境でも同じようなコマンドが使えるので応用が効きやすいです。

プロジェクトのセットアップ系コマンド

  • npm init JavaScriptのプロジェクトを新規で作成する
  • npx create-react-app Reactの基本的な雛形を自動生成する
  • npm install 必要なライブラリやパッケージをインストールする

こういったコマンドを使うと、ひな形となるフォルダ構成が一瞬で作られ、学習コストが下がります。 VS Codeのターミナル上で実行すれば、すぐに新たなファイルがエディタのエクスプローラー欄に表示されるのがわかるでしょう。

バージョン管理系コマンド

  • git init 新規リポジトリを作成する
  • git status 変更状況を確認する
  • git commit 変更をコミットする

VS CodeにはGit機能が統合されていますが、ターミナルから直接コマンドを打つ方が状況を把握しやすいと感じる方もいるかもしれません。 GUIツールとコマンドラインの両方を使えると、トラブルシュートにも役立ちます。

VS Codeのターミナル設定をカスタマイズしよう

設定画面の開き方

VS Codeの左下にある歯車アイコンをクリックして「設定」を選ぶと、各種カスタマイズができます。 あるいは、キーボードショートカットで開く方法や、コマンドパレット(Ctrl + Shift + P / Command + Shift + P)から「Settings」と入力して開く方法もあります。 ターミナルに関する設定は「Features > Terminal」の項目にまとめられています。

フォントや文字サイズの調整

長時間作業をするときは、フォントの見やすさや文字サイズが生産性に大きく影響してきます。 ターミナルの文字が小さすぎる場合は、editor.fontSize とは別に terminal.integrated.fontSize の設定を調整しましょう。 フォントを変更することで、全角文字と半角文字のバランスを見やすく整えられます。

ターミナルの配色テーマを変更する

VS Codeの配色テーマを変更すると、ターミナルの背景色や文字色も連動して変わる場合があります。 視認性を高めるために、自分の目に合ったテーマを選ぶと、作業中のストレスを減らせます。 シンプルな配色だけでなく、ダークテーマやセミダークテーマ、さらにユーザーが作成したカラフルなテーマが多数公開されているので、実際に試して好みのものを探すのも楽しいでしょう。

フォントLigaturesの利用

プログラミング向けフォントには、イコール記号や矢印をきれいに連結する機能(Ligatures)が含まれていることがあります。 設定でLigaturesを有効にすることによって、演算子や矢印が見やすくなるケースがあります。 ターミナルでも同様のフォント設定が反映されるため、エディタとターミナルのスタイルが統一された印象を与えられるでしょう。

実務での活用シーン

Webアプリケーション開発時

Webアプリ開発の現場では、Node.jsやReactなどのフロントエンドツールを日常的に使う機会があります。 VS Codeの統合ターミナルを利用することで、npm startnpm run build を実行しながら、コードの修正・確認を素早く行えます。 バグが発生したときやパッケージの依存関係を見直すときに、複数のターミナルを活用すれば同時にログを追うことも可能です。

Gitフローでの開発

複数メンバーでGitフローを用いて開発を進めるとき、ブランチの作成やプルリクエスト向けのコミット作業などが頻繁に発生します。 VS Codeの統合ターミナルからgit branchgit checkout コマンドを入力してブランチを切り替えながら、エディタ画面で差分を確認する作業をストレスなく行えます。 さらに、チームで共有しているリポジトリに対してプッシュするときのエラーもその場で確認できるため、問題があった場合には即座に修正可能です。

DevOpsパイプラインのテスト

継続的インテグレーション(CI)や継続的デリバリー(CD)を導入している現場では、ビルドやテストを自動化するケースが増えています。 VS Codeのターミナルを使ってローカル環境でテストを実行し、結果を確認してからリモートリポジトリへプッシュする流れを確立すると、開発からデプロイまでのサイクルが円滑になります。 特に、テストコマンドを頻繁に打つ場合、VS Codeのタブ分割機能が役立ちます。

トラブルシューティング

ターミナルが起動しない場合

環境によっては、ターミナルの種類やパスの設定の問題で起動しないことがあります。 この場合、まずは「設定」画面からデフォルトのシェルが正しく指定されているかを確認しましょう。 また、パス通しがうまくいっていない場合、VS Code側だけでなくOSのシステム環境変数をチェックすることも重要です。

権限エラーが出るとき

Windows環境であれば管理者権限の問題、LinuxやmacOSならsudoの設定が原因でエラーが出る場合があります。 普段は一般ユーザー権限で作業するのが望ましいですが、どうしても必要な場面では管理者権限でターミナルを起動する方法を検討しましょう。 一方で、セキュリティリスクを回避するため、むやみに権限を上げないようにする注意も大事です。

管理者権限での操作は間違えると大きな影響を与える可能性があります。 システムに重要な変更を加える際は十分に注意しましょう。

拡張機能による衝突

ターミナルと連携する拡張機能同士が競合するケースもごくまれにあります。 そのようなトラブルが発生した際には、一時的に拡張機能を無効化して問題の原因を切り分けるのが一般的です。 拡張機能設定で「無効化」を選んでみると、予期しない挙動の原因を特定しやすくなります。

まとめ

VS Codeの統合ターミナルは、初心者から実務レベルまで幅広く活用できる便利な機能です。 画面を切り替えずにコマンドを実行でき、複数のターミナルを同時に使い分けられる点は、効率的な開発を進めるうえで大きなアドバンテージとなるでしょう。 設定を自分好みにカスタマイズすることで、より作業しやすい環境を整えられます。

プログラミングを始めたばかりの段階では、どのコマンドをいつ使えばよいのか混乱するかもしれません。 しかし、VS Codeの統合ターミナルを使いながらコマンドに慣れていくと、他の開発環境でも簡単に応用できるスキルが身につくはずです。 ぜひこの機会に、VS Codeのターミナルを活用した効率的なワークフローを体感してみてください。

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