WindowsでのYarnインストールを初心者向けに徹底解説
はじめに
Windows環境でのYarnインストールに関心を持つ方は多いでしょう。
特にプログラミング初心者や、普段あまり開発ツールに触れない方にとっては、Windows上でのセットアップ手順が少しややこしく感じるかもしれません。
しかし基本的なポイントを押さえれば、Yarnの導入は難しくありません。
実務でも役立つ具体例やWindows特有の注意点を踏まえて解説することで、スムーズにYarnの環境構築を進めていけるはずです。
この記事では、Node.jsとnpmの関係にも触れながら、Yarn導入の際につまずきやすいポイントを丁寧に説明します。
初めてYarnに触れる人でも理解できるように、用語や手順はできるだけわかりやすい表現を使いながら進めますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読むとわかること
- Yarnをインストールするために必要な前提知識とWindows特有のポイント
- Yarnとnpmの違い
- WindowsでのYarnインストール方法(具体的手順)
- Yarnを使った基本的なプロジェクトの作成とパッケージ管理の流れ
- 実務でのYarn利用シーンと初心者におすすめの学習ステップ
- トラブルシューティングやアンインストールの方法
これらを順を追って確認していけば、プログラミング初心者でも安心してYarnを導入できるようになります。
あわせて、どのような場面でYarnが活用されるか、そのイメージも膨らむでしょう。
Yarnとは何か、npmとの違いは?
パッケージマネージャとは
Yarnを導入するうえでまず大切なのが、パッケージマネージャという仕組みを理解することです。
パッケージマネージャとは、プログラムで利用するライブラリを簡単に追加・更新・削除できるようにしてくれるツールです。
多くのJavaScriptプロジェクトでは、外部のライブラリを使うことで効率的に開発を進めます。
たとえばReactやVueといったフレームワークも、こうしたライブラリの一種です。
パッケージマネージャを使うことで、こうした外部ライブラリを簡単に管理できます。
npmとYarn
JavaScriptの開発では、npmと呼ばれるパッケージマネージャが標準的に利用されています。
実際、Node.jsをインストールするとnpmも自動で使えるようになります。
一方で、Yarnはnpmよりも高速な処理や、パッケージインストール時の安定性を意識して開発されました。
npmとYarnは機能的には近い立ち位置ですが、コマンドの使い勝手や設定ファイルの形式にいくつか違いがあります。
Windowsで開発をする場合でも、npmと同様の感覚で使えますが、Yarn独自のコマンドが用意されているため、プロジェクトによってはnpmより効率的に作業が進むケースもあるでしょう。
なぜYarnを使うのか
Yarnの特徴の一つとして、パッケージのインストールが高速に行われる点がよく挙げられます。
また、動作の安定性や、プロジェクトで利用するライブラリのバージョンを正確に管理する仕組みがあるため、より一貫した状態を保ちやすいというメリットがあります。
実務でも、複数人で開発を進めるプロジェクトだと、それぞれの開発環境でライブラリのバージョンがずれてしまうと大変です。
Yarnはロックファイルの管理がしっかりしていて、チーム開発でもライブラリバージョンを一致させやすいのが大きな利点です。
WindowsでのYarnインストールに必要な前提知識
Node.jsが必要
Yarnを使うためには、まずNode.jsをインストールしておく必要があります。
Node.jsとは、JavaScriptをサーバーサイドでも動かせるようにするためのランタイムで、パッケージ管理やビルドなど、Web開発のあらゆる場面で活用されています。
インストール手順はシンプルです。
Node.jsの公式サイトからWindows用のインストーラーをダウンロードし、画面の指示に従って進めればOKです。
インストールが完了したら、ターミナル(もしくはコマンドプロンプト、PowerShellなど)で以下のコマンドを打ち、バージョン情報が表示されれば問題ありません。
node -v
Node.jsを導入した時点で、npmも同時に利用できる状態になっています。
このnpmを利用する方法の一つとして、npm install --global yarn
という形でYarnをインストールする道もありますが、以下ではもう少しWindows向けの方法も踏まえて紹介していきます。
コマンドプロンプトとPowerShell
Windowsには標準でコマンドプロンプトとPowerShellという2種類のターミナルがあります。
どちらでも大きな違いはなく、Yarnを使う上ではどちらを利用しても構いません。
ただし、一部の環境設定やコマンドの実行に差異が出ることもあるので、特定のエラーが出た場合はPowerShellを試してみるなど、使い分けが必要になる場合があります。
ファイルパスの扱い
Windowsはディレクトリの区切り文字に「\」を使いますが、npmやYarnなど多くのJavaScriptツールは「/」を使う想定で作られることが多いです。
そのため、npmスクリプトの中で相対パスを指定するときはスラッシュの向きを意識しなくてはいけません。
初心者の方は、Windowsのエクスプローラーでのパス表記と、ターミナルでのパス表記が一致しないことがある点に注意してください。
パスにスペースが含まれる場合は、ダブルクォーテーションで囲むなどの対策が必要になるケースもあります。
WindowsでのYarnインストール方法
ここからは具体的に、WindowsへYarnを導入する手順を解説します。
いくつか方法がありますが、代表的なものを3つ紹介します。
1. Yarn公式インストーラーを使う
Yarnの公式サイトには、Windows向けのインストーラーが用意されています。
これはMSI形式のファイルになっており、ダウンロードしてダブルクリックするだけで簡単に導入が可能です。
- Yarn公式サイトへアクセスする
- Windows用のMSIインストーラーをダウンロードする
- ダウンロードしたファイルをダブルクリック
- インストーラー画面に従って操作する
- 完了ボタンを押す
インストール後、コマンドプロンプトまたはPowerShellを立ち上げて、バージョン確認コマンドを実行してみてください。
yarn --version
数字のバージョンが表示されれば、Yarnのインストールは完了です。
2. Chocolateyを使う
Windows向けのパッケージ管理ツールとして、Chocolateyがあります。
Windows環境に慣れている方や、開発用のツールをまとめて管理したい方にはChocolateyの利用も便利です。
- まずChocolateyをインストール(管理者権限のPowerShellでスクリプトを実行)
- インストール後、以下のコマンドを実行してYarnを導入
choco install yarn
- コマンド完了後、
yarn --version
を試す
Chocolateyを使うと、今後のアップデートなども比較的容易に管理できます。
ただし、初心者の方はChocolatey自体のインストール手順が少し複雑に感じるかもしれません。
その場合は公式サイトのMSIインストーラー経由を選ぶほうがスムーズです。
3. npm経由でインストール
Node.jsを導入すると使えるようになるnpmを活用して、Yarnをグローバルインストールする方法もあります。
コマンドはシンプルで、以下のようになります。
npm install --global yarn
npmでインストールしても、Windows上で問題なくYarnを利用できます。
「最初からnpmを使っているし、インストーラーなどを使いたくない」という方はこちらを選んでも良いでしょう。
インストール後の基本コマンド
新規プロジェクトを作成する
Yarnが無事にインストールできたら、パッケージ管理の流れを簡単に体験してみることをおすすめします。
新規ディレクトリを作成したうえで、以下のコマンドを実行します。
yarn init
このコマンドを実行すると、プロジェクト名やバージョン、説明などを対話形式で設定できます。
ここで設定した情報はpackage.jsonというファイルに書き込まれ、プロジェクトの基本情報として扱われます。
パッケージをインストールする
たとえば、axiosというHTTPクライアントライブラリを導入したい場合は次のようにします。
yarn add axios
実行すると、プロジェクトのフォルダ内にnode_modulesというディレクトリが作られ、その中にaxiosがインストールされます。
あわせて、package.jsonとyarn.lockに情報が追記されることで、ライブラリのバージョンや依存関係が管理されます。
パッケージをアンインストールする
不要になったパッケージを削除する場合は、以下のコマンドを使います。
yarn remove axios
これにより、node_modulesから該当ライブラリが削除され、依存関係ファイルからも情報が消されます。
常に不要なパッケージを削っておくことで、プロジェクトを軽量に保つことができます。
パッケージをアップデートする
バージョンアップしたい場合は次の通りです。
yarn upgrade axios
こうするとaxiosを新しいバージョンに更新できます。
一括でアップデートしたいときは、単にyarn upgrade
を使う方法もありますが、バージョン互換性に注意が必要です。
実務での活用シーン
フロントエンド開発でのYarn
ReactやVueなどを使ったフロントエンド開発では、ライブラリを多数導入する場面が多々あります。
Yarnの高速なインストール処理や安定したロックファイル管理は、こうした大規模プロジェクトで効率を上げるのに役立つでしょう。
たとえば、フロントエンドのビルドツールとしてwebpackやViteを利用する場合、それらのパッケージをYarnで管理します。
複数の開発者が共同で作業する際でも、ライブラリのバージョンがずれにくくなるので、チームのストレスが減るのがメリットといえます。
バックエンド開発でも便利
Node.jsを使ったバックエンド開発であっても、Yarnは活用できます。
ExpressやNestJSなどのフレームワークを使う際に必要なライブラリを手軽に管理し、プロジェクトの依存関係をきれいに保つことができます。
Yarnのコマンドはnpmと似ているため、すでにnpmで開発していたプロジェクトをYarnに切り替えてみることも難しくありません。
ただし、npmが生成するpackage-lock.jsonというファイルとYarnのyarn.lockは役割が重複するため、同時には使わないよう整理が必要です。
チーム開発での利点
実務で多いのが、複数人での共同開発です。
チーム開発では、メンバー全員が同じバージョンのライブラリを使い、同じ環境で動作確認を行わなければなりません。
Yarnはyarn.lockによってバージョン管理を徹底してくれます。
チームメンバーがプロジェクトのリポジトリをクローンし、yarn install
を実行するだけで、同じ依存関係を再現しやすいのが大きなメリットです。
これにより「自分の環境では動くが他の環境では動かない」といった問題を減らすことができるでしょう。
よくあるトラブルシューティング
パスが通らない
Yarnをインストールした後、コマンドを打ってもエラーになる場合は、システムの環境変数が正しく設定されていない可能性があります。
Chocolateyやnpm経由でインストールした場合に、インストール先フォルダがパスに含まれていないことがあります。
Windowsの「システムのプロパティ」→「環境変数」から、Pathの設定を確認し、Yarnがインストールされたフォルダが含まれているかチェックしてみてください。
もし入っていなかったら、新規で追加する必要があります。
バージョンが競合する
npmでインストールしたYarnと、MSIインストーラーで入れたYarnが混在すると、どちらが優先されるかで動作が不安定になる可能性があります。
このような状況になった場合は、どちらか一方に絞って利用するか、不要なYarnをアンインストールすると良いでしょう。
権限エラー
特に会社のPCなどで管理者権限が制限されている場合、インストール時にエラーが出ることがあります。
その際は、管理者権限のコマンドプロンプトやPowerShellを開き、もう一度インストールを試してみてください。
もしくは、パソコンの設定や管理ポリシーに合わせて制限を緩和してもらう必要があるかもしれません。
複数の場所で異なるインストールを行うと、環境が複雑化してトラブルが起きがちです。
どの方法でYarnを導入したかを常に把握し、同じやり方を使い続けるほうが安全でしょう。
アンインストールの方法
Chocolateyでインストールした場合
Chocolatey経由で導入したYarnを削除する場合は、以下のコマンドだけで完了します。
choco uninstall yarn
その後、環境変数の設定にYarnのフォルダが残っていないかどうか確認し、残っていれば手動で削除しましょう。
MSIインストーラーを使った場合
MSI形式のインストーラーを使った場合は、Windowsの「アプリと機能」からアンインストールできます。
他の通常のソフトウェアと同様の操作なので、特に難しい手順はありません。
npmでインストールした場合
npm経由でYarnを導入していた場合は、グローバルパッケージとしてインストールされています。
以下のコマンドを実行すると削除できます。
npm uninstall --global yarn
実行後、yarn --version
を試してもコマンドが見つからなければアンインストール完了です。
プロジェクトでの実例と初心者の学習ステップ
ライブラリが多いプロジェクトの管理
実務では、ReactやVueなどのフレームワークに加えて、UIコンポーネントやテストライブラリ、スタイリングツールなどを合わせることで、かなりの数のパッケージを扱うことがあります。
Yarnは依存関係を自動で解決してくれるので、一つひとつインストール先を管理する手間が省ける点が大きなメリットです。
また、パッケージの更新や一括アップデートの際にも、プロジェクト内のすべてのライブラリを一度に見直せるので、作業効率が高まるでしょう。
初心者が混乱しがちなポイント
プログラミングの初心者にありがちなのが、「npmとYarnどっちを使えばいいの?」という疑問です。
結論から言うと、どちらを使うかはプロジェクトやチームの方針次第であり、厳密に「これでなくてはならない」というルールはありません。
しかし、Yarnはnpmと共存するのではなく、基本的にどちらか片方に統一するケースが多いです。
初心者の方は最初、どちらかを使ってみて、自分が使いやすいと思った方に合わせれば十分でしょう。
学習ステップのイメージ
- Node.jsを導入してnpmを触ってみる
- Yarnを入れてみて、基本的なプロジェクト作成や依存関係の管理を体感する
- プロジェクトを簡単なソースコードとともにGitHubなどで管理し、別のPCや仮想環境でクローンして
yarn install
を試す - チーム開発でYarnを使う際の流れを実践してみる
こうしたステップを踏めば、パッケージマネージャへの理解が深まり、スムーズに実務へと応用できるでしょう。
Windowsだからといって特別難しいわけではないので、焦らずに進めてください。
Yarnを使ううえでの注意点
Node.jsのバージョンとの兼ね合い
YarnはNode.js上で動くため、Node.jsのバージョンによっては依存パッケージが動作しないケースが稀にあります。
新しいバージョンのNode.jsにしたらライブラリが動かなくなった、ということも起こり得ます。
チーム内でNode.jsのバージョンを合わせるなら、 nvm (Node Version Manager)のようなツールで一括管理する方法も視野に入れると、安心です。
パッケージのライセンスや規約
多くのJavaScriptライブラリはオープンソースですが、それぞれのライセンスや規約があります。
業務で利用する際には、GPLやMITライセンスなどの違いを理解しておくと安心です。
Yarnを使うこと自体は問題ありませんが、インストールするライブラリの中身に注意を払う必要があります。
継続的なアップデート
Yarn本体も、パッケージが用意されるリポジトリも、日々更新され続けています。
アップデートのたびに機能や使い勝手が変化することがあるため、プロジェクトのタイミングを見計らいながら最新の環境にアップデートするのが望ましいです。
プロジェクトに参加するときは、あらかじめYarnのバージョンを合わせておくと環境差異を減らすことができます。
チームやプロジェクトで使っているバージョンを確認しておくと良いでしょう。
まとめ
Windows環境でYarnをインストールする手順は、Node.jsの準備さえできていれば難しいものではありません。
公式サイトのMSIインストーラー、Chocolatey、npmなど、自分の開発スタイルやプロジェクト状況に合わせて選べるのもメリットです。
初心者の場合、まずはYarnを導入して小規模なプロジェクトで触ってみることをおすすめします。
ライブラリの追加や削除、バージョン管理といった作業の流れを一度でも経験すると、その便利さを実感できるはずです。
YarnはJavaScriptやNode.jsの開発を効率化する心強いツールです。
チーム開発や複数のライブラリを使うプロジェクトにも活用しやすいため、一度セットアップさえしてしまえば、継続的にメリットを享受できるでしょう。
この機会にYarnを導入し、スムーズな開発体験をぜひ味わってみてください。