Spring Bootとフロントエンドを組み合わせるには?初学者向けの基本と実装ポイント

はじめに

Spring BootはJavaを使ったサーバーサイド開発を手軽に始められるフレームワークとして知られています。 一方で、ウェブアプリケーションにおいてはフロントエンド側の設計や実装も大切ですね。 この2つを組み合わせることで、シンプルな開発プロジェクトから少し大規模なサービスまで、柔軟な構成を作りやすくなります。 しかしながら、初心者の皆さんにとっては「Spring Bootのプロジェクトにフロントエンドをどう組み込むのか」が気になるかもしれません。 そこで本記事では、Spring Bootとフロントエンドの連携方法についてわかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  • Spring Boot とフロントエンドを組み合わせる主な理由
  • サーバーサイドレンダリングとシングルページアプリケーション(SPA)の違い
  • Spring Bootで簡単なAPIを作るときの流れ
  • フロントエンドからAPIを呼び出す方法の具体例
  • 実務でよくある疑問点や注意点

Spring Bootとフロントエンドを組み合わせる理由

企業の業務システムから個人の学習用アプリケーションまで、Web開発ではバックエンドとフロントエンドの組み合わせが基本になってきます。 Spring BootはJavaでの開発環境を簡素化しており、設定ファイルを最小限に抑えながらも高度な機能を扱うことができます。 このため、企業のチームプロジェクトや個人の学習でも使いやすいのが特徴です。

フロントエンドは、HTMLやCSS、JavaScriptを使って画面を作り上げます。 例えばReactやVue.jsなどを採用する場合は、Spring Boot側でREST APIを用意して、フロントエンドから通信を行う構成が人気です。 一方で、Thymeleafと呼ばれるテンプレートエンジンを使い、サーバーサイドでHTMLを生成し、画面を作る方法もあります。 こうした多様な方法が存在するからこそ、プロジェクトの要件や開発チームのスキルに応じて柔軟に構成を選べるのが大きなメリットでしょう。

実際の開発現場では、フロントエンドを単独でビルドして別サーバーでホスティングし、Spring BootでAPIだけを提供するという形もよく使われています。

企業向けの業務システムでは、認証機能や複雑なドメインロジックをサーバー側でしっかり処理し、UI部分をフロントエンドが担うケースが増えています。 これによって開発分担がしやすくなるほか、フロントとバックが並行して開発しやすい利点があります。

代表的なフロントエンドの開発方法

サーバーサイドレンダリング(Thymeleaf)

Spring Bootでは、Thymeleafなどのテンプレートエンジンを組み込んでHTMLを生成することができます。 サーバーでHTMLを組み立ててから返却するので、画面表示がシンプルになりがちな小〜中規模のプロジェクトでも導入しやすいです。 また、テンプレートエンジンを使うとJavaコード内でHTMLを扱うことになるため、学習コストが低いと感じる方もいます。

実務においては、ユーザーがログインした後に画面を切り替えたり、フォームを投稿したりといったフローをサーバーサイドで制御しやすい点がメリットです。 ただし、画面の動的な部分が多い大規模アプリケーションの場合には、JavaScriptフレームワークを取り入れたほうが開発しやすくなることもあります。

シングルページアプリケーション(SPA)

ReactやVue.js、Angularなどを使ってフロントエンドの画面遷移を管理する方法です。 単一のHTMLファイルをベースに、JavaScriptで画面を動的に切り替えたり、APIコールをしてデータを更新したりします。 ページのリロードなしで画面が切り替わるので、ユーザーにとっては操作感が軽快になることが多いです。

その一方で、開発者はJavaScriptや関連するビルドツール(Webpackなど)を扱う必要があります。 また、SEO(検索エンジン最適化)の観点からは、レンダリング方法によって対策が変わってくるのもポイントです。 ただ、Spring Bootが提供するAPIをフロントエンドから呼び出せれば、基本的な連携は難しくありません。

静的ファイルを配信するアプリケーション

HTML、CSS、JavaScriptといった静的ファイルをSpring Bootでまとめて配信する方法です。 例えば、プロジェクトの resources/static フォルダに配置しておけば、サーバーサイドの設定が最小限で済むため手早く始められます。 小さなツールや簡単なデモにはこの方法が向いていますね。

ただし、JavaScriptフレームワークを組み込む場合、ビルドした成果物を静的ファイルとして配置するだけではなく、開発環境の設定やホットリロードの仕組みなどを考える必要があります。 どの方法がよいかは、アプリケーションの規模や目的によって変わるでしょう。

次の簡単な表で、代表的なレンダリング方式を比較してみます。

レンダリング方式特徴適しているケース
サーバーサイドレンダリングHTML生成をサーバー側で行うシンプルな画面や小規模システム
シングルページアプリケーション(SPA)JavaScriptで動的に画面を切り替えるユーザー体験を重視した大規模開発
静的ファイル配信HTML/CSS/JSをそのまま配信小規模ツールや軽量デモアプリ

Spring Bootでバックエンドを構築してみよう

ここからは、Spring Bootで簡単なAPIを用意する流れを確認していきましょう。 実務でも、小さなAPIを作るところから始めるのが一般的です。

コントローラーでAPIを定義する

Spring BootのプロジェクトでREST APIを作る場合、まずはコントローラークラスを作成します。 以下は、簡単なコントローラーの例です。

package com.example.demo.controller;

import org.springframework.web.bind.annotation.GetMapping;
import org.springframework.web.bind.annotation.RestController;

@RestController
public class HelloController {

    @GetMapping("/hello")
    public String hello() {
        return "Hello from Spring Boot!";
    }
}

このコードでは、 /hello というエンドポイントを作り、文字列のレスポンスを返しています。 Spring Bootでは、@RestController@GetMappingを使うだけでシンプルにAPIが実装できます。 あとはアプリケーションを起動してブラウザで /hello にアクセスすれば、設定次第で文字列が表示される仕組みです。

業務で使う場合は、データベースと連携させたり、入力データに対してバリデーションを行ったり、JSON形式のレスポンスを返したりなど、さらに機能を拡張していきます。 初心者の皆さんは、まずこうしたシンプルなAPIの仕組みを理解するところから入るのがいいのではないでしょうか。

フロントエンドとの連携パターン

フロントエンドからAPIを呼び出す

フロントエンドがReactやVue.jsで構築されている場合、JavaScriptの関数を使ってSpring BootのAPIを呼び出します。 ここでは、Reactのコンポーネントから fetch を使ってデータを取得する例を示します。

import React, { useEffect, useState } from "react";

function HelloComponent() {
  const [message, setMessage] = useState("");

  useEffect(() => {
    fetch("/hello")
      .then((response) => response.text())
      .then((data) => setMessage(data))
      .catch((error) => console.error(error));
  }, []);

  return (
    <div>
      <h2>{message}</h2>
    </div>
  );
}

export default HelloComponent;

この例では、コンポーネントがマウントされたタイミングで /hello にGETリクエストを送り、その結果を表示しています。 それぞれのフレームワークによってAPI呼び出しの方法は多少異なりますが、考え方は共通です。 多くの場合、Spring BootのコントローラーでJSONを返すようにすれば、フロントエンドで自由にデータを加工できます。

CORS設定

フロントエンドとバックエンドが同一ドメインで動くならあまり困りませんが、別々のドメインやポートで開発を進めるとCORS(クロスオリジンリソース共有)の制限に引っかかることがあります。 こうした場合は、Spring Boot側で @CrossOrigin アノテーションをつけたり、セキュリティ設定を行ったりして、許可したいオリジンを設定することで対応できます。

@RestController
@CrossOrigin(origins = "http://localhost:3000")
public class HelloController {
    // ...
}

プロジェクトのポリシーに合わせて、特定のドメインだけを許可したり、ヘッダーやメソッドを制限したりすることが多いです。 現場では複数のサービス間通信が必要な場合があるので、事前にCORSを意識しておくとスムーズですね。

よくある疑問

フロントエンドをどれにするべきか迷うことはないでしょうか。 小さなフォーム程度なら、サーバーサイドレンダリング(Thymeleaf)だけでも十分です。 しかし、ユーザー操作が頻繁かつ画面遷移が複数あるような場合は、ReactやVue.js、Angularなどを使うSPAのほうが開発効率が上がりやすいです。

もう一点、フロントエンドのビルド成果物をSpring Bootでまとめて配信するか、それとも別のサーバーで配信するかを判断することも重要です。 プロジェクト規模が大きい場合、フロントエンドを専用のリポジトリで管理し、別のホスティングサービスでデプロイする例が多く見られます。 一方、個人開発や小規模な社内ツールなら、Spring Bootの static フォルダにビルド成果物を置いて配信することもシンプルで便利です。

1つのプロジェクト内に複数のフロントエンドフレームワークを混在させると、管理が煩雑になりやすいです。 将来的なメンテナンスやチームメンバーのスキルセットも考慮し、1つに絞ってスタートするほうが安心でしょう。

まとめ

Spring Bootとフロントエンドの組み合わせは、個人の学習から企業の大規模システムまで幅広く利用されています。 サーバーサイドでHTMLを生成する手法や、ReactやVue.jsのようなSPA、あるいは単純な静的配信など、多彩なアプローチが存在するのが特徴です。 プロジェクトの規模感や要件、開発チームの好みによって最適な方法を選ぶとよいでしょう。

初心者の皆さんは、まずはSpring Bootのコントローラーを作り、簡単なAPIを用意して、それをフロントエンドから呼び出す流れを理解するところから始めてみてください。 こうした連携の仕組みがつかめると、今後の学習や実務での応用がしやすくなっていきます。 そのうえで、サーバーサイドレンダリングやSPAなどの方法を適宜取り入れ、段階的に理解を深めていけば大きなトラブルにも発展しにくいでしょう。

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