Pythonでファイルが存在するか確認する方法【初心者向けに解説】

はじめに

プログラミングでファイルを扱うとき、特に「ファイルがちゃんと存在しているかどうか」を気にすることは少なくないでしょう。
例えば、ログファイルを解析したいときや、外部から受け取ったデータを読み込んで処理したいときなどに、ファイルの有無をチェックする場面が出てきます。
Pythonでは、ファイルの存在確認を行う方法がいくつか用意されています。
どれもシンプルに実装できますが、要件によって使い分けることで、より堅牢なコードを書くことが可能です。

実務においては「指定パスがディレクトリなのか、ファイルなのか」といったチェック、あるいは存在しなかった場合の代替措置などを考慮する必要があります。
そうした点を踏まえると、単純にファイルがあるかどうかを確かめるだけでなく「存在しない場合の処理フロー」を明確にしておくことが大切です。

このようなファイルの存在確認は、データ分析の事前処理、スクレイピング結果の保存や読み取り、Webアプリケーションの設定ファイル読み込みなど多様なシーンで役に立ちます。
ここでは、これからPythonを始める初心者の方でもわかりやすいように、具体的なコード例や実務での活用イメージを交えて解説します。

この記事を読むとわかること

  • Pythonでファイルの存在を確認する基本的な方法
  • osモジュールとpathlibモジュールの違いと特徴
  • ファイルが存在しなかった場合のエラー処理や実務での使いどころ
  • 実務のユースケースを踏まえた利用例

ファイル存在確認が必要になる実務シーン

実際に開発現場で「ファイルが存在するか」をチェックする場面は、いろいろあります。
例えば次のようなケースです。

1. ログ解析やレポート作成

取得したログファイルを自動で処理するスクリプトを用意するとき、ファイルの有無を確かめてから読み込む必要があります。
存在しないパスを指定してしまうと処理が途中でエラーになり、後続のバッチ処理も止まってしまうかもしれません。

2. 設定ファイルや認証情報の読み込み

例えばアプリケーションの初期設定を行うJSONやYAMLなどのファイルを読み込むスクリプトを書いている場合、ファイルが用意されているか確認しないと動作に影響が出ます。
事前にファイルが存在しなければ、別の標準設定を読み込む処理に切り替えるといった工夫が必要になるでしょう。

3. スクレイピングやデータ収集の結果確認

定期的にWebページからデータを取得して保存するスクリプトを組んでいるとき、想定通りデータが保存されているかを確かめながら処理を進めることがあります。
取得に失敗してファイルがない状態だと、後続の解析処理を誤って実行しないようにするためのチェックが欠かせません。

このように、ファイル操作が絡む処理には、ファイルがちゃんとあるかどうかを先に判断する手順がしばしば必要になります。
ここからは、Pythonでファイルの存在を確認する際に使える代表的な方法を紹介していきます。

os.path.existsでファイルの存在確認をする

最も有名な方法の一つとして os.path.exists を使うやり方があります。
import os でモジュールを読み込み os.path.exists(パス) を呼び出すだけで、ファイルでもディレクトリでも、指定したパスが存在するかどうかを真偽値で返してくれます。

import os

file_path = "sample.txt"

if os.path.exists(file_path):
    print("ファイルが存在します。")
else:
    print("ファイルが存在しません。")

このコードでは、 os.path.exists(file_path) が True であれば「ファイルもしくはディレクトリとして存在している」ことを意味します。
実務上は、ファイルであるか、ディレクトリであるかを区別したいケースも多々あるので、必要に応じて以下のような関数を使います。

  • os.path.isfile : 指定したパスが「ファイル」であれば True
  • os.path.isdir : 指定したパスが「ディレクトリ」であれば True

つまり、「絶対にファイルであることを確認したい」「フォルダが指定されるのは困る」というシーンならば、 os.path.isfile(file_path) を使うと確実です。

実務でよくある使い方と注意点

ログファイルを取り扱うスクリプトであれば if os.path.isfile(log_path): ... のように書くことで「本当にファイルがあるのか」「もしなければ新たに生成するかどうか」といった分岐が可能です。
ただし、ファイルパスのスペルミスや予期しないフォルダ構造になっていないかなど、存在確認の前段階で正しいパスを把握する必要があります。

import os

log_path = "/var/logs/custom_log.txt"

if os.path.isfile(log_path):
    # ファイルがある場合の処理
    with open(log_path, "r", encoding="utf-8") as f:
        content = f.read()
        print(content)
else:
    # ファイルがない場合の処理
    print("ログファイルが見つかりませんでした。")

実務では、上記のように読み込む手順の前で存在確認をするパターンが多いでしょう。
もしファイルが見つからなければ、代わりに標準のエラーログを読み込むとか、空のファイルを生成しておくなど、対応策が考えられます。

pathlibを使ったファイル存在確認

Python 3系では pathlib モジュールが推奨されることも多いです。
os.path のような手続き的なコードを書くよりも、オブジェクト指向的にパスを取り扱えるのが利点です。

from pathlib import Path

file_path = Path("sample.txt")

if file_path.exists():
    print("ファイルまたはディレクトリが存在します。")
else:
    print("ファイルまたはディレクトリが存在しません。")

Path(パス) はファイルパスやディレクトリパスを表すオブジェクトを生成し、 exists() メソッドを呼び出すことで、存在の有無を確認できます。
こちらも同様に、ファイルかディレクトリかを判別したいときは is_file()is_dir() が使えます。

if file_path.is_file():
    print("これはファイルです。")
elif file_path.is_dir():
    print("これはディレクトリです。")
else:
    print("ファイルでもディレクトリでもありません。")

pathlibを使うと、パスの結合や分割、親ディレクトリの参照などが簡潔に書けます。
複数のファイル操作をまとめて行うときに便利なので、実務ではこちらを好むエンジニアも少なくありません。

try-exceptでファイル存在をチェックする方法

ファイルがあるかどうかを確認するだけなら、 os.path.exists()Path().exists() を使うのが普通です。
しかし、あえて直接 open() してみて、ファイルがなければ FileNotFoundError が発生する、という流れで存在チェックを行うこともあります。

file_path = "data.csv"

try:
    with open(file_path, "r", encoding="utf-8") as f:
        data = f.read()
    print("ファイルの読み込みに成功しました。")
except FileNotFoundError:
    print("ファイルが存在しません。")

この書き方のメリットは、ファイルの存在を確認する「ついで」に読み込みまで一気に行える点です。
「ファイルの有無を調べてから、読み込みを実行し、もし存在しなかったら何らかの処理をする」というステップを、ひとつのトライブロックにまとめられます。

一方で、実際にファイル操作を試みるので、存在確認だけをやりたい場合には無駄が生じるケースもあります。
大きなファイルを開く処理が多量に走るようなスクリプトでは、パフォーマンス面で注意しましょう。
最終的には、状況に応じて os.path.exists()Path().exists() と使い分けると良いでしょう。

ファイルの存在確認と排他制御

複数のプログラムやスレッドが同時に同じファイルを操作するケースでは、ファイルがあるかどうかをチェックした瞬間に、別の処理がファイルを削除してしまうかもしれません。
こうした問題は 競合状態(race condition)と呼ばれます。

排他制御が必要な場合は、単純に os.path.exists() で確認するだけでは安全とは言えません。
ロックファイルを使ったり、データベースで状態管理を行うなど、別の仕組みが必要になることがあります。
例えば、次のようにファイルを書き込み専用で開いてロックを取得する処理を準備した上で操作を行うケースが考えられます。

import fcntl

file_path = "sample.txt"

with open(file_path, "a+", encoding="utf-8") as f:
    fcntl.flock(f, fcntl.LOCK_EX)
    # ここでファイルに書き込みや読み込みを実施
    # ...
    fcntl.flock(f, fcntl.LOCK_UN)

上記では、ファイルを開いてから fcntl.flock() を使って排他ロックをかけています。
もちろんファイルが存在しない場合はエラーになるので、実務では「存在確認」+「必要があれば新規ファイル作成」+「ロックをかけて操作」の順で処理する流れが多いです。

ファイルパスがシンボリックリンクの場合

Python では、シンボリックリンク(ショートカットのように別の実体を参照しているファイルパス)も扱えます。
os.path.exists()Path.exists() でシンボリックリンク先の実体が存在しなければ False となります。
シンボリックリンクそのものを対象に扱いたい場合は、リンク先ではなくリンク自体が存在するかを見るために Path.is_symlink()os.path.islink() を利用することもあります。

import os

symlink_path = "sample_link"

if os.path.islink(symlink_path):
    print("シンボリックリンクです。")
    if os.path.exists(symlink_path):
        print("リンク先も正しく存在します。")
    else:
        print("リンク先が見つかりません。")
else:
    print("シンボリックリンクではありません。")

ファイル操作の中には、リンクを辿って操作すべき場合と、リンクはリンクとして扱いたい場合があるため、意図に応じて関数を使い分ける必要があります。

ディレクトリごと存在をチェックしたい場合

ディレクトリの存在確認も、ファイルの場合とほとんど同じです。
os.path.isdir()Path.is_dir() を使うことで、指定パスがディレクトリとして存在するかどうかを調べられます。
例えば、バックアップのためにフォルダを自動生成するときは次のようなコードが考えられます。

import os

backup_dir = "backup"

if not os.path.isdir(backup_dir):
    os.makedirs(backup_dir)

print("バックアップフォルダの準備が整いました。")

このように「存在しないなら作る」という流れを組み込み、スクリプトの使い勝手を上げることもよくあるパターンです。

globやrglobを使った応用的な存在確認

特定のファイル名が大量にあるフォルダで、ワイルドカードを使って存在確認したいケースもあります。
例えば「拡張子が .txt のファイルがひとつでもあるかどうか」をチェックするとき、 glob モジュールや pathlibrglob() を使う方法が活用できます。

from pathlib import Path

target_dir = Path("logs")
txt_files = list(target_dir.glob("*.txt"))

if len(txt_files) > 0:
    print("txtファイルが存在しています。")
else:
    print("txtファイルが見つかりませんでした。")

ここでは、「指定ディレクトリ内に .txt の拡張子を持つファイルが少なくとも1つあるか」を調べているイメージです。
大量のログファイルから条件に合うものを探したいとき、あるいはファイル名に日付が含まれているパターンを探したいときなどに便利でしょう。

ネットワークドライブやリモートパスへの注意点

実務では、ファイルがローカル環境だけでなく、ネットワークドライブやクラウドストレージにある場合があります。
その場合、単に os.path.exists() を呼ぶだけでは一瞬レスポンスが遅れるかもしれません。
ネットワークの通信状況に左右されるので、スクリプト全体の実行速度に影響する可能性があります。

例えば、社内LAN上の共有フォルダを使っていると、アクセスが集中する時間帯だと反応が悪くなることがあります。
こうしたリモートパスにアクセスする際は、最適なタイミングで存在確認を行い、必要があればリトライやタイムアウトを設けるなどの工夫が必要です。

ネットワーク障害が起きた場合、ファイルが「存在しない」わけではないのに、エラーが起きることがあります。
そのため実務では、単純なファイル存在チェックの結果だけでなく、通信トラブルなど他の要因も視野に入れた例外処理を検討しておくと良いでしょう。

ファイル存在をチェックしたあとに行う処理

ファイルの存在確認はあくまで最初のステップです。
実務では、その後に読み込みや書き込みといった操作を行い、処理結果をどこかに保存するといった流れが一般的でしょう。
もしファイルがないなら、ユーザーに通知する、または別の処理に切り替えるなど、後続の動きがセットになっていることがほとんどです。

例えば、バックアップのスクリプトなら「バックアップ対象のファイルがあるかどうか」をチェックし、存在しない場合はログを残して次のファイルに進む、といったフローを組み込むはずです。
バッチ処理や自動化スクリプトの安定稼働を目指すなら、ファイル存在チェック後のルート分岐を丁寧に扱うことがとても重要です。

冗長化やバックアップに対する考え方

システムが大きくなるほど、万が一ファイルが失われた場合に備えて、バックアップ体制を整える必要があります。
バックアップがある前提であれば、「もしファイルが存在しなかったらバックアップから復元する」という選択肢が持てるでしょう。

例えば、データベースのスナップショットやクラウドのオブジェクトストレージに定期的に保存している場合、必要であればそこから復旧できるかもしれません。
このように、ファイル存在チェックだけでなく、ファイルが消えたときの代替策を考えておくことで、トラブルを最小限に抑えられます。

Pythonスクリプト全体の流れを設計するときのポイント

ファイルの存在確認をスクリプトのどの段階で行うか、その結果をどう扱うかをあらかじめ設計しておくと、想定外のエラーを未然に防ぎやすくなります。
設計段階で気をつけたいポイントをまとめると、次のようになります。

1. パスの指定ルールを明確にする

絶対パスを使うのか、相対パスを使うのか、環境変数で切り替えるのかなど、プロジェクトの方針を決めておきましょう。

2. ファイルが見つからない場合のフロー

例外を投げて上位でキャッチするのか、代替ファイルを使うのかなど、事前に運用ポリシーを固めておくとよいです。

3. 操作時の排他制御

同時アクセスが想定されるなら、ロックの仕組みやデータベースでの状態管理を検討します。

4. エラー情報のログ化

ファイルが見つからなかった場合、なぜ存在しないのか調査できるように、エラーメッセージやログを記録します。

こうした基本的な点を押さえておくと、実務で必要になるファイル操作系のスクリプトを安全に書ける可能性が高まるでしょう。

よくある落とし穴:隠しファイルや権限の問題

ファイルが「存在する」かどうかの判定は、実はファイルパーミッションの影響も受けます。
ユーザーに読み込み権限がない場合、存在はしていても読み込めない状況に陥るかもしれません。
この場合、 os.path.exists() は True を返しても open() がエラーを出すという事態になります。

また、Windows環境では隠しファイルやシステムファイルにアクセスする際に注意が必要です。
これらもPython上では普通に扱うことができますが、システム保護機能が働いていると操作が制限されることがあります。

ですから、ファイルの存在確認と合わせて「読み書きできる権限があるかどうか」をチェックすることが大事です。
例えば、UNIX系OSであれば os.access(file_path, os.R_OK) などで読み取り可能かを確認できます。

import os

file_path = "secret_data.txt"

if os.path.exists(file_path) and os.access(file_path, os.R_OK):
    print("ファイルが存在し、かつ読み取り可能です。")
else:
    print("ファイルがない、または読み取り権限がありません。")

実務では、こうした権限周りの問題も含めてファイル操作を管理していくことになります。

テストコードでのファイル存在確認の扱い

自動テストを書くとき、ファイルの存在を前提とした処理を検証するケースもあります。
例えば、特定の機能をテストするときに仮のファイルを作り、処理を実行して結果を確かめる方法が一般的です。
その際、テストコード内でファイルの存在を確認してから読み込む流れを組み込みます。

テスト環境では、一時ディレクトリ(テンポラリフォルダ)を用意し、そこにファイルを作成してからスクリプトを呼び出すことが多いです。
処理が終わったら一時ファイルを削除する、という手順をしっかり行うことで、テストの副作用を最小限に抑えます。

ファイル操作を伴うテストでは、環境依存の問題を減らすためにDockerコンテナや仮想環境を使い、一貫したパスや権限を再現する工夫がよく行われます。

WindowsパスとUnix系パスの違い

Pythonのファイル存在確認を行うとき、Windows環境とUnix系(macOSやLinux)環境でパスの書き方が違います。
ただし os.pathpathlib は基本的にOSに合わせてパス区切り文字(\/)を補正してくれるので、通常はあまり意識しなくても動作します。

from pathlib import Path

# Windowsなら "C:\\path\\to\\file.txt" のように書いてもOK
# macOSやLinuxなら "/Users/username/file.txt" のように書く

path_obj = Path("C:/Users/username/file.txt")

print(path_obj.exists())  # OSに合わせて判定してくれる

複数のプラットフォームで同じスクリプトを動かすなら、なるべく Path を活用してパスを扱うのがおすすめです。
変に手動で \/ を切り替えようとすると、可搬性が落ちる原因になるからです。

実務で使う上でのまとめとベストプラクティス

最後に、Pythonでファイルが存在するかどうかをチェックするときのベストプラクティスをいくつか挙げます。

1. pathlibを積極的に使う

パスの結合や分割、存在確認などをオブジェクト指向的に書けるため、可読性や保守性が高まりやすいです。

2. ファイルとディレクトリの区別を明確にする

exists() だけでなく is_file()is_dir() をきちんと使い分けることで、予期せぬフォルダを操作してしまうミスを防ぎましょう。

3. try-exceptを上手に活用する

存在確認のついでに実際の読み込みや書き込みをするなら、 FileNotFoundError をキャッチして処理を切り替えるのも有効です。

4. 排他制御や権限の問題を意識する

複数プロセスが同時にファイルを扱うならロック機構を検討し、またアクセス権限を含めたエラー処理を実装しておくと安心です。

5. ネットワーク環境の遅延や障害に備える

リモートフォルダやクラウドストレージを扱う場合は、ファイル存在確認に時間がかかったり失敗したりすることを想定しておく必要があります。

こうしたポイントを踏まえてファイル操作を実装すると、エラーや想定外の動作を減らし、安全にデータを取り扱うことができます。

まとめ

この記事では、Pythonにおけるファイルの存在確認の方法を初心者向けに解説しました。
os.path.exists()pathlib.Path.exists()、あるいは try-except で直接 open() してチェックする方法など、状況に応じた実装が可能です。
さらに、実務のシーンを意識すると「ファイルが存在するかどうか」だけではなく、「ファイルかディレクトリか」「権限は十分か」「ネットワーク環境に問題はないか」など、総合的に判断する必要が出てきます。

ファイル操作はプログラムの基盤とも言えます。
エラー処理や排他制御を丁寧に組み込むだけでも、現場でのトラブルを大幅に減らせることはよくあります。
これからPythonを使ってさまざまな開発や自動化スクリプトを作る方は、ぜひ今回紹介したファイル存在確認の手法を活用しつつ、堅牢なコードを書いてみてください。

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