【Python インストール linux】初心者向けにわかりやすく解説

はじめに

LinuxでPythonを利用する場面は多いかもしれません。
たとえばデータ分析や機械学習、Webアプリケーションの開発など、さまざまなシーンでPythonが活躍しています。
ただ、そもそもPythonがインストールされていない環境ではどうすればいいのか悩むこともあるのではないでしょうか。

ここでは、Linux環境におけるPythonのインストール方法を初心者の方でも理解しやすいように整理してお伝えします。
よく使われるパッケージマネージャーを使う方法から、ソースコードをコンパイルする方法まで、一歩ずつ見ていきます。

この記事を読むとわかること

  • PythonをLinux環境で使うメリット
  • パッケージマネージャーを使ったPythonのインストール手順
  • ソースコードからのインストール手順
  • バージョンの切り替えと管理のポイント
  • インストール後に最低限行っておきたい動作確認の手順

PythonをLinuxで使うメリット

Pythonは汎用的なプログラミング言語として、多種多様な分野で使われています。
Linuxはサーバー運用や開発の現場で利用されることが多いですので、両者を組み合わせることで次のようなメリットが期待できます。

安定した開発環境

Linuxサーバー上での開発は、余計なサービスを入れずに必要最低限の環境を構築できるため、安定性に優れています。
そのうえでPythonをセットアップすると、追加のツールやライブラリもスムーズに導入できます。

パッケージ管理が容易

各ディストリビューションごとに豊富なパッケージが用意されており、コマンド一発でPythonを導入できる場合が多いです。
必要に応じて拡張パッケージもインストールしやすいでしょう。

サーバーサイド開発との相性

Webアプリケーション開発やスクリプトの実行など、サーバーサイドでPythonが必要なシーンは少なくありません。
Linux環境であれば、クラウド上のサーバーや仮想マシンを使って効率的に実行できます。

これらの理由から、Linux環境でPythonを使い始める人は多いです。
次の見出しでは、実際の導入方法について詳しく見ていきましょう。

Linuxディストリビューション別のパッケージマネージャー

Linuxには多くのディストリビューション(以下、ディストロと呼びます)が存在し、それぞれ標準のパッケージマネージャーが用意されています。
ディストロごとにコマンドが異なるため、最初は少し戸惑うことがあるかもしれません。

Debian/Ubuntu系の場合

Debian/Ubuntu系ディストロでは、主に apt が使われます。
システム全体をアップデートしつつ、Pythonを導入したい場合は以下のようなコマンドを実行します。

sudo apt update
sudo apt install python3

実務でも、単純なスクリプトを作りながらPythonの開発を行うケースは多いです。
たとえば、ログ解析をする簡単なスクリプトを書きたいときなど、素早く環境を整えたいときに有用です。

CentOS/RHEL系の場合

CentOSやRHEL(Red Hat Enterprise Linux)では yumdnf が利用されます。
最近のバージョンでは dnf が標準的ですが、操作は似ています。
以下は dnf を使う例です。

sudo dnf install python3

業務システムの保守など、安定稼働が求められる現場でよく利用されるディストリビューションです。
Pythonを使うことでログの集計や簡易的な管理ツールの作成を行い、業務を効率化する事例も多く見られます。

Fedoraの場合

Fedoraも dnf が標準です。
こちらもCentOS/RHEL系と似た操作で、以下のようにインストールします。

sudo dnf install python3

Fedoraは新しい技術をいち早く取り込みやすいディストロです。
そのため、学習目的や先端技術の検証としてPythonを使う方もいます。

openSUSEの場合

openSUSEでは zypper というパッケージマネージャーが採用されています。
インストールコマンドは次の通りです。

sudo zypper install python3

GUIツールとの連携も簡単なので、デスクトップ環境でLinuxを使いつつPython学習を進めたい人にも適しています。

Arch Linux系の場合

Arch Linux系のディストロ(Manjaroなどを含む)では pacman が使われます。
以下のように実行します。

sudo pacman -S python

Arch Linuxはロールイングリリース方式で、常にパッケージが更新され続ける特徴があります。
新しいPythonの機能を早めに試したい場合には適しているでしょう。

ソースコードからのインストール方法

パッケージマネージャーではなく、ソースコードからPythonをインストールしたいケースもあるかもしれません。
たとえば、ディストリビューションのリポジトリにあるPythonが少し古かったり、特定の機能が必要な場合が該当します。

ソースコードから導入する場合は、以下のステップを押さえましょう。

1. ビルドに必要な依存ライブラリのインストール

gccmake などのコンパイラ関連ツールが必要です。
ディストロに応じて必要パッケージをインストールしましょう。

2. ソースコードのダウンロード

Pythonの公式サイトからソースコードをダウンロードして、任意のディレクトリに展開します。

3. ビルドとインストール

展開したディレクトリで configure スクリプトを実行し、続いて makemake install を行います。

実行例は以下のような流れです。

# 必要パッケージのインストール例(Debian/Ubuntuの場合)
sudo apt update
sudo apt install build-essential libssl-dev libffi-dev zlib1g-dev

# ソースコードのダウンロードと展開(例)
wget https://www.python.org/ftp/python/3.x.x/Python-3.x.x.tgz
tar xvf Python-3.x.x.tgz
cd Python-3.x.x

# configureスクリプト
./configure --enable-optimizations

# makeとインストール
make
sudo make install

この方法によって、ディストリビューションに縛られずにインストールできます。
ただし、管理やアップデートは自分で行う必要があるため、運用管理の工数が増える可能性もあるので注意が必要です。

Pythonのバージョン切り替えと管理

複数のプロジェクトを並行して開発する場面では、Pythonのバージョンが異なることがあります。
その場合、システム全体に対して1つのバージョンだけをインストールしていると、衝突が発生してしまうかもしれません。

こういった衝突を回避するためには、仮想環境バージョン管理ツール を利用します。
代表例としては、仮想環境の構築ツールである venvvirtualenv、さらにバージョン管理に特化したツールとして pyenv などが存在します。

仮想環境を使う場合

開発環境とシステム環境を分離するために使われる方法です。
プロジェクトごとに仮想環境を作ることで、異なるライブラリバージョンを気軽に導入できます。

# プロジェクトディレクトリに移動して
python3 -m venv venv

# 仮想環境を有効化する(Linuxの場合)
source venv/bin/activate

# 仮想環境にパッケージを導入したい場合
pip install requests

仮想環境を抜けるときは deactivate を実行します。
業務ではプロジェクトごとのライブラリ依存関係を厳密に管理したいことが多いので、仮想環境はとても便利です。

バージョン管理ツール

pyenv は複数のPythonバージョンをシステム上に共存させ、それぞれ切り替えることができます。
開発プロジェクトによって必要なバージョンが異なる場合に役立ちます。

複数のプロジェクトで異なるPythonバージョンを使うことがあるなら、仮想環境だけでなくバージョン管理ツールの導入も検討しましょう。
一方で、ミスでシステムのPythonを上書きしないように注意が必要です。

インストール後の動作確認方法

Pythonをインストールしたら、まずは動作確認を行います。
簡単な方法としては、以下のコマンドを実行してバージョン情報が出るかを見る方法が一般的です。

python3 --version

バージョン情報が表示されれば、Pythonが正しく導入されていると考えられます。

また、対話モード(REPL)を起動して簡単なコードを試すこともできます。

python3
>>> print("Hello, Python!")
Hello, Python!

さらに、実務でのちょっとしたスクリプト を書いてみるのも一案です。
たとえば、テキストファイル内のキーワード出現回数をカウントするスクリプトや、フォルダ内のファイル名を一括で加工するスクリプトを数行で書くことも可能です。

インストールが完了したあとにこのようなスクリプトが動けば、環境がきちんと整っているといえるでしょう。

LinuxでPythonを活用する実務シーン

Linux環境上でPythonを活用する実務シーンとしては、次のようなものが挙げられます。

ログ解析・監視スクリプト

サーバー運用の現場ではログ分析が欠かせません。
Pythonで書かれたスクリプトを定期実行して、エラー検知やレポート生成をするケースはよくあります。

バッチ処理

バッチ処理をPythonで実装し、cronジョブなどで定期実行する方法が一般的です。
Linux環境は軽量なため、スクリプト実行用に最適と言えます。

Webアプリケーション開発

フレームワークを使ったWebアプリの開発・運用において、Linuxサーバーを利用することが多いです。
たとえばFlaskやDjangoなど、Python製のフレームワークを使用するときにもLinux環境での開発・本番運用がしやすいです。

これらを行うためには、Pythonの基本的なインストールだけでなく、ライブラリの管理やWebサーバーとの連携なども必要になります。
しかし、それらを試す前段階として、まずはPython本体が正常に動いているかを確認するところから始めましょう。

コード例:Hello Pythonプログラム

簡単な例として、Pythonの動作テスト用に "Hello Python" を表示するプログラムを作ってみましょう。
ファイル名を hello.py として、以下のようなコードを書きます。

print("Hello Python")

次に、ターミナルから実行します。

python3 hello.py

Hello Python と表示されれば成功です。
このように、最初の一歩としてシンプルなスクリプトを動かしてみる と、環境構築が正しくできているかどうかを確認しやすいでしょう。

トラブルシューティング

実行環境によっては、何らかの理由でPythonコマンドが正常に動かない場合があります。
ここでは、よくあるトラブルを簡単にまとめます。

パスが通っていない

場合によっては、パスの設定が正しく行われていないために、 python3 コマンドが認識されないことがあります。
そのときは which python3 を実行してインストールパスを確かめてみましょう。

もしパスに通っていなければ、シェルの設定ファイル(例: ~/.bashrc~/.zshrc など)にパスを追記して解決することが多いです。

依存ライブラリが不足している

ソースコードからPythonをインストールする場合、ビルドに必要なライブラリが足りないとエラーが発生する場合があります。
エラーメッセージに従い、不足しているパッケージを aptdnf などで導入し直すことを検討してください。

既存のPythonと衝突する

システム標準のPythonと、ソースコードから手動でインストールしたPythonが衝突する可能性があります。
その場合は、仮想環境やバージョン管理ツールを利用し、共存できるように工夫するとよいでしょう。

Linux環境によっては、システム内で既にPythonが動いているケースがあります。
既存のスクリプトに影響を与えないように、プロジェクト単位で独立した環境を作っておくのがおすすめです。

まとめ

ここまで、Linux環境にPythonをインストールする方法を中心に見てきました。
ディストリビューションごとにパッケージマネージャーを使う方法は最も手軽ですし、特定のバージョンが必要な場合にはソースコードからのインストールも検討できます。

作業現場では、複数バージョンの共存やライブラリの依存関係管理など、セットアップ時に気を配るポイントが存在します。
それでもPythonを使うことで、ログ解析やバッチ処理など、Linuxサーバー運用の効率を高められる可能性が広がるでしょう。

まずはシンプルなスクリプトから動かしてみると安心です。
ステップを踏んで環境構築を行いながら、自分の作業に合った方法を模索してみてください。

Pythonをマスターしよう

この記事で学んだPythonの知識をさらに伸ばしませんか?
Udemyには、現場ですぐ使えるスキルを身につけられる実践的な講座が揃っています。