【Python】整数の扱い方を基礎から使い方まで初心者向けに解説
はじめに
Pythonでは、文字列やリストなどいろいろなデータ型を扱えますが、整数は最も基本的な型の一つです。
プログラムの中で数値計算をするときはもちろん、ユーザーの年齢を扱うような場面などでも活躍します。
特に初心者の方は、「整数って具体的にどう使えばいいの?」と疑問に思うことがあるかもしれません。
この文章では、Python 整数を理解するうえで知っておきたい基本から、実際に使うときの注意点や演算までを説明していきます。
初心者でも無理なく学べるよう、短いコード例と実務に近い使い方をつなげながら解説していきます。
この記事を読むとわかること
- Python 整数の基礎的な仕組み
- 整数型でよく使われる演算方法
- 実務での活用シーンや注意点
- エラーが起きやすいケースと対処の考え方
ここからは、実際のコード例や実務における活用のイメージを通して、Python 整数の特徴を少しずつ整理していきましょう。
Python 整数の概要
Python 整数(int
型)は、四則演算や桁数の大きい計算でも使いやすいという特長があります。
他のプログラミング言語ではオーバーフローが発生してしまうようなケースでも、Python では桁数が大きくなるだけで簡単に扱えます。
例えば、業務で集計プログラムを組む際には、膨大な数値を一度に扱うことがあります。
こうした大量の計算処理でも、Python 整数は桁あふれを起こしにくいというメリットがあります。
金額計算やビッグデータの合計などを扱うときに、Python 整数の扱いやすさが力を発揮します。
実務でのよくある使用例
- 従業員の給与や売上データを合算するとき
- 年齢や在庫数など、日常的に扱う少し大きめの数値を集計するとき
- 機械学習や統計処理で大きな数値を扱うとき
もちろん、あまりに大きな数値を頻繁に扱い続けると、計算時間に影響が出る場合もあります。
しかし、最初のうちはそこまで気にしなくても大丈夫です。
まずは小さなプログラムで整数を安心して扱えることが、Pythonの強みの一つと考えてみましょう。
Python 整数を定義する
Pythonで整数を定義するときは、特別な構文を使わずとも代入すればOKです。
たとえば count = 10
と書くだけで、count
という変数に整数の 10 を割り当てられます。
count = 10 print(count) # 10
上の例では、count
に 10 が格納されています。
このとき count
は Python 内部で int
型として扱われるので、他の数値と四則演算をしたり、リストのインデックスに使ったりといった操作が行えます。
もし数値を文字列から変換する必要がある場合は、int()
関数を使います。
例えば、ユーザーから文字列として入力された「12」を整数に変換するときは次のようにします。
user_input = "12" age = int(user_input) print(age) # 12
これで age
は、ただの文字列ではなく 整数 として認識されます。
実務では、フォームやファイルから文字列を受け取って、その後 int 型に直す処理が多いです。
Python 整数の演算と活用シーン
整数を扱うからには、四則演算や応用演算を使いこなしたいところです。
実務の場面では、売上の合計や統計値を計算するなど、さまざまな用途が想定されます。
四則演算
Python で整数に対して四則演算(加算、減算、乗算、除算)を行う場合、基本的には以下の演算子を使います。
+
(加算)-
(減算)*
(乗算)/
(除算)
a = 15 b = 4 print(a + b) # 19 print(a - b) # 11 print(a * b) # 60 print(a / b) # 3.75
一つポイントなのですが、a / b
の結果は小数点を含む浮動小数型になります。
整数同士の除算でも、小数点以下が発生する場合は float
になるので気をつけましょう。
もし割り算の結果を整数で受け取りたい場合は、//
演算子(整数除算)を使います。
print(a // b) # 3
このようにすると、小数点以下は切り捨てて整数だけが返ってくるため、「レジの割り勘計算」を簡易的に実装するときなどに活用できます。
Python 整数では、マイナス方向の切り捨てに注意が必要です。
例えば -3.5 を整数除算で切り捨てると -4 になり、想像と違った値になることがあります。
剰余と累乗
業務システムやデータ処理では、剰余(余り)を求めることがあります。
たとえば棚に商品を何個並べられるか、何個あまるかといった計算などです。
Python で剰余を求めるには %
演算子を使います。
x = 17 y = 5 print(x % y) # 2
累乗については **
演算子を用います。
たとえば 2 の 3 乗であれば 2 ** 3
と書きます。
実務ではあまり頻繁に使わないかもしれませんが、アルゴリズムの検証をするときなど、意外に出番がある演算です。
base = 2 exp = 3 print(base ** exp) # 8
このあたりの演算を組み合わせると、簡単な集計処理から高度な数値処理まで柔軟に対応できるのが Python 整数の魅力です。
型チェックと型変換
先ほど少し触れましたが、Python では int
型と float
型の区別に気を配る必要があります。
整数を扱うつもりが、いつの間にか小数の計算になっていると、結果が思わぬ値になる場合があるからです。
num = 5 print(type(num)) # <class 'int'> result = num / 2 print(result) # 2.5 print(type(result)) # <class 'float'>
最初に int
型として宣言したつもりでも、割り算をするだけで float
型の値に変わることがあります。
これは、Python 自体の仕様なので特に問題はありませんが、小数点以下を含めたくない場合はあえて整数除算を使うなどの配慮が必要です。
type()
関数を活用する
実務では「この変数って本当に整数だっけ?」と確認したい瞬間がよくあります。
そんなとき type()
関数でデータ型を簡単に確かめることができます。
some_value = 10 print(type(some_value)) # <class 'int'>
他の型から整数へ変換するときは、int()
を使うのが基本です。
これは数字を表す文字列を扱うだけでなく、浮動小数点から整数に変換したいときにも有効です。
pi = 3.14 print(int(pi)) # 3
小数点以下がある場合は当然切り捨てられるので、計算処理でどのように丸めるかのポリシーがある場合は注意して使いましょう。
Python 整数の比較と条件分岐
Pythonでは、比較演算子を使うことで整数同士を比較し、その結果を条件分岐に活かすことができます。
具体的には、次の演算子をよく使います。
==
(等しい)!=
(等しくない)>
(より大きい)<
(より小さい)>=
(以上)<=
(以下)
これらを if 文などで組み合わせると、数値による判定が可能になります。
たとえば販売数が一定以上なら「特売品」として扱うようなロジックなどが考えられます。
threshold = 100 sales = 120 if sales >= threshold: print("特売品の基準を超えました") else: print("基準未満です")
このように、整数を判定基準にすることで、業務アプリケーションのロジックを組み立てていくケースは少なくありません。
例えば、会員ランクを整数の段階(1, 2, 3など)で管理するときも同じように比較演算が活躍します。
Python 整数の実務的な利用例
ここではもう少し実務に寄せた例をイメージしてみましょう。
といっても、難しいことをせずに、シンプルな計算や数値集計をするケースが最もよくあるかもしれません。
売上データの集計
たとえば、売上データが商品の個数と単価だけ入力された CSV ファイルだったとしましょう。
各行を読み込んで整数の個数、整数の単価を乗算することで売上金額を求めます。
最後にすべての行を足し合わせて合計を出すイメージです。
このような合計作業には、まさに +
や *
のような演算子と int()
での型変換を組み合わせます。
CSVファイルの読み込みコードまでは省略しますが、イメージとしては次のようになります。
total_sales = 0 # CSVから item_count, item_price を読み込んでいると仮定 item_count = 3 item_price = 250 total_sales += item_count * item_price item_count = 5 item_price = 100 total_sales += item_count * item_price print(total_sales) # 最高売上を求めるなどの集計に使える
実際にはもっと複数のレコードを繰り返し処理して合計を出すケースがほとんどです。
しかし、本質的には「整数同士の乗算と加算」で対応できる場面はたくさんあります。
在庫数の管理
在庫システムでも、追加注文があれば在庫に足し、出荷があれば在庫から引く処理を日々行います。
このときも、単純な加算や減算をするだけで管理ができます。
たとえばこんなふうに書くとイメージしやすいでしょう。
stock = 50 # 新たに10個入荷 stock += 10 # 3個の注文が入り出荷 stock -= 3 print(stock) # 57
必要に応じて在庫が一定数以下になったら「リオーダーをかける」というような条件分岐を加えれば、実用的な在庫管理の仕組みに近づきます。
整数関連のエラーと注意点
Python 整数は扱いやすいものの、いくつか注意点もあります。
大きな数値を扱いすぎると計算時間が気になる場合があります。
また、整数同士の除算が float
を返す点など、意外なところでつまずくケースもあります。
ゼロ除算
0
で割り算をすると ZeroDivisionError
というエラーが発生します。
たとえば平均値の計算などで分母が 0 になると、プログラムが停止してしまうかもしれません。
あらかじめ値をチェックしておくか、エラー処理を書くなどの対策が必要です。
マイナス値の扱い
在庫数を扱っているはずなのにマイナス値が記録されてしまう、というトラブルが発生する場合があります。
不適切な加算・減算が続くと、意図しない値になるので、ロジックをしっかり確認しましょう。
型変換忘れ
外部から取り込んだ値をそのまま計算に使おうとして、「文字列のままだった」というミスが起こることがあります。
ValueError
となりエラーが出たり、思わぬところでプログラムが止まったりするので注意します。
たとえば外部APIやファイル読み込みで得たデータは、文字列の場合がほとんどです。
すぐに使う予定があれば int()
による型変換のタイミングを明確にしておきましょう。
整数と浮動小数点を混在させるときのポイント
売上金額の計算などでは、消費税率などの小数を使いながら整数を扱うシーンが登場します。
例えば、以下のような例がわかりやすいかもしれません。
subtotal = 1000 # int tax_rate = 0.1 # float total_price = subtotal * (1 + tax_rate) print(total_price) # 1100.0
この計算結果は浮動小数点型になり、表示上は 1100.0
となるでしょう。
表示を整数にするには int()
を使うこともできますが、その際には小数点以下が切り捨てられるので、実務上は小数をそのまま保持したいケースも多いです。
要するに、「整数で完結したいのか、浮動小数点と組み合わせて使いたいのか」 をはっきりさせるのが重要です。
それが曖昧なままロジックを組むと、「消費税の計算がおかしくなる」などのトラブルが起こるかもしれません。
大きな整数とパフォーマンス
Python は他の言語に比べて、大きな整数を扱いやすい反面、極端に大きい値を扱うと計算に時間がかかります。
日常業務程度の集計なら問題ありませんが、天文学的に大きい数字の連続計算を行う場合は処理速度を考慮する必要があるでしょう。
ただ、多くの実務ではそこまで大きな整数を扱うことはめったにありません。
扱っても数千万~数億程度の範囲であれば、それほどパフォーマンスに影響は出ないことが多いです。
もし本当にビッグデータ級の計算をしたい場合は、整数を分割して計算するテクニックや、そもそも計算手法を見直すなど別のアプローチを検討するほうがいいでしょう。
整数のメソッドや周辺知識
実は、Python 整数を扱ううえで、あまり意識されない関数や周辺機能もいくつか存在します。
例えば、ビット演算子を使うことで、整数を二進数レベルで操作することもできます。
ただし、普段の業務でビット演算を使うことは珍しいので、必要になったときに思い出せば十分です。
a = 5 # 0b0101 b = 3 # 0b0011 print(a & b) # 1 (0b0001) print(a | b) # 7 (0b0111) print(a ^ b) # 6 (0b0110)
このように、整数同士を論理的に「AND」「OR」などの演算で結合することができます。
これはシステムプログラミングやマイコン制御の分野など、より低レベルな領域で威力を発揮する方法です。
まとめ
Python 整数は、初心者の方がプログラミングを学び始めるときに必ず触れる重要なデータ型です。
特別な宣言が不要で、単に代入するだけで使える点は、とてもシンプルに見えます。
しかし、四則演算や型変換、除算の挙動など、注意すべきポイントもいくつかあります。
普段の業務では、売上や在庫管理などで「少し大きめの数値を扱う」というシーンがよくあるかもしれません。
そんなときに Python 整数の利便性を知っていると、エラーが少なくスムーズに開発を進められるでしょう。
今後は、実際のプロジェクトなどで、どんなときに整数を使い、どんなタイミングで小数や他の型が必要になるのかも考えると、よりスキルを高められます。
まずは小さな計算や条件分岐から始めてみると、Python 整数の扱いやすさを体感できるのではないでしょうか。