【Python】形態素解析を初心者向けにわかりやすく解説
はじめに
自然言語処理の中でも、日本語の文章に対して行う作業としてよく登場するのが形態素解析です。
文章を単語単位に分割し、それぞれの単語がどのような品詞に属するのかを調べてくれる仕組みで、検索エンジンやチャットボット、SNS分析など幅広いシーンで活躍します。
英語などと比べると、日本語は単語の境界がわかりにくい言語だといわれることがあります。
そのため、機械的に文章を処理するには形態素解析が欠かせません。
そこで今回は、Pythonを使った形態素解析の基本的な仕組みや代表的なライブラリを紹介しながら、実務レベルでどのような場面に活用できるかをわかりやすく解説します。
「これから自然言語処理を学ぼうと思うけれど、まず何から始めればいいのか分からない」という方でも、ポイントを押さえればスムーズに始めることができます。
コードの書き方もシンプルなので、ぜひ一緒に確認してみてください。
この記事を読むとわかること
- Pythonで形態素解析がなぜ重要なのか
- 代表的な形態素解析ライブラリの概要と使い方
- 形態素解析の基本的な流れと実装方法
- 簡単なコード例を通じた仕組みの理解
Pythonで使われる形態素解析とは
日本語の文章を単語ごと、あるいは品詞ごとに区切って分析する作業が形態素解析です。
Pythonでは、この形態素解析を手軽に実施するためのライブラリがいくつか用意されています。
テキストを解析して文中の単語を抽出すれば、頻出するキーワードのランキングや、文章がどのような特徴を持っているかを定量的に評価できるようになります。
例えば、大量の口コミデータを対象にどの単語がよく出現しているかを調べることで、顧客が何に不満を持っているかを把握したり、SNS投稿から流行りの言葉を見つけ出したりすることができるでしょう。
このように、形態素解析は単なるテキストの分割だけでなく、文章から意味や特徴量を取り出すための重要なステップにもなります。
Pythonの文法は読み書きが比較的やさしく、豊富なライブラリにも恵まれているため、最初に学ぶ言語としても適しています。
形態素解析の基本的な仕組み
形態素解析は、大きく以下のステップに分けられます。
- 入力された文章を品詞辞書などに基づいて解析する
- 文章を単語単位に分割する
- 各単語の品詞(名詞、動詞など)を特定する
このような流れを実行するバックグラウンドでは、プログラム側で最適化されたアルゴリズムや辞書を利用して、正しい単語単位の切り方を決定しています。
Pythonでは、こういった複雑な手順をライブラリが担ってくれるので、ユーザーはシンプルにコードを呼び出すだけで済む場合がほとんどです。
形態素解析で使用される主要なライブラリ
Pythonで形態素解析を行う際には、いくつか代表的なライブラリが存在します。
以下に主なライブラリとその特徴を簡単に紹介します。
Janome
純粋なPythonで開発されている日本語の形態素解析エンジンです。
外部のシステムを必要としないため、セットアップが比較的シンプルという利点があります。
サーバー環境で動かしやすいという特徴もあり、運用の手間を極力減らしたい場合に向いています。
MeCab
日本語の形態素解析ツールとして広く知られています。
Pythonで利用するためにはmecab-python3
などのパッケージをインストールし、PythonからMeCabライブラリを呼び出します。
解析性能の高さや柔軟なカスタマイズが魅力です。
spaCy
自然言語処理全般を強力にサポートしてくれるライブラリのひとつです。
英語だけでなく日本語にも対応しており、形態素解析はもちろん、依存構造解析やベクトル表現を用いた高度な処理も含めて幅広い機能を提供します。
NLTK (Natural Language Toolkit)
自然言語処理に特化したライブラリの代表格です。
英語圏で特に人気が高く、日本語を扱う際には追加の手順や辞書設定などが必要になる場合があります。
しかし、形態素解析よりも文章全体の分割(文の分割など)や統計処理の補助を得意としているため、他ライブラリとの組み合わせで使うケースもあります。
JanomeやMeCabはいずれも日本語に特化していることが大きな特徴です。 インストール後、基本的にはコード上で簡単なメソッドを呼び出すだけで形態素解析が可能になります。
Pythonで形態素解析を行う基本的な流れ
形態素解析を実装する際の全体像を把握しておくと、実務や学習の場面でスムーズに進められるはずです。
ここではシンプルなステップとしてまとめてみます。
ライブラリのインストール
環境によってはあらかじめインストールされていない場合が多いので、まずは目的のライブラリをインストールしましょう。
たとえば、Janomeを使うなら次のようにします。
pip install Janome
MeCabを利用したい場合は、事前にMeCab自体のインストールと、Pythonで扱うためのパッケージを入れる必要があります。
環境によってコマンドが少し異なることがあるため、手順書などで確認するとよいでしょう。
Pythonコードで文章を解析
ライブラリを導入したら、あとはPythonコードを使って文章を解析するだけです。
行いたい処理の流れは、大まかに以下の3ステップになります。
- テキストの読み込み
- ライブラリを使ってテキストを形態素解析
- 解析結果をリストなどに格納したうえで、必要に応じて品詞ごとに分割・集計
このとき、処理対象の文章が大量にある場合は、繰り返し構文を使って一行ずつ解析することが多いです。
単語の出現頻度を計算したい場合は、Pythonの辞書型などと組み合わせてカウントを行うケースが一般的です。
形態素解析の活用例
実際の現場では、形態素解析の活用シーンは多岐にわたります。
いくつか具体的な例を見てみましょう。
SNS分析やクチコミ解析
TwitterなどのSNS投稿や、ECサイトのレビューを解析する場合、文章を単語単位に分割してどんな内容が書かれているのかを視覚化したい場面があります。
例えば「商品名」と「安い」という単語が一緒に多く使われている場合には、値段に関する投稿が集中していることが推測できます。
こうした形態素解析の結果は、後のマーケティング施策に役立つでしょう。
検索エンジン向けの文章解析
サイト内の文章を解析して、どの単語がどれくらい含まれているかを把握する場面があります。
これにより、ユーザーが検索しそうなキーワードに対する対策を立てることが可能です。
とくに日本語は単語同士の区切りが曖昧なため、文章が多いプロジェクトでは形態素解析が有用です。
チャットボットやQAシステム
ユーザーからの問い合わせ文を形態素解析によって単語単位に分割し、ユーザーの意図を判別する仕組みに応用されます。
自然言語処理の入り口として、多くの開発現場で導入されているテクニックです。
コード例:実際にPythonで形態素解析をしてみよう
ここでは、JanomeとMeCabの2つについて、形態素解析のコード例を見てみます。
あくまでサンプル的な内容なので、実際にはプロジェクトの要件や環境に応じて変えてみてください。
Janomeを使う場合
from janome.tokenizer import Tokenizer text = "Pythonで形態素解析を実行して、日本語の文章を分割してみましょう。" tokenizer = Tokenizer() tokens = tokenizer.tokenize(text) for token in tokens: print(token.surface, token.part_of_speech)
上記の例では、文章に含まれる単語と、その単語の品詞(名詞、動詞など)が表示されます。
token.surface
で単語の文字列を取得し、token.part_of_speech
で品詞情報を得ることができます。
MeCabを使う場合
import MeCab text = "自然言語処理は多様な分野で活用される技術です。" mecab = MeCab.Tagger() parsed = mecab.parse(text) print(parsed)
MeCabの場合は、標準出力に解析結果がずらっと表示される形式になっています。
単語単位に分割され、各単語が持つ品詞情報などがタブ区切りで出力されます。
この結果をさらにプログラムで処理して、特定の品詞だけを抽出するといった応用も可能です。
MeCabの導入時には環境によって依存パッケージが必要になる場合があります。 インストールでつまずいた際はエラーメッセージを確認し、必要に応じて追加のセットアップを行いましょう。
まとめ
ここまで、Pythonを使った形態素解析の概要やライブラリ、具体的なコード例などを紹介しました。
形態素解析は初めて取り組むときに少しハードルを感じる方が多いかもしれませんが、ライブラリの設定さえ終われば基本的な解析はシンプルなコードで実現できます。
実際の現場では、大量の文章を扱うこともあるでしょう。
そういったケースでは、形態素解析のパフォーマンスを意識した処理や、辞書のチューニングが必要になる場合もあります。
しかしまずは小さな例から始めて、単語がどのように分割され、どの品詞に分類されるかを掴むところから進めるのがおすすめです。
Pythonの文法自体は初心者でも学びやすく、形態素解析ライブラリも複数存在しているため、自分に合った選択を見つけることができるはずです。
機能を使いこなしていけば、文章分析や自然言語処理の応用範囲が一気に広がります。
この記事の内容をきっかけに、まずは手元で形態素解析のコードを試してみてください。