【Python】プログレスバーで進行状況をわかりやすく表示する方法を初心者向けに解説

はじめに

Pythonでファイルダウンロードやデータ加工を行うとき、どの程度の処理が完了しているのかを知りたいと感じることはないでしょうか。

このようなときに便利なのが、プログレスバーを用いる方法です。

プログラムがどれくらい進んでいるかを可視化することで、作業の目安が立てやすくなります。

本記事では初心者の方でも理解しやすいように、プログレスバーを使った具体的な実装例をいくつか紹介します。

併せて、実務での活用場面もイメージしやすいように解説していきます。

この記事を読むとわかること

  • Pythonでプログレスバーを表示するメリット
  • よく使われるライブラリtqdmの基本的な使い方
  • シンプルなコードを使った手動実装の例
  • 実務での活用場面や導入時の注意点

これらを踏まえて、プログレスバーを導入すれば、ユーザーにとっても開発者にとってもストレスなく処理の進捗を把握できるようになるはずです。

プログレスバーの基本的な役割

プログレスバーの役割は、処理の進行度合いを視覚的に示すことです。

例えば、数万行に及ぶデータの処理や、ファイルのアップロード・ダウンロードの待ち時間など、プログラムがどれだけ動いているのかをわかりやすく表示します。

こうした仕組みを導入すると、実務でも「あと何分くらいで終わるだろう」といった目安がつけやすくなります。

また、進捗を可視化することでユーザーのストレスを減らせる点も大きなメリットです。

プログレスバーがよく使われるシーン

プログレスバーは処理時間が長めのタスクで役立ちます。

例えば以下のような場面で実装を検討してみると良いでしょう。

  • 大規模データの集計や変換を行うバッチ処理
  • ネットワークを介したファイルアップロードやダウンロード
  • 画像や動画のエンコード・変換
  • Webアプリケーションでのバックエンド処理の進捗可視化

これらのシーンでは、単に標準出力にログを表示するだけでは分かりにくいことが多いです。

その点、プログレスバーであれば、一目で「何割ほど進んだか」を把握できます。

ライブラリを使ったプログレスバーの表示方法(tqdm)

プログレスバーを導入するうえで、多くの方が利用するライブラリに tqdm があります。

シンプルな書き方でプログレスバーを表示でき、利用方法もわかりやすいです。

tqdmのインストール方法

tqdmを利用する場合、あらかじめパッケージをインストールしておきます。

pip install tqdm

これだけで準備は完了です。

あとは、Pythonコードの中でtqdmをインポートして使用します。

tqdmの基本例

tqdmを使うと、ループ処理に対してプログレスバーを付けることができます。

from tqdm import tqdm
import time

for i in tqdm(range(100)):
    # 何らかの処理(時間のかかる処理を想定)
    time.sleep(0.01)

上記のコードでは、range(100)のループに合わせてプログレスバーが表示されます。

あえて少し待ち時間を設けるためにtime.sleep(0.01)としています。

画面上に「進捗率」と「経過時間」「残り時間の推定」などが自動で表示され、とてもわかりやすいです。

シンプルなコードでプログレスバーを手動実装する

ライブラリを使わずに、最低限のプログレスバーを表示したい場合はどうすればよいでしょうか。

シンプルな実装例を見てみます。

import sys
import time

total = 50

for i in range(total + 1):
    # 現在の進捗を計算
    progress = (i / total) * 100
    
    # バーの長さを決定
    bar_length = 20
    filled_length = int(bar_length * i // total)
    bar = "#" * filled_length + "-" * (bar_length - filled_length)

    # コンソールに上書き表示
    sys.stdout.write(f"\r進捗: [{bar}] {progress:.1f}%")
    sys.stdout.flush()
    
    # 適当な処理
    time.sleep(0.05)

このコードは外部ライブラリを使わずに、ループ回数に応じて棒グラフを生成し、進捗状況とパーセンテージをコンソールに出力しています。

sys.stdout.write()sys.stdout.flush()を組み合わせることで、同じ行を更新する仕組みになっています。

実務でデータ処理を行うときに、ちょっとした目安を表示したい場合などに役立つでしょう。

プログレスバーを導入するメリット

プログレスバーを導入することで、ユーザーに対して「どれだけ待てば終わるか」を示すことができます。

これは長時間かかる処理があるプログラムでは、とても重要な要素です。

また、開発者自身も処理がどこまで進んでいるかを把握できるため、不具合の予兆やボトルネックを見つけやすくなります。

時間がかかるタスクの途中経過を「ただ待つ」のではなく、きちんと数値で見えるようにすることで安心感も得られます。

他のプログレスバー系ライブラリに触れる

Pythonではtqdmのほかにも、プログレスバーを扱うためのライブラリが存在します。

名称や特徴はさまざまですが、見た目のカスタマイズ性を重視したり、簡易的な表示を行ったりと違いがあります。

シンプルなprogress

progressという名前で配布されているライブラリもあります。

インストールしてから使う方法は基本的にtqdmと似ていますが、コマンドラインツールに近い表示ができます。

視覚的に魅力あるalive-progress

alive-progressは、カラフルに動くプログレスバーを表示できるのが特徴です。

インストールや基本的な使い方はtqdmと大差ありませんが、「視覚的にわかりやすさを追求したい」というシーンで試してみると良いかもしれません。

複数のプログレスバー系ライブラリを比較するときは、表示の見やすさや、導入の容易さ、開発チームの好みなどを総合的に考えてみましょう。

扱い方自体はどれも大きく変わらないことが多いです。

実務での活用イメージ

プログレスバーは単なる見た目だけの機能ではありません。

例えばシステム開発の現場では、大きなデータセットを複数に分割して処理する際に、「あとどれくらいでひと区切りつくか」を把握できるのは大きなメリットです。

たとえば大量の画像ファイルを読み込みながらサムネイルを自動生成するといったタスクで、プログレスバーを表示すれば進捗をリアルタイムに確認できます。

途中で「この処理は数分かかりそうだ」と気づけば、中断するかどうかの判断も早めにできるでしょう。

また、Webアプリケーションのバックエンドで時間のかかる処理を走らせるときにも、ユーザーに視覚的なフィードバックを返すことで不安を減らす効果が期待できます。

導入時の注意点

プログレスバーを導入する際には、いくつか気をつけたいポイントがあります。

処理内容によっては正確な完了時間の見積もりが難しい

途中で大きなファイルを扱ったり、外部APIの応答速度が変動したりすると、プログレスバーの残り時間の推定が不正確になることがあります。

処理が多数のステップに分かれている場合はループ構造を見直す

何重ものループを扱っているときは、外側のループにプログレスバーを仕込むだけでは十分でないことがあります。
ネストしたループ分だけプログレスバーを追加するか、一度に処理可能な数に変えるか、設計を整理することを検討しましょう。

画面描画のオーバーヘッドに注意

頻繁に画面を更新すると、かえって処理が遅くなることがあります。
1回のループごとに更新するのではなく、一定のステップごとにプログレスバーを更新するなどの工夫をすることがあります。

カスタマイズするポイント

プログレスバーには、メッセージを追加したり、色を変えたりといったカスタマイズを施すと、より使いやすくなります。

例えばtqdmを使用している場合でも、引数を追加するとバーの表記を変えたり、処理内容を文章で表現したりできます。

実務では、個々のプロジェクトに合う形でタイトルや注釈を入れておくと、「どの処理が進んでいるのか」が一目でわかりやすくなるでしょう。

プログレスバーが多すぎると、かえって画面がごちゃごちゃして把握しにくくなる場合があります。 用途とタイミングをしっかり考えながら導入することが大切です。

まとめ

Pythonでプログレスバーを表示する方法は複数ありますが、まずはtqdmのように導入が簡単で実用的なライブラリを試してみるのがおすすめです。

外部ライブラリを使わずに、sys.stdoutを使ってシンプルな形で実装するやり方もあります。

どちらにしても、処理時間が長いタスクではプログレスバーがあると、作業効率とユーザーの安心感が向上しやすいです。

実務でデータを分割して処理するときや、大きなファイルを扱う場面を想定しながら、自分のプロジェクトにあったプログレスバーを導入してみてはいかがでしょうか。

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