アンダースコアとは?初心者向けに役割や活用例をやさしく解説

はじめに

皆さんは、コードを書くときにアンダースコア ( _ ) を見かけたことはありませんか。 ファイル名や変数名など、さまざまなところで使われるこの記号には、単なる見た目以上の役割があります。

プログラミング初心者にとっては、アンダースコアがどんな意味を持つのかが分かりづらいかもしれません。 しかし、実際に使い方を理解すると、コードの意図を明確にしたり、読みやすさを高めたりするのに役立ちます。

本記事では、アンダースコアの基本的な役割から具体的な言語ごとの使用例までをやさしく解説します。 実務での活用シーンや注意点も交えながら、初心者でもすぐにイメージできるように説明します。

この記事を読むとわかること

  • アンダースコアがプログラミングにおいてどんな役割を持つか
  • 代表的なプログラミング言語ごとの具体的な使い方
  • 実務でアンダースコアを活用する際の注意点
  • よくある疑問へのヒント

アンダースコアとは何か

アンダースコアは英文字のひとつではなく、専用の記号として広く使われています。 コードの中では、変数名やメソッド名などの命名時に意味を補足するために利用されることがよくあります。

たとえば、変数の先頭に _ を付けるだけで「この変数はあまり外部には公開したくない内部用のものですよ」というニュアンスを表現できるケースがあります。 また、関数の引数の一部を使わない場合にもアンダースコアを使うことがあり、読み手に「この引数は無視している」という合図を送れます。

さらに、アンダースコアは命名以外の目的でも使われます。 Pythonでは数値リテラルの桁区切りに用いることで見やすさを向上させる工夫がありますし、一部の言語やフレームワークでは予約語を回避するテクニックとしても登場することがあります。

ただ、言語によっては使い方や意図が微妙に異なるので、何も考えずに乱用すると可読性を損なう場合もあります。 そのため、各言語のガイドラインやチームのコーディング規約を参考にしつつ、適切に使用することが大切です。

アンダースコアの活用事例

JavaScriptでの例

JavaScriptでは、アンダースコアを変数名やメソッド名の先頭につける慣習が見られることがあります。 これは「プライベート感」を出すために使われることが多いです。 コードの規模が大きくなったときに、外部から直接触ってほしくないプロパティを一目で把握できるため、チーム開発でも役立ちます。

// 一般的なクラスの例
class User {
  constructor(name, email) {
    this._name = name;      // アンダースコアを付与
    this._email = email;    // アンダースコアを付与
  }

  getName() {
    return this._name;
  }

  setEmail(newEmail) {
    this._email = newEmail;
  }
}

const user = new User("Alice", "alice@example.com");
console.log(user.getName()); // "Alice"

上記のように、_name_email をアンダースコア付きで定義することで、クラス内の内部変数であることが分かりやすくなることがあります。 ただし、これはあくまで慣習的なものなので、公式に「プライベート」として扱われるわけではありません。 最近のJavaScriptでは、クラスフィールドの前に # を付ける公式機能もあります。 それでも、既存のコードベースではアンダースコアの書き方が残っていることが多いため、覚えておくと便利でしょう。

Pythonでの例

Pythonでは、アンダースコアがさまざまな役割を持ちます。 特に有名なのは「使わない引数や値を示すときにアンダースコアを使う」方法です。 これにより、コードを読む人に対して「ここは捨てている値です」と強調できます。

def get_user_info():
    return ("Alice", 25, "alice@example.com")

name, _, email = get_user_info()
print(name)   # "Alice"
print(email)  # "alice@example.com"

上記のように _ の部分で年齢情報を受け取っていますが、実際には使わないのでアンダースコアで無視しています。 また、クラスの内部メソッドや変数名をアンダースコアで始めることで、慣習的に「外部から直接触るべきではない」という意図を示すこともあります。

さらに、数字の桁区切りとして 1_000_000 のようにアンダースコアを使う場面もあります。 大きな数値を扱うときには読みやすさを高める利点があります。

Javaでの例

Javaでは、アンダースコアの使い方は比較的限定的です。 ただし、チームによってはプライベートフィールドにアンダースコアを付ける命名規則を導入している場合があります。

public class User {
    private String _name;
    private String _email;

    public User(String name, String email) {
        this._name = name;
        this._email = email;
    }

    public String getName() {
        return _name;
    }

    public void setEmail(String email) {
        this._email = email;
    }
}

この例では _name_email のようにアンダースコアを付けています。 しかし、Javaの公式ドキュメントや一般的なスタイルガイドでは、先頭にアンダースコアを付けるよりも通常のキャメルケース (例: private String name;) を推奨する傾向があります。

一部の企業やプロジェクトでは明確な理由があってアンダースコアを採用していることもあるので、プロジェクト内のコーディングガイドラインを優先しましょう。 何も決まっていない場合は、公式やコミュニティでよく使われている書き方に合わせることが多いです。

C#での例

C#では、プライベートフィールドの頭にアンダースコアを付けるコーディングスタイルが比較的よく見られます。 これはMicrosoftの公式スタイルガイドに強制されてはいませんが、多くの開発チームが使いやすいと感じているようです。

public class User
{
    private string _name;
    private string _email;

    public User(string name, string email)
    {
        _name = name;
        _email = email;
    }

    public string Name
    {
        get { return _name; }
    }

    public void SetEmail(string email)
    {
        _email = email;
    }
}

このように書くと、クラス外からは _name に直接アクセスしないことが自然に伝わります。 C# にはプロパティという仕組みがあるので、基本的には Name のようなプロパティを介してアクセスさせることを想定しています。 アンダースコアが付いているかどうかを見れば、どのように使うのが適切かが分かりやすいでしょう。

実務での注意点

アンダースコアの使い方は、言語やプロジェクト、そして開発チームのスタイルガイドにより異なります。 それぞれの現場で使われる命名規則があれば、そちらを優先するのがスムーズです。

また、アンダースコアの多用はかえって混乱を招く場合があります。 たとえば「どれが外部公開用で、どれが内部用なのか」が曖昧になってしまうケースがあるからです。 そのため、アンダースコアを使う場所やタイミングはなるべく統一した方が良いでしょう。

アンダースコアを付けるだけでなく、関数名やクラス名、変数名をはっきりと示す命名を心がけることも大切です。 曖昧な名前を少し飾り付けても、本質的な意味を把握できなければ、可読性は向上しないでしょう。

プロジェクトのスタイルガイドが存在しない場合は、チーム内で簡単なルールを作って共有すると混乱が減ります。

実務では、複数人が同じコードベースを扱うことがほとんどです。 アンダースコアに限らず、コードの規約はチーム全体で合意したうえで使い続けると、保守や拡張がしやすくなります。

アンダースコアに関するよくある疑問

アンダースコアの使い方をめぐっては、初心者の方がいろいろな疑問を感じるかもしれません。 たとえば「どの関数や変数名にアンダースコアを付けるべきか」や「言語によってはエラーにならないのか」といった話題が挙げられるでしょう。

言語によっては、アンダースコアを識別子名として使うことが非推奨とされている場合もあります。 実際、CやC++ではアンダースコアで始まる識別子に特別なルールがあり、競合を避けるために注意が必要とされています。 しかし、JavaやC#などでは比較的自由に利用できるため、そこまで大きな問題にはならないことが多いです。

また、アンダースコアを使って命名したものを外部に公開すると、他の開発者に「これは内部用ですから注意してください」というメッセージを伝える意図がある場合があります。 その意図を理解せずに勝手にアクセスすると、思わぬ不具合やバグの原因になるかもしれません。

言語仕様やガイドラインを知らずにアンダースコアを多用すると、チームメンバーに誤解を与えるリスクがあります。

それぞれの言語コミュニティや組織で推奨されるスタイルが公開されていることも多いので、実務で携わる前に方針を確認しておくと安心です。

まとめ

アンダースコアはプログラミングにおいて、単なる記号以上の意味を持っています。 内部的に使われることを示したり、使わない変数を明確にして可読性を高めたりと、ちょっとした工夫でコードの意図が伝わりやすくなるのです。

ただし、その使い方は言語やプロジェクトによって大きく変わります。 JavaScriptやC#ではプライベート変数を示すために使われることが多い一方で、Pythonでは要らない引数や値を捨てるときによく使われます。 Javaでもアンダースコアを導入しているチームがありますが、一般的なスタイルガイドではあまり推奨していないこともあるでしょう。

最も大事なのは、アンダースコアを使うことでコードが分かりやすくなるかどうかを検討することです。 チームや開発現場のコーディング規約を尊重しつつ、アンダースコアのメリットを生かせる場面でだけ取り入れるようにすると、読みやすく保守しやすいコードに近づきます。

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