VPNとは?初心者にやさしいVPNの基本と実務活用

はじめに

VPNは遠隔地からでも安全にネットワークへアクセスできる仕組みとして、多くの現場で活用されています。 日常的にインターネットを利用する皆さんにとって、通信の安全性やプライバシー保護は気になるポイントではないでしょうか。 とくにプログラミング初心者の方が開発環境を整えるときには、自宅などの外部ネットワークから社内や自社サーバーに接続して作業したいシーンが出てきます。 その際にVPNを導入しておくと、通信内容を第三者に知られることなく安全に開発を進められます。

ここではVPNの概要や種類、具体的な仕組みを初心者でも理解しやすいように噛み砕いて解説していきます。 あわせて、実際のビジネスで活用するケースや、VPN環境を構築する際の基本的な流れについても紹介します。 最後まで読むことで、VPNを導入する際の大きなメリットや注意点を整理できるはずです。

VPNの基本概念

VPNはVirtual Private Networkの略称です。 専用の物理的な回線を使わなくても、インターネットなどの共有ネットワーク上であたかも専用回線を敷いているように接続できます。 そのため、離れた場所同士でも安全に通信を行えるのが特徴です。

多くの場合、VPNではトンネリングという技術を用いてデータを暗号化して送受信します。 この暗号化のおかげで、万が一通信経路を盗聴されても内容を読み取られにくくなります。 つまり、VPNは「ネットワークのセキュリティを強化した仮想回線」と捉えるとイメージしやすいでしょう。

VPNでよく使われる仕組み

VPNのプロトコルには、IPsecOpenVPNWireGuardなどいくつかの選択肢があります。 どれも暗号化機能を備えており、異なるネットワーク環境の間を安全な仮想トンネルで接続するイメージです。

このようなプロトコルごとにパフォーマンスや設定の容易さ、互換性などの特徴が異なるため、利用シーンに合わせて最適なプロトコルを選ぶことが大切です。 たとえば高い通信速度を重視するならWireGuardを選ぶケースもありますし、既にOpenVPNを使った環境と連携したいならOpenVPNが使われます。 いずれのプロトコルを使う場合でも基本的には鍵交換や暗号化の仕組みが含まれているため、インターネットを介していても通信内容が外部に漏れにくい形になっています。

VPNのプロトコルは日々アップデートされるため、必ず最新の仕様に目を向けましょう。

暗号化技術の流れ

VPNが安全とされる大きな理由は、通信データが暗号化されていることです。 暗号化には対称鍵暗号や公開鍵暗号を組み合わせる方法が一般的で、まずは鍵の交換を行い、その後にやり取りされるデータを暗号化します。

たとえば、SSL/TLSと似た仕組みで暗号化を行うOpenVPNでは、クライアントとサーバーが公開鍵と秘密鍵を使って安全に鍵を交換し、その後は対称鍵を使って通信データを保護します。 暗号化されたデータを途中で傍受しても、復号に必要な鍵を第三者が持たない限り中身を理解できないわけです。 そうした暗号化技術のおかげで、公共のWi-Fiなど不特定多数が利用するネットワークでもセキュアに通信できるところがVPNの利点と言えるでしょう。

実務で活用するメリット

VPNを使うと、遠隔地からでも社内ネットワークのファイルサーバーやデータベースにアクセスできるようになります。 プログラミング未経験の方でも、データのやり取りを暗号化して行えるため、情報漏洩のリスクを低減しやすいのがメリットです。 さらに、開発やデバッグを行う際に、テスト用のサーバーを安全に遠隔操作できる点も便利です。

また、フリーランスの方や副業でプログラミング学習をする方が自宅からチームの共有リソースへアクセスしたい場合にも、VPNを導入しておけば安心感が高まります。 そのほか、公共ネットワーク経由での作業が多い方にとっては、個人情報や機密データの保護が期待できるため、何も導入しないよりは格段にセキュリティが向上しやすいです。

VPN環境を構築する手順例

ここでは例としてWireGuardを使った簡単な構成を示してみます。 WireGuardは軽量かつシンプルな設定を行いやすい点が評価されています。

WireGuardを使ったVPN設定ファイルの例

以下はLinux環境でWireGuardを利用するときの設定ファイル/etc/wireguard/wg0.confのサンプルです。 ここではサーバー(インターフェイス)側の設定を想定しています。

[Interface]
Address = 10.0.0.1/24
PrivateKey = <サーバーの秘密鍵>
ListenPort = 51820

PostUp = iptables -A FORWARD -i wg0 -j ACCEPT
PostUp = iptables -A FORWARD -o wg0 -j ACCEPT
PostUp = iptables -t nat -A POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE
PostDown = iptables -D FORWARD -i wg0 -j ACCEPT
PostDown = iptables -D FORWARD -o wg0 -j ACCEPT
PostDown = iptables -t nat -D POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE

[Peer]
PublicKey = <クライアントの公開鍵>
AllowedIPs = 10.0.0.2/32

上記では、PrivateKeyにサーバー側の秘密鍵を設定し、クライアント側の公開鍵をPeerセクションに登録しています。 このようにクライアントごとにPeerセクションを追加し、相手の公開鍵と割り当てるIPアドレスを設定します。

WireGuardが動作すると、wg0という仮想ネットワークインターフェイスが作られます。 これを介してトンネルを張ることで、インターネット上にあっても安全に接続できる構成になる仕組みです。

セキュリティ上の注意点

VPNは確かにセキュリティを高める便利な仕組みですが、導入すれば無条件にすべてが安全になるわけではありません。 ソフトウェアやプロトコルのバージョン管理を怠ると、脆弱性が放置されるおそれがあります。

VPN導入後は定期的に鍵を更新したり、不要なアクセスが行われていないかログを確認すると安心です。

また、VPNを利用する端末側のセキュリティ対策も大切です。 端末がマルウェアに感染している状態でVPNに接続してしまうと、社内ネットワーク内に悪意あるプログラムを拡散してしまうリスクがあるため、利用するPCやサーバーのアップデートやウイルス対策は常に意識しておきましょう。

まとめ

VPNは仮想的な専用回線をインターネット上に作り、安全性を高める技術として多くの現場で採用されています。 自宅から社内やクラウド上の開発環境へ安全に接続したいシチュエーションでは頼りになる存在です。

初心者の方でもVPNの基本を理解すれば、遠隔地での開発やデータアクセスのハードルを下げられます。 通信内容の暗号化やリモート接続の安全性に関心があるなら、VPNの仕組みや構築方法をぜひ検討してみるとよいでしょう。

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