【Git】git alias を使ってコマンド操作を効率化する方法を初心者向けに解説

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はじめに

Git はソフトウェア開発の現場で広く利用されているバージョン管理ツールです。
複数のファイルを同時に管理したり、履歴をさまざまな形で追跡したりと、柔軟性の高い管理ができるため、多くのプロジェクトで重宝されています。

しかし、Git が提供するコマンドは種類も多く、すべてを入力し直すのが面倒に感じることはないでしょうか。
そうしたときに役立つのが git alias という仕組みです。

git alias をうまく使うことで、よく使うコマンドのタイピングを短縮できます。
結果的に開発の効率を上げ、作業ミスを減らすことが期待できます。
この記事では、git alias の導入方法から使い方、実務での活用事例を初心者の方にもわかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  • git alias を設定する基礎的な方法
  • よく使われる具体例と、そのコマンドの意味
  • 実務における便利な活用シーンと注意点

git alias とは何か

Git は多くのコマンドを持っており、commitpush などは特によく使うかもしれません。
ただし、commit にオプションをつけたり、log --oneline --graph のように長いコマンドを入力したりする場合は、タイピング量が増えがちです。

そこで登場するのが git alias という機能です。
一言でいうと、長いコマンドを短い文字列に置き換えて呼び出せる仕組みです。
たとえば、git statusgit st のように短縮形で呼び出せるようにするなど、よく打つコマンドを短くまとめることができます。

多くの開発現場では、単純な打ち間違いを防いだり、操作スピードを上げるために alias を積極的に取り入れています。
初心者の方でも簡単に設定できるので、作業が煩雑に感じるようなタイミングでぜひ活用を検討してみてください。

git alias を使うメリット

git alias はタイピングの手間を減らすだけがメリットではありません。
実務においては、以下のような利点が考えられます。

まず、ヒューマンエラーを防ぎやすくなる という点があります。
長いコマンドを何度も入力すると、ときどきスペルミスやオプションのつけ忘れが発生しやすいものです。
短い文字列でまとめておくと、そのリスクをかなり減らせます。

次に、チーム全体で共通の alias を導入する と、誰が作業しても同じ書式で操作できるという利点も出てきます。
ブランチの作成や履歴の確認など、プロジェクトで頻繁に行う手順を共通化することで、メンバー間でのコマンド入力に差が生じにくくなります。

また、実行時間の短縮 も重要です。
コマンドを入力する時間は一見すると小さいように思えますが、積み重なると無視できないほど大きくなることがあります。
少しでも作業を効率化するために、alias を導入しておくことは大いに意味があります。

環境設定の基礎

git alias の設定は .gitconfig というファイルを通じて行います。
このファイルは、Git の設定内容をまとめて管理するためのものです。
通常、環境全体の設定を行う場合は以下のように --global オプションを使います。

git config --global alias.st status

この例では、git statusgit st と短縮して呼び出せるように設定しています。
もしエイリアスを削除したい場合は、以下のように unset コマンドを使用します。

git config --global --unset alias.st

.gitconfig ファイルにはエイリアス以外の設定も含まれるため、編集時には混乱しないように注意しましょう。
チームで共通設定を作りたいときは、ドキュメントとして別途まとめておくとスムーズです。

Git の設定ファイルは通常、ユーザーごとのホームディレクトリに配置されます。
必要に応じて内容をバックアップしておくと、環境を変えたときに同じ設定を再利用しやすいです。

実務で使う便利な git alias の例

実際の開発現場では、ちょっとしたエイリアスが役に立つ瞬間がたくさんあります。
ここでは、具体的にどんなエイリアスを作っておくと便利か、いくつか例を挙げてみます。

コミット関連のエイリアス

コミットメッセージをつけるたびにコマンドをすべて入力するのは面倒です。
そんなときは次のようなエイリアスが使いやすいかもしれません。

# git cm "メッセージ" でコミットできるようにする
git config --global alias.cm "commit -m"

この設定を行うと、git cm "初回コミット" のように実行できるようになります。
ほんの少しの短縮ですが、何度も繰り返す作業のストレスを軽減できるでしょう。

もしコミットと同時にファイル追加もセットで行いたいときは、もう少し工夫して以下のようなエイリアスを作るケースもあります。

git config --global alias.cma "!git add . && git commit -m"

ここで ! を先頭につけると、シェルコマンドとして実行する仕組みになります。
.gitconfig 内ではこうしたシェルコマンドを組み合わせて便利に使うことが可能です。

ブランチ操作系のエイリアス

ブランチを頻繁に切り替えるプロジェクトでは、ブランチの一覧をすぐに確認できるエイリアスがあると便利です。

git config --global alias.br "branch"
git config --global alias.co "checkout"

git co で別のブランチに移動し、git br で一覧を確認するといった使い方ができます。
こまめにブランチを切り替えながら作業を進める方にはおすすめです。

履歴確認系のエイリアス

Git の履歴を確認するときに、見やすい形式で表示させるエイリアスも便利です。

git config --global alias.lg "log --oneline --graph --decorate"

git lg と入力すると、枝分かれの状況を含めて履歴をざっと把握できるので、リポジトリの状態を視覚的に把握しやすくなります。
このように、長いオプションをまとめるのは alias の特徴的な使い方です。

実務で役立つ活用シーン

git alias はどんな現場でも使える汎用的な手法ですが、特に活用度が高いのは以下のような場面です。

まず、複数のプロジェクトを並行して担当するとき です。
複数のリポジトリを行き来していると、タイピング量が増えやすくなります。
同じ設定をコピーしておけば、どのプロジェクトでも共通のコマンド名で操作できるため、プロジェクトごとの操作感がバラバラにならずに済むでしょう。

次に、作業手順が明確に決まっているプロジェクト では、一連の手順をまとめたコマンドをエイリアス化すると作業効率がアップします。
たとえば、コミット前にテストを走らせてからステージングを行うといった、決まったフローがある場合です。
そのようなフローを ! を使ったエイリアスにまとめると、余計な手作業が減らせます。

普段何気なく繰り返している操作を洗い出し、その中からコマンドをまとめられるものがないか探すと、git alias で効率化できる部分が見つかりやすいです。

git alias を活用する際の注意点

git alias は非常に便利ですが、導入や運用にあたっていくつか気をつけたいポイントがあります。

ひとつめは、チーム内の共有 です。
個人で設定したエイリアスは、他の人が同じ環境を持っていない限り通用しません。
チーム全体で同じエイリアスを使う場合は、周知やドキュメント化をしっかり行うと混乱が生じにくくなります。

ふたつめは、元のコマンドとの対応関係を忘れないこと です。
短縮していると、実際に何のコマンドだったか思い出しにくくなるケースがあります。
初心者の方は、最初のうちはエイリアスを最小限に抑えて、自分の頭の中でコマンドの意味を理解しながら使うほうが良いかもしれません。

最後に、適度なメンテナンス も重要です。
プロジェクトが変わったり、チームの開発スタイルが変わったりすると、作業頻度の高いコマンドも変わる可能性があります。
エイリアス設定が自分のニーズに合わなくなってきたら、新しく更新をしたり古いものを削除したりといった見直しを行いましょう。

まとめ

git alias を活用することで、日々の開発作業をスムーズに進めることができます。
よく使うコマンドを短縮して入力できるようにするだけでも、タイピングの手間が大幅に減り、ヒューマンエラーも起こりにくくなります。

実務では、ブランチ運用やコミットの流れなど、さまざまな場面で alias の恩恵を感じられます。
チーム内で共通化すれば、コマンドの打ち間違いを減らし、意思疎通の効率化にも役立つでしょう。

初心者の方はまず必要最小限のエイリアスから試し、慣れてきたら少しずつ拡張してみるとスムーズに運用できます。
ぜひ今回紹介した内容を参考に、自分に合った git alias を設定してみてください。

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