【Git】git clone できないエラーの原因と対処法を初心者向けにわかりやすく解説
はじめに
git clone はリポジトリを取得する上で最も基本的な操作のひとつです。
しかし、いざ使おうとするとエラーが出てしまい、どう対処すればよいか戸惑う方もいるのではないでしょうか。
たとえば、ネットワークの設定ミスやアクセス権が原因となるケースは少なくありません。
また、HTTPS 接続と SSH 接続を使い分ける際の設定不備が問題になることもあります。
この記事では、皆さんが git clone できないエラー に直面したときに、原因を切り分ける方法やよくある対処法をわかりやすく解説します。
初心者の方でも、職場や個人の開発環境で実践しやすいようにまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むとわかること
- git cloneが失敗する代表的な原因
- エラーを特定し、正しく対処するための考え方
- 実際の業務で気をつけたい接続方法やリポジトリの管理上の注意点
代表的なエラーの種類
皆さんが git clone を実行するときに遭遇しやすいエラーはいくつかのパターンに分類できます。
ここでは代表的な例を取り上げ、それぞれの原因と対処方法を解説します。
ネットワーク関連のエラー
よくあるのは、リモートリポジトリのURLが間違っている場合や、プロキシサーバーなどの影響で通信がうまく行えていない場合です。
たとえば下記のようなメッセージが表示されることがあります。
fatal: unable to access 'https://github.com/user/repo.git/': Could not resolve host: github.com
これはネットワークまたはURLに問題がある場合によく見られます。
社内ネットワークなどでは、プロキシの設定漏れなどで外部にアクセスできないことが原因となるケースもあります。
認証(SSH・HTTPS)関連のエラー
SSH で鍵を設定していない、あるいは HTTPS 接続でトークンやパスワードの認証に失敗しているときに起きるエラーです。
たとえば下記のようなエラーが出るときは、SSHキーの設定がうまくいっていない可能性が高いです。
git@github.com: Permission denied (publickey).
fatal: Could not read from remote repository.
HTTPS 接続で 401 Unauthorized が返ってくる場合は、GitHubやGitLabで設定している認証情報が正しくない、トークンに必要な権限が設定されていない、などの理由が考えられます。
アクセス権(Permission denied)
Windows や macOS、Linux などのOSに関わらず、保存先フォルダの書き込み権限が不足しているときに Permission denied が出る場合があります。
ネットワークではなく、ファイルシステムの問題に起因するケースです。
fatal: Could not create work tree dir 'myrepo': Permission denied
このようなメッセージが表示されたら、今いるディレクトリに対して書き込み権限があるかを確認してみましょう。
不正なリポジトリの参照やトラッキングミス
clone したいリポジトリ自体が削除されていたり、プライベートリポジトリを誤って指定している場合もエラーになります。
「404 Not Found」というエラーメッセージが出たときは、指定したリポジトリが存在しないか、URLが間違っている可能性を考えてください。
原因を切り分けるための手順
エラーが起きたとき、どのように原因を見極めればよいか手順をまとめます。
初心者の方は、まずこのプロセスで現状を整理するとよいでしょう。
1. エラーメッセージを読む
意外と見落としがちですが、一度落ち着いてエラーメッセージを最後まで確認しましょう。
そこには原因やヒントが書かれているケースがほとんどです。
多くのメッセージは「Permission denied」や「Could not resolve host」など、明確なキーワードを含んでいます。
キーワードを手がかりに、ネットワーク問題か認証問題かを切り分けていきます。
2. リポジトリURLや認証方式を確認
URLのタイプ(HTTPSかSSHか)や、リポジトリの所有者・パスが正しいか再度チェックします。
URLをコピーするときに最後の .git
が抜けていたり、オーナー名を誤ってタイプしていることは意外と多いものです。
SSH キーを使う場合は、鍵を正しく設定し、リモートサービス(GitHubなど)に登録できているかを見直すと解決するケースが多いです。
HTTPS でパスワードを使う設定の方は、アクセストークンかパスワードの有効期限切れを疑ってみましょう。
3. ネットワーク接続・プロキシの問題を疑う
もしネットワークが制限されている環境にいる場合は、プロキシの設定が必要かもしれません。
社内ネットワークなどでは、特殊なプロキシの設定が必要な場合があります。
# プロキシを通して通信する例 git config --global http.proxy http://proxy.example.com:8080 git config --global https.proxy http://proxy.example.com:8080
上記のように Git の設定でプロキシを指定する必要があるかどうかを確認してください。
また、VPN などを経由している場合は VPN 側の設定も原因になり得ます。
4. フォルダの権限をチェック
clone を実行しているディレクトリのアクセス権が適切かどうかを確かめてみてください。
Linux / macOS であれば ls -l
コマンドでディレクトリやファイルのパーミッションを確認し、書き込み権限があるかどうかを調べるとよいでしょう。
cd /path/to/your/workspace ls -l
実際の業務では、共有フォルダやシステム保護されたディレクトリに誤って clone しようとしてエラーになるパターンも考えられます。
よくある対処法と手順
ここでは、実務でありがちなパターンに焦点を当てた対処法をまとめます。
問題を解決する際は、自分の環境に合わせて適宜アレンジしてみてください。
HTTPS から SSH に切り替えてみる
HTTPS 接続で認証エラーが続く場合は、SSHに切り替える方法があります。
SSHキーを設定する手間はありますが、一度設定を済ませると以後の操作でパスワード入力が不要になるメリットがあります。
# HTTPSのリモートをSSHに切り替える例 git remote set-url origin git@github.com:username/repo.git
HTTPSで起きていたトラブルが、SSHではあっさり解決することも少なくありません。
SSHキーの確認と再登録
SSHキーファイル(通常 id_rsa や id_ed25519)が適切に作成されているかチェックしましょう。
以下のコマンドで鍵ファイルが存在するか確認できます。
ls ~/.ssh/
もし存在しない場合は新しく鍵を作成し、GitHubやGitLabのユーザ設定画面に公開鍵を登録してください。
ssh-keygen -t ed25519 -C "email@example.com" cat ~/.ssh/id_ed25519.pub
.pub
がつくほうが公開鍵なので、それをリモートサービスに登録します。
認証トークンの再発行(HTTPSの場合)
古いアクセストークンが期限切れで無効になっている場合は、新たにトークンを発行して設定し直す必要があります。
これは主に GitHub や GitLab のユーザアカウント設定から行います。
生成したトークンを再度 git clone https://<token>@github.com/~
のように組み込み、挙動をテストしてください。
タイプミスやリポジトリの存在確認
皆さんが URL をコピーするときに、リポジトリのオーナー名や組織名を打ち間違えることがよくあります。
また、リポジトリが削除されていないかや、プライベート設定になっていないかも見直してください。
ディレクトリやファイル権限の修正
clone 先のパスにアクセスできない場合は、ファイルシステムの権限が問題となっていることがあります。
権限を修正して再試行してみましょう。
sudo chown -R myuser:mygroup /path/to/your/workspace sudo chmod -R 755 /path/to/your/workspace
ただし、実際の業務ではセキュリティ面に注意が必要です。
むやみにパーミッションを広げ過ぎるとセキュリティリスクを伴うため、適切なアクセス権限を確認してから調整するようにしてください。
ネットワーク環境やシステムによって権限やプロキシの設定方法が大きく異なることがあります。
何度試しても上手くいかない場合は、システム管理者やチームのリポジトリ管理者に相談しましょう。
エラー回避のために気をつけること
日常的に git clone を使う際には、いくつかのポイントを押さえておくとエラーを回避しやすくなります。
特に実務の現場で活用するときに見落としがちなので、事前にチェックしておくと良いでしょう。
リポジトリの管理方針を決める
共有リポジトリを運用する場合、チーム内で SSH 方式をメインに使うのか、HTTPS 方式を使うのか、方針を統一することが重要です。
メンバーそれぞれがバラバラな設定をしていると、思わぬ接続エラーが発生しやすくなります。
定期的にアクセス権を見直す
外部サービスのアクセストークンやSSH鍵などは、いつの間にか期限が切れていたり、鍵が削除されている場合もあります。
定期的に鍵の有効期限をチェックしたり、不要になったトークンを削除するなどのメンテナンスを行いましょう。
OSや環境ごとの差異に注意
WindowsとmacOSではコマンドの書式や動作が異なることがあります。
この違いを意識せずに設定を共有してしまうと、環境に応じたパスの指定ミスでエラーになることもあります。
リポジトリのクローン先ディレクトリについて、チーム全体で統一的なルールを決めておくと、いざというとき混乱が少なくなるでしょう。
実務での応用シーン
git clone がうまくいかないケースは、個人開発よりも複数人でのプロジェクトで起きやすいかもしれません。
たとえば次のようなシーンで役に立ちます。
新たなメンバーがプロジェクトに参加するとき
初回の clone で躓いた場合、SSH鍵の設定やリポジトリの権限を追加していなかったなどが原因として考えられます。
リモートリポジトリを組織内で移動したとき
会社のプライベートGitサーバーからGitHubに移行したり、その逆を行った際にURLや権限の見直しが必要になります。
CI/CD 用に clone する場合
自動テストやデプロイの仕組みで git clone を使うときに、SSH鍵を適切に設定しないとビルドが失敗することがあります。
SSH鍵を設定する位置や権限がチームで把握されていないと、開発者が苦労しがちです。
こういった場面では、今回紹介したようなエラーの切り分け方や対処法がそのまま応用できます。
日頃から原因を素早く特定できるようにしておくと、開発効率が上がるでしょう。
まとめ
git clone が失敗するときには、ネットワークの問題、SSH や HTTPS の認証設定のミス、ディレクトリの権限エラーなど、さまざまな要因が考えられます。
エラーメッセージをしっかり読み取り、原因を切り分けることが解決の近道です。
- ネットワークの問題(URLの間違い、プロキシ設定など)
- 認証関連(SSH鍵、アクセストークンなど)
- ファイルシステムの権限(Permission denied)
これらを順序立ててチェックしながら、皆さんの環境に合った対処法を実行してみてください。
そしてチーム開発の場合は、事前に方針を決めてエラー発生のリスクを減らすことが大切です。
今回紹介した内容を参考に、エラーの原因を素早く特定し、スムーズにリポジトリをクローンできるようになることを願っています。
そうすることで、開発を円滑に進められるはずです。
ぜひ皆さんの現場でも、問題が起こったときに活用してみてください。