【git commit コマンド】初心者でもわかる使い方と実践例を徹底解説
はじめに
Gitはプログラムのコードを管理するためのシステムです。
複数人で開発を行う際や、後から特定の時点へ戻す必要があるときにも便利なツールとして、多くの現場で使われています。
その中でも、git commitコマンドは変更履歴を記録する役割を担っています。
コミットをするたびに、その時点のファイルの状態が「スナップショット」として残されるので、後から自由に過去の状態へ戻すことができます。
ただし、初心者にとってはコマンドライン自体が初めてだったり、「ステージ」と呼ばれる概念がわかりづらいかもしれません。
そこで本記事では、git commitコマンドの基本的な使い方を中心に、よく使われるオプションや実務での活用事例をやさしく説明します。
この記事を読むとわかること
- git commitコマンドの役割やしくみ
- 初心者が知っておきたい基本的な使い方と注意点
- 変更をステージングする流れとコミットメッセージの書き方
- よく使うオプション(
-m
,-a
,--amend
など)の具体的な使い方 - 実務でありがちな活用場面とトラブルシューティングの方法
ここまでを理解することで、単にコマンドを打つだけでなく、実際にプロジェクトで使いこなすイメージを持てるようになるはずです。
git commitコマンドとは
Gitでは、コードの変更を「ローカルリポジトリ」という場所に記録していきます。
記録の単位がコミットです。
コードを編集したら必ずその内容をコミットという形で保存し、次の変更と区別できるようにするのが基本的な使い方となります。
バージョン管理における役割
Gitのようなバージョン管理システムは、コードの履歴を管理するために利用されます。
具体的には、以下のような形で利点を感じる場面が多いです。
- 過去に書いたコードの状態に戻せる
- 新しい機能を追加するときに、過去の履歴を基に調整を進められる
- 誰が・いつ・どんな変更をしたかがわかる
コミットはこのバージョン管理の中心となり、区切りのよい単位で改変点をまとめることができます。
新しい機能を追加するときも、バグ修正をするときも、コミットをこまめに行うことで、履歴を追いやすくなります。
なぜコミットが必要か
コミットをせずにずっとコードを編集していると、どの時点で何が変わったのかがわかりにくくなります。
また、誤った修正をした際に「どこからミスしたのか」を追うのが困難になります。
一方、コミットを適切なタイミングで細かく行っておけば、万が一問題が発生しても、数個前のコミットに戻して原因を探せます。
これがトラブルシューティングのときに大いに役立ちます。
git commitコマンドの基本的な使い方
git commitを行うには、まずファイルの変更内容を「ステージ」に上げる必要があります。
Gitは段階的に変更を管理する仕組みを持っており、そこが一番最初のハードルになりやすいところです。
変更をステージングする流れ
変更したファイルを「コミットしたい」とGitに伝える作業をステージングと言います。
基本的な流れは以下の通りです。
- ファイルを編集する
git add ファイル名
でステージに上げるgit commit
でステージに上がった変更をコミットする
たとえば、main.py
というファイルを編集したとしましょう。
その変更をコミットする場合、以下のように操作します。
git add main.py git commit
こうすると、コミット時にメッセージ入力モード(エディタ)に移ります。
メッセージをきちんと書いて保存し、エディタを閉じると、その変更がコミットされます。
メッセージを付けてコミットする
コミットには「このコミットが何をしたのか」を示すコミットメッセージを付けることが重要です。
コミットメッセージには以下のような情報を盛り込むと、後から履歴を見返すときにわかりやすくなります。
- 変更の目的
- 変更による影響や関連するファイル
- バグ修正の場合は修正内容の概要
例えば、次のようなメッセージを付けると良いでしょう。
git add main.py git commit -m "メインロジックのバグ修正: 処理が途中で停止する問題を修正"
このように -m
オプションを使うと、エディタを立ち上げずにメッセージを直接指定できます。
修正内容が大きい場合や、より詳しい説明を書きたい場合は、エディタを使ってコミットメッセージを記入する手段もあります。
よく使うオプション
git commitコマンドには、いくつかのオプションがあります。
それぞれ使いこなすことで、効率よく作業を進めることができます。
-m オプション
先ほども触れましたが、-m オプションはコミットメッセージをコマンドライン上で直接指定するためのオプションです。
複数行のコミットメッセージを書きたいときは、引用符や改行などをうまく使うこともできますが、単純なコメントなら一行で十分なことも多いでしょう。
git commit -m "新規機能の追加: ユーザープロフィールの表示機能"
-a オプション
-a オプションは、ステージに上げる操作(git add
)を省略できます。
つまり、変更されたファイルを自動的にステージングし、そのままコミットまで行うイメージです。
git commit -a -m "一時的なログ出力を削除"
ただし、新しく追加したファイルは git add
をしないとステージに入りません。
そのため、-a オプションが有効なのは「既にバージョン管理下にあるファイル」に変更があった場合のみです。
追加したばかりのファイルをコミットするときには注意が必要です。
--amend オプション
コミットをやり直したい場合に使うのが、--amend オプションです。
例えば、コミットメッセージを打ち間違えたときに便利です。
git commit --amend -m "修正: ヘッダー部分のレイアウト調整"
ただし、既にチームメンバーと共有されているコミットをamendで上書きすると、履歴が変わりややこしくなる場合があります。
チームで開発している場合は、コミットの修正が他の人に影響しないか確認したほうが良いでしょう。
実際に使う場面
git commitコマンドは、どんな変更でもほぼ常に使うことになります。
ここでは、実際によくあるケースをいくつか挙げてみます。
コードのバグ修正時
コードにバグが見つかった場合、修正してからコミットを行います。
バグ内容と修正したポイントを明確に示すコミットメッセージにすると、後から見返したときに「どういう問題をどう直したのか」がわかりやすくなります。
バグ修正は頻繁に起きがちなので、コミットメッセージに不備があると振り返りが難しくなります。
新機能追加時
新しく機能を実装するときは、段階的にコミットしていくのがおすすめです。
大きな変更を一気にコミットしてしまうと、問題が起こった際に原因箇所を特定しづらくなります。
小まめにコミットしておけば、途中で方針を変えるときも「どの部分を巻き戻すか」がはっきりするでしょう。
トラブルシューティング
コミットを操作しているときにありがちなのが、メッセージの付け忘れや、誤ってコミットした内容を取り消したいケースです。
ここでは、代表的なトラブルと解消法をご紹介します。
うっかりコミットメッセージを間違えた
誤字や説明不足など、コミットメッセージを間違えてしまった場合は、すぐに気づいた段階で git commit --amend
を使って上書きするのがシンプルです。
ただし、他のメンバーと共有しているリポジトリでは、履歴が書き換わるため注意しましょう。
コミットを取り消したい
一度コミットした内容をなかったことにしたいときは、git revert
コマンドを使う方法があります。
これは「新たに変更を加えて元に戻す」という形式になるので、履歴自体を消すわけではありませんが、Gitのチーム開発ではこの方法が一般的です。
git revert <コミットID>
コミットIDは git log
や git log --oneline
で確認できます。
誤ったコミットを本当に履歴から消したい場合は git reset
や git rebase
など、より複雑な操作を使うことになります。
ただし、共同作業者がいる状況で履歴を消すと混乱が生じやすいので、慎重に判断しましょう。
コミット時のベストプラクティス
コミットを正しく行うことは、開発効率やチーム内のコミュニケーションをスムーズにするうえで重要です。
ここでは、初心者が押さえておくべきポイントをまとめます。
わかりやすいメッセージをつける
コミットメッセージは後から履歴を読む際の頼りになります。
過去の変更点を読む自分や他の開発者にとってわかりやすい内容になるよう、何を変えたのかを端的に書きましょう。
- 「やったこと」と「理由」が伝わる内容
- 変更範囲が大きいときは要約をつける
- バグ修正ならバグの原因・修正内容を簡潔に記載
適切なコミット頻度を保つ
コミットが大きすぎると、ひとつのコミットで多くの変更が含まれてしまい、履歴を追うのが大変になります。
逆に、小さすぎるコミットを乱発すると、履歴が細切れになりすぎてかえって混乱することもあります。
そのため、いくつかの機能や修正を一通り終えた段階でコミットするのが理想的です。
目安としては、作業の意図がひとまとまりになるごとにコミットするとわかりやすくなります。
コミットを細かく分けすぎたり、ひとつにまとめすぎたりすると、後から振り返るときに不便です。バランスを考えながら区切りのよい単位でコミットするようにしましょう。
まとめ
git commitコマンドは、Gitの基本操作の中でも特に頻度の高いコマンドです。
ステージングエリアに変更を追加し、適切なコミットメッセージをつけて記録していくことで、開発の履歴を整然と管理できます。
- コミットのたびにメッセージを丁寧に書く
- 必要に応じて
-m
オプションや-a
オプションを活用する - コミットメッセージを間違えたら
--amend
で修正する - 適切な頻度でコミットすることで履歴がわかりやすくなる
初心者の方は、まずはgit add
とgit commit
を使ってみて、その流れに慣れるところから始めてみてください。
慣れてくると、コミットメッセージやオプションの使い方にも工夫ができるようになり、履歴を活用する力が高まります。
チーム開発では履歴の綺麗さが後々大きな差を生むので、この機会にgit commitコマンドをしっかり使いこなしてみてはいかがでしょうか。