Gitでの絵文字の使い方!現場で使われる gitmoji のルールもわかりやすく解説
はじめに
Gitは複数人での開発をスムーズに進めるためのバージョン管理システムとして広く利用されています。
しかし、コミットメッセージの書き方が曖昧だと、どのような変更を行ったか一目でわからず、あとから履歴を振り返る時に混乱しがちです。
そこで注目されているのが絵文字の活用とgitmojiという仕組みです。
絵文字を使うことでコミットの内容が直感的にわかりやすくなり、プロジェクトの履歴が見やすくなります。
この記事では、Gitで絵文字を活用するメリットや、gitmojiの使い方、そして運用ルールについてわかりやすく解説します。
初心者の皆さんでもイメージしやすいよう、具体的な事例やコミットメッセージの書き方を紹介していきます。
この記事を読むとわかること
- Gitで絵文字を使うメリット
- gitmojiの基本的な仕組みと使い方
- 実務で役立つ運用ルールの立て方
- コミットメッセージに絵文字を組み込む具体的な手順
ここから先は、あまり専門用語を知らない方でも理解できるように、できるだけ丁寧に解説していきます。
専門的な知識がなくても、初めてGitに触れる方でも問題なく読み進められるようにまとめました。
Gitで絵文字を使う意味と効果
Gitのコミットメッセージに絵文字を付けることには、いくつかのメリットがあります。
まず、大まかな変更内容を視覚的に把握しやすくなる点です。
テキストだけのコミットメッセージだと、修正内容を一瞬で判別しにくい場合がありますが、例えば修正内容に合った絵文字を挿入すれば、変更の性質をぱっと見でつかみやすくなります。
次に、開発チームの間で視覚的なルールを共有しやすくなるという利点があります。
開発メンバー同士で「この絵文字が使われていたらバグ修正」「こっちは新機能実装」といった共通理解をもてるようになるため、コミュニケーションロスが減るのです。
さらに、楽しく開発を進められる雰囲気作りにも貢献します。
真面目な内容にこそ絵文字を取り入れると、気軽に履歴を眺めたり、過去のコミットを見返したりしやすくなり、チームメンバーのモチベーション維持にもつながります。
gitmojiとは何か
gitmojiとは、コミットメッセージに絵文字を使う際に、その絵文字を定型化したり、どのような場面で使うかを明確に定義している仕組みのことです。
たとえば、以下のように用途ごとに絵文字が割り振られているケースがあります。
- :sparkles: 新機能を実装するとき
- :bug: バグを修正するとき
- :tada: 初回コミットをするとき
- :memo: ドキュメントを更新するとき
このように、あらかじめ決められたリストを参照しながら絵文字を使うことで、チーム全体でコミットメッセージの表記揺れを減らすことが可能です。
gitmojiには、さらに多くのカテゴリが存在します。
見落としがちなドキュメント修正やパッケージのバージョン更新などにも対応できるように考えられているため、幅広い開発シーンで使えます。
絵文字を付けるだけなら誰でもできますが、あえて何の目的でその絵文字があるのかを整理しておくことが、実務ではとても重要です。
そこでgitmojiが定める「絵文字の目的と役割」を理解しておくと、チームでの開発も進めやすくなります。
gitmojiを導入する一般的な流れ
gitmojiを使う場合は、単純に絵文字をコピーしてコミットメッセージに含めてもかまいません。
しかし、より便利な方法としてgitmoji-cliと呼ばれるツールを導入するやり方があります。
gitmoji-cliは、ターミナルやコマンドプロンプトで対話的に絵文字を選んでコミットメッセージを作成できるため、絵文字をいちいち探してコピー&ペーストする手間が減ります。
以下はgitmoji-cliを導入するおおまかな流れです。
- Node.jsをインストールしていなければ事前にセットアップする
- npmもしくはyarnなどでgitmoji-cliをインストールする
- コマンド
gitmoji -c
を実行し、表示される絵文字と説明から目的に合うものを選ぶ - 最終的にコミットメッセージを作成する
gitmoji-cli以外にも、IDEのプラグイン経由でgitmojiをサポートしている場合があります。
普段使いの環境に合わせて、もっともやりやすい方法を選んでみるのが良いでしょう。
gitmoji-cliを使ったコミットメッセージの例
実際にgitmoji-cliを使うと、絵文字を選ぶ操作が対話的になり、コミットメッセージが以下のように仕上がります。
git add . gitmoji -c
上記コマンドを実行すると、対話形式で絵文字の一覧が表示されます。
新機能を追加した場合には:sparkles:を選択し、そのままコミットメッセージを入力すると、最終的には以下のようなメッセージが生成されます。
:sparkles: 新しい検索機能を追加
このようにメッセージに絵文字が入っていれば、Gitの履歴を見直したときに「どんな目的のコミットだったのか」をすぐに判断しやすいです。
GitHubやその他のGitホスティングサービスでコミット履歴を確認するときにも、絵文字が視覚的な目印になってくれます。
実務での活用シーン
実際の開発現場では、機能追加、バグ修正、ドキュメント修正など多様なコミットが行われます。
絵文字を使えば、同じバグ修正系のコミットでも直感的にまとめて把握できます。
例えば、チーム全員が「バグ修正には必ず:bug:を使う」と決めておけば、履歴をざっと眺めただけでどれくらいバグ対応があったのかをざっくりつかめます。
また、レビュー担当者がPull Requestをチェックする際にも、コミットメッセージの絵文字を見れば「これは新しい機能」「これはリファクタリング」といった確認を素早く行いやすくなります。
こうした小さな改善が積み重なることで、コミュニケーションコストの軽減やレビュー時間の短縮につながるのです。
絵文字を使うためのルール策定
コミットメッセージで絵文字を使うにあたって重要なのは、チーム内での共通ルールを定義することです。
ルールがあいまいだと、好き勝手な絵文字が混在してしまい、かえって分かりにくくなってしまいます。
そこで、次のようなポイントを決めておくと良いでしょう。
メインで使う絵文字の一覧
主要なカテゴリだけ最初にまとめ、細かすぎるものは後で追加していく
絵文字以外の補足メッセージ
コミットメッセージの本文や概要部分に何を書くかを統一
運用タイミング
Pull Requestを作る時点で絵文字を含めるのか、それともマージ時にまとめて付与するのか
コミットの粒度やブランチ戦略とも絡めてルール化できれば、より使いやすくなるでしょう。
特に初心者が複数人で作業するプロジェクトでは、できるだけ簡単でわかりやすいルールを用意することが大切です。
たとえば「主な変更点がバグ修正なら:bug:」「新機能なら:sparkles:」など、カテゴリ数を絞っておくと混乱が少なくなります。
チームへの導入時に意識したいポイント
新しく絵文字やgitmojiを導入するとなると、開発チームの中には抵抗がある方もいるかもしれません。
そこでスムーズに運用を定着させるために、以下のポイントを意識してみてください。
1. 使う理由を共有
「なぜ絵文字を使うのか」「どんなメリットがあるのか」をチーム全体で共有する
2. 導入する範囲の明確化
すべてのプロジェクトに適用するのか、特定のプロジェクトのみなのか
3. 導入後のフィードバック
実際に運用してみて、コミットを見返しやすくなったか、混乱していないかなどを定期的に話し合う
4. 過度な強制はしない
どうしても使いづらい場合やツールへの抵抗感がある人には、様子を見ながら段階的に参加してもらう
最初から厳密すぎるルールを作ると、コミットを書くたびに「正しい絵文字はどれだろう?」と迷うことにもなりかねません。
開発の流れを崩さない程度で、少しずつ導入していくのが安心です。
コミットメッセージのフォーマット例
実際のコミットメッセージのフォーマットは、たとえば以下のように定めることができます。
<絵文字> 簡潔な概要
(必要に応じて、箇条書きなどで変更のポイントを記載)
サンプルとして、ファイルをリファクタリングしたケースを考えてみましょう。
git add . git commit -m ":recycle: ユーティリティ関数を整理し、コードを読みやすく修正 - 重複していた関数を1つにまとめた - 変数名を整理して可読性を向上"
ここで:recycle:
のような絵文字は、既存のコードをリファクタリングするときに使われることが多いものです。
詳細なコメントはサブメッセージとして箇条書きで残し、概要は一目でわかるように簡潔に書くと良いでしょう。
レビューや履歴参照時に役立つ工夫
絵文字をコミットメッセージに使うだけではなく、レビュー段階や履歴を参照する場面で活かす工夫もあります。
たとえば以下のような点を意識すると、さらに便利です。
コミットログをグラフィカルに表示するツールを活用
GitKrakenやSourceTreeなどでグラフ上に絵文字が並ぶと、より楽しく変更履歴を追える
Pull Requestのタイトルにも絵文字を活用
GitHubやGitLabなどでPRの一覧を見たときに、同じ絵文字が並んでいれば、どのPRがどのカテゴリの変更かを把握しやすい
ブランチ名には無理に絵文字を使わない
コミットメッセージとは異なり、ブランチ名に絵文字を含めると扱いにくい場合が多いので避けるケースも多い
絵文字を導入すると、視覚的にわかりやすいというだけでなく、コミットメッセージの品質も自然と意識するようになります。
曖昧なメッセージでは、どの絵文字が適切なのか迷うことがあるからです。
つまり、絵文字を導入すること自体が「より目的に合ったコミットを意識する」というプラスの効果をもたらすわけです。
トラブルシューティングと注意点
便利そうに見える絵文字ですが、どんな場合でも問題なく使えるとは限りません。
以下のような点には注意しておくとよいでしょう。
CIツールや他システムとの連携
一部のツールで絵文字が文字化けする可能性がある
プラットフォーム間の互換性
Windows環境だと特定の絵文字がうまく表示されないケースが稀にある
チーム全員の合意
絵文字の導入に抵抗を感じるメンバーがいる場合は、まずは小さな範囲から試してみる
万一文字化けが発生した場合には、絵文字を省略しても問題ないようにコミットメッセージを付けておく工夫が必要です。
絵文字がなくても内容が理解できるように、メッセージの後半に「コードリファクタリング」や「バグ修正」といったテキスト表記をきちんと添えておくことで、トラブルを回避できます。
全員が同じ環境を使っているわけではない点を意識し、念のため文字化けが発生しても意味が伝わるよう工夫すると安心です。
絵文字運用を続けるコツ
コミットメッセージに絵文字を取り入れた直後は、使い慣れないこともあって混乱しがちです。
しかし、次第に慣れてくると「この修正にはあの絵文字かな」と自然に浮かぶようになり、コミットの粒度やメッセージ内容も整理されてきます。
もしコミットを作成したあとに「あの絵文字は別のが良かった」と気づいた場合は、履歴を適切に修正するか、次のコミットで補足すればOKです。
どのみち後から振り返ったときに、コミットメッセージが目的に合っていれば問題ありません。
毎回のコミットが小さな積み重ねになります。
その都度学んだことを反映させて、無理のないペースで運用を続けるのがコツです。
まとめ
Gitのコミットメッセージに絵文字を取り入れることで、変更内容を直感的に把握しやすくなり、チーム内のコミュニケーションもとりやすくなります。
さらに、絵文字の目的と使い方を定義したgitmojiを活用すれば、バラバラな運用を避け、統一されたコミットメッセージのルールを作りやすくなるでしょう。
初心者の皆さんでも簡単に導入できるメリットがありますが、チームで使うのであれば最低限のルールを整えておくのがおすすめです。
コミット履歴を見返す作業が楽しくなり、開発自体のモチベーション向上にも役立ちます。
ぜひ、実際のプロジェクトで絵文字とgitmojiを取り入れてみてください。