【Git】インストール後の初期設定を初心者向けにわかりやすく解説
はじめに
GitはプログラミングやWeb開発などで使われるバージョン管理システムです。 複数人でプロジェクトを進めるときや、一人で作業する場合でも履歴を管理できるため、ファイルの変更を安全かつ効率的に扱うことができます。
ただし、Gitを導入したばかりだと、最初にどんな設定をすればいいのか分かりにくいかもしれませんね。 たとえば、ユーザー名やメールアドレスの設定、リポジトリの初期化やリモートとの連携といった手順が必要になります。 これをおろそかにすると、履歴の作者情報が正しく残らなかったり、リモートリポジトリへのプッシュに失敗してしまうことがあります。
この記事では、Gitの初期設定を一通りマスターできるように、初心者の方向けに説明していきます。 実際に使うコマンドを具体的に取り上げながら、その使いどころやシーンを交えてお伝えしていきます。
この記事を読むとわかること
- Gitを使い始めるうえで必要な初期設定の手順
- ユーザー名やメールアドレスの設定を行うコマンド
- リポジトリを初期化してバージョン管理を開始する手順
- リモートリポジトリとの連携方法と基本的なコマンド
- よくあるトラブルの原因と対処法のポイント
Git 初期設定の重要性
Gitを使って開発を進めるときには、まず初期設定が重要です。 これをしないままコミットをしてしまうと、履歴に登録される作者情報が正しく管理されません。 また、複数の端末やメンバーで作業するときにも、初期設定を統一しておくことでスムーズにやり取りができるようになります。
たとえば、ユーザー名を適切に設定していないと、履歴を見返すときに「このコミットは誰が行ったのか」が曖昧になってしまいます。 メールアドレスがバラバラだと、リポジトリ上の作者一覧が乱立する原因にもなるでしょう。
ここではGitの初期設定の代表例として、以下の流れを押さえてみましょう。
- ユーザー名とメールアドレスの設定
- エディタなどのツール設定
- リポジトリの初期化
- リモートリポジトリとの連携
これらを整えることで、Gitによるバージョン管理がしやすくなります。
ユーザー名とメールアドレスの設定
Gitでは、コミットするたびに「誰がこの変更を行ったのか」を記録します。 そのために必要なのがユーザー名とメールアドレスの設定です。 ここでは、コマンドラインで設定する方法を見ていきましょう。
ユーザー名・メールアドレスを設定するコマンド
Gitでは、次のようなコマンドを実行します。
git config --global user.name "Your Name" git config --global user.email "your.email@example.com"
--global
オプションを付けることで、システム全体でこの設定が有効になります。
もし特定のリポジトリだけ別の情報にしたい場合は、--global
を省略して、リポジトリ単位で設定することも可能です。
この設定をすると、コミットを実行したときに、履歴上で指定した名前とメールアドレスが作者情報として残るようになります。 複数人で作業する場合は、必ずチーム内でどのメールアドレスや形式を使うかを相談し、統一しておくと管理がしやすくなるでしょう。
設定内容を確認する方法
設定内容を確認するには、以下のコマンドを使います。
git config --list
これを実行すると、Gitに登録されている設定項目が一覧で表示されます。
もし設定ミスがあった場合は、再度 git config --global user.name
や git config --global user.email
を実行して、正しい情報を指定してください。
もしユーザー名やメールアドレスが間違っていた場合、コミット履歴が変わってしまう恐れがあります。 初期の段階で誤りに気づいたら早めに修正しておくと安心です。
エディタや差分ツールの設定
Gitでは、コミットメッセージを編集するときにテキストエディタが起動することがあります。 慣れ親しんだエディタを使うと作業効率が良くなるかもしれませんね。
Gitで使用するエディタを指定するには、次のようにします。
git config --global core.editor "code --wait"
たとえば上記はVisual Studio Codeをエディタに設定するときの例です。
環境によっては vi
や nano
、sublime
など、好きなエディタを指定してください。
また、差分を確認するときに使うツールも設定できます。 コマンドライン上で差分確認できれば十分、という方は特に設定しなくても構いません。 ただし、GUIツールを指定すると視覚的に差分がわかりやすくなるメリットがあります。
リポジトリを初期化する
ユーザー情報やエディタの設定を終えたら、いよいよGitでプロジェクトを管理する準備をしましょう。 最初の一歩は、リポジトリの初期化です。
ディレクトリ構造を確認する
まずは、Gitで管理したいプロジェクトのフォルダへ移動します。 プロジェクトのフォルダ構造はそれぞれ異なりますが、例としては以下のようになっているかもしれません。
my-project/ ├─ index.html ├─ script.js └─ style.css
ここで、my-project/
ディレクトリに入った上で、Gitの初期化を行います。
git init コマンドを実行する
Gitで管理を開始するためには git init
を使います。
cd my-project git init
これで、my-project/.git/
という隠しフォルダが作成され、Gitの管理下になりました。
このフォルダにはコミットの情報やブランチ情報などが保管されます。
実務でも新しいプロジェクトを始めるときや、既存のフォルダをGit管理下に置きたいときには同様の手順を踏みます。
.gitignore ファイルで管理対象を制御
初期化した段階で、ソースコード以外のファイルやビルド時に生成されるファイルを誤ってコミットしないようにするのが一般的です。 そこで、多くの現場では .gitignore というファイルを利用します。
たとえば以下のように .gitignore
に記述すると、node_modules/
フォルダや .DS_Store
といったファイルがGitの管理対象から外れます。
node_modules/
.DS_Store
このように、プロジェクトごとに無視したいファイルやフォルダを明示しておくと、余計なファイルがリポジトリに紛れ込まず安心です。
リモートリポジトリとの連携
Gitをローカル環境だけで使う場合は、ここまでの手順で十分かもしれません。 しかし、多くの場合はGitHubやGitLabなどのリモートリポジトリと連携して、ソースコードを共有するケースが多いです。
リモートリポジトリを登録する
リモートリポジトリのURLをGitに登録するには git remote add
コマンドを使います。
たとえばGitHubのリポジトリが https://github.com/username/my-project.git
だったとしましょう。
git remote add origin https://github.com/username/my-project.git
ここで origin
という名前がリモートリポジトリのエイリアスになります。
実務では複数のリモートを使う場合もありますが、ひとまず1つのリモートしかなければ origin
と名付けることがよくあります。
登録後、ソースコードを反映したい場合はローカルの変更をコミットしてから git push -u origin main
といったコマンドで送信します。
一方で、他のメンバーの更新を取得したいときには git pull origin main
を使います。
SSHキーを使う方法
より安全に通信したい場合や、GitHubでパーソナルアクセストークンを使用するときにはSSHキーで認証する方法があります。 鍵ファイルを事前に生成し、GitHubやGitLabの設定画面に公開鍵を登録しておくことで、コマンドラインからリポジトリにアクセスできるようになるのです。
ssh-keygen -t rsa -b 4096 -C "your.email@example.com"
上記のように鍵を作成して、生成された .pub
ファイルの中身をGitHubなどのアカウントに登録します。
あとはリモートリポジトリのURLをSSH形式 (git@github.com:username/my-project.git
) に変更すれば、パスワードの代わりにSSH認証でプッシュやプルを行えます。
ブランチ戦略の基礎
初期設定が終わったら、ブランチをどう運用するかを決めることも大切です。 ブランチは作業を分岐させ、並行して開発を進めるための仕組みです。
main ブランチと開発ブランチ
一般的に main
(または master
) ブランチがリリース可能な状態を保つメインのブランチになります。
そこから派生した機能開発用のブランチを作成し、作業が完了したら main
ブランチへマージするのがオーソドックスな流れです。
# main ブランチから "feature/login" という新ブランチを作成 git checkout -b feature/login
このようにしておけば、別の新機能やバグ修正作業を並行して行っても、コードが衝突しにくくなります。 さらに、プルリクエスト(Merge Request)を使ってレビューを受けながら安全にマージする運用も可能です。
実務で役立つシーン
ブランチを使いこなすことで、個々人が自分の担当する機能を自由に開発できます。
仮に新機能の実装を間違えても、ほかの部分に影響を与えにくいですし、履歴をすぐに巻き戻すことも容易です。
また、バグ修正を緊急で行う際には、hotfix
ブランチを切って先にリリースするなど、運用の幅が広がります。
よくあるトラブルと対処法
Gitの初期設定を行ったあとも、慣れないうちはトラブルが起こることがあります。 ここでは主な例を挙げます。
コマンドの打ち間違い
初心者の方にとっては、コマンド名が多くて混乱しがちかもしれません。
git inti
のようにタイプミスで正しく動かないことも考えられます。
一度打ったコマンドは履歴に残るため、過去の入力を活用すると良いかもしれませんね。
ターミナルで上矢印キーを押すと、以前のコマンドが表示されます。
リモートリポジトリへの接続エラー
リモートリポジトリのURLやSSHキーの設定を間違えると、git push
でエラーが出ます。
この場合は、リモートリポジトリの設定状況を git remote -v
で確認しましょう。
もしURLが誤っていた場合は、git remote set-url origin <URL>
で修正できます。
Gitでうまくプッシュやプルができないときには、まず「リモートリポジトリのURL」や「SSHキーの設定」に間違いがないかをチェックしてください。
コミット履歴がバラバラになる
ユーザー名やメールアドレスが正しく設定されていないと、コミット作者が複数に分かれます。
たとえば同じ人でもメールアドレスを変えて作業すると、履歴上で別人に見える現象が起こります。
この場合は、git config --list
で設定を確認し、原因となるエントリを修正してください。
まとめ
ここまで、Gitを使い始める上での初期設定のポイントについて解説しました。
Gitでバージョン管理をする際には、必ず最初にユーザー名やメールアドレスを設定して、誰がコミットしたかわかるように整備しておきましょう。
リポジトリを初期化して .gitignore
を活用することで、不要なファイルがコミットされるのを防げます。
また、リモートリポジトリとの連携方法を学べば、チーム開発や複数端末での作業がスムーズに進みます。 SSHキーの設定やプルリクエストの運用などを活用すれば、より安定した開発フローを実現しやすくなります。
Gitを使いこなすには習熟が必要ですが、まずは初期設定をしっかり行うことで土台を作りましょう。 その上で少しずつコマンドに慣れ、ブランチを分けながら着実に開発を進めていけば、幅広いシーンでGitの恩恵を受けられるはずです。