【Git】ファイル名の変更方法を初心者向けに詳しく解説

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はじめに

Gitを使った共同開発では、プロジェクトの成長や仕様の変更に伴ってファイル名を変えなければいけない場面が多くあります。
たとえば、初期段階で仮につけたファイル名が途中で役割と合わなくなり、現状を正しく表す名前に変更したい場合などです。

ファイル名を変更するだけなら、パソコンの通常の操作でリネームする方法も考えられます。
しかし、Gitの場合は追跡対象の変更をしっかり記録し、チームメンバーへ共有することが大切です。
安易にローカルでファイル名を変えてしまうと、履歴管理に混乱が生じることもあります。

そこで本記事では、Gitでファイル名を変更するための基本的なコマンドと、実務で役立つ手順や注意点をわかりやすく解説します。
プログラミングを始めたばかりの方にも理解しやすいように、具体例を交えながら紹介していきます。

この記事を読むとわかること

  • Gitでファイル名を変更する代表的な方法
  • 実務で多用される具体的なコマンド例
  • 手動でリネームする場合との違い
  • ファイル名変更時に気をつけたいポイント
  • チーム開発でトラブルを避けるための注意点

Gitでファイル名を変更する基本

Gitでは、ファイル名の変更そのものが履歴として扱われます。
Gitは通常、ファイルを「削除」と「追加」として認識しますが、実質的には同じ内容のファイルを「移動(リネーム)」したと判断します。
これによってファイルの履歴や差分を正しく追跡できるのです。

なぜGitでファイル名変更が必要なのか

ファイル名変更をGit上で行う主な理由としては、以下のようなものが考えられます。

1. 役割を正確に表すファイル名にする

仕様変更や機能追加によって、ファイルの中身が当初の想定と変わることは少なくありません。
そのような状況では、ファイル名が実際の内容を反映していないと可読性が落ちてしまいます。
適切なファイル名に変更しておくと、今後の開発で迷いが減るでしょう。

2. バグ修正やリファクタリング

既存コードを整理するときに、命名規則が合わないファイルや不適切な名前を見直すことがあります。
同じジャンルのファイルを共通した接頭語でまとめたり、紛らわしい名前を直感的にわかりやすいものへ変更したりすることで、開発チーム全体の生産性を上げることができます。

3. 履歴管理を乱さない

OSの通常のファイルリネーム機能を使うだけだと、Gitの履歴に反映されず、コミットログがわかりにくくなる場合があります。
正式にGitでリネームを行うことで、後から変更内容をたどる際にも混乱を防ぐことができるでしょう。

Gitでのファイル追跡方法

Gitは、ファイル自体の中身(コンテンツ)をもとに差分や変更履歴を管理します。
ファイル名は識別情報の一部ではあるものの、Gitの内部処理ではコンテンツ比較が中心です。

  • あるファイルを別名で追加し、前のファイルを削除したとしても、Gitは「移動」として検知する可能性があります。
  • ただし、Gitが自動検知するには一定の類似度が必要となります。

これらの仕組みを踏まえると、手動リネームでも履歴は残せますが、確実に変更として扱わせたい場合には git mv コマンドが便利です。
次の章で実際の使い方を詳しく見ていきましょう。

実務で役立つGitファイル名変更の具体例

git mvコマンドを使う

Gitでファイル名を変更する際に最もよく使われる方法が git mv コマンドです。
このコマンドは「ファイルを移動する」という意味ですが、新しいパスを指定することでリネームを実現できます。

たとえば old_file.txtnew_file.txt に変更したい場合、以下のように実行します。

git mv old_file.txt new_file.txt
git commit -m "Rename old_file.txt to new_file.txt"

これでGitは、ファイル名の変更を「移動」というかたちでコミット履歴に登録します。
その結果、以前のファイル名の履歴と新しいファイル名の履歴を一貫してたどることができます。

コマンド例

git mv は複数のファイルに対しても利用可能です。
ただし、基本的には1ファイルずつコマンドを実行する場合が多いでしょう。
複数のリネームを一度に行いたいときは、以下のように複数回コマンドを打ち込んだ後、まとめてコミットするイメージです。

git mv user.js userController.js
git mv config.json appConfig.json
git commit -m "Rename files to reflect new roles"

現場では「ファイルの命名が正確かどうか」が大事なので、コミットメッセージには理由も補足しておくとよりわかりやすくなります。

手動リネームとステージング

OSの操作でファイル名を変更してから git add してコミットする方法でも、履歴としては「前のファイル削除」と「新ファイル追加」に分かれて記録されます。
Gitは、内容が似ているファイルが削除・追加されたときに「リネームとして推測」しますが、確実ではありません。
不要な差分が多くなる可能性もあるため、git mv を使うのが一般的です。

手動リネームの手順

万が一、手動でリネームをしてしまった場合は、次のようにステージングからコミットまでを行うとよいでしょう。

  1. ファイルをOS上で名称変更する
  2. git status で変更状況を確認する
  3. git add で新しいファイル名をステージに追加し、古いファイル名を削除したこともステージに追加する
  4. git commit -m "Rename..." でまとめてコミット

上記の流れでコミットすれば、実質的にはリネームとしてログを見られることが多いです。
ただし、Gitの判断基準によっては削除と追加が別々に表示されることもあるので、可能な限り git mv を使いましょう。

ファイル名変更時に気をつけたいポイント

大文字小文字の扱い

Gitは基本的に大文字小文字を区別します。
一方で、WindowsやmacOSのファイルシステムは大文字小文字を区別しない設定で運用されることがあります。
たとえば file.txtFile.txt にリネームしても、OS上では同じファイルと認識される場合があるのです。

このケースは、開発チームにWindowsユーザーとmacOSユーザーが混在しているときに起きやすい問題です。
大文字・小文字しか変わっていないリネームがGitの観点で正しくステージされないこともあるので、以下のように対処すると安心です。

  1. 一度ファイル名をまったく別のものに変更する
  2. コミットまたはステージングする
  3. もう一度、最終的に使用したい大文字小文字のファイル名に変更する

面倒に思えるかもしれませんが、こうすることでGitが削除と追加を確実に認識し、大文字小文字の差分も正しく履歴に反映されます。

リポジトリのコミット履歴

ファイル名を変更すると、Gitが差分を検出する際に「移動済み」として表示するようになります。
これは通常、履歴追跡において大きなメリットになります。

ただし、以下のような点に注意しましょう。

差分が大きいファイルのリネーム

同時にファイル内容も大幅に変更すると、Gitが自動的に移動を検知できない場合があります。
なるべくファイル名の変更と内容の変更はコミットを分けると、履歴が見やすくなります。

コミットログが断片化しないように

こまめにファイル名変更を行うと、コミットログをたどったときに混乱する可能性があります。
実際の開発では、ある程度の意図がはっきりした段階でまとめてリネームしたほうが、チーム全体の理解がスムーズになることがあります。

チーム開発でよくあるトラブルと対策

共同作業の現場では、ファイル名変更が原因で思わぬトラブルに発展することも珍しくありません。
たとえば、チームメンバーの一人がファイル名を変更してプッシュした直後に、別のメンバーが古いファイル名を参照するコードを書いてプッシュしてしまうケースです。

プルやフェッチのタイミングを意識する

リモートリポジトリの変更を取り込まずに作業を進めていると、ファイル名が変わっていることに気づかないまま古いファイル名を使い続けることがあります。
定期的に git pullgit fetch でリモートの最新情報を取得し、自分のブランチに反映しておきましょう。

コミットメッセージにリネームの意図を記載する

何をどう変えたのかをコミットメッセージで明記しておくと、後から履歴を追ったときにトラブルシューティングがしやすくなります。
単に "Rename file" ではなく、"Rename UserModel.js to UserEntity.js to clarify role" のように書くと、他の開発者も背景を理解しやすいでしょう。

マージリクエストやプルリクエストで周知する

Gitを使ったチーム開発では、マージリクエストやプルリクエストを立ててファイル名変更をメンバーに周知するのが効果的です。
メンバーがレビュー時に「このファイル名ならもっとこうした方がわかりやすいのでは?」といった提案ができるため、混乱を防げます。

大幅にファイル名を変更する作業は、なるべくコード変更が落ち着いているタイミングで行うのがおすすめです。

実務シーンを想定した具体的な流れ

ここからは、実務でGitを使っているケースを想定した流れをご紹介します。
初心者の方は、この一連の手順をイメージしておくと現場で役立つはずです。

ブランチを切って変更作業を行う

  1. 作業用のブランチを作成する。
  2. 変更対象ファイルをリストアップしておき、チーム内で「この名前で問題ないか」を軽く共有する。
  3. 計画的に git mv コマンドでファイル名をリネームし、コミットする。

コード内容の最終確認

ファイル名が変わることで、参照部分にも修正が必要な場合があります。
モジュールのインポートパスなどに変更ミスがないかを確認しましょう。
IDEであれば検索機能を使って、古いファイル名の文字列が残っていないかチェックするのも効果的です。

リモートリポジトリに反映

ローカルでの作業がひととおり完了したら、以下の流れで作業を仕上げます。

  1. リモートリポジトリの最新状況を把握するために git fetchgit pull を実行する
  2. コンフリクト(衝突)が生じる場合は、手動で解消する
  3. コミットログを整えて、わかりやすいメッセージとともにプッシュする
  4. プルリクエストやマージリクエストでメンバーに知らせ、レビューを受ける

チームへの周知

マージ後は、Slackなどのコミュニケーションツールで「ファイル名を変更したので注意してください」と伝えることも大切です。
リネーム作業は簡単に見えますが、参照箇所のズレや大文字小文字の問題が残っていると、デプロイ時のエラーにつながる場合もあります。

本番環境に影響のあるファイル名変更は、念入りにテストを行いましょう。

まとめ

ファイル名の変更は一見単純ですが、チームでの共同作業やリポジトリの履歴管理を考えると意外に気を遣う場面が多いものです。

  • git mv コマンドを活用すると、履歴がわかりやすくなり、後から変更内容を追跡しやすい
  • 大文字小文字の扱いに注意して、特に異なるOS環境では慎重にリネームする
  • チーム開発では、周知不足がトラブルの原因になりやすいので、コミットメッセージやプルリクエストを通じて意図を共有する

これらのポイントを押さえておけば、ファイル名の変更による混乱を最小限に抑えながら開発を進めることができます。
ぜひ実務の中で役立ててみてください。

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