GitHubのWikiとは?初心者向けにわかりやすく使い方を解説

Web開発

はじめに

Gitはソフトウェア開発で使われるバージョン管理システムです。
ソースコードの変更履歴を管理するイメージが強いかもしれませんが、実はドキュメントや手順書といった情報を整理する方法としても役立ちます。

その一つがWiki機能です。
Wikiという言葉は百科事典サイトなどで聞いたことがある方も多いでしょう。
Git Wikiではプロジェクトに関連する仕様や手順をまとめることができ、共同作業時の情報共有を円滑にします。

この記事では、Git Wikiの基本的なしくみや実際の運用例などを、初心者の皆さんにもわかりやすい言葉で解説します。
ソフトウェア開発以外の用途でも応用できるので、ぜひ活用のヒントにしてみてください。

この記事を読むとわかること

  • Git Wikiの特徴やメリット
  • GitHubやGitLabでのWiki機能の使い方
  • 実務で活用しやすい運用のポイント
  • コマンドを利用してWikiを編集する流れ

Git Wikiの基本

Git Wikiは、バージョン管理システムであるGitの仕組みを利用して作られるドキュメントです。
Webブラウザから直接ページを作成・編集できるだけでなく、ローカル環境でWiki用のリポジトリを操作して変更履歴を管理することもできます。

Wikiの内容はMarkdown形式で書くことが一般的です。
見出しや箇条書き、テーブルなどを使って整理しやすい文書を作成できます。
その結果、プロジェクトの仕様書やリリース手順などをチーム全体でスムーズに共有しやすくなります。

また、Gitと同様に変更の履歴が残るため、いつ・誰が・どこを変更したのかを簡単に確認できます。
この点は共同作業でのトラブル防止に役立つはずです。
変更内容をすぐに元に戻すこともできるので、誤って情報を消した場合でも安心できます。

Git Wikiを使うメリット

Git Wikiを使うことで得られる主なメリットを見ていきましょう。
実務のなかでよくあるシーンをイメージしながら確認してみてください。

情報共有の効率化

皆さんがプロジェクトを進めるなかで、技術的なメモやインストール方法、セットアップ手順を残しておきたいことがあるかもしれません。
Wikiを使えば、これらの情報をひとつの場所に集約できます。
たとえばソースコードをGitで管理しているなら、リポジトリ単位でWikiを持つことで、関連情報も同じ場所で保管できます。

複数のメンバーが参加するプロジェクトでは、口頭やチャットだけでは大事な情報を埋もれさせてしまいがちです。
Wikiにドキュメント化しておけば、後から参加したメンバーでも参照がしやすくなり、認識のズレが減ります。
結果としてプロジェクト全体の効率アップにつながるでしょう。

バージョン管理による安心感

Wikiの内容が変わるたびに、変更履歴を詳細に確認できます。
万が一、誰かが重要な情報を削除してしまったり、誤った記述を入れてしまっても、以前の状態に戻すのは簡単です。
これはGitが持っている差分管理の仕組みを、Wikiでも同じように使えるためです。

個人で扱っているメモなら大きな問題にならないかもしれませんが、大人数が共同で使うドキュメントは消しミスや編集ミスなどが起こりがちです。
こうしたリスクを抑えられることは大きなメリットです。
それにより安心して編集を重ねられます。

オフライン編集の柔軟性

Git Wikiは、Web上のUIから編集するだけでなく、ローカル環境で作業することも可能です。
たとえばGitHubの場合、.wiki.gitという専用のリポジトリをクローンしてローカルでMarkdownファイルを編集し、プッシュすることでWikiの内容を更新できます。
大きな改変を伴う編集や、細かいレイアウト調整などを落ち着いて行いたいときに役立つ方法です。

このオフライン編集の特性を活かすことで、インターネット接続が不安定な状況でもドキュメント作成が進められます。
社内ネットワークだけで動くようにしたい場合なども便利です。

実際の運用例

次に、具体的な運用のイメージを少し見てみましょう。
開発チームがプロジェクトを立ち上げたとき、最初にWikiに開発ルールや環境構築手順をまとめます。
その後、新しい機能を追加するときには、その仕様やテスト方法をWikiに書き足すと良いでしょう。

さらに、リリース時の手順やトラブルシューティングなどもWikiに載せておくと、メンバー全員が同じ情報を確認できます。
この運用スタイルはソフトウェア開発だけでなく、Webサイトの制作やデザイン関連のチーム、さらには社内資料の管理にも応用可能です。
チーム内で意見を出し合いながら、Wikiを充実させていくと資料がどんどん価値を持つようになります。

チームの全員がいつでも最新の手順や仕様を確認できるようにすることで、コミュニケーションロスを減らす効果があります。

GitHub Wikiの使い方

ここからはGitHubに用意されているWiki機能を例に取り上げてみましょう。
GitHubリポジトリの設定画面からWikiを有効化すると、ブラウザ上で新しいページを作成できます。
あらかじめマークダウン形式に慣れておくと、表や画像の埋め込みなどもスムーズに行えるでしょう。

GitHub Wikiの初期設定

  1. 対象のリポジトリにアクセス
  2. タブ一覧から"Wiki"をクリック
  3. "Wikiを有効にします"または"Create the first page"といった画面が表示される場合は、それに従って進める

初期設定の段階では、まずトップページを用意すると良いでしょう。
トップページにはプロジェクトの概要や、Wikiの運用ルールをシンプルにまとめることが多いです。

GitHub Wikiへの編集

GitHubのWikiページには「Edit」ボタンがあり、クリックするとMarkdownエディタ画面が開きます。
そこで文章を修正したり、新しいセクションを追加したりできます。
編集が終わったら「Save」を押すだけで変更が確定され、変更履歴が記録されます。

より大きな編集をしたい場合は、以下のようにWikiリポジトリをローカルへクローンして作業できます。
リポジトリ名の末尾に「.wiki.git」が付いたURLを指定する点が特徴です。

git clone https://github.com/<ユーザー名>/<リポジトリ名>.wiki.git
cd <リポジトリ名>.wiki

ここで得られるファイル群はMarkdown形式になっています。
文法やレイアウトを調整したらコミットとプッシュを行い、ブラウザでWikiを確認すると変更内容が反映されているはずです。

GitLab Wikiの使い方

GitLabにも同様のWiki機能が存在します。
使い方の概念はGitHubとほとんど変わりませんが、若干UIが異なるので簡単に流れを見ておきます。

GitLab Wikiの初期設定

  1. 対象プロジェクトのトップページへ移動
  2. サイドバーから"Wiki"をクリック
  3. 「New page」などのボタンが表示されればクリックして最初のページを作成

Wikiを作成した時点で自動的に.wiki.gitというリポジトリが生成されます。
こちらもローカルで編集する仕組みは同じです。

GitLab Wikiへの編集

基本はブラウザのエディタから編集する方法が手軽です。
Markdownプレビュー機能があり、文書の見た目をその場で確認しながら書けます。
途中で誤って修正してしまっても、コミット履歴からすぐに以前のバージョンを確認できるので安心です。

大規模な追記や複数の画像をまとめて配置するケースなどでは、以下のようにターミナルからリポジトリを取得します。
あとは手元のテキストエディタで編集を続け、終わったらGitでプッシュします。

git clone https://gitlab.com/<グループ名>/<プロジェクト名>.wiki.git
cd <プロジェクト名>.wiki

運用のポイント

Wikiを使っていくと、ページが増えて管理が複雑になることがあります。
そこで、以下のようなポイントを押さえておくと混乱を防げます。

  • ページの階層構造を意識して、関連する情報はまとめておく
  • 記述ルールを簡潔に決めておく(例:ページ冒頭に概略を書くなど)
  • 変更履歴にコメントをしっかり記載しておき、誰が何を直したのか明確にする
  • 情報が古くなった場合は更新を積極的に行い、不要なページはアーカイブする

このような工夫をすれば、Wikiが大きくなっても必要な情報を見つけやすくなります。

複数の人が同時にWikiを編集する場合、競合が発生することがあります。
あらかじめチーム内で作業時間帯をずらすなど、衝突を避ける運用も検討してみてください。

まとめ

Git Wikiは、プロジェクトに関わる情報を一元管理するうえで非常に便利な機能です。
バージョン管理による履歴の追跡やローカル編集など、Gitならではのメリットが多く、日々の業務効率化にもつながります。

実務シーンを意識しながらWikiを運用していくことで、仕様変更やリリース手順の整理などもやりやすくなるでしょう。
GitHubやGitLabなどのプラットフォームで簡単に使えるので、ぜひ一度試してみてください。

皆さんが納得のいく形でドキュメントを整備できれば、チーム全体のスピードアップやコミュニケーションの円滑化につながるかもしれません。
今回ご紹介したポイントを参考に、気軽にGit Wikiを活用してみてください。

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