Homebrewの使い方を初心者向けに丁寧解説【Mac環境で使えるパッケージ管理】

はじめに

Macで開発や作業を始めると、さまざまなソフトウェアやコマンドラインツールをインストールする必要がありますね。
その際に便利なのが Homebrew と呼ばれるパッケージ管理ツールです。

このHomebrewを活用すると、ソフトウェアのインストールやアップデートがコマンド一発でできるようになります。
しかし初めて使う方にとっては、インストール手順やコマンドの種類などが少しややこしく感じるかもしれません。
そこでこの記事では、初心者でも理解しやすいようにHomebrewの基本から具体的な使い方までをまとめました。

パッケージ管理という言葉自体がはじめての方もいらっしゃるでしょう。
パッケージとは、ソフトウェアやライブラリなどのまとまりを指し、パッケージ管理とはそれらを効率良く扱う仕組みです。
慣れてしまえば、Homebrewのおかげでインストールの煩雑さから解放されることがわかってくるはずです。

この記事を読むとわかること

• Homebrewの基本的な仕組みと概要
• MacでのHomebrewインストール手順
• よく使うHomebrewコマンドの実践的な使い方
• トラブルを防ぐための対策やヒント
• Homebrewを使ったパッケージ管理の活用シーン

Homebrewは、Macの環境設定や開発においてかなり重要な位置を占めています。
本記事で一連の流れを理解することで、パッケージ管理の効率がぐっと高まるでしょう。

Homebrewとは何か

Homebrewとは、Mac向けのパッケージ管理ツールです。
ターミナル上でコマンドを実行するだけで、さまざまなソフトウェアを簡単にインストールしたりアップデートしたりできます。
たとえば、GitやNode.js、Pythonなどの開発に欠かせないツールがワンコマンドで導入できるのが特徴です。

初心者の方は「パッケージ管理」と聞くと難しく感じるかもしれません。
しかし一度使い方を覚えてしまえば、必要なツールを迅速に導入できるので、作業効率が高まります。
手動ダウンロードやドラッグ＆ドロップではなく、Homebrewに任せるイメージです。

パッケージ管理のメリット

パッケージ管理のメリットは、インストールプロセスやアップデート、アンインストールまでもが一元化されるところにあります。
ソフトウェアをインストールするたびにWebサイトを探してダウンロードする手間が省けるため、時間短縮につながるでしょう。
また、アップデートもHomebrewのコマンドで一括して行えるため、バージョンの整合性を保ちやすいのも利点です。

Homebrewのインストール方法

では、まずHomebrewそのものをインストールしてみましょう。
Macではターミナルと呼ばれるアプリを使って作業を行います。
アプリケーションフォルダにあるターミナル、またはスポットライト検索で「ターミナル」と入力して起動してください。

インストール手順

Homebrewのインストールには公式が提供するスクリプトを利用します。
ターミナルを開いたら、以下のコマンドを入力してください。

/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

エンターキーを押すと、パスワードの入力が求められる場合があります。
これはmacOSのセキュリティ上の仕組みですので、指示に従ってパスワードを入力しましょう。

インストール後の確認

インストールが完了したら、Homebrewが正しく導入されているか確認します。
以下のコマンドを入力してバージョン情報が表示されれば、インストールは成功です。
ただしバージョン番号は例として考えてください。

brew --version

Homebrewをインストールしたあとの作業として、環境変数の設定を促される場合があります。
画面の案内に従って、指定されたコマンドを入力してパスを通す設定を完了させてください。

基本的な使い方

Homebrewでは、ソフトウェアのインストールやアンインストール、アップデートなどを行います。
ここでは代表的なコマンド例を紹介します。

brew update

Homebrew自体を最新の情報に更新するコマンドです。
リポジトリの更新を行うことで、新しいパッケージの情報や更新情報を取得します。

brew update

brew upgrade

Homebrewでインストールしたパッケージをまとめてアップグレードできます。
必要なツールを最新状態に保つのに便利です。

brew upgrade

brew install

特定のソフトウェアをインストールするときに使うコマンドです。
例えばGitを入れたい場合は次のようになります。

brew install git

なおパッケージ名は、実行前に brew search で探すことも可能です。
パッケージ名が正しいかわからない場合は、まず検索してみましょう。

brew search

指定したキーワードを含むパッケージを検索できます。
パッケージ名に確信がないときなどに役立ちます。

brew search node

brew info

パッケージに関する情報を見るコマンドです。
インストール場所や依存関係、バージョン情報などを確認できます。

brew info git

brew remove

不要になったパッケージはアンインストールして整理します。
使用しないツールを長く放置していると、Mac内の不要なファイルが増える可能性があります。

brew remove git

Homebrewを使うメリットと活用シーン

Homebrewを活用することで、ソフトウェアのインストールや管理がシンプルになります。
ここでは、日常的な作業やプログラミング学習、そして実務での活用シーンを紐付けながら紹介します。

日常的な作業でのメリット

普段からMacを利用していると、「あのコマンドラインツールが必要だけど、インストール方法がよくわからない」という状況に遭遇しやすいかもしれません。
Homebrewであれば、例えば画像処理ツールをすぐ導入できたり、音声処理のためのソフトウェアを瞬時に試せます。
アプリケーションを個別に探す時間が減るので、作業の手戻りが減り時短につながるわけです。

プログラミング学習でのメリット

プログラミングを学び始めると、GitやNode.js、Pythonなど複数の開発ツールを導入する機会が多いですよね。
それぞれの公式サイトにアクセスしてインストーラーをダウンロードする方法もありますが、バージョン管理が難しくなることがあります。
Homebrewを使えば、セットアップがコマンドベースなので、ツールのバージョン違いに悩みにくいです。

実務での活用シーン

会社やチームで開発をするとき、誰かが「このツールを使ってテストを自動化したい」「CI環境でこのパッケージを使いたい」といった提案をすることがあります。
そうしたときもHomebrewを使って簡単に新しいソフトウェアを導入すれば、全員が共通の環境を整えることができます。
また、Macを扱うエンジニア同士であれば、Homebrewコマンドさえ共有すれば同じ開発環境を再現しやすいです。

導入後に気をつけたいポイント

便利なHomebrewですが、いくつか気をつけたいポイントがあります。
特に初心者の方は、複数のパッケージをインストールするうちにいつの間にか設定ファイルが増え、トラブルを招くこともあるかもしれません。

パスの重複に注意

Homebrewをインストールした後、パスの設定を誤ると複数のバージョンの同じコマンドが混在する場合があります。
たとえばmacOSに最初から含まれているGitとHomebrewで入れたGitが別々に動いてしまうなどです。
ターミナルで which git のようなコマンドを使うと、どのGitが実行されているかわかるので、パスが重複していないか確認すると良いでしょう。

大量のパッケージを無造作に入れすぎない

Homebrewでは、気軽にソフトウェアを入れられる分、必要以上にパッケージを増やしてしまいがちです。
あまり使わないものが積み重なると、アップグレードの管理が煩雑になる可能性があります。
不要なパッケージはこまめに削除して、環境をシンプルに保ちましょう。

コマンドの衝突をチェックする

Homebrewで同名コマンドを扱うパッケージを入れた際に、競合が起こることがあります。
例えば名前が似たようなコマンドやツールが複数存在する場合、それぞれが競合して動作しないケースがあります。
このような衝突は brew info で依存関係や競合状況を調べる、あるいは brew doctor などを活用してトラブルを事前に察知すると良いでしょう。

トラブルシューティング

いざというときのために、代表的なトラブルと対処法をまとめます。
初心者の方でもパニックにならずに対応できるよう、よくあるケースを押さえておくのが大切です。

Homebrewコマンドが見つからない

Homebrewを入れたはずなのに、ターミナルで brew コマンドを打っても「コマンドが見つからない」というエラーが出る場合があります。
この場合はパスの設定が正しくできていない可能性が高いです。
インストール直後に表示された案内に従って、~/.zprofile や ~/.zshrc などに環境変数を追記できているか再確認しましょう。

インストールに失敗する

ネットワークの問題やパーミッションの設定不備などで、インストールが途中で止まることがあります。
一時的なネットワークエラーが原因なら、しばらく待ってからもう一度コマンドを実行してみてください。
パーミッションが原因の場合は、管理者権限を用いたり、ディレクトリの所有権を確認して修正すると改善することがあります。

パッケージがアップグレードできない

brew upgrade を実行しても特定のパッケージだけがアップグレードされない場合、依存関係が複雑なケースや、リポジトリ情報が更新されていない場合があります。
まずは brew update を実行してリポジトリ情報を最新化し、それでも解決しないなら brew info で依存パッケージに問題がないか確認すると良いでしょう。

Homebrewの応用的な使い方

ここまで紹介してきた基本的なコマンド以外にも、Homebrewをより便利に使う方法があります。
開発環境をより柔軟にしていきたい方に向けて、いくつか応用的な使い方をピックアップします。

tapを使った追加リポジトリ

Homebrewでは公式リポジトリの他に、ユーザーコミュニティや企業が提供するリポジトリを追加して活用することが可能です。
これを tap と呼びます。
brew tap <リポジトリ名> のコマンドで追加すれば、公式リポジトリにないソフトウェアをインストールできる場合があります。

masでMac App Storeアプリを管理

masと呼ばれる拡張ツールを使うと、Mac App StoreのアプリをHomebrewのようにコマンド管理できます。
たとえば有料・無料アプリを含めたアップデートをワンコマンドで処理できるため、GUIからいちいちチェックしなくても最新化できます。
ただしMac App StoreのアプリはApple IDを介したライセンス管理があるので、masを利用するときは正しいアカウントでログインしておきましょう。

caskでGUIアプリも導入

HomebrewにはGUIアプリを扱うための cask という仕組みがあります。
コマンドラインツール以外に、たとえばブラウザやエディタなどを brew install --cask <アプリ名> のようにして導入可能です。
App Storeにないアプリも簡単にインストールできるので、幅広いソフトウェアの導入がワンストップで行えるようになります。

macOSのバージョンごとに気をつける点

Homebrewを利用するうえで、macOSのバージョンが古い場合には、一部パッケージがサポート外となることがあります。
もしサポートが終了したバージョンのmacOSを使っている場合、アップグレードしてからHomebrewを導入するとスムーズです。
また、M1チップやM2チップなどのAppleシリコンを搭載したMacでは、Rosettaが必要なパッケージもあるので、パッケージ説明を確認しておくと良いかもしれません。

実務での活用シーンをもう少し具体的に

プログラミング初心者の方が仕事で使う段階になっても、Homebrewはさまざまな場面で活躍します。
たとえば以下のようなケースです。

バックエンド開発環境の整備

Webアプリケーションのバックエンドを開発する場合は、データベースやサーバーサイド言語が必要になることが多いです。
MySQLやPostgreSQL、Node.jsなどをHomebrewでそろえてしまえば、一貫した管理が可能です。
導入後は簡単なコマンドで各パッケージを起動できるため、開発の立ち上げがスピーディーになります。

CI/CDパイプラインの構築

継続的インテグレーション（CI）や継続的デリバリー（CD）の流れを作るときに、各種テストツールやビルドツールを導入する必要があります。
Homebrewであればそれらをまとめてインストールして構成しやすいでしょう。
開発メンバー全員が同じ環境を再現しやすいので、動作確認の手間が大幅に減ります。

チーム開発での作業効率向上

チームの誰かが「このパッケージを導入すると効率が上がる」と思いついた場合、HomebrewコマンドをSlackやチャットツールで共有するだけで、他のメンバーもすぐ試せます。
「設定方法がわからない」「インストーラーをどこから取ってくるの？」というやりとりが不要になる点は大きいです。

Homebrewアンインストール方法

万が一、Homebrew自体を削除したいという場合もあるかもしれません。
アンインストール用のスクリプトが提供されているため、以下のようにコマンドを実行すれば削除できます。

/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/uninstall.sh)"

アンインストールすることで、Homebrewで導入したパッケージ群も使えなくなります。
再度導入したいときは、インストール手順を繰り返せばOKです。

まとめ

Homebrewは、Mac上でソフトウェアを管理する際にとても便利なパッケージ管理ツールです。
慣れないうちは「brew」というコマンドの仕組みが難しそうに見えますが、実際に触れてみるとインストールやアップデートが効率的になります。

パスの設定 や 不要パッケージの整理 などに気を配れば、Homebrewのトラブルも最小限に抑えられるでしょう。
プログラミングを学習中の方はもちろん、Macを使っている誰にとっても役立つので、環境構築の第一歩としてぜひ活用してみてください。

Homebrewをきっかけにコマンドラインツールを使いこなせると、開発や学習の速度が大きく変わってくるかもしれません。
この記事を参考に、無理なく少しずつステップアップしていきましょう。