セッションとは?初心者でもわかる仕組みと具体的な活用シーン

Web開発

はじめに

ウェブアプリケーション開発に携わると、セッションという仕組みを耳にすることが多いのではないでしょうか。 セッションとは、クライアントとサーバーの間で継続的なやり取りを実現するための手段です。 一度ログインしてからユーザー情報を保持したり、ショッピングカートに商品の情報を保存したりするために活用されます。 しかし、具体的にどのような仕組みで動いているのか、最初はイメージがつかみにくいかもしれません。

そこで、この記事では初心者でも理解しやすい言葉でセッションの基本を解説していきます。 あわせて、実際の現場でどのようにセッションが使われるのか、Node.jsによるサンプルコードとともに紹介するので、参考にしてみてください。

セッションを理解しておくと、ユーザー認証やデータの一時保存など、さまざまな場面で役立ちます。

セッションの基本を理解する

セッションとは何か

セッションとは、ウェブブラウザとサーバーがやり取りを続けるために、短期的な情報を保持しておく仕組みです。 HTTP通信は本来「リクエストとレスポンスが終わったら、相手を忘れてしまう」性質があります。 でも、ユーザーがログインしている状態を記録したり、ショッピングカートに商品を入れた状態を保ったりするには、継続的に情報を持ち続ける必要があります。 ここで役立つのがセッションです。

セッションでは、ユーザーごとにセッションIDと呼ばれる識別子を割り振り、このIDを使ってサーバー側にユーザーの情報を紐付けています。 この仕組みによって、複数回のリクエストにまたがるやり取りを一続きに扱うことができるようになります。

よくある誤解

セッションとCookieは混同されがちです。 Cookieもブラウザに情報を保存する仕組みですが、セッションはあくまでサーバー側で管理される情報がメインです。 ただし、セッションの仕組みを動かすときにはCookieを併用することが多く、「Cookieを使わずにセッション管理する」といったケースはあまり見られません。

もう一つの誤解として、「セッション=ログイン機能」と思われることがありますが、これは厳密には間違いです。 ログイン状態を保持するためにセッションを使うのはよくある例ですが、それだけがセッションの用途ではありません。

活用シーンの全体像

セッションは、ユーザーごとに異なる状態をサーバー側で保持したいときに活躍します。 ログイン認証、ショッピングカート、アクセス制限の仕組みなど、実用的な場面は数多く存在します。 それらの場面では、一度認証したユーザー情報をサーバー側に保存し、同じユーザーかどうかをセッションIDで判定します。 結果的に、ユーザーの行動履歴や状態を追跡できるわけですね。

セッション管理の仕組みを見てみよう

Cookieとの関係

セッションを管理するとき、サーバー側はセッションIDを生成し、クライアントに渡します。 ブラウザは受け取ったセッションIDをCookieに保存し、次のリクエストの際に同じCookieをサーバーに送信します。 サーバーはそのCookieの中にあるセッションIDを使って、保存しておいたユーザー情報を照合し、「このリクエストは誰のものか」を判断する仕組みになっています。

Cookieそのものには、セッションID以外の詳細なデータを保存しないようにすることが多いです。 サーバー側で管理すべき情報をCookieに直接入れると、セキュリティ面でリスクが高まるからです。 そのため、サーバー側で情報を保持しておき、必要最低限のIDだけをCookieに渡すのが基本的なアプローチになります。

セッションIDのやり取り

セッションIDは文字列の形をとりますが、推測されにくい複雑な値を使うことが重要です。 仮にセッションIDが簡単に推測されてしまうと、別のユーザーになりすまして情報にアクセスできる可能性があります。 さらに、HTTPSで暗号化して通信しないとセッションIDが盗聴される危険もあるため、セキュアな通信環境を整備することが大切です。

セッションIDは一定時間が経過すると失効するよう設定するのが一般的です。 これによって、長期間セッションIDを使い続けることによるセキュリティリスクを軽減します。 たとえば、数十分の非操作状態が続いたら自動的にセッションを終了させる、などの設定がよく見られます。

具体的な運用例

ログイン認証

ログイン認証では、ユーザーが正しいIDとパスワードを入力した後、サーバーがそれを検証して「認証済み」の状態をセッションに保存します。 次回以降のリクエストでは、ユーザーが再びログインページを経由しなくても、そのセッションIDに基づいて認証済みと判断されるわけです。 これがないと、毎回ユーザー名とパスワードを入力させるしかありません。

一方で、セッションのタイムアウトを適切に設定していないと、ログアウトするのを忘れたまま他人が同じ端末を使ったときに不正アクセスにつながりかねません。 そのため、有効期限の管理や、ユーザーが明示的にログアウトしたときにセッションを破棄する仕組みが重要になります。

ショッピングカート

ショッピングサイトで商品をカートに入れると、次のページに移動してもカートの中身が引き継がれますよね。 このとき活躍しているのがセッション管理です。 サーバー側でユーザーごとのカート内容を記録し、セッションIDを手がかりに「誰がどの商品をカートに入れたか」を追跡しているのです。

複数の商品を一度に管理できるのも、セッションによってユーザーとカートの内容がしっかり結びついているからといえます。 ブラウザを閉じたり一定時間経過したりするとセッションが切れるため、再度訪問するとカートが空になっていることもあるでしょう。

アクセス制限

セッションは、ページへのアクセス制限をかけるときにも利用されます。 特定の権限を持つユーザーしか見られない管理画面を用意したい場合など、セッションに「管理者である」という情報を保存しておけば、リクエストごとに確認できるため便利です。 これにより、不正なアクセスをある程度防止できます。

ただし、セッションに機密情報を保存しすぎるのは避けたいところです。 サーバーへの負荷が増えるだけでなく、もしセッション情報が流出したときの被害が拡大するリスクがあるからです。 必要最低限の情報だけをセッションに残すように心がけましょう。

Node.jsでセッション管理を実装する

Expressで簡単に書いてみる

Node.jsでウェブアプリケーションを作るときに利用されることが多いのが、Expressというフレームワークですね。 Expressではexpress-sessionというミドルウェアを使うと、セッション管理の仕組みを手軽に導入できます。 以下のコード例では、セッションを利用するための基本的な流れを示しています。

const express = require("express");
const session = require("express-session");

const app = express();

// セッション用ミドルウェアの設定
app.use(
  session({
    secret: "yourSecretKey",     // セッションID署名用の秘密鍵を設定
    resave: false,               // 毎回セッションを再保存するかどうか
    saveUninitialized: false,    // 未初期化セッションを保存するかどうか
    cookie: {
      maxAge: 1000 * 60 * 30,    // 30分の有効期限(ミリ秒単位)
    },
  })
);

// サンプルルート
app.get("/", (req, res) => {
  // セッションに訪問回数を保存
  if (!req.session.views) {
    req.session.views = 1;
  } else {
    req.session.views++;
  }

  res.send(`訪問回数: ${req.session.views}`);
});

app.listen(3000, () => {
  console.log("Server is running on port 3000");
});

この例では、secretに設定する文字列がセッションIDの署名に利用されます。 実運用では、より推測されにくい長めの文字列を使用しましょう。 resavesaveUninitializedなどのオプションは、セッションをどのタイミングで保存するかを制御する設定です。 ここでは簡単な設定にとどめていますが、状況に応じてカスタマイズすることが大切です。

セッションを使うときのメリットと注意点

セッションを利用すると、ユーザーごとに状態を保持する機能を簡単に実装できます。 クライアントがCookieを無効にしていなければ、自然に継続したやり取りをサポートできるので便利です。 ログイン機能やカート機能のように、ユーザーの操作をまたいで情報を扱う場面では重宝します。

ただし、サーバー側でユーザーごとの情報を保管し続けるため、メモリやストレージの消費量が多くなることに気を配る必要があります。 アクセス数が増えるほど、セッションを効率的に管理しなければいけない場合もあるでしょう。 データベースや外部ストレージを活用してセッションを分散管理するなど、実装規模に応じた対策を考えてみてください。

セッション切れが起きるタイミング

有効期限の考え方

セッションはユーザーの利便性向上に役立つ一方で、常に有効化し続けるのは好ましくありません。 長期間セッションが有効だと、不正にセッションIDを奪取された場合に大きなリスクを生むからです。 そのため、一定時間操作が行われなかった場合や、ユーザーが明示的にログアウトした場合にセッションを終了させる仕組みを導入することが一般的です。

セッションの有効期限を適切に設定することで、万が一セッションIDが流出したとしても被害を限定できます。 たとえば、30分や1時間といった短めの時間を区切りにしてセッションを切る運用は、多くのウェブサービスで実践されています。 あらかじめ用途に合わせて期限を考え、実装時に反映させるようにしましょう。

あまり短すぎる有効期限に設定すると、ユーザーにとって使い勝手が悪くなりすぎる点にも注意してください。

まとめ

この記事では、セッションの基本的な考え方やCookieとの関係、具体的な活用シーンについて解説しました。 初心者の皆さんが最初につまずく原因の多くは「HTTPがステートレスである」という性質を理解できていないことにあるかもしれません。 セッションは、ステートレスな通信に「状態を付加する」仕組みであり、ログイン機能やショッピングカートなどのさまざまな機能を実現するために役立ちます。

Node.jsを使った例では、express-sessionを利用するだけで比較的簡単にセッション管理を導入できます。 しかし、セキュリティやスケーラビリティの面では注意が必要です。 今後は、セッションIDの生成や管理方法を深掘りしたり、データベースを活用したセッションストアを取り入れたりといった工夫を検討していくことになるでしょう。

セッションを使いこなせるようになると、ユーザーの操作に応じてアプリケーションの状態を柔軟に保ち続けることができるようになります。 ぜひ、この基本を押さえてから、より高度な実装へと発展させてみてください。

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