オンデマンドとは?実務での活用例と仕組みをやさしく解説

クラウド開発

はじめに

皆さんは オンデマンド という言葉を耳にしたことはありませんか。 動画配信やクラウドサービスなど、いろいろな分野で使われる用語です。 必要なときに必要なものを使える仕組みとして、多くの現場で導入されています。 初心者の方でもピンとこないことがあるかもしれませんが、実務とのつながりを見ていくと理解しやすいでしょう。 ここでは、オンデマンドの基本的な意味や実務活用例、そして導入時のポイントについてやさしく解説します。

オンデマンドとは

オンデマンド とは、必要に応じてサービスやリソースを使うことができる仕組みを指します。 ITの世界では、サーバーやソフトウェア、映像などを好きなタイミングで利用できる形態をイメージするとわかりやすいかもしれません。 従来は、あらかじめハードウェアやソフトを用意しておく必要がありましたが、オンデマンド方式では利用者の要求に合わせて即座に提供されるのが特徴です。

用語の背景

オンデマンドという言葉は英語の “on demand” が由来です。 「要求があれば」という意味合いを持ち、ITの領域だけではなく印刷や配送など幅広い分野で用いられてきました。 近年はクラウドコンピューティングの普及により、サーバーリソースを必要なときだけ利用できる形態が一般化しています。 この流れは映像配信サービスにも波及し、テレビ番組や映画を視聴したいときにすぐ再生できる機能としても定着しています。

基本的な仕組み

オンデマンドの最大のポイントは、リアルタイムでリソースを提供できることです。 クラウドサービスの場合、あらかじめ大規模なサーバーを用意するのではなく、使いたい人がリクエストを送ると、それに合わせてコンピュートリソースを割り当てます。 もし利用者が増えればリソースを追加し、減れば自動的に縮退させることが可能です。 これにより、無駄な設備投資を抑えつつ、必要な時だけ処理能力を確保できるメリットが生まれます。

オンデマンドの実務例

オンデマンドと聞くと、動画配信サービスを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 しかし、実際にはクラウドサーバーの利用方法やソフトウェアの提供形態など、さまざまなシーンで活用されています。 ここでは代表的な例を2つ挙げてみます。

動画ストリーミング

動画ストリーミングサービスでは、視聴したいときに再生ボタンを押すだけで映像が流れ始めます。 これはオンデマンド配信と呼ばれ、テレビのように決められた放送時間を待つ必要がありません。 インターネットを通じて映像データをリアルタイムに受信しながら再生できるので、一度に大量のコンテンツを自由に選ぶことができます。 利用者のニーズに合わせて配信されるため、無駄が少なく、コスト面でも柔軟に対応できるところがメリットです。

クラウド上のサーバー利用

クラウド環境ではサーバーの立ち上げや停止を自由に行えます。 オンデマンドの概念に沿って、リクエストが増えたタイミングでサーバーをスケールアウト(台数やリソースを増やす)し、利用が落ち着いたらスケールイン(台数やリソースを減らす)することが可能です。 この柔軟な対応によって、サービスが急速に拡大しても対応できる点が多くの企業で採用される理由と言えます。

AWS Lambda での事例

たとえば AWS Lambda はサーバーレスと呼ばれるサービスの一種で、コードが呼び出された瞬間に処理が行われ、処理が終わればリソースが自動で解放されます。 初期投資の負担を減らせるので、開発や運用の効率が上がるケースも考えられます。 一度に大量のリクエストが到来しても自動で処理を分散してくれますから、スパイク的なアクセスにも対応しやすくなるでしょう。

メリットとデメリット

オンデマンドにはさまざまなメリットがある反面、運用には注意点も存在します。 ここでは代表的なメリットとデメリットを簡単にまとめます。

メリット

  • 必要な時だけリソースを使える
  • 大きな初期投資を抑えられる
  • サービス拡張の柔軟性が高い

リソース利用を効率化できるため、無駄が少ない形でサービスを提供できます。 また、突発的な需要増にも対応しやすい点は、多くの場面で魅力と言えるかもしれません。

デメリット

  • 継続的な利用時は料金が高くなることがある
  • ネットワーク経由のため、通信障害のリスクがある
  • システムの設計が複雑になる場合がある

常時フル稼働させるような仕組みが必要な場合には、オンデマンド方式のほうが割高になる可能性もあります。 また、通信が途絶えるとサービスが利用できないリスクがあるので、バックアップ案などを検討する必要があります。

オンデマンドを支える技術

オンデマンドの仕組みは、多様な技術によって成り立っています。 ここでは、代表的なポイントとして オートスケーリング課金モデル の話を少しだけ深掘りします。

オートスケーリング

サービス利用者が増えると自動的にサーバー台数を増やし、減れば元に戻すという機能を指します。 クラウド環境では、CPUやメモリの使用率、あるいはリクエスト数の増減をモニタリングしながらスケーリングをコントロールします。 これにより、オンデマンドの特性をさらに活かし、コストを最適化できるようになっています。

課金モデルの仕組み

オンデマンドサービスでは、使った分だけ料金を支払う従量課金制がよく採用されます。 動画配信なら視聴時間に応じたプランを、クラウドリソースなら実行時間やメモリ使用量などを元に課金する形が主流です。 このモデルは導入時のハードルを下げる一方で、長期運用では合計コストが増えることもあるため、使い方を見極めることが大切です。

簡単なサンプルコード

ここでは、Node.js の Express フレームワークを例に、オンデマンドでAPIを呼び出せるシンプルなパターンを示します。 アクセスがあったときにサーバーが必要な処理を実行し、終わったら待機状態になるようなイメージです。

const express = require("express");
const app = express();
const port = 3000;

// リクエストがあったときに即座に処理する
app.get("/on-demand", (req, res) => {
  // ここで必要な計算やデータ取得を行う
  const result = { message: "Hello, On-Demand World!" };
  res.json(result);
});

// サーバー起動
app.listen(port, () => {
  console.log(`On-Demand server is running at http://localhost:${port}`);
});

このコードでは、/on-demand というパスにアクセスがあるたびに処理を実行します。 本番運用でオートスケールを組み合わせると、リクエスト数が増えたときに必要なだけのサーバーリソースを立ち上げ、負荷が落ち着けば縮退させることも可能です。

オンデマンド環境では、コードの構成よりもインフラ側のスケーリング設定が重要になる場面がよくあります。

まとめ

オンデマンドは、必要なときにサービスやリソースを利用できる仕組みとして、多くの分野で活用されています。 動画配信やクラウドサーバーなど、身近なところに応用例が増えているため、初心者でも日常生活で遭遇しやすい概念と言えるでしょう。 メリットが大きい一方で、コストやシステム設計の複雑さなど、デメリットも存在します。 そのため、実務で活用する際には、どのくらいの頻度で利用するのか、どの程度の負荷に備えるのかなどを事前に検討することが大切です。 オンデマンドの考え方をしっかり押さえておくと、柔軟かつ効率の良いシステム運用を実現できるのではないでしょうか。

AWSをマスターしよう

この記事で学んだAWSの知識をさらに伸ばしませんか?
Udemyには、現場ですぐ使えるスキルを身につけられる実践的な講座が揃っています。