Unityで始めるマテリアルの基本

ゲーム開発

はじめに

Unityでは、3Dオブジェクトの外観を彩るためにマテリアルという仕組みが用意されています。 オブジェクトの見た目を表現する上で欠かせない要素なので、皆さんが最初に触れるポイントになるかもしれませんね。

このマテリアルを理解すると、ゲームの世界観や演出が大きく広がります。 実際の開発現場でも、キャラクターや背景、UIなど多くの場面で使われています。

ここでは、初心者の方がつまずきがちなマテリアルの基本概念から、具体的な使い方までを丁寧に解説します。 あまり専門的な用語は使わず、できるだけ平易にまとめていきますので安心してください。

Unityにおけるマテリアルとは

マテリアルとは、オブジェクトの色や質感などを定義するための設定情報のまとまりです。 Unityでは、マテリアルを通じてシェーダー(Shader)やテクスチャ(Texture)を指定し、それらのパラメーターを調整することができます。

マテリアルが持つ主な役割

マテリアルはオブジェクトの表面に「どのように光を当てるか」「どのように色を表示するか」といった情報を与えます。 例えば、メタリックな光沢感を出したり、布のような柔らかさを表現したりすることが可能です。

また、マテリアルはシェーダーによって描画の最終的な仕上がりをコントロールします。 シェーダーはグラフィックスカード(GPU)での計算処理を担当するプログラムですが、それを直接編集しなくても、マテリアルのプロパティを通じて手軽に見た目を調整できるのがUnityの特徴です。

マテリアルを使うメリット

オブジェクトごとにマテリアルを割り当てることで、同じ3Dモデルでもまったく違った雰囲気を演出できます。 例えば、木製の箱と金属製の箱を作り分けるとき、マテリアルを変えるだけで手軽に外観を変化させられるのです。

複数のオブジェクトで同じマテリアルを共有すると、一度変更したパラメーターがすべてのオブジェクトに反映されるので管理が楽です。 反対に個別の素材感を出したい場合には、それぞれ別のマテリアルを割り当てることで柔軟に対応できます。

マテリアルの作り方

Unityエディタ上でマテリアルを新規作成するのはとても簡単です。 まずはプロジェクトウィンドウ上で右クリックし、「Create > Material」を選択します。

こうして作成されたマテリアルを、シーン内のオブジェクトにドラッグ&ドロップすると適用できます。 このとき、Inspectorビューでマテリアルの色やテクスチャを設定できるようになるので、好みに合わせて調整してください。

スクリプトからマテリアルを生成する例

以下は、C#スクリプト内でマテリアルを新規に生成してオブジェクトへ割り当てるサンプルです。 MonoBehaviourを継承したコンポーネントとして、適宜ゲームオブジェクトにアタッチして利用するイメージです。

using UnityEngine;

public class MaterialSample : MonoBehaviour
{
    void Start()
    {
        // Standard Shaderを使用してマテリアルを作成
        Material newMat = new Material(Shader.Find("Standard"));

        // 色のプロパティを設定
        newMat.color = Color.red;

        // Rendererに割り当てる
        Renderer renderer = GetComponent<Renderer>();
        if (renderer != null)
        {
            renderer.material = newMat;
        }
    }
}

この例では、オブジェクトのRendererに直接マテリアルを設定しています。 赤い色のシンプルなマテリアルに早変わりするので、見た目の変化をすぐに確認できますね。

シェーダーとテクスチャの基本

マテリアルを語る上で外せないのがシェーダーテクスチャです。 シェーダーは、オブジェクトの表面に対してどのような演算を行い、どんな仕上がりを描画するかを決定します。

一方でテクスチャは、オブジェクト表面に貼り付ける画像のことです。 この画像情報をシェーダーがどのように扱うかによって、木目や石材、布など多様な表現を作り出せます。

Standard Shader

標準的に用意されているStandard Shaderは、物理ベースレンダリング(PBR)を採用しています。 メタリックやスムースネスなどのパラメーターを通じて、現実に近い光沢や反射をシミュレートできるのが特徴です。

URP/HDRPでのShader

Unityでは、最新版のパイプラインとしてUniversal Render Pipeline(URP)やHigh Definition Render Pipeline(HDRP)が提供されています。 これらのパイプラインを利用するときは、対応するシェーダーを選ぶことでクオリティやパフォーマンスの最適化がしやすくなります。

Shaderタイプパイプライン特徴
Standard ShaderBuilt-in (従来のレンダラー)一般的なPBR表現に対応。幅広い用途で利用しやすい
URP用のShaderUniversal Render Pipeline軽量かつ効率的な表現がしやすい。モバイルやVRにも適している
HDRP用のShaderHigh Definition RP大規模なプロジェクトや高品質なグラフィックスを求めるシーンで効果を発揮

マテリアルのプロパティを知ろう

マテリアルには多くのプロパティが存在します。 ここでは代表的なものをいくつか挙げてみます。

Color (Main Colorなど)

オブジェクトの基本的な色を指定するプロパティです。単色でも、テクスチャを割り当ててもOKです。

Metallic

金属的な反射をどれくらい表現するかを決めます。高めに設定すると、鏡面反射に近い質感が得られます。

Smoothness

表面の滑らかさを調整するプロパティです。これを高くすると、光を受けたときに鋭いハイライトが出やすくなります。

Normal Map

凹凸を疑似的に表現するためのテクスチャです。平坦なオブジェクトであっても、細かい起伏があるように描画できます。

こうしたプロパティを使いこなすことで、皆さんがイメージする素材感を再現することができます。 リアルな金属質感や、ファンタジー世界での特殊なマテリアル表現も思いのままです。

マテリアルを適用する実務的なシーン

実際の開発現場では、オブジェクトの種類ごとにマテリアルを使い分けることが多いです。 例えば、床や壁などのステージ部分にはリアルなコンクリートや木材のテクスチャを適用し、キャラクターやアイテムにはアニメ調のカートゥーンシェーダーを適用するケースがあります。

また、2Dゲームでも、UIのボタンや背景などにマテリアル設定を使うときがあります。 ボタンが押された状態を暗く見せたいときなど、マテリアルの色やアルファ値を調整して演出するのが一例です。

シンプルな操作で外観をガラリと変えられるので、ゲームの世界観にあった統一感を保ちつつ、細かい表現も追求できますね。

複数のオブジェクトで同じマテリアルを共有する場合、1つのマテリアルを修正すると、その影響が全オブジェクトに及びます。オブジェクトごとに微調整が必要なときは、マテリアルを複製すると効率的です。

シェーダーグラフを活用する

プログラミングが苦手な方や、よりビジュアルに表現を作りたい場合は、シェーダーグラフを活用してみると良いでしょう。 URPやHDRPで提供されている機能で、ノードをつなぐだけで複雑なシェーダーを作成できます。

ノードエディター上でテクスチャや色の演算を組み立てるため、プログラムを書かなくてもオリジナルの見た目を実現できます。 マテリアルの編集は実行中にも即座に反映されるので、試行錯誤しやすいのが魅力ですね。

シェーダーグラフで作れる表現

  • 特殊なパターンを生成して動的に変化させる
  • 時間経過に合わせて色や形状を変化させる
  • 簡単なアニメーション効果を付与する

このように、表面の質感だけでなく、時系列の演出まで可能になるため、視覚効果を追求したいシーンで広く利用されています。

パイプラインとマテリアルの相性

UnityにはBuilt-inパイプライン、URP、HDRPといった複数のレンダーパイプラインが存在します。 マテリアルは、使いたいパイプラインに合ったシェーダーを選ぶのが基本です。

URPやHDRPを使うなら、それ専用のシェーダーを用いることになるため、プロジェクトの初期段階でどのパイプラインを採用するかを決めておくのがおすすめです。 途中でパイプラインを切り替えると、マテリアルやシェーダーの作り直しが必要になることもあるので要注意です。

パイプラインの切り替えは、シェーダーやエフェクトが非互換となる場合があります。大規模なシーンで切り替える場合は、あらかじめバックアップを取るなど慎重に進めてください。

実装時のポイントとトラブルシューティング

マテリアルを編集しているのに見た目に変化が出ない、という疑問を抱く方もいるかもしれません。 こうした場合は、対象のオブジェクトに別のマテリアルが割り当てられていないか、シェーダーの設定が正しく反映されているかをチェックしましょう。

また、テクスチャが正しく表示されない場合は、テクスチャのインポート設定やUVの貼り方に問題があるケースが多いです。 特に3Dモデルを外部ツールから持ち込んだときなど、UV座標が合っていないと意図した見た目になりません。

これらのポイントを整理しておくと、開発中に困ったときでも素早く対処できますね。

まとめ

Unityのマテリアルは、オブジェクトの外観を左右する重要な要素です。 色やテクスチャ、シェーダーの設定を組み合わせれば、さまざまな質感や雰囲気を作り出せます。

初心者の皆さんには、まずはStandard Shaderを使って単純な色やテクスチャを適用してみるのがおすすめです。 そこからURPやHDRP、シェーダーグラフなどに進んでみると、一段と表現の幅が広がります。

プロジェクトの初期段階で、どのレンダーパイプラインを選択するかも大事です。 マテリアルとの相性を意識すれば、後の工程での混乱を防げますね。

ゲームやアプリの雰囲気を大きく左右する素材感。 自由な発想でマテリアルを活用して、皆さんのオリジナルな世界を作り上げてみてはいかがでしょうか。

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