Unity Skyboxとは?最新バージョンでの設定方法と活用事例

ゲーム開発

はじめに

皆さんはゲーム開発や3Dアプリケーションの制作で、背景をどう表現するか悩んだことはないでしょうか。 UnityではSkyboxという機能を使うことで、空や宇宙、幻想的な空間などを一枚の背景としてシーン全体に適用できます。 平面的な背景画像を貼るだけではなく、空間全体に没入感を与えるための方法としてよく使われているので、3D作品におけるビジュアルの質を高めるうえで欠かせない存在です。 初めて3Dに触れる方でも比較的簡単に導入できるため、手軽さも魅力だと言えるでしょう。

本記事ではSkyboxの基本概念を踏まえつつ、Unityの最新バージョン(2022以降)を前提として、設定手順や実務での活用シーンを紹介します。 初心者の方でも理解しやすいよう、なるべく平易な言葉でまとめているのでぜひ参考にしてみてください。

UnityのSkyboxとは

Skyboxは、シーンを取り囲む巨大な立方体あるいは球の内側にテクスチャを貼り付ける仕組みです。 これを活用すると、360度どこを見回しても連続した背景が表示されるようになるため、臨場感がぐっと高まります。 一般的には青空や星空などの素材を用意して、空間全体に広がる風景を再現します。

例えば、3Dゲームの中で広大な世界観を表現したいときにも重宝します。 平面的な背景は見る角度によっては不自然になることがありますが、Skyboxを使えば視点を動かしても違和感が少なく、自然な背景を表現しやすいです。 Unityにおいては、Skybox専用のシェーダーやマテリアルが用意されているため、初心者の方でも扱いやすいのが特徴と言えるでしょう。

Skyboxの役割

Skyboxの役割は、見渡す限りの景色をシームレスに演出することにあります。 ゲームのリアリティやファンタジーな雰囲気を簡単に盛り上げられるので、プログラミングの知識が少ない段階でも導入するメリットが大きいです。 また、キャラクターやオブジェクトを際立たせるための背景としても機能し、ビジュアル全体の完成度を高めてくれます。

一方で、背景処理を独立させることにより、他のオブジェクトやライト設定に影響を与えにくい点も魅力です。 実行時の処理負荷も比較的低く抑えやすいので、パフォーマンス面でも安心できるケースが多いです。

用途の広さ

Skyboxは単に空だけを表現するわけではありません。 宇宙空間やサイバーパンク調の街並みなど、世界観に合わせたテクスチャを用意すれば、多種多様な背景を簡単に作れます。 また、ライト設定やカラーフィルターと併用することで、時間帯や天候の変化をリアルに演出することも可能です。

Skyboxの設定方法

ここではUnityの最新バージョンを前提に、Skyboxをプロジェクトで使うまでの基本的なステップを紹介します。 プロジェクト自体はテンプレートの3Dコアを選んでおくと、余計なアセットが少なくシンプルに学習できます。

初期設定

まずは新しい3Dプロジェクトを作成してみてください。 Unityエディタが立ち上がったら、Window > Rendering > Lighting と進み、Lightingウィンドウを開きます。 Lightingウィンドウ内の「Environment」タブにあるSkybox Materialという項目に、Skybox用のマテリアルを設定する欄があります。 そこにSkybox専用のマテリアルをドラッグ&ドロップするだけで、シーン全体の背景がSkyboxで描画されるようになります。

このとき注意したいのは、Skybox Materialの選択を忘れないことです。 もし何も設定しなかった場合、デフォルトの背景色が表示されるだけなので、Skyboxを導入したい場合には必ずマテリアルを指定しましょう。

Skyboxマテリアルの作成

Skyboxマテリアルをまだ持っていない場合は、Projectウィンドウの空白部分で右クリックし、Create > Material を選んでください。 作成したマテリアルを選択し、Inspectorウィンドウで「Shader」をSkyboxに変更します。 すると、Skybox/Cubemap など複数のシェーダーオプションが選べるので、利用したいタイプを選択します。

たとえば「6 Sided」タイプでは、6枚のテクスチャを個別に設定して立方体の内面を構築できます。 一方「Cubemap」タイプでは、あらかじめキューブマップ形式になっているテクスチャをひとつ設定するだけで済むため、手間を省ける場合があります。

シーンへの適用

作成したマテリアルをLightingウィンドウのSkybox Materialに設定するか、Render Settingsを直接開いてSkyboxを差し替えると、シーンの背景が変わります。 なお、カメラの「Clear Flags」をSkyboxにしておくのもお忘れなく。 もしSolid Colorなど別のオプションになっていると、設定がうまく反映されないことがあります。

Skyboxの種類

Skyboxには、テクスチャの形式や組み方によっていくつかの種類があります。 このセクションでは代表的なタイプを3つほど紹介します。

6面テクスチャ

6面テクスチャのSkyboxは、上下前後左右の計6枚の画像を用意し、それぞれを面ごとに設定する方法です。 空と地面の境界がはっきりしているようなシーンでは、カメラの角度によって不自然さが出ないよう、それぞれのテクスチャを丁寧に合わせる必要があります。 反面、個別の画像を組み合わせるので自由度が高く、部分的に修正したい場面では便利です。

キューブマップ

キューブマップは、6面の画像をあらかじめ一枚にまとめたテクスチャです。 Unityにはキューブマップ形式のアセットをインポートし、そのままSkyboxとして利用できる仕組みが備わっています。 6枚の画像を一気に設定できるので、扱いやすいのが魅力です。

キューブマップはアーティストが作成したものや、外部の素材サイトから入手したものを使う場合が多いでしょう。 6面テクスチャよりも簡単にシーンに適用できるため、初めてSkyboxを試す人にも向いています。

パノラマ

一枚絵のパノラマ画像を投影してSkyboxにする方法です。 たとえば360度カメラで撮影した実写風景を、そのままバーチャル空間に持ち込むことができます。 リアルな背景を再現したいケースでは重宝しますが、撮影環境や画像の解像度によっては継ぎ目が目立ちやすい場合もあります。

Skyboxのカスタマイズ

続いてはSkyboxをコードで切り替えたり、マテリアルを微調整したりする方法を紹介します。 シーン内で複数のSkyboxを使い分けたいときや、時間経過に合わせて背景を変化させたいときに役立つでしょう。

コードでSkyboxを切り替える

シーンの背景を動的に変更したい場合は、RenderSettings.skyboxをスクリプトから操作することが多いです。 下記のようにC#スクリプトを作成して、あらかじめ用意したSkybox用のマテリアルを差し替えると背景が切り替わります。

using UnityEngine;

public class SkyboxSwitcher : MonoBehaviour
{
    [SerializeField] private Material skyboxMaterialA;
    [SerializeField] private Material skyboxMaterialB;

    private bool useSkyboxA = true;

    void Update()
    {
        if (Input.GetKeyDown(KeyCode.Space))
        {
            if (useSkyboxA)
            {
                RenderSettings.skybox = skyboxMaterialB;
            }
            else
            {
                RenderSettings.skybox = skyboxMaterialA;
            }
            useSkyboxA = !useSkyboxA;
        }
    }
}

例えばキーボードのスペースキーを押すたびにSkyboxを切り替えるシンプルな例です。 シーンにこのスクリプトをアタッチし、インスペクターで2種類のマテリアルを設定しておけば完成します。 空や星空、または幻想的な空間など、複数の背景を使い分けるときにも活用できるはずです。

マテリアルの調整

Skyboxマテリアルにおいては、ExposureやTint Colorなどのパラメータを調整して雰囲気を大きく変えられます。 たとえば日の出や夕焼けを表現するときは、明るさや色味を意図的に変えて、時間帯による空の様子を演出できます。

この調整はマテリアルのInspectorウィンドウから行えますが、スクリプトでパラメータを変更することも可能です。 RenderSettings.skybox.SetFloatやSetColorなどのAPIを使うと、実行中にリアルタイムで値を変えられるため、シームレスなトランジションも比較的簡単です。

Skyboxマテリアルのパラメータ変更は、他のマテリアル同様に柔軟です。 ライトの焼き込みやポストプロセスとも組み合わせながら、好みの世界観を表現してみると面白いかもしれません。

実務での活用シーン

Skyboxは見た目を良くするだけでなく、実務でもさまざまなシーンで利用されています。 例えば、アプリのデモ版をクライアントに見せる際、簡単にビジュアルのクオリティを高めるテクニックとして重宝されることがあります。 また、建築やインテリア系のシミュレーションでは、窓の外の風景としてSkyboxを用意しておくとよりリアルに見えるでしょう。

背景演出でのメリハリ

ゲームやVRプロジェクトでは、空や宇宙を本格的に表現するだけでなく、雲や山脈などの自然景観を多層的に作り出すことがあります。 そうしたときにSkyboxをベースとしておいて、さらに手前にパーティクルや遠景用のオブジェクトを重ねると、深みのある演出がしやすいです。

ライティングとの連動

Skyboxのカラーや明るさは、シーン全体のライティングにも影響します。 特に「Environment Lighting」にSkyboxを使う設定にすると、Skyboxからの光が間接光としてシーンを照らす仕組みが働くため、背景に合わせてオブジェクトの色味や雰囲気が変わります。 実務でシーンのトーンを一括変更するときには、Skyboxとライトの設定をセットでいじると効率的です。

パフォーマンスへの考慮

Skyboxは基本的に軽量ですが、テクスチャの解像度が極端に高いとメモリ負荷が上がる点には注意が必要です。 開発環境やターゲットデバイスの性能を踏まえて、適切なサイズのテクスチャを用意しましょう。 また、モバイル向けアプリケーションでは、描画負荷を減らすためにSkyboxを非表示にするケースもあります。

一部のデバイスで高解像度のSkyboxを使うと、フレームレートが低下する可能性があります。 複数の端末向けに配信するプロジェクトでは、機種ごとにSkyboxテクスチャを差し替える工夫も検討すると良さそうです。 いずれにせよ、単に見た目を豪華にするだけでなく、パフォーマンス面も考慮しながら最適な手法を選ぶのがポイントです。

まとめ

Skyboxは初心者から上級者まで幅広く使われる機能であり、背景表現においては欠かせないものだと言えます。 Unityでは標準でSkybox用のシェーダーが用意されているので、マテリアルさえ用意できればすぐにシーンの雰囲気を変えられます。 6面テクスチャやキューブマップ、パノラマといった複数のアプローチがあるため、プロジェクトの目的や世界観に合わせて自由に選択してみてください。

さらに、スクリプトを使ってSkyboxを切り替えたり、マテリアルパラメータを調整したりすることで、動きのある背景を簡単に実現できます。 パフォーマンス面でのメリットも比較的大きいので、VRや高品質な3Dゲームだけでなく、さまざまな分野での利用が期待できるでしょう。 ぜひSkyboxを活用して、想像力を生かした空間表現を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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