UnityとUnreal Engineとは?初心者でもわかる両エンジンの特徴と選び方
はじめに
ゲーム開発の世界に興味を持ったとき、Unity か Unreal Engine を耳にすることが多いのではないでしょうか。 どちらもゲームエンジンというツールであり、3Dや2Dのゲームを効率よく作るために欠かせない存在です。
プログラミング未経験の方にとっては、それぞれがどう違うのかがわからずに悩むかもしれませんね。 そこで本記事では、両エンジンの概要や特徴をわかりやすく紹介します。
実際の開発現場ではどのように役立つのか、具体的なシーンとあわせて説明していきます。 短いコード例も交えながら、初心者の方が実際に触れてみたくなるきっかけを作れればと思います。
最後まで読むことで、UnityとUnreal Engineの違いや選ぶポイントが見えてくるはずです。 「どちらを使えばいいの?」と迷っている方の参考になれば幸いです。
Unityの概要
Unityは、C#スクリプトをベースにゲーム開発を行うゲームエンジンです。 操作画面(エディタ)がわかりやすく、初めてゲーム開発をする方でも取り組みやすいと言われることが多いですね。
3Dゲームだけでなく2Dゲームにも対応しているため、カジュアルなモバイルゲームから高品質なPC/コンソール向けゲームまで幅広くカバーします。 最新バージョンでは、ビジュアル面の表現力が上がり、リアルタイムでのライティングやシェーダー開発など、かなり高度な演出も行えます。
アセットストアという公式マーケットプレイスが充実しているのも特徴です。 キャラクターや効果音、便利なスクリプトなどを手軽に入手できるので、自作が難しい部分を補いやすいです。
ゲーム以外にも、建築やVR、シミュレーションの分野で使われるケースがあります。 特にインディーズ開発やスタートアップ企業での利用実績が多いため、学習リソースの豊富さも魅力でしょう。
Unreal Engineの概要
Unreal Engineは、主にC++と呼ばれる言語で開発を行うゲームエンジンです。 Blueprintというビジュアルスクリプト機能も搭載しているので、コードを書くのが苦手でもある程度は開発を進められます。
もともと大規模なハイエンドゲームやコンソール向けタイトルで多用されてきたため、リアルなグラフィック表現が得意です。 実写に近い映像を実時間でレンダリングするための機能が充実しており、映画制作や建築ビジュアライゼーションの分野でも注目されています。
最新バージョンでは、映像制作を大幅に効率化するツール群や、高度な物理演算を実装しやすい仕組みが用意されています。 ゲーム開発だけにとどまらず、シネマティックな演出やシミュレーション制作など、幅広い領域で実務活用されています。
操作画面は洗練されていますが、最初は機能が多いと感じるかもしれませんね。 ただし公式のドキュメントやチュートリアルが豊富なので、時間をかけて少しずつ習得していけば理解が深まるでしょう。
UnityとUnreal Engineの共通点
両エンジンに共通するのは、プログラミングやアセットを組み合わせることで、3D/2Dのコンテンツを作り上げられる点です。 シーン(ゲーム空間)にオブジェクトを配置し、スクリプトや物理演算などで動きをつけていく基本的なワークフローは類似しています。
また、マルチプラットフォーム対応がしやすいのも共通しています。 PC、スマートフォン、ゲーム機など、多様なプラットフォームに対応したビルドオプションを備えています。
初心者にとっては、どちらも無料版から始められるというメリットが大きいです。 まずは個人でプロトタイプを作るところから挑戦してみるのもいいかもしれません。
近年はバージョン管理との連携も充実しており、チーム開発をスムーズに進めやすい仕組みが整っています。 プログラミング未経験の方が挑戦する場合でも、少人数で学び合いながら進めやすいでしょう。
ただし、細かなユーザーインターフェイスやプログラミング言語の違いなど、初心者目線では大きな差に感じる部分もあります。 そのため、次は具体的な違いやメリット・デメリットを見てみましょう。
Unityのメリットとデメリット
Unityには、学習のしやすさやアセットストアの充実など、魅力的なメリットがあります。 一方で注意すべきデメリットもあるので、両面を確認しておきましょう。
- 慣れやすい操作性がある
- 広範なアセットが用意されている
- 2Dゲーム開発にも向いている
- 日本語リソースが豊富
これらの利点から、プログラミング初心者にとって取り掛かりやすい選択肢になることが多いです。
一方で下記のような面で悩むケースもあります。
- 高度なグラフィック表現ではUnreal Engineに劣る場合がある
- 実行パフォーマンスの最適化に注意が必要
- 大型プロジェクトでは複雑化しやすい
ビジュアルの表現力よりも、アイデアを素早く形にしたいケースでは、Unityが使いやすいでしょう。 反対に、よりフォトリアルな映像表現にこだわりたいなら、後述するUnreal Engineのほうが適しているかもしれません。
Unreal Engineのメリットとデメリット
Unreal Engineは、グラフィック性能や物理演算など高品質な表現に向く点が大きな利点です。 しかしそのぶん学習コストもやや高いと感じる方がいるかもしれません。
- 高度なグラフィック表現が容易
- 大規模プロジェクトに向いている
- 世界中で実績が豊富
近年はBlueprint機能などでプログラミング経験が少ない方も扱いやすくなっています。 ただし次のような懸念もあります。
- C++の知識が必要なケースが多い
- エディタが高機能ゆえ複雑に見える
- パフォーマンス調整に専門知識がいる
映像品質や複雑なゲームシステムを構築したいなら、Unreal Engineが力を発揮するでしょう。 初心者の場合はBluePrintなどから始めるのがスムーズですね。
UnityとUnreal Engineの比較表
以下の表は、主なポイントを簡単に比較したものです。 各項目の差をざっくりイメージする参考にどうぞ。
項目 | Unity | Unreal Engine |
---|---|---|
主な言語 | C# | C++/Blueprint |
グラフィック表現 | 得意だが超リアル表現は苦手な場合も | フォトリアルな表現に強み |
2D/モバイル対応 | 比較的やりやすい | 可能だが3Dメインのイメージ |
アセットの充実度 | アセットストアが豊富 | 有料・無料のアセットが増加中 |
学習のとっかかりやすさ | 操作画面がシンプルに感じやすい | 初心者には少しハードルが高い |
対応プラットフォーム | PC, モバイル, コンソールなど | PC, モバイル, コンソールなど |
表を見ると、直感的に扱いやすいのはUnity、一方でリアルな映像にはUnreal Engineが向いている印象があります。 ただし最新バージョンでは両エンジンとも進化しており、差は徐々に縮まっているとも言われています。
実務での活用シーン
UnityとUnreal Engineはゲーム制作だけでなく、ビジネス用途での活用例も豊富です。 実務に活かす際、具体的にはどういったシーンが考えられるのでしょうか。
たとえば、Unityは小規模なチームでのモバイルゲーム開発や建築ビジュアライゼーションに利用されることがあります。 また、企業の研修用シミュレーションツールを作るなど、ゲーム以外の分野でも注目されています。
Unreal Engineは、高品質な映像表現を要するプロジェクトや大規模タイトルに多く使われます。 映画的な演出を伴うアニメーションの制作現場でも利用されていて、リアリティを求められる業界で重宝されています。
どちらのエンジンを選んでも、開発規模やビジュアルの方向性によって最適解が変わります。 目的やプロジェクトの特徴を見極めたうえで、より合ったエンジンを選びたいですね。
Unityでのコード例(C#)
Unityで簡単なオブジェクトを生成し、移動させるC#のサンプルコードを見てみましょう。 ゲームオブジェクトを動かす基本的な仕組みをイメージしやすくなります。
using UnityEngine; public class SimpleMover : MonoBehaviour { public GameObject prefab; public float speed = 3.0f; void Start() { // プレハブからオブジェクトを生成 Instantiate(prefab, new Vector3(0, 1, 0), Quaternion.identity); } void Update() { // 矢印キー入力で移動処理 float moveH = Input.GetAxis("Horizontal") * speed * Time.deltaTime; float moveV = Input.GetAxis("Vertical") * speed * Time.deltaTime; transform.Translate(moveH, 0, moveV); } }
この例のように、C#スクリプトを使ってオブジェクトを生成し、シーン内で動かすことが可能です。 初心者の方にとっては、比較的コードの読み書きがしやすいと感じるかもしれません。
Unreal Engineでのコード例(C++)
Unreal EngineではC++を使って同様の動きを実装できます。 Blueprintを活用する場合は、ビジュアルスクリプト上で似たようなロジックを組むイメージです。
#include "SimpleActor.h" #include "Engine/World.h" #include "GameFramework/PlayerController.h" // コンストラクタ ASimpleActor::ASimpleActor() { PrimaryActorTick.bCanEverTick = true; } // 開始時に呼ばれる void ASimpleActor::BeginPlay() { Super::BeginPlay(); // 生成したいアクターのクラスが指定されている場合 if (SpawnActorClass) { GetWorld()->SpawnActor<AActor>( SpawnActorClass, FVector(0.0f, 0.0f, 100.0f), FRotator::ZeroRotator ); } } // 毎フレーム呼ばれる void ASimpleActor::Tick(float DeltaTime) { Super::Tick(DeltaTime); if (APlayerController* PC = GetWorld()->GetFirstPlayerController()) { float MoveH = PC->GetInputAxisValue("MoveHoriz") * Speed * DeltaTime; float MoveV = PC->GetInputAxisValue("MoveVert") * Speed * DeltaTime; AddActorWorldOffset(FVector(MoveV, MoveH, 0.0f)); } }
C++のコードは、UnityのC#と比べると記述量が多く感じるかもしれません。 ただしBlueprint機能を使えば、コーディングが苦手な方でも簡易的に動きを作れます。
UnityとUnreal Engine、どちらを選ぶ?
結論からいえば、「何を作りたいか」で選ぶのがわかりやすいです。 軽快に2D/3Dゲームを作りたいならUnity、迫力ある映像やハイエンドゲームを追求したいならUnreal Engineが有力な候補です。
もちろん、Unityでも高度な表現に挑戦できますし、Unreal Engineでカジュアルゲームを作ることも可能です。 しかし学習リソースの種類やエディタの操作感など、はじめやすさはUnityが勝っていると感じる人が多いでしょう。
一方、Unreal Engineはフォトリアルなグラフィックや大規模開発での実績が豊富です。 ゲーム以外にも、映画や建築などリアルタイムCGが求められる業務には最適です。
まずはどちらか一方を触り、簡単なゲームやデモを作ってみるのもいいですね。 初心者の方なら、Unityを試しに使って感覚をつかんでみるのもおすすめです。
まとめ
今回は、Unity と Unreal Engine の概要や特徴、実務での活用例について紹介しました。 両エンジンは得意分野が異なるものの、ゲーム開発において強力な選択肢である点は共通しています。
実際のプロジェクト規模やビジュアル面のこだわりによって、適するエンジンは変わります。 また開発する本人がどのような作業環境や言語に親しみやすいかも、大切な検討ポイントになるでしょう。
最終的には、どちらを使ってもゲームを作れます。 自分の目指すゲームジャンルや演出に合ったエンジンを見極め、まずは小さな作品から挑戦してみてください。
初心者の方でも、公式ドキュメントなどの情報源を少しずつ読み進めれば、思っているより早く操作に慣れる可能性があります。 ぜひ、ゲームエンジンを使った開発の面白さを体感してみてください。