【Python】ファイル削除の方法を初心者向けに詳しく解説

はじめに

Pythonでプログラミングを学び始めると、ファイルを作成するだけでなく、不要になったファイルや古いログを削除する場面に出くわすことがあります。

そもそもファイルを削除するには、単純に「削除コマンド」を実行すればよいように思うかもしれません。

しかし、状況によっては削除の前に存在確認が必要だったり、複数のファイルをまとめて片づける必要があったり、実行環境が異なると削除手順に違いがあったりと、意外に考慮すべき点が多いです。

そのため今回は、Pythonでファイルを削除する方法を具体的なコード例と一緒に確認しながら、実務で活用するうえでの注意点も含めて解説します。

ファイル削除の手順に慣れておくと、テストコードで一時ファイルを処理したり、定期的に不要ファイルをクリーンアップしたりするときにも便利です。

ここでは、初心者の皆さんにもわかりやすいように、Pythonファイル操作の基本的な部分から少し踏み込んだ活用方法まで紹介していきます。

この記事を読むとわかること

  • Pythonでファイルを削除するための基本的な方法
  • 単一ファイルだけでなくディレクトリ全体を削除するときの注意点
  • エラーが起きた場合の対処方法や例外処理のコツ
  • 一時ファイルや複数ファイルをまとめて削除するときの考え方
  • 実務で活用する際のポイントやよくあるトラブル

なぜファイル削除が必要なのか

プログラミングを始めると、ファイルを生成して保存する場面が多くなります。

しかし、開発や実験を繰り返すうちに古いログや不要なテンポラリファイルが溜まり続けると、容量を圧迫したり混乱を招いたりするかもしれません。

また、不要なファイルが残ったままだと、機密情報が含まれるファイルが外部に漏れるリスクにつながることも考えられます。

たとえば、開発時に生成したデバッグ用のファイルや、機密データを含む一時ファイルなどは、実行が終わったら安全に削除しておくことでセキュリティ面のトラブルを防ぎやすくなります。

実務においては、自動スクリプトで定期的にファイルを削除し、サーバーのストレージ使用率を管理しているケースも少なくありません。

つまり、ファイルを削除する機能を身につけることは、作業効率化情報管理の両面で役立つといえるでしょう。

Pythonでファイルを削除する基本的な方法

Pythonには標準ライブラリである os モジュールや pathlib モジュール、そして shutil モジュールなど、ファイル削除を実現するための仕組みがいくつか用意されています。

ここでは、基本的な削除方法を順に紹介します。

os.removeの使い方

もっともシンプルによく使われるのが os.remove です。

次の例は、カレントディレクトリにある test.txt というファイルを削除する場合のコードです。

import os

os.remove("test.txt")

ファイルのパスを指定することで、そのファイルをシステムから削除します。

ただし、ファイルが存在しないときやアクセス権限がない場合はエラー(例外)が発生するので注意が必要です。

たとえばファイルが存在しないと FileNotFoundError が起こり、権限不足の場合は PermissionError などが返される可能性があります。

pathlib.Path.unlinkの使い方

Pythonのバージョン3系で広く使われるようになった pathlib モジュールを使うと、ファイル操作をより直感的に記述できます。

削除の際には Path.unlink() を利用します。

from pathlib import Path

file_path = Path("test.txt")
file_path.unlink()

Path オブジェクトを通じてファイルパスを扱うため、可読性が高くなるのがメリットです。

また、他のファイル操作(コピーや移動など)も統一された書き方で行えるので、今後Pathlibを中心に扱っていきたい方には便利な方法です。

エラーをハンドリングする方法

ファイルの削除において最もよく遭遇するエラーは、削除対象のファイルが存在しない場合です。

削除処理では、こうした可能性を考慮して例外処理を用意しておくことが大切です。

os.removePath.unlink は、対象が存在しないときなどに FileNotFoundError を発生させることがあります。

次のように try-except ブロックで対処すると、プログラムが途中で止まらずに安全に進められるでしょう。

import os

try:
    os.remove("test.txt")
except FileNotFoundError:
    print("ファイルが見つからなかったため、削除できませんでした。")
except PermissionError:
    print("ファイルにアクセスできないため、削除できませんでした。")

このように必要な例外をキャッチしておけば、削除できなかった理由が明確になり、後の処理をどうするかを判断しやすくなります。

ディレクトリ全体を削除する方法

複数のファイルが含まれるディレクトリごと削除したい場合は、shutil モジュールに含まれる shutil.rmtree() が役立ちます。

たとえば、test_dir という名前のフォルダを一気に削除したいとき、以下のようなコードを書きます。

import shutil

shutil.rmtree("test_dir")

この処理を実行すると、指定したフォルダに含まれるファイルやサブフォルダも再帰的にすべて削除されます。

単一ファイルとディレクトリの違い

単一ファイルを削除するときは os.removePath.unlink を使うのが一般的です。

一方で、ディレクトリの場合は os.rmdirPath.rmdir などを使う方法もありますが、空フォルダしか削除できないという制限があります。

多くのファイルを含むフォルダをまとめて削除するシーンでは、shutil.rmtree が頼りになるでしょう。

ただし、誤って削除を実行すると取り返しがつかないため、特に実務環境で使用するときはディレクトリを指定するときのパスを十分に確認することが大切です。

操作前にファイルやディレクトリが存在するかを確認する方法

削除に限らず、ファイル操作では「指定したパスが本当に存在するかどうか」を確認してから処理を行う習慣が重要です。

理由としては、間違ったファイルやフォルダに対して操作を行った場合、予期しないエラーが起こったり、大切なデータを消してしまったりするリスクがあるからです。

os.path.existsを使った存在確認

もっともシンプルな方法は os.path.exists 関数を使うやり方です。

import os

if os.path.exists("test.txt"):
    os.remove("test.txt")

存在する場合のみ os.remove が実行されるため、誤ってエラーを発生させる可能性を下げられます。

pathlib.Path.existsの活用

pathlib を使用する場合は、Path オブジェクトの exists() メソッドを利用します。

from pathlib import Path

file_path = Path("test.txt")

if file_path.exists():
    file_path.unlink()

これも書き方がシンプルでわかりやすいです。

ファイルの存在チェックと削除をセットで記述しておくと、コードが読みやすくなり、意図しないエラーを減らせます。

ファイルを安全に削除するための注意点

ファイル削除の際に注意しておきたいポイントとして、以下のようなものが挙げられます。

対象のファイルパスをしっかり確認する

特に絶対パスと相対パスが混在しているケースでは、思わぬ場所のファイルを消してしまう危険があります。

上書きや失敗を想定する

削除対象のファイルが実行中のプロセスで使用されているときは、PermissionErrorが発生するなど、うまく削除できないケースがあります。

テスト環境と本番環境の切り替え

実務でスクリプトを回す場合、テストと本番でファイルパスを切り替える仕組みを誤ると、重要なファイルを消すトラブルにつながりやすいです。

並行処理時の競合

あるプロセスがファイルを開いている最中に、別のプロセスが同じファイルを削除しようとするとエラーになることがあります。

削除処理自体は単純に見えますが、こうした落とし穴に気をつけておかないと、思わぬ不具合に時間を奪われてしまうことがあるでしょう。

複数ファイルをまとめて削除する手順

不要なファイルを一気に削除したいときに便利なのが、複数ファイルを自動で探してまとめて消す方法です。

ワイルドカードやglobの活用

Pythonでは glob モジュールや pathlibglob() メソッドを使うと、特定のファイルパターンにマッチする複数のファイルを取得できます。

たとえば拡張子が .txt のファイルをすべて削除したい場合、以下のように書けます。

import glob
import os

for filename in glob.glob("*.txt"):
    os.remove(filename)

こうすると、カレントディレクトリ内のすべての .txt ファイルを順次削除していきます。

同じことを pathlib で書くならば、以下のようになるでしょう。

from pathlib import Path

for file_path in Path(".").glob("*.txt"):
    file_path.unlink()

ループを使ったファイル削除

ワイルドカード以外にも、たとえばリストで指定してある複数のファイルを削除したり、特定の条件(ファイルサイズや更新日時など)を満たすファイルだけを消したりする場合もあります。

その場合は、条件に合ったファイルパスを順番にループしつつ削除するだけです。

import os

files_to_delete = ["test1.txt", "test2.txt", "test3.log"]
for f in files_to_delete:
    if os.path.exists(f):
        os.remove(f)

目的のファイルを一括処理するときには便利ですが、間違って指定してしまうと複数ファイルを誤って消すリスクがあるため、コードを書く段階で慎重な確認が必要です。

例外処理や権限エラーへの対策

ファイル削除で多いトラブルのひとつが、アクセス権の問題によるエラーです。

システムによっては、あるユーザーだけがファイルの削除権限を持っていることがあります。

この場合、削除スクリプトを動かすユーザーの権限が足りないと PermissionError などが発生するかもしれません。

さらに、ファイルが別のプロセスで使用中の場合にも、同様のエラーが発生する可能性があります。

こうした場合、再試行するかどうか、あるいは削除をスキップしてログだけ残すのか、といったロジックを try-except ブロックの中で書いておくと、実務に耐えるスクリプトになりやすいです。

また、Windowsではファイルを開いたまま操作できないケースがあり、macOSやLinuxでは比較的柔軟に削除できるなど、プラットフォームごとに差があります。

権限エラーが出た場合は、管理者権限や実行ユーザーの切り替えも検討しましょう。

一時ファイルを削除する方法

一時ファイルというのは、プログラムの動作途中で必要になるが、終了後は不要になるファイルのことを指すことが多いです。

たとえば、画像処理の中間生成物や、ログを解析する際の一時保存ファイルなどです。

一時ファイルは使い終わったら削除するのが通常ですが、スクリプトが異常終了すると残ったままになる可能性もあります。

そのため、最後のクリーンアップ手順として削除を明示的に呼び出すコードを書いておくことが重要です。

import os
import tempfile

# 例として一時ファイルを作成
temp = tempfile.NamedTemporaryFile(delete=False)
temp_name = temp.name
temp.write(b"Temporary data")
temp.close()

# 一時ファイルが不要になったら削除
if os.path.exists(temp_name):
    os.remove(temp_name)

上記では tempfile.NamedTemporaryFile を使ってファイルを作成し、後で os.remove を使って明示的に削除しています。

一時ファイルを扱う場面では、使い終わったタイミングで削除する仕組みを忘れずに実装しておくとストレージの無駄遣いを防げます。

実務で活用するときのポイント

Pythonでファイル削除のスクリプトを作り、実際に運用する際には、次のようなポイントを意識すると安全性と効率が高まります。

事前にテスト環境で検証

本番環境でいきなり実行すると、思わぬデータを消す恐れがあります。実際に削除される対象ファイルをログに出力して確認するなど、慎重に行いましょう。

バックアップの作成

どうしても消したくないファイルや、万が一消してしまうと大きな影響があるデータがある場合は、あらかじめバックアップを取得してから削除するのも手です。

ログの記録

いつ、どのユーザーが、どのファイルを削除したかを記録しておくと、万一の際に原因を追跡しやすいです。

ディレクトリの権限設定

ファイルを削除するスクリプトが配置されたディレクトリや、削除対象のファイルが置かれているディレクトリのアクセス権を確認しておきましょう。

削除はデータを失う可能性がある操作です。

安全に行うためには、しっかりとテストやログ管理を行い、万一の状況に備えておくのが望ましいでしょう。

WindowsやmacOS、Linuxでの違い

Pythonはクロスプラットフォームなので、基本的なファイル削除のコードはどのOSでも大きく変わりません。

ただし、OSの違いによって以下のような差が出る可能性があります。

Windows

ファイルが開いていると削除できない場合が多いです。アクセス権限周りも複雑で、ユーザーアカウント制御(UAC)の影響を受けることがあります。

macOSやLinux

基本的にファイルが開いていても削除可能で、そのファイルを使っているプロセスは削除済み扱いのファイルを参照し続けます。一方で、シンボリックリンクやパーミッションの概念がWindowsとやや異なるため、削除の挙動が違う場面もあります。

ファイル名の大文字小文字

Windowsはファイル名の大文字小文字を区別しない設定が主流ですが、macOSやLinuxは区別します。そのため、同じ名前で大文字と小文字が違うファイルが混在する可能性があるときは注意が必要です。

こうしたOSごとの特徴を把握しておくと、スクリプトが他の環境で動かなくて困るという事態を回避しやすくなります。

よくあるトラブルシューティング

ファイル削除の処理を動かすとき、初心者の皆さんがつまずきやすいポイントを挙げておきます。

FileNotFoundError

指定したパスのファイルが存在しないために起こるエラーです。事前にファイルの存在をチェックしたり、try-except で捕捉することで対処できます。

PermissionError

ファイルが別のプロセスで使用中か、またはユーザーが削除権限を持っていないことが原因です。対象のファイルが本当に削除可能な状態か確認しましょう。

相対パスと絶対パスの混在

スクリプトを実行するディレクトリが異なると、相対パス指定のファイルが見つからなくなることがあります。パス指定の際には十分に気をつける必要があります。

誤ったフォルダ指定

shutil.rmtree を間違ったパスで実行すると、大切なデータまで消してしまうことがあります。ディレクトリ名をハードコーディングする前に何度もチェックしておきましょう。

Unicodeエンコードの問題

ファイル名に日本語などのマルチバイト文字が含まれていると、環境によっては削除時に文字化けが起きる可能性があります。Python 3系では多くの場合問題ありませんが、環境依存のトラブルには注意が必要です。

これらを意識しておけば、ファイル削除周りのエラーをある程度回避しやすくなります。

一度間違えて重要なファイルを削除してしまうと取り戻せない場合があります。削除スクリプトを実行する前に、対象のファイルパスを再度確認する習慣をつけましょう。

まとめ

ここまで、Pythonでファイルを削除するための基本的な手段から、複数ファイルの処理やディレクトリ全体の削除、一時ファイルのクリーンアップやOSの違いなど、幅広いトピックを解説しました。

ファイル削除という操作自体はシンプルに見えますが、実務では誤った削除権限エラーなど、トラブルの要因が潜んでいます。

特に shutil.rmtree のようなディレクトリを丸ごと消す処理は大きな影響を及ぼすため、実行前の存在チェックやロギングが欠かせません。

複数ファイルをワイルドカードやループで扱う場合も、想定外のファイルまで消してしまわないように注意してください。

初心者の皆さんは、まずは os.removePath.unlink を使ったシンプルな削除から練習を始めてみるとよいかもしれません。

そのうえで、ディレクトリ削除や一時ファイル管理などに挑戦してみると、ファイル操作の理解がより深まるでしょう。

適切なファイル削除の実装は、効率的なディスク管理とセキュリティ対策にもつながります。

ぜひ今回紹介した方法を活用して、不要なファイルを整理しつつ、安全かつスムーズなPython開発を目指してみてください。

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