【Python】バージョン確認を初心者向けにわかりやすく解説
はじめに
Pythonを使った開発や学習を始めるときに、まず気になるのがPython バージョン確認ではないでしょうか。
開発環境を整える上でPythonのバージョン情報はとても重要です。
たとえば、インストールされているPythonのバージョンが異なると、一部のライブラリが動作しなかったり、コードがエラーを起こすことがあります。
バージョンを把握しておけばそうしたトラブルを回避しやすくなり、結果として作業もスムーズになります。
ここでは、Python バージョン確認の方法と、それを実務にどう活かすかをわかりやすく解説します。
この記事を読むとわかること
- Pythonバージョンを確認する代表的な方法
- OS別(Windows・Mac・Linux)でのコマンド例
- バージョン情報を実務でどう活かせるかの具体的な場面
- Pythonのバージョン管理が必要となるシーンの解説
Pythonのバージョン確認が重要になる理由
Pythonを使う場面では、以下のような理由からバージョンの確認が求められることがあります。
1つめは、ライブラリの対応状況を把握する必要があることです。
多くの方が利用しているライブラリでも、対応するPythonのバージョンによって動作が変わる場合があります。
たとえば、一部のライブラリは古めのPythonバージョンに対応していなかったり、逆に特定のバージョン以降のみサポートが行われているケースがあります。
2つめは、プログラムの動作検証です。
開発者同士でコードを共有するときや、異なるOSで作業を引き継ぐとき、Pythonのバージョンが変わると動作に差が出ることがあります。
そのため、チーム開発や本番環境へのデプロイ時に「どのバージョンを使うか」は重要なポイントになります。
3つめは、仮想環境や環境切り替えツールの利用です。
pyenvや仮想環境(venvなど)を活用するときに、どのバージョンを利用しているかを常に把握しておく必要があります。
複数のプロジェクトで別々のPythonバージョンを使う場合でも、バージョン情報を正確に確認しておけば混乱を防ぎやすくなります。
このように、Pythonのバージョン情報を調べることは、初歩的でありながら実務的にも役立つ作業といえます。
Pythonバージョンを確認する代表的な方法
ここからは、Pythonのバージョン確認方法を具体的に見ていきます。
あらかじめターミナルやコマンドプロンプトを開いておくことをおすすめします。
コマンドラインオプション(--version や -V)を使う
Pythonのバージョンを確認する方法として、まず最も一般的なのはコマンドラインオプションです。
WindowsでもMacでもLinuxでも基本的には同じ要領で使えます。
python --version
もしくは短いオプションとして
python -V
という記述も可能です。
このコマンドをターミナルやコマンドプロンプトで実行すると、現在使用しているPythonのバージョンが表示されます。
python3 コマンドを使うケース
近年の環境では、python コマンドではなく python3 コマンドが用意されていることも多いです。
そのため、環境によっては以下のように入力するとバージョンが表示されます。
python3 --version
複数のPythonがインストールされている場合、pythonコマンドが古めのバージョンに紐づけられている可能性があります。
逆にpython3コマンドが存在しない場合には、pythonコマンド自体が最新のPython 3系を指していることもあります。
OS別のPythonバージョン確認方法
PythonはWindows、Mac、Linuxなど幅広いOSで利用されています。
ただし、OSごとに多少のコマンド差や注意点がありますので、以下ではOS別に簡単に解説します。
Windowsの場合
Windowsのコマンドプロンプト(cmd)やPowerShellを開いて以下のコマンドを実行することでバージョンを確認できます。
python --version
インストールの仕方によっては、python
ではなく py
がメインコマンドとして機能していることがあります。
その場合は
py --version
とすると表示されるでしょう。
また、Pythonが標準パスに通っていないと、エラーになってしまう可能性があります。
こういった場合は、インストールパスを確認するか、python.exe があるディレクトリに移動して直接呼び出すことを試してみてください。
Macの場合
Macでは、ターミナルを立ち上げてから以下のコマンドでバージョンを確認します。
python3 --version
もしくは
python --version
です。
一部のMac環境では、python
コマンドが古めのPython 2系に紐づいていることがあるかもしれません。
そのため、Macでは python3
コマンドの方を使うのが自然な場合が多いです。
Linuxの場合
LinuxもMacと同様、ターミナルで以下のコマンドを打ち込めばOKです。
python3 --version
多くのLinuxディストリビューションでは python3
としてPython 3系がインストールされています。
なお、Linux環境によってはPython自体がデフォルトでインストールされていない場合や、バージョンが複数入っている場合があります。
その際には、パッケージ管理ツール(apt, yum, dnfなど)を使って追加インストールすることもありますが、インストール手順は別の機会に確認すると良いでしょう。
Pythonのバージョンをコードで確認する
開発現場では、スクリプト内でPythonのバージョンを調べたいときがあります。
たとえば、特定のバージョンでのみ有効な処理を走らせたいケースなどです。
ここでは、Pythonコードからバージョンを確認する方法を紹介します。
sys.version を使う
最もシンプルな方法として、組み込みモジュールである sys をインポートし、 sys.version
を見るやり方があります。
import sys print(sys.version)
これを実行すると、Pythonのバージョン情報やビルド情報などの文字列が返ってきます。
例として「3.x.x」といったバージョン番号が確認できます。
sys.version_info を使う
もう少し詳細に、主バージョンやマイナーバージョンなどを分けて取得したい場合には、 sys.version_info
が便利です。
import sys version_info = sys.version_info print(version_info.major) # 主バージョン番号 print(version_info.minor) # マイナーバージョン番号 print(version_info.micro) # マイクロバージョン番号
このコードを使うと数値としてバージョン情報を取得できます。
主バージョンが3かどうかを条件分岐に使ったり、細かいバージョンごとの差異を判定するのに役立ちます。
platform モジュールを使う
Pythonには platform モジュールも用意されています。
以下のように書くことで、バージョン文字列を手軽に取得できます。
import platform print(platform.python_version())
platform.python_version()
は文字列としてバージョンを返します。
このモジュールでは、OS情報やアーキテクチャ情報などもあわせて取得できるので、幅広い環境情報をまとめて確認したい場合に向いています。
実務でのPythonバージョン確認の活用シーン
ここでは、バージョン確認がどんな場面で役に立つのか、具体例をいくつか紹介します。
チーム開発での環境統一
複数人で同じプロジェクトを進めている場合は、メンバー全員の環境が同じバージョンかどうかを把握しておくとトラブルを減らせます。
たとえば、ある人の環境では正常に動いたコードが、別の人の環境ではエラーになるケースが想定されます。
「どのPythonバージョンで作業しているか?」を共有しておけば、原因追及の時間を短縮できます。
ライブラリのバージョン依存を回避
Pythonライブラリによっては、特定のバージョン以上のPythonにしか対応していなかったり、特定のバージョンでのみ動作保証をしているものもあります。
そのため、新しいライブラリを導入するときにはあらかじめPythonバージョンを確認しておき、トラブルを未然に防ぐことができます。
デプロイ先の環境確認
サーバーやクラウド上にPythonコードを配置して動かす際、サーバー側にインストールされているPythonのバージョンを把握することは大切です。
ローカル開発環境とは異なるバージョンが入っているケースも多々あります。
事前に ssh
でログインし、 python --version
や python3 --version
を実行しておけば、デプロイ時の不具合を避けやすくなります。
自作スクリプトでのバージョン制御
特定の機能がPython 3.6以上でしか動かないなどの要件がある場合、スクリプトの冒頭でバージョンをチェックして処理を分岐させることが可能です。
こうしたコードを組み込んでおけば、誤った環境で実行した際にわかりやすいエラーメッセージを表示できます。
環境に複数のPythonバージョンがある場合の注意点
1台のPCや1つのサーバーで、複数のPythonバージョンをインストールしていることもよくあります。
その際に注意したいポイントを紹介します。
複数のプロジェクトで異なるバージョンを同時に使う場合、コマンドの呼び出し順序やパスの設定を誤ると、思わぬバージョンのPythonが呼び出される可能性があります。
仮想環境を活用する
複数バージョンを使い分ける場合、Pythonの仮想環境機能がよく使われます。
プロジェクトごとに仮想環境を作ることで、依存ライブラリのバージョンやPython本体のバージョンを明確に分離できます。
仮想環境をアクティベートしているかどうかで実行されるPythonが変わるため、仮想環境名やパスを間違えないようにしてください。
pyenvなどのバージョン管理ツール
MacやLinuxでは pyenv のようなバージョン管理ツールを使って、複数のPythonを簡単に切り替えることができます。
この場合、python --version
で表示されるバージョンが都度変わるため、自分がいまどのバージョンを利用しているのか意識しておく必要があります。
また、WindowsにもpyenvのWindows版がありますが、インストールや設定手順に多少の違いがあるので気をつけてください。
バージョン確認結果を踏まえたトラブルシューティング
バージョン確認を行うのは、あくまで何かしらの目的やトラブルを解決するための一歩にすぎません。
ここでは、よくあるトラブルシューティングの手がかりをいくつか紹介します。
コマンドが見つからないエラー
「python
が見つかりません」といったエラーは、パスが通っていないか、あるいはインストール自体が正しく行われていないことが考えられます。
この場合は、Pythonのインストールパスを再確認し、環境変数PATHに追加するか、python.exe
のフルパスで実行してみると問題解決につながることがあります。
バージョンが違うエラー
「自分が思っていたバージョンと実際に表示されたバージョンが違う」というケースがあります。
特にWindowsでは、python
と py
が異なるバージョンを指していることがあります。
このような場合は、py --list
などを使うとインストールされているPythonを一覧表示できることがありますので、状況を整理してみると良いでしょう。
ライブラリのインストール時にエラーが出る
ライブラリをインストールしようとして「このバージョンのPythonではサポートされていません」というメッセージが出ることがあります。
その際は、まず自分の使っているPythonバージョンを確認し、ライブラリのドキュメントを見て対応バージョンに合っているかをチェックするのがおすすめです。
バージョン確認のために知っておくと便利なコマンド一覧
以下に、Pythonのバージョン確認でよく使うコマンドを一覧にまとめます。
コマンド | 使用例 | 備考 |
---|---|---|
python --version | python --version | Windowsや環境によっては python -V も有効 |
python3 --version | python3 --version | Unix系OSでは Python 3系の確認に有用 |
py --version | py --version | WindowsのPythonランチャーを介してバージョン確認 |
import sys; sys.version | Pythonコード上で print(sys.version) | バージョン文字列が取得できる |
import sys; sys.version_info | Pythonコード上で print(sys.version_info.major) など | バージョン番号を数値で細かく取得できる |
import platform; platform.python_version() | print(platform.python_version()) | OS情報などもまとめて取得できる |
これらのコマンドやコードを適宜使い分けることで、バージョンの確認や切り替えがスムーズになります。
まとめ
Pythonのバージョンをきちんと把握しておくことは、開発環境を安定させるうえで大切です。
単にコマンドラインでの確認だけでなく、コード内でもバージョン情報を取得する方法を知っていると、チーム開発やデプロイにも役立ちます。
皆さんも、いざというときに困らないよう、ここで紹介したコマンドやコードを実践で使ってみてください。