【Ruby】timeとは?使い方や実務における活用方法を初心者向けにわかりやすく解説

はじめに

皆さんは、Rubyのプログラムで日付や時刻を扱う必要が出てきたとき、どのように実装すればよいか迷ったことはないでしょうか。

Rubyでは、timeオブジェクト を用いて日付や時刻を扱うことができます。

たとえば今の時刻を取得したり、日付同士の差分を計算したりといった操作は、実務でかなりの頻度で登場します。

また、時刻の扱い方を誤ると、想定外の動作や時刻表示のズレを引き起こすこともあります。

本記事では、Rubyのtimeを初めて使う方にもわかりやすいように、コード例を交えながら解説します。

もし「Rubyで時刻を扱う方法を学びたい」という方であれば、本記事を読むことで、日常的な開発で使える基礎知識と具体的な手順がわかるようになるでしょう。

この記事を読むとわかること

  • Rubyにおけるtimeオブジェクトの基礎知識
  • 時刻を取得・作成する方法
  • 時刻のフォーマットや加減算をする方法
  • 実務で役立つtimeの活用シーン
  • タイムゾーンや夏時間への注意点

ここから先は、初心者の方でも理解しやすいように、なるべく専門用語を噛み砕いて説明します。

時刻は多くのプログラムで重要な要素になりますので、一緒に学んでいきましょう。

Rubyにおけるtimeとは

Rubyのtimeは、コンピュータが内部で扱う「1970年1月1日 00:00:00 UTC からの経過秒数」をベースとするオブジェクトです。

プログラム上では、人間が認識しやすい日時の形式に変換したり、逆に指定した日時をオブジェクトとして扱えるようにします。

この仕組みにより、アプリケーションのログを出力したり、予約システムで日時を指定したりといった場面で、正確な時刻情報のやりとりができるようになります。

timeオブジェクトの基本

Rubyのtimeオブジェクトは、プログラム内で日付や時刻の計算をするための土台となります。

以下のように、Time.now メソッドを使えば、システムが持っている現在時刻の情報をオブジェクトとして取得できます。

current_time = Time.now
puts current_time

このコードを実行すると、現在の時刻が例えば 2025-02-15 13:45:02 +0900 のような形式で出力されます。

Time.now は多くのシステムで頻繁に使われるメソッドですが、たとえば以下のような場面で活用されることが多いです。

  • ログに「いつ処理が実行されたのか」を書き込む
  • フォームの入力日時に対して、現在時刻が何分前かを計算する
  • メッセージの投稿日時を記録する

初心者の皆さんは、まず Time.now で得られるオブジェクトを「Rubyが扱う時刻情報」と考えるとイメージしやすいでしょう。

文字列からtimeオブジェクトを作成する

実務では、日付が文字列の形で入力されるケースもよくあります。

たとえば「2025-12-31 23:59:59」のような文字列をプログラム上で計算に使いたい場合、Rubyでは Time.newTime.parse(標準ライブラリ)などを用いて簡単にtimeオブジェクトに変換することができます。

Time.newを使った指定

Time.new はシンプルに「年、月、日、時、分、秒」を引数にとってtimeオブジェクトを生成します。

specified_time = Time.new(2025, 12, 31, 23, 59, 59)
puts specified_time

このようにすると、specified_time は「2025年12月31日23時59分59秒」のオブジェクトになります。

日付を一つひとつ分けて指定するので、どんな値が設定されているかがわかりやすいのが特徴です。

ただし、引数が増えるとやや見づらくなるため、状況に応じて使い分けるとよいでしょう。

Time.parseを使った指定

Rubyには標準ライブラリとして require 'time' を書いておくと、Time.parse を利用できます。

Time.parse は文字列形式の日時を直接timeオブジェクトに変換できるので、人間が読み書きしやすい形式をそのまま扱いたい場面で便利です。

require 'time'

str = "2025-12-31 23:59:59"
parsed_time = Time.parse(str)
puts parsed_time

このように書くと、parsed_time は文字列の「2025-12-31 23:59:59」を解釈してtimeオブジェクトに変換します。

ただし、入力する日時の文字列形式が複雑だったり、各国のロケール(言語や地域設定)によっては想定どおりに変換できないこともあります。

そのため、実務では変換前に文字列の形式を一定に保つなどの対策が必要になる場合があります。

時刻のフォーマット方法

timeオブジェクトをそのまま表示すると、システムによってやや異なる形式で表示されることがあります。

実務の現場では、たとえば「YYYY/MM/DD HH:MM:SS」の形で見やすく表示したいケースもあるでしょう。

Rubyのtimeオブジェクトは strftime メソッドを使って任意の形式に変換できます。

time_sample = Time.new(2025, 12, 31, 23, 59, 59)
formatted = time_sample.strftime("%Y/%m/%d %H:%M:%S")
puts formatted  # => "2025/12/31 23:59:59"

strftime で使えるフォーマット指定子をいくつか紹介します。

  • %Y:4桁の年(例:2025)
  • %m:2桁の月(例:12)
  • %d:2桁の日(例:31)
  • %H:24時間表記の時(例:23)
  • %M:分(例:59)
  • %S:秒(例:59)

このように指定子を組み合わせて柔軟な表示形式を設定できます。

たとえばイベントの開催日時を画面に表示するときなどに非常によく使われるでしょう。

timeの加算・減算

日付や時刻を計算する際に、ある基準時刻から一定期間だけ先に進めたり、過去の時刻を求めたりする操作が必要になります。

Rubyのtimeオブジェクトは、数値の加算や減算によって簡単に計算できます。

ただし、timeオブジェクトの場合は「秒」を単位として演算する点に注意してください。

秒での加減算

以下の例では、現在時刻 Time.now から600秒(10分)先の時刻を求めています。

t_now = Time.now
t_future = t_now + 600  # 600秒後
t_past   = t_now - 120  # 120秒前(2分前)
  • t_futuret_now から600秒後
  • t_pastt_now から120秒前

こういった計算は、たとえば「10分後に自動で処理を開始したい」といったケースなどで使われることがあります。

日単位や月単位の計算

実務では「7日後」や「1か月後」といった単位で計算したい場合も出てきます。

しかし、timeオブジェクトでの日付計算は秒がベースのため、以下のように秒換算して計算するのが基本的なやり方です。

  • 1日 = 60秒 × 60分 × 24時間 = 86400秒
  • 7日分 = 86400秒 × 7 = 604800秒
one_week_later = Time.now + (86400 * 7)

しかし月単位は日数が異なるため、1か月を日数に置き換えるやり方には注意が必要です。

もし「1か月後の同じ日付」を正しく計算したいなら、日数の違い、うるう年などを考慮できる仕組み(dateライブラリやライブラリの機能)を活用することがあります。

より厳密な計算が必要になったら、timeオブジェクトだけではなく DateDateTime などと併用する方法が検討されることが多いでしょう。

日付や時刻の差分計算

ある日時と別の日時のあいだが何秒あるのか、何時間あるのか、あるいは何日あるのかを計算したい場合もよくあります。

Rubyのtimeオブジェクトでは、差分演算(引き算)を行うと、数値(秒数)として返ってきます。

start_time = Time.new(2025, 1, 1, 0, 0, 0)
end_time   = Time.new(2025, 1, 2, 0, 0, 0)

diff_in_seconds = end_time - start_time
puts diff_in_seconds  # => 86400 (秒)

この差分が「秒」であるという点をおさえておくと、分や時間、日数に変換するのも容易になります。

  • 分に変換したいなら diff_in_seconds / 60
  • 時間に変換したいなら diff_in_seconds / 3600
  • 日数に変換したいなら diff_in_seconds / 86400

実務では「この作業は何時間かかったのか」「〇〇時から今までは何時間経過しているか」といった集計機能を作る際に役立ちます。

タイムゾーンの扱い

実務で注意したいのは、タイムゾーン の違いです。

Rubyのtimeオブジェクトは、作成時のシステム時刻のタイムゾーンを引き継ぎます。

日本で開発している場合は「+0900(JST)」が表示されるのが一般的ですが、海外の拠点とデータをやりとりするときや、クラウドサーバーがUTC(協定世界時)で動いている場合などは、表示がまったく違う時刻になってしまうことがあるので要注意です。

ローカルタイムとUTC

Rubyのtimeオブジェクトには、Time.now.utc のように呼び出す方法もあり、UTC(協定世界時)に変換して表示することができます。

local_time = Time.now
utc_time   = local_time.utc

puts local_time  # => 2025-02-15 14:02:15 +0900
puts utc_time    # => 2025-02-15 05:02:15 UTC

この例では、日本時間とUTCの9時間の差が現れています。

ログやデータベースに記録する際、UTCに統一しておき、画面上ではユーザーに合わせたローカルタイムで表示する、といった運用をするシステムも少なくありません。

夏時間(DST)への配慮

海外向けのサービスや、サーバーを海外リージョンで運用している場合は、 夏時間 (DST:Daylight Saving Time) の影響を考慮する必要があります。

夏時間の仕組みが導入されている国や地域では、年に1度か2度、時刻が1時間進んだり戻ったりします。

プログラム上でtimeオブジェクトを扱う際に、このタイミングがズレると利用者に大きな混乱が生じるかもしれません。

注意点

  • 日時を計算するときに、夏時間開始・終了の切り替え日で想定外の結果が出る
  • ログの時刻に1時間のギャップが生じる

こうした問題を防ぐためには、夏時間対応に強いライブラリを使うことがあります。

標準のtimeオブジェクトだけだとタイムゾーンを厳密に扱うのが難しいケースもあるので、アプリケーションの仕様に応じて実装方針を決めるのがおすすめです。

実務におけるtimeの活用シーン

ここまでtimeオブジェクトの基本や計算、フォーマットなどを見てきました。

実務では、具体的にどのような場面でtimeオブジェクトが活躍するのでしょうか。

ログのタイムスタンプ管理

アプリケーションの動作状況を分析する際、ログに時刻を記録しておくのは欠かせません。

たとえば「◯◯という処理がいつ行われたか」を明記しておけば、後から不具合発生時の原因調査がしやすくなります。

Rubyでは、単純に Time.now で取得した値をログファイルに書き込むだけで、簡単にタイムスタンプを付与できます。

データベースとの連携

データベースのテーブルに「created_at」や「updated_at」といった日時カラムを持たせる場合があります。

Rubyでレコードを作成・更新するときに、timeオブジェクトを使ってこれらのカラムに現在時刻を記録することで、「いつ作られたか」「いつ更新されたか」を正確に管理できます。

日別の集計や稼働時間の計測など、後からデータを解析するときにも便利です。

タスクスケジューリング

「1時間後にメールを送信する」「明日の10時に定期処理を実行する」といったスケジューリングをすることがあります。

timeオブジェクトを用いれば「今から何秒後」を計算したり、特定の日時までの残り時間を算出したりするのが容易です。

スケジューリング機能をしっかり設計しておくと、自動化できる業務が増えて効率化に役立つかもしれません。

スケジューリングが複雑になると、ライブラリの利用やジョブ管理ツールを使うケースもあるので、timeの基本とあわせて検討するとよいでしょう。

注意点やよくあるトラブル

timeオブジェクトを使いこなすうえで、知っておいたほうがよい注意点やありがちなトラブルをまとめます。

日本時間とUTCのズレを忘れる

ローカルタイムで実装したまま、海外向けにサービスを展開した結果、時刻のズレが発生してしまうケースがあります。

特に、ユーザーインターフェイス(画面表示)で、すべて日本時間で表示してしまうと、海外ユーザーには混乱を招く可能性があります。

夏時間に対応しない

米国をはじめ夏時間を導入している地域では、年に一度ある時刻の切り替えによって1時間のズレが生じます。

この調整が反映されないと、誕生日や予定の時間が1時間早まったり遅れたりする問題が発生してしまいます。

月末の計算での日付ズレ

たとえば「1か月後」を単純に30日後として計算し、翌月の日付が存在しない場合(例:3月31日の1か月後を4月31日としてしまう)にトラブルが起きることがあります。

timeオブジェクトだけでなく DateDateTime を活用し、正しく日付が加算されるようにする工夫が必要です。

上記のようなトラブルは、ユーザーからの信用を損なう原因になることもあるため、日付計算をする際は慎重に実装しましょう。

複数のtimeオブジェクトを使ったサンプルコード

ここでは、複数のtimeオブジェクトを組み合わせたサンプルを少しだけ紹介します。

以下の例では、「指定日から1週間後の日付と、その差分を計算する」流れを示しています。

require 'time'

# 指定日を文字列からtimeオブジェクトに変換
start_time_str = "2025-02-15 10:00:00"
start_time = Time.parse(start_time_str)

# 1週間後を計算(7日 * 24時間 * 3600秒 = 604800秒)
one_week_later = start_time + 604800

# 差分を計算(単位は秒)
diff_seconds = one_week_later - start_time
diff_days    = diff_seconds / 86400

# 結果表示
puts "開始日時: #{start_time}"
puts "1週間後: #{one_week_later}"
puts "日数差分: #{diff_days}日"

上記のコードでは、Time.parse を使って文字列からtimeオブジェクトを生成し、1週間分(604800秒)を加算することで1週間後を算出しています。

diff_days は秒数を1日86400秒で割っているだけなので、正確な日数が計算できるという仕組みです。

こうした計算は、スケジュール管理や予約システムなどで役立つことが多いでしょう。

よくあるエラーへの対処法

timeオブジェクトに関連して、実務や学習段階で遭遇しがちなエラーと簡単な対処法を挙げます。

NoMethodErrorが発生する

timeのメソッドを呼び出したときに undefined method ~ というエラーが出る場合は、timeオブジェクトではなく別の型のオブジェクトを操作している可能性があります。

デバッグの際は、p object.class のようにクラスを確認すると原因がわかりやすいです。

ArgumentError: argument out of range

Time.new(2025, 13, 1) のように月や日が無効な値の場合に発生します。

実務では、ユーザーが誤った日付を入力する可能性を考慮し、バリデーション(正しい範囲かどうかをチェックする仕組み)を入れることが重要です。

TypeError: can't convert ...

timeオブジェクトと数値以外の型を無理やり足し算・引き算しているときに発生することがあります。

たとえば Time.now + "10" のような処理はエラーになります。

Rubyでは型が厳密なので、文字列を数値に直すなら to_i などを用いて適切に変換する必要があります。

実務でのテスト方針

大規模な開発では、timeオブジェクトを扱うコードに対してテストを実施することが非常に重要です。

とはいえ、日時やタイムゾーンを考慮したテストは複雑になりがちです。

以下のポイントに注意すると、問題の早期発見ができる可能性が高まります。

  • タイムゾーンを切り替えた状態で挙動をテストする
  • 季節の変わり目(夏時間切り替え時)を疑似的に再現してテストする
  • 「存在しない日付(4月31日など)」を入力した場合の処理をテストする

このように想定外の日時を試してみることで、エッジケースの不具合にいち早く気づけることが多いでしょう。

高度な日時操作へのアプローチ

より柔軟で多彩な日時操作が必要な場合、DateDateTime クラス、あるいはその他の日時関連ライブラリを併用することも考えられます。

timeオブジェクトは秒単位の管理が中心となりますが、日付ベースでの加減算や厳密なカレンダー計算を行いたい場合は、他クラスとの使い分けがポイントです。

  • Dateクラス:日付部分に特化したクラス。年・月・日のみを主に扱う。
  • DateTimeクラス:より柔軟なタイムゾーンや複雑な日時計算が必要な場合に使う。

ただし、どれもRuby標準ライブラリなので、初期段階であまり難しく考える必要はありません。

まずはtimeオブジェクトの基本的な操作をマスターし、必要に応じて使い分けるとよいでしょう。

まとめ

ここまで、Rubyにおける time の扱い方について基本から活用シーン、トラブル事例まで幅広く解説してきました。

timeオブジェクトは、開発現場で頻繁に使われる仕組みです。

シンプルな使い方としては以下のようなポイントが押さえどころです。

  • Time.now で現在時刻を取得し、すぐにログやデータ保存に活用できる
  • Time.newTime.parse で自由に日時を作り出せる
  • strftime で人間にわかりやすい形に整形できる
  • 時間や日数などの計算を秒単位で行える
  • タイムゾーンや夏時間などの地域差に注意が必要

初心者の皆さんがtimeオブジェクトに慣れるためには、まずは身近な場面から使用してみるのがおすすめです。

日付の差分を計算するミニツールを作ってみたり、現在日時をフォーマットして表示してみたりするだけでも、感覚をつかみやすいでしょう。

プログラミングでは必ずと言っていいほど日時の取り扱いが出てきます。

Rubyのtimeを上手に扱えるようになれば、実務での開発に大いに役立つはずです。

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