【Git】git commit コメントの書き方を初心者向けに解説

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はじめに

Git はソフトウェア開発の現場で広く使われているバージョン管理システムです。
コードの履歴を管理し、複数人で同時進行の開発を行うときに役立ちます。
その中で git commit は、ファイルの変更内容を「どのように」「なぜ」行ったのかを記録する重要な作業です。

ところが初心者の方の中には、どの程度詳しく書けばいいのか、そもそも英語にするべきか日本語にするべきかなど、さまざまな疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、実務での活用シーンも交えながら git commit コメントの書き方 を具体的にご紹介します。

この記事を読むとわかること

  • git commit コメントが開発現場で重要とされる理由
  • 実務的な観点から見たコメントの基本的な書き方
  • よくあるコミットメッセージのパターンと応用例
  • 英語と日本語の使い分けで意識したいポイント
  • git commit 時に活用できるオプションの例

git commit コメントの基本

Git のコマンドを使うとき、まず多くの人が最初に行うのが git commit -m "メッセージ" です。
これは非常にシンプルで便利ですが、実務ではもう少し工夫を加える必要があります。
なぜなら、コメントの内容が次のような場面で参照されるからです。

  • 後日、別のエンジニアが変更内容を確認するとき
  • 自分自身が数週間後に修正箇所を見直すとき
  • コードレビューで修正意図を共有するとき

コメントの書き方 が不十分だと、具体的に何を変えたのかが分かりにくくなります。
結果として後から履歴をたどるときに時間がかかり、開発効率が落ちてしまうこともあるでしょう。

なぜコメントが重要なのか

コミットメッセージは、一種の「ログ」としての役割を果たします。
開発が長期にわたると、ファイルは複数回変更され、その理由を覚えている人がいなくなることが多いです。
たとえばバグを修正したのか、新しい機能を追加したのか、単純に文言を変えただけなのかなど。

こうした情報を残しておかないと、万が一問題が発生したときに、どこで何が変更されたのかを特定する作業に時間がかかります。
だからこそ 「なぜその変更が必要だったのか」を短くわかりやすく書く ことが大切です。

実務におけるコメントの使い方

実務では、プロジェクトメンバー全員がコミットの履歴を参照しながら進めることがほとんどです。
たとえば、新機能の実装で複数のファイルを同時に修正する場合や、デザインの微調整で細かい変更を繰り返す場合などがあります。

そのとき、コミットコメントが適切に書かれていれば「何がどう変わったか」「修正背景は何か」がひと目でわかります。
一方、あいまいなコメントや極端に短いコメントだけだと、レビューの際に「どこをどう変えたの?」というやりとりが増えてしまい、意思疎通にも余計な時間がかかるでしょう。

コメントの形式と書き方

コミットコメントにはある程度のルールがあると便利です。
プロジェクト全体でフォーマットを決める場合もあれば、チーム内で「ざっくり英語で書く」「先頭に修正内容の種別を加える」などの決まりを運用する場合があります。

シンプルな書き方

最も一般的なのが git commit -m "短い説明" という形式です。
変更点が単純な場合は、以下のようなコメントで十分に伝わる場合もあります。

git add .
git commit -m "Fix typo in README"

たとえば、README のタイポ修正や文言のアップデートなど、小規模な変更であれば問題ありません。
ただし実務では、複数ファイルにわたる大きな変更や、バグ修正と新機能追加を一度に行う場面もあります。
そうしたときには、多少の詳細を加えておくほうがあとあと役に立ちます。

どの程度の長さが適切か

コミットコメントは 短すぎず、長すぎず が理想的とされています。
一般的には 50文字前後 をタイトルとして書き、その後に改行して必要があれば詳細を書き加える、というスタイルもよく使われます。

例えば以下のように書くと、タイトルと詳細を分けて記述できます。

git commit

# (エディタが立ち上がる)
# コミットメッセージの例:

Add user profile feature

- Created a new table named `profiles`
- Linked user_id with profiles.user_id
- Implemented basic CRUD operations

このように、最初の1行は大まかな変更内容、続く行には変更の理由や技術的な補足を数行に分けて記載すると読みやすいでしょう。

実務でよく使われるパターン

多くの開発チームではコミットコメントの先頭に、変更の内容をひと目で把握できるキーワードを付与する場合があります。
たとえば "feat:", "fix:", "docs:", "refactor:" といったラベルを付けるパターンが有名です。
これはコミットメッセージの管理を体系化することで、コードレビューや履歴の検索をしやすくするための工夫です。

新機能追加時

新しい機能を追加した場合は、"feat:" や "add:" などを先頭につけて要点をまとめる方が便利です。
実務では、アプリの新規画面作成やライブラリの新規導入などが該当します。

例:

git commit -m "feat: Implement user registration form"

ここでは、「ユーザー登録フォーム」を新規で実装したということが、一目でわかるようになります。

バグ修正時

バグ修正を行った場合は "fix:" を先頭に付ける例が多いです。
修正内容によっては、なぜそのバグが起きたかを簡潔に書いておくと、後のトラブルシュートに役立ちます。

git commit -m "fix: Correct null pointer exception when user data is empty"

さらに詳しい背景を書きたいなら、先ほどご紹介したようにマルチラインのメッセージを利用し「どのファイルのどの関数が問題で、こう直した」などと書くのも良いでしょう。

文書更新時

ドキュメントやコメントだけを変更した場合は、"docs:" を先頭に付けることもあります。
大きなバグ修正や機能追加ではないものの、後から見ると確かに差分があるため、明確に区別しておくと便利です。

git commit -m "docs: Update API usage section in README"

こうすることで、実装部分には変更がなかったとすぐに判断できるため、コードレビューの範囲を絞り込めます。

英語と日本語の使い分け

コミットメッセージを英語で書くか日本語で書くかは、チームの方針や実務の状況によって異なります。
どちらにもメリットとデメリットがあるため、以下のようなポイントを踏まえて検討してみるといいでしょう。

英語にするメリット

  • グローバルな開発チームでプロジェクトを共有できる
  • ドキュメントとして公開する際、海外の開発者にもわかりやすい
  • 他の英語ドキュメントやツールとの整合性が取りやすい

日本語にするメリット

  • 細かなニュアンスをそのまま書きやすい
  • 初心者や日本語話者が多いチームでのコミュニケーション効率が高い
  • 意図や背景を正確に伝えやすい

実務の場面では、たとえば日本国内の開発チームで英語に慣れていないエンジニアが多いなら、日本語のほうが誤解が生じにくいです。
逆に海外拠点と連携している場合や海外のライブラリを参考にして開発しているような場面では英語で統一するケースもあります。

コミットメッセージに関連する便利なオプション

コミットメッセージの書き方をさらに便利にするためのオプションや工夫があります。
ここではそのうちのいくつかをご紹介します。

コミットテンプレートの活用

Git にはコミットメッセージの雛形(テンプレート)を設定し、エディタを開くたびに定型文が表示される仕組みを利用することができます。
たとえばテンプレートの中に「変更内容」「変更理由」「関連するチケット番号」「テスト内容」などをあらかじめ書いておくと、コミットメッセージの書き忘れを減らせます。

コミットテンプレートを使うと、特に大規模なチーム開発でコミットコメントの品質を一定に保ちやすくなります。

コマンドラインオプションの例

実務ではコマンドライン操作を効率化するために、いくつかオプションを組み合わせて使うこともあります。
たとえば、変更内容をすべてステージングして、そのまま短いコミットメッセージを付与する場合は以下のようにまとめることが可能です。

git commit -am "fix: Remove unnecessary console log in user controller"

-a オプションは、変更されたファイルを自動的にステージングするため、ステージングを忘れてしまうことを防げます。
ただし新規作成されたファイルはステージングされないので、その点は注意しましょう。

まとめ

git commit のコメントは、プロジェクトの記録として重要な役割を担います。
とりあえず “Fix bugs” のように書くだけでは、後から変更内容を理解するのが難しくなる可能性が高いです。

  • 実務で活用するためには、何を、なぜ、どのように変更したのかを簡潔に残すのが基本
  • タイトルと詳細を分ける、ラベルを付与するなどの工夫をすると履歴が整理しやすくなる
  • 英語・日本語の選択はチームの状況やプロジェクトの方針に応じて決める
  • コミットテンプレートやオプションを活用すると作業漏れを減らせる

作成したコミットコメントは、開発の振り返りや障害対応などで必ず役立ちます。
初心者の方は最初は短くてもよいので、自分やチームメンバーが後から見たときに分かりやすいコメントを心がけてみてください。
それによって開発の効率も上がり、チーム全体でスムーズなコミュニケーションを図れるようになるでしょう。

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