【Git初心者向け】GitLab Flowとは?基本から実践までわかりやすく解説

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はじめに

多くの開発現場で使われているGitは、効率的にバージョン管理を行うためのシステムです。
その中でもGitLab Flowというブランチ運用手法は、比較的シンプルな構成でありながら、柔軟にチーム開発を進められる点で注目されています。

しかし、初心者の方にとっては「Git」という単語だけでも難しそうに感じるかもしれません。
そこで本記事では、GitLab Flowの基本的な考え方から具体的な使い方、そして実務で想定されるシーンまでをやさしく解説していきます。

一歩ずつ理解を重ねることで、GitLab Flowがなぜ注目されているのか、そしてどのように運用していけばよいのかがクリアになるはずです。

この記事を読むとわかること

  • GitLab Flowの概要
  • 他のGit運用フローとの違い
  • ブランチやマージの具体的な流れ
  • 実務におけるGitLab Flow活用例
  • 導入時に注意すべきポイント

これらを把握することで、チーム開発をスムーズに進めるためのヒントがつかめます。

GitLab Flowとは何か

GitLab Flowとは、GitLabというリポジトリ管理ツールで推奨されているブランチ運用ルールの一種です。
ブランチ運用と聞くと「GitFlow」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、GitLab Flowはそれよりも構成がシンプルな点が特徴です。

主に master (メイン) ブランチを軸に開発を進める イメージで、必要に応じて短期的なブランチを切り、それを統合していきます。 本番環境(production)などの運用状況に合わせてブランチを増やしすぎないため、管理コストを抑えやすい運用フローとして知られています。

例えば、以下のような流れがよく使われます。

  1. メインブランチを用意する
  2. 開発が必要なときに新しいブランチを作成する
  3. 実装やテストを進める
  4. 動作確認後にメインブランチにマージする

この流れは非常にシンプルなので、初心者でも比較的理解しやすいのがメリットです。

GitLab Flowが注目される理由

GitLab Flowが注目される背景には、以下のような理由があります。
一つひとつ具体的に見ていきましょう。

シンプルな構成

GitFlowのように複数のブランチ(develop、release、hotfixなど)を細かく使い分ける手法は、大規模なチームや長期的な開発には有効です。
しかし、小規模なチームやスピード重視の現場では、煩雑になりがちというデメリットもあります。
GitLab Flowの場合、必要最低限のブランチを利用する設計なので、管理が複雑になりにくいのです。

柔軟に環境分けができる

シンプルな構成でありながら、プロダクション用のブランチやステージング用のブランチを用意する方法など、状況に応じて複数の環境ブランチを持てる点が魅力です。
たとえば、本番環境にのみ適用したい修正が出た場合は、productionブランチへ直接パッチを当てる運用もスムーズに行えます。

GitLabの機能を活用しやすい

GitLabにはMerge Request機能やCI/CDパイプラインなどがあり、コードレビューから自動テスト、デプロイまでを一貫して行うことが可能です。
GitLab Flowに従うことで、これらの機能を自然な形で組み込みやすくなり、チーム開発の効率化につながります。

ブランチとマージの基本的な流れ

ここでは、最も基本的なGitLab Flowの流れをコード例とともに紹介します。
初めてGitを扱う方でもイメージしやすいように、順序立てて解説します。

1. リポジトリをローカルにクローンする

まず、GitLab上にあるリポジトリを手元のPCに取得(クローン)します。

git clone https://gitlab.com/your-account/your-repo.git
cd your-repo

リポジトリがクローンできたら、作業フォルダに移動して準備完了です。

2. 新しいブランチを作成する

次に、機能追加やバグ修正といった作業単位ごとに、新しいブランチを切ります。
例えば、新機能「user-auth」を実装する場合は以下のようにします。

git checkout -b feature/user-auth

checkout -b オプションで、新規ブランチを作成しつつそのブランチに移動します。
ブランチ名は "feature/機能名" の形式がよく用いられます。

3. コミットとプッシュ

ローカルでファイルを編集したら、適宜コミットして履歴を残していきます。
以下は例として、単一ファイルの変更をコミットするケースを示しています。

git add .
git commit -m "Add user authentication feature"
git push origin feature/user-auth

この段階ではローカルの変更をリモートリポジトリ(GitLab)へアップロードしているだけです。
実際にメインブランチへ変更を取り込むには、次のステップが必要です。

4. Merge Request(マージリクエスト)を作成する

GitLabのWebインターフェイスから、プッシュしたブランチのコードをメインブランチへ取り込むためのMerge Requestを作成します。
レビュー担当者がコメントをつけて修正を依頼したり、承認すればマージが実行されます。

5. メインブランチにマージする

最終的にレビューやテストが完了したら、メインブランチにマージします。
これで新しい機能がメインブランチに取り込まれ、チーム全体に共有される流れです。

マージするときには、コンフリクト(競合)が発生する可能性があります。コンフリクトが発生した場合は、どちらの変更を優先するか検討しながら手動で解決しましょう。

実務で使えるGitLab Flowの具体例

ここでは、実務の現場でGitLab Flowを活用する際に役立つ具体例を紹介します。
大きく分けて「単一ブランチ運用」と「複数環境ブランチ運用」の2パターンを見てみましょう。

単一ブランチ運用(最もシンプルな形)

  • mainブランチ:開発および本番運用の両方を兼ねる
  • 作業用ブランチ:新機能や修正ごとに作成して、完了後に main にマージ

小規模な開発やリリースサイクルが短いプロジェクトでは、単一ブランチ運用で十分なケースがあります。
作業ブランチを細かく切り替えながら、小さく素早くリリースする形です。

複数環境ブランチ運用(productionやstagingを分ける)

  • mainブランチ:最新の安定した状態(stagingとして扱う場合も)
  • productionブランチ:本番反映用
  • feature(またはfix)ブランチ:新機能やバグ修正ごとに作成

本番環境にすぐ反映できない機能は、mainブランチである程度テストを行い、問題なければproductionブランチへマージするように運用します。
これにより、リリース時のトラブルを減らしやすくなります。

このように、GitLab Flowはシンプルでありながら、多様な要望に応じてブランチを追加しやすいというメリットがあるのです。

導入時に気をつけたいポイント

GitLab Flowを導入する際に押さえておきたいポイントや注意点をいくつかまとめます。

ブランチ命名規則を統一する

チーム全体でわかりやすい命名規則を決めると、運用管理がスムーズになります。
「feature/機能名」「fix/バグ名」「hotfix/緊急修正」など、プレフィックスを揃えるのがおすすめです。

細かいコミットを意識する

作業を大きくまとめてしまうと、後から変更点を追いにくくなります。
可能な限り小さい単位でコミットし、その都度メッセージをわかりやすく書くようにすると、あとで見返すときに役立ちます。

定期的にメインブランチを取り込む

複数人で同時に開発していると、メインブランチが更新されるタイミングは頻繁に発生します。
定期的にgit fetchgit mergeでメインブランチの変更を取り込むと、コンフリクトを早期に発見しやすくなります。

# メインブランチに移動
git checkout main

# リモートリポジトリを取得
git fetch origin

# メインブランチを最新化
git merge origin/main

# また作業ブランチに戻り、メインブランチの更新を取り込む
git checkout feature/user-auth
git merge main

チームで合意したルールを守る

ブランチの運用ルールはチームによって異なります。
GitLab Flowはあくまでも基本の枠組みであり、実際のプロジェクトに合わせて柔軟に変更して構いません。
ただし、チームメンバー全員で合意したルールを守ることが大切です。

運用ルールが曖昧なままだと、ブランチの乱立やレビュー漏れの原因になる可能性があります。少し面倒に感じても、初期段階でしっかりと合意形成をしておきましょう。

まとめ

ここまで、GitLab Flowの基本的な考え方から具体的な使い方までを一通り解説してきました。
シンプルな構成でありながら、必要に応じてブランチを追加できる柔軟性を備えている点がGitLab Flowの強みです。

初心者の方でも取り組みやすい運用手法として、まずは小さなプロジェクトやチームで試してみてはいかがでしょうか。
運用を進める中で、ブランチ構成やマージ手順などを微調整することで、より開発効率の高いフローに成長させることができます。

ぜひ本記事で紹介した内容を参考に、実践しながら自分たちのチームに合った流れを構築してみましょう。

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