WordPressエンジニアとは?仕事内容・必要スキル・将来性まで徹底解説
はじめに
WordPressという名前を一度は耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
WordPressは世界中で広く利用されているCMS(コンテンツ管理システム)で、企業サイトや個人ブログ、ECサイトなど、あらゆるWebサイトを効率よく作れる点が特徴です。
今回は、WordPressエンジニアという役割に注目します。
WordPressを使ってWebサイトを構築・管理するエンジニアはどんな仕事をしているのでしょうか。
WordPressエンジニアになるために必要なスキルは何か、そして今後のキャリアや市場価値はどのようになっているのか、初心者にもわかりやすくお伝えします。
プログラミング経験がまったくない方や、副業としてWebサイト構築を検討している方にとっても、WordPressは取り組みやすいツールのひとつです。
ぜひ、この記事を通じてWordPressエンジニアの世界をのぞいてみてください。
この記事を読むとわかること
- WordPressエンジニアの定義と具体的な仕事内容
- WordPressサイトの構築で役立つスキルや知識
- キャリアパスやフリーランス・副業としての働き方
- 未経験からWordPressエンジニアを目指すポイント
- 年収や市場価値を高めるためのコツ
WordPressエンジニアとは?役割や特徴
WordPressエンジニアとは、WordPressを使ったサイト構築やカスタマイズ、プラグインの開発などを担当するエンジニアです。
また、デザインやサーバー設定など、フロントエンドとバックエンドの両領域を跨ぐことが多い点も特徴です。
そのため、Web制作全般の基礎をまんべんなく理解している人が多く、幅広いスキルを活かして活動する傾向があります。
WordPressの概要と特徴
WordPressは、プログラミング初心者でも扱いやすいCMSのひとつです。
管理画面からテーマやプラグインをインストールするだけで、ページの追加やレイアウトの変更をある程度自由に行えます。
カスタマイズを深めたい場合は、PHPやHTML/CSSを学ぶことで、さらに細やかな調整が可能です。
多くの企業や個人が利用しているため、情報が豊富で、機能拡張用のプラグインも数多く存在します。
WordPressエンジニアの定義
WordPressエンジニアとひと口に言っても、その仕事内容は多岐にわたります。
テーマのデザインを作ることもあれば、独自のプラグインを開発して機能を増やすこともあります。
単なるサイト管理者というよりは、WordPressの仕組みを十分に理解し、必要に応じてプログラミングで機能を追加したり修正したりできる人を指すと考えるとわかりやすいでしょう。
他エンジニアとの違い
フロントエンドエンジニアがHTML/CSSやJavaScriptでUIを担当するのに対して、WordPressエンジニアはPHPを用いたバックエンドの処理にも取り組みます。
とはいえ、完全にサーバーサイドに特化しているわけでもなく、デザインからシステム保守まで一連の流れを俯瞰しながら開発・運用を行うのが大きな違いです。
WordPress特有のテーマやプラグイン、管理画面の構造などを理解していることが求められるのも特徴です。
WordPressエンジニアの仕事内容
WordPressエンジニアの仕事内容は多岐にわたります。
特にクライアントワークをする場合は、要望に応じてサイトの設計からデザイン、機能拡張、保守運用まで対応することが少なくありません。
サイト構築・カスタマイズ
WordPressをインストールしてテーマを適用すれば、サイトの基本構造はすぐに作れます。
しかし、実際の業務では独自デザインのテーマや特別な機能が求められることが多いです。
そのため、デフォルトのテーマをそのまま使うケースは少なく、PHPやHTML/CSSを使ってテーマファイルをカスタマイズするスキルが必要になります。
たとえば、記事一覧ページの表示スタイルを変更したり、特定のカテゴリーだけデザインを切り替えたりするなど、細やかな対応が求められます。
プラグイン開発
WordPressはさまざまなプラグインが提供されており、インストールすれば簡単に機能を追加できます。
しかし、完全に要望に合ったプラグインが既存で見つからない場合、自作のプラグインを開発することがあります。
WordPressでプラグインを作る際は、 フック (actionやfilter)を使ってWordPress本体の機能に割り込んだり、処理を上書きしたりします。
<?php /** * プラグインの基本構造のサンプル * * Plugin Name: Custom Greeting * Description: 記事の最後にカスタムメッセージを追加するプラグイン */ function add_custom_greeting($content) { $message = "<p>いつもご覧いただきありがとうございます。</p>"; return $content . $message; } add_filter('the_content', 'add_custom_greeting');
ここでは、the_content
というフックを利用して記事本文の末尾にメッセージを追加しています。
このようにWordPress特有のフック機能を活用して、柔軟に機能を追加できる点がWordPressエンジニアの活躍の場です。
セキュリティと保守
WordPressは世界中で使われているがゆえに、攻撃の標的になりやすいとも言われます。
定期的なバックアップの取得やセキュリティ対策、プラグインの更新、サーバーのメンテナンスなど、保守運用の知識もWordPressエンジニアには欠かせません。
万が一、サイトがダウンしたり、予期せぬ不具合が起きたりした際には、迅速に原因を突き止め、復旧する役割を担うことも少なくありません。
WordPressエンジニアに必要なスキル
WordPressエンジニアとして活躍するためには、幅広い知識と柔軟な対応力が求められます。
特定の分野だけに強いよりは、Webサイト制作の流れを総合的に理解している人ほど、重宝される傾向があります。
基本的な言語(PHP、HTML、CSS)
WordPressはPHPで動いており、テーマファイルやプラグインの多くもPHPで記述されています。
そのため、PHPの文法や配列、クラス、関数などの基礎知識が求められます。
あわせてHTMLやCSSを使って、表示部分を自由にコントロールできることも重要です。
たとえば、header.php
やfooter.php
などのテーマファイルを編集して、サイト全体の見た目を作り込みます。
テーマ開発スキル
WordPressテーマは、投稿ページや固定ページをどのように表示するかを定義するテンプレートファイルの集合体です。
index.php
、single.php
、page.php
、functions.php
など、テーマを構成する代表的なファイルがあります。
下記はテーマ内でカスタム投稿タイプを登録する例です。
function create_custom_post_type() { register_post_type( 'portfolio', array( 'labels' => array( 'name' => 'ポートフォリオ', 'singular_name' => 'ポートフォリオ' ), 'public' => true, 'has_archive' => true ) ); } add_action('init', 'create_custom_post_type');
このように、functions.php
でカスタム投稿タイプを追加して、作品や事例などを簡単に管理できるようにカスタマイズする手法はよく行われています。
テーマ開発に強いWordPressエンジニアは、HTMLやCSSだけでなく、ページ読み込み速度の改善やSEOにも配慮してテーマ設計を行うことが多いです。
API活用スキル
WordPressはREST APIの仕組みを持っているため、外部サービスや他のアプリケーションと連携することも可能です。
たとえば、スマホアプリからWordPressのデータを取得したり、外部システムからWordPressにデータを送信したりする場面があります。
システム連携のニーズが高まる中、WordPressのREST APIを理解しているエンジニアは評価されやすいです。
データベースとサーバーの基礎知識
WordPressはデータベースにMySQLを使うのが一般的で、サーバーはApacheやNginxなどが主に利用されます。
これらの基礎知識があると、サイトの表示速度を向上させたり、トラブルシューティングをスムーズに進めたりできるようになります。
データベースの最適化や、サーバー設定ファイルの微調整など、WordPressエンジニアにはサーバーサイドの知識も求められることが少なくありません。
WordPressエンジニアの将来性とキャリアパス
WordPressエンジニアには、多様なキャリアパスが考えられます。
Web系企業での正社員として大規模サイトを運用する方もいれば、フリーランスとして個人事業主向けにサイト制作を請け負う方もいます。
多様な働き方が可能
WordPressを使ったサイト構築は、作業範囲の広さや案件の多様性から、在宅やリモートでの副業にも向いている分野です。
実際、WordPressでのサイト制作をメインにフリーランスとして活動している方も増えています。
会社員として働きながら、副業で依頼を受けることも可能なので、キャリアアップだけでなく収入アップの選択肢としても注目されています。
スキルアップによるキャリアアップ
WordPressの仕組みを理解したうえで、さらにPHPやJavaScriptを深く学ぶことで、フルスタックエンジニアを目指せる可能性もあります。
また、大規模サイトの運用経験を積むと、サイト改善コンサルタントやプロジェクトマネージャーへキャリアを広げることも考えられます。
最初はWordPressの基本的な部分を押さえてから、ネットワークやセキュリティ、UXデザインなどの追加スキルを学ぶことで、より高度な案件にも挑戦しやすくなるでしょう。
フリーランスや副業
フリーランスとして独立する場合、個人からのサイト制作依頼や企業のサイトリニューアル案件などを受けることが多いです。
複数の案件を同時進行でこなしながら、自分のペースで働けるのは大きな魅力です。
ただし、提案力やコミュニケーション能力、納期管理などが重要になります。
最初は小さい案件からスタートし、実績を積み重ねていくと安定した収入を得やすいでしょう。
未経験からWordPressエンジニアになるには?
プログラミング未経験からWordPressエンジニアになる道のりは、最初に学習すべき範囲がある程度明確という点で、比較的始めやすいです。
とはいえ、まったくの初心者の場合は、WordPressがどのように動いているかを体験しながら学ぶのが大切です。
自分のサイトを作って練習
WordPressを学ぶ上でおすすめなのは、まずは自分のブログやポートフォリオサイトを作ることです。
無料のホスティングプランやローカル環境を使って、実際にWordPressをインストールします。
テーマを切り替えてみたり、テンプレートファイルを編集したりすることで、ファイル構成やWordPressの動きが自然と身につきます。
小さな案件を受ける
慣れてきたら、友人や知人のサイトを作ってみたり、SNSで小規模案件を探してみるのも一つの方法です。
企業のホームページまではいかなくても、個人事業のサイトやブログのカスタマイズを代行することで、実践的なスキルが身につきます。
そこから得た経験をポートフォリオとしてまとめれば、さらに大きな案件を受注するときに説得力を持たせられます。
プログラミングの基礎を押さえる
WordPressは管理画面から操作できることが多いので、単にサイトを公開するだけなら深いプログラミング知識は不要です。
しかし、エンジニアとしてしっかり活躍していくためには、PHP、HTML/CSS、そして必要に応じてJavaScriptなどの基礎をおさえておく方が良いでしょう。
デバッグの際にどこでエラーが出ているかを特定できたり、プラグインを自作できたりといった対応ができることで、よりレベルの高い案件を請け負えるようになります。
WordPressエンジニアの求人事情と転職のコツ
WordPressエンジニアとして働きたい場合、求人検索サイトやエージェントを利用すると、正社員や契約社員、フリーランス案件などを幅広く見つけられます。
どのような企業・案件があるか
- 制作会社:企業や個人の依頼を受けてWordPressサイトを作る。複数のサイトを短期間で作ることが多い。
- 自社メディア運営企業:自社のWebメディアをWordPressで運用している場合、カスタマイズや保守に携わる。
- フリーランス案件:在宅でのサイト構築・運用サポートが中心。
WordPressは小規模〜中規模のサイトから大規模メディアまで対応できるため、多種多様な企業が導入しています。
ポートフォリオ作成のポイント
未経験から転職や副業獲得を狙う際は、完成度の高いポートフォリオを作ることが有効です。
- サイトの見た目や機能がどこまでカスタマイズされているか
- テーマ編集やプラグイン開発でどのような工夫をしたか
以上をわかりやすく紹介することで、「この人に任せればWordPressの柔軟な対応が可能だ」という印象を与えやすくなります。
面接でアピールするコツ
WordPressエンジニアの面接では、下記のポイントを具体的に話せると説得力が増します。
- エラーが発生したときのトラブルシューティング経験
- セキュリティ対策として行った工夫
- プラグイン開発やテーマカスタマイズの実例
また、コミュニケーションスキルやスケジュール管理能力も重要視されます。
クライアントとのやり取りや、デザイナーやディレクターとの連携が必須となるためです。
WordPressエンジニアの年収・平均給与
WordPressエンジニアの年収は、働く形態やスキルレベルによって大きく異なります。
正社員でWeb制作会社に勤める場合は、一般的なWebエンジニアと同水準の年収帯が多いです。
フリーランスや副業の場合は、案件単価を自分で設定できるので、実績やスキル次第で報酬を伸ばしやすいという特徴があります。
平均的な年収相場
- 正社員:エンジニア未経験からスタートした場合は、年収300万円前後から始まり、経験を積んで400〜500万円を目指す方が多いです。
- フリーランス:単価の高い案件を複数こなせば、年収600万円以上になるケースもあります。
もちろん、地域や企業規模、案件内容などによって幅があります。
フリーランスや副業の報酬
小規模なサイトのリニューアルや、テーマカスタマイズのみを請け負う場合は、1案件数万円〜十数万円程度が一般的です。
より高度な機能追加や、複雑なインフラ構成を伴う案件では、さらに報酬が高額になる可能性もあります。
複数のクライアントと継続契約を結び、保守管理を月額で受注しているフリーランスも多く、安定的な収入を確保しやすいモデルです。
年収を上げるためのポイント
- 幅広いスキルを身につける:フロントエンドやサーバーサイド、SEO対策などを総合的にサポートできると顧客満足度が高まり、リピートや高単価案件につながりやすいです。
- 実績をわかりやすく可視化:制作したサイトの成果やアクセス数の向上など、定量的な成果を示せると、クライアントへの説得力が増します。
- 効率的な作業体制の構築:同じ作業でも素早く高品質に仕上げられるほど、多くの案件をこなしやすくなります。
WordPressエンジニアのやりがいと魅力
WordPressエンジニアは、制作したサイトがリアルタイムで多くのユーザーに閲覧される点が大きな魅力です。
自分の作ったサイトを、多くの人が利用していると実感できることで、やりがいを感じる人は少なくありません。
自由度の高さ
WordPressはプラグインやテーマによる拡張性が高いため、さまざまなアイデアを形にしやすいです。
カスタマイズの幅が広いので、企業のブランディングを反映したり、ユニークなインタラクションを実装したりできます。
自由度が高い分、提案次第で新しい機能やデザインに挑戦できるという面白さがあります。
多くのユーザーに使ってもらえる楽しみ
WordPressが世界中で利用されているため、作ったプラグインやテーマを公開すれば海外からも評価を得るチャンスがあります。
それだけでなく、日常的にサイトを利用するユーザーの反応を直に確認できるのもやりがいのひとつです。
クライアントから「サイトが使いやすくなった」「売上が伸びた」といった感謝の言葉をもらえると、作ってよかったと思える瞬間が多いでしょう。
ユーザー体験を向上させるやりがい
WordPressは更新の仕方がわかりやすく、クライアントや社内の担当者が管理しやすいサイトを作りやすい点でも優れています。
運用段階での使いやすさや、閲覧者側の見やすさを考慮して設計することで、UIやUXの質を高められるのはWordPressエンジニアにとっても大きなやりがいです。
WordPressエンジニアが大変な場面と対処法
WordPressは便利な一方で、トラブルに遭遇することもあります。
ただし、事前に対策を講じたり、柔軟に対応することで乗り越えられるケースがほとんどです。
バージョンアップの影響
WordPress本体やプラグイン、テーマは随時アップデートが行われるため、予期せぬ不具合が発生することがあります。
アップデートした後にサイトが真っ白になったり、機能が動かなくなったりする例です。
これを防ぐには、テスト環境で動作を確認してから本番に適用する、バックアップをしっかり取りながら進めるなどの運用ルールを徹底する必要があります。
大規模サイトでの運用
アクセス数が多いニュースサイトやECサイトをWordPressで運用する場合、負荷対策が課題になることがあります。
キャッシュ機能を活用したり、プラグイン選定を慎重に行ったりすることが重要です。
必要に応じてサーバー構成を見直し、リバースプロキシやCDNを利用するといったスケーラビリティ対策も求められます。
クライアントの要望調整
WordPressでサイトを構築する際は、クライアントから「こんな機能を付けてほしい」という要望が次々に出てくる場合があります。
機能拡張が容易な反面、後からの追加や修正が積み重なると、納期やコストが膨らんでしまうリスクがあります。
こうした場合は、事前に要件をしっかりとすり合わせし、スコープを決めておくことが大切です。
WordPressエンジニアと他職種との比較
WordPressエンジニアとして活動する上で、他の職種との違いを理解しておくと、自分の強みや進むべき方向性がわかりやすくなります。
PHPエンジニアと比較
純粋なPHPエンジニアは、フレームワーク(LaravelやSymfonyなど)を使ったWebアプリ開発に深く携わるケースが多いです。
一方、WordPressエンジニアは、WordPress固有の仕組みやフックを使った開発に強みを持っています。
どちらもPHPがベースなので、WordPressの深い知識と汎用的なPHPスキルを両立できれば、開発の幅が広がるでしょう。
Webデザイナーと比較
WebデザイナーはUI/UXデザインやビジュアル面をメインに担当し、デザインツールやグラフィックソフトを使いこなします。
WordPressエンジニアは、デザインを実装に落とし込む部分を担うことが多いです。
デザイナーが作ったデザインをコードに変換し、WordPressテーマとして動くように調整するのが大きな役割です。
他CMSエンジニアとの違い
WordPress以外にもDrupal、Joomla、GhostなどのCMSがありますが、WordPressは比較的管理画面が直感的で、プラグインやテーマの数が豊富な点で優位性があります。
他CMSエンジニアは、それぞれのCMSの構造やプラグイン設計を熟知しているため、移行や連携を検討するプロジェクトでは重宝されます。
WordPressエンジニアとして経験を積むうちに、他CMSに興味を広げるケースも多く、視野を広げておくと案件の幅がさらに広がるでしょう。
まとめ
WordPressエンジニアとは、WordPressを使ったサイト構築やプラグイン開発、保守運用などを総合的に担うエンジニアです。
初心者でも扱いやすいCMSからスタートして、PHPやHTML/CSSの知識を積み上げていくことで、さらに多彩な機能やカスタマイズを実現できます。
多様な働き方が可能で、フリーランスや副業としても案件が豊富です。
また、キャリアパスも幅広く、将来的には高度なWeb開発スキルやプロジェクト管理能力を身につける道も開けています。
ぜひ、WordPressエンジニアとしての第一歩を踏み出し、実践を通じて着実にスキルを身につけていってください。
WordPressは幅広い案件で採用されているため、最初は小規模サイトのカスタマイズから入り、徐々に自分の得意分野を見つけると効率よく成長できます。