【Ruby】バージョン確認方法を初心者向けにわかりやすく解説

はじめに

皆さんがRubyを使ってプログラミングを始めようとするとき、まず頭に浮かぶのは「自分の環境にどのバージョンのRubyが入っているのか」という疑問かもしれません。
実務の場面でも、Rubyのバージョンはプロジェクトの動作に大きく影響を与えます。プロジェクトによっては別のバージョンを使うこともありますし、新しい機能を使いたいときや古いライブラリをメンテナンスするときなどに、正確なバージョンを把握しておくのはとても重要です。

バージョン確認を怠ると、なぜかうまく動かないコードが出てきたり、ライブラリをインストールできなかったりといったトラブルが起こることもあるでしょう。実際の開発現場では、Rubyが本当に正しいバージョンで動作しているかは大切な確認事項の一つです。

この記事では、そんなRubyのバージョン確認の方法について、初心者の方でもわかるように説明します。ターミナル上で手軽に確認するコマンドから、複数のバージョンを切り替えられるバージョンマネージャーでの確認方法、さらにはDockerなどのコンテナ環境での実務的なケースにおけるポイントまで順番に見ていきます。

これを読むことで、Rubyをより安心して学び、仕事や個人開発に役立てられるようになります。バージョン確認は地味な手順に見えるかもしれませんが、ソフトウェアの安定動作に不可欠なステップです。最初は面倒に感じるかもしれませんが、手を動かしながらゆっくりと覚えていきましょう。

この記事を読むとわかること

  • Rubyのバージョンを確認する基本的なコマンド
  • バージョンマネージャー (rbenvやRVMなど) での確認手順
  • 複数のバージョンを使い分ける際の注意点
  • Dockerなどの実務的な環境でのバージョン確認方法
  • バージョン差異によるエラーやトラブルの対処方法

Rubyのバージョンを確認する主な方法

Rubyのバージョン確認は、どのオペレーティングシステムを使っていても基本的には同じコマンドで行えます。もっともシンプルな方法は、ターミナル(LinuxやmacOS)やコマンドプロンプト(Windows)でのコマンド実行です。

Rubyはインストールされると、rubyというコマンドが使えるようになります。確認する場合は、次のようにバージョン表示用のオプションを付けて実行します。

ruby -v

ほかにも、--versionオプションを使うことで同じ結果を得られますが、表記揺れに気をつける必要があります。プロジェクトやチームによっては「-v」を使うか「--version」を使うかが分かれているケースもあります。

バージョン表示には「ruby 3.x.x (xxxx-xx-xx revision xxxxx) [x86_64-darwin20]」といった形で出てくることが多いでしょう。中には動作しているOSやCPUアーキテクチャなどの付加情報も表示されます。こうした情報が必要になるケースはあまり多くありませんが、コンテナや仮想マシンなどを多数使う現場では、環境差をチェックするのに役立ちます。

ここでは、まずはruby -vを使うシンプルな方法に慣れると良いでしょう。次のセクションでは、より具体的にコマンドの違いや、使い分ける際の考え方について紹介していきます。

ruby -vを使った確認

ruby -vは、多くのプログラマーが日常的に使っているコマンドです。たとえば、Rubyのバージョンが3.xの場合、次のように表示されることがあります。

ruby -v
# => ruby 3.x.x (202x-xx-xx revision xxxxx) [x86_64-linux]

この出力結果は、Rubyのメジャーやマイナーのバージョン、リリース年月日、リビジョン番号、使用しているプラットフォームなどの情報をまとめて出してくれます。実務の場面ではこの情報をキャプチャして、ドキュメントに残すことがよくあります。特に複数の開発チームが同じコードベースを扱う場合、誰がどのバージョンで作業していたかを共有しておくと混乱を防ぎやすくなります。

このコマンドは非常にシンプルですが、「いま使っているRubyが想定どおりのバージョンか」を素早くチェックできるため、開発における基本中の基本と言えます。何か思わぬエラーが起きたときには、まずこのコマンドでバージョンを確かめておくと良いでしょう。

ruby --versionを使った確認

ruby -vと似たような動作をするものとして、ruby --versionがあります。基本的に出力される内容は同じなので、どちらを使っても問題ありません。

一方で、スクリプトや自動化したテストの中でバージョンを確認するような場面だと、--versionオプションが好まれるケースもあります。例えば、シェルスクリプト内でruby --versionの結果を取得して、特定の文字列を含むかどうかをチェックするといった使い方が挙げられます。

以下は簡単な例です。

VERSION_INFO=$(ruby --version)
echo $VERSION_INFO

このように変数に入れておくと、条件分岐などで使いやすくなります。慣れるまではどちらか一方のコマンドに統一して使うと混乱を減らせるでしょう。

バージョン確認が重要な理由

Rubyのバージョン確認が大切だと言われるのは、単なる自己満足のためではありません。実務の現場では、開発環境と本番環境のバージョンを合わせることが求められますし、ライブラリをインストールするときのバージョン依存を考慮する必要もあります。バージョンを正しく把握しておかないと、動くはずのプログラムが動かないというトラブルが起こるからです。

開発環境のバージョン整合性

現場によっては、開発メンバーがそれぞれ好きなOSやツールを使っています。そんな状況の中でも、Rubyのバージョンは必ずそろえておくということが多いです。理由は単純で、誰かの環境だけが微妙に古いバージョンを使っていたりすると、メソッドが使えなかったり動作が変わったりして混乱を招くからです。

仮に100人規模の開発チームがいたとして、それぞれが微妙に異なるバージョンを使ってしまったらどうなるでしょうか。小さい差異を集めて大きな不具合を生むこともあります。バージョンを常に確認し、チーム全体でそろえておくことは、品質管理や効率化にもつながるのです。

ライブラリの互換性確保

Rubyは豊富なライブラリが魅力ですが、ライブラリによっては特定のRubyバージョン以外では正しく動かないことがあります。たとえば、ある人気のライブラリが「Ruby 3系以上」を前提としている場合、2系を使っている環境では問題が起こる可能性が高いわけです。

このように、ライブラリとの互換性を考慮するためにもバージョン確認が重要となります。新機能を積極的に使うライブラリの場合、最新のバージョンだけサポートしているケースもあり、知らずに古いRubyで使おうとするとエラーが頻発するなんてこともあるでしょう。そうならないためにも、バージョン情報をすぐに確認できる知識は欠かせません。

バージョンマネージャーでの確認

初心者の方が最初にぶつかりやすい壁として「複数のRubyバージョンを管理したい」というケースがあります。たとえば、既存のプロジェクトではRuby 3.0を使い、新しいプロジェクトではRuby 3.xの最新安定版を使うといった場面です。

そんなときに便利なのが、バージョンマネージャーと呼ばれるツールです。代表的なものに rbenvRVMchruby などがあります。これらを使えば、システム全体にインストールされているRubyとは独立して、特定のバージョンを選択的に使えるようになります。

rbenvの場合

rbenvは、多くのプログラマーに好まれている軽量なバージョンマネージャーです。インストールを済ませると、rbenv versionsrbenv versionなどのコマンドで、使えるRubyのバージョンや現在選択中のバージョンを簡単に確認できます。

rbenv versions
# => system
# => 3.x.x
# => 3.y.z

ここで、systemはOSに標準搭載されているRuby、その他にインストールされているバージョンが列挙されます。rbenv global 3.x.xとすれば、3.x系のRubyをシステム全体のデフォルトとして設定できますし、rbenv local 3.x.xとすれば、特定のディレクトリ(プロジェクト)でのみ3.x系を使う設定ができます。

rbenvを使うメリットは、必要最低限の機能に絞られており、学習コストが比較的低い点にあります。必要に応じてプラグインを追加することで、rbenv installなどのコマンドで新しいバージョンをインストールできるようになるので、将来的にも扱いやすいです。

RVMの場合

RVM(Ruby Version Manager)は、rbenvよりも歴史があり、多機能なバージョンマネージャーです。rvm listというコマンドでインストール済みのRubyのバージョンを確認でき、rvm use 3.x.xのように切り替えもおこなえます。

rvm list
# => ruby-3.x.x [ x86_64 ]
# => ruby-3.y.z [ x86_64 ]

RVMはGemセットという機能が用意されていて、プロジェクトごとに異なるGem環境を分けて管理することができます。ただ、多機能ゆえに設定ファイルや使い方が多少複雑に感じられることもあり、初心者の方にはrbenvのほうがシンプルでとっつきやすいかもしれません。

chrubyの場合

chrubyは、最小限の機能を提供する非常にシンプルなバージョンマネージャーです。Rubyのインストール自体は別途行う必要があるため、Rubyを切り替える機能に特化したツールと考えるとわかりやすいでしょう。

複数のRubyをサクッと切り替えるだけであれば、chrubyで十分という開発者もいます。設定がシンプルなので、動作を理解しやすい反面、一部のユーザーには物足りなく感じるかもしれません。

いずれにしても、どれか一つを選べば複数バージョンのRubyを快適に扱えるようになります。バージョンを切り替えるたびに毎回インストールし直す、なんて手間からは解放されるので、現場でもよく使われている方法と言えるでしょう。

Bundlerでのバージョン確認

BundlerはRubyプロジェクトの依存関係を管理するためのツールですが、ここでもバージョン情報をチェックする場面があります。GemfileにRubyバージョンが指定されていると、それをもとに正しいRubyであるかどうかを確認してくれるというわけです。

Bundlerコマンドでの確認

たとえば、bundle envコマンドを実行すると、RubyのバージョンやBundlerのバージョン、インストールされているGemの情報などがまとめて表示されます。ここで、Rubyバージョンを確認することも可能です。

bundle env

実行すると、現在使用中のRubyの詳細が表示され、対応するGemセットの情報などがリストアップされます。開発チームで「Gemfileで指定したRuby以外のバージョンは使わない」というルールを運用することも多いため、Bundlerを使っているならこういった出力をチェックしておくと安心です。

Gemfile.lockの情報参照

Gemfile.lockには、プロジェクトで使われているGemやそのバージョン情報などが固定されて書き込まれます。ここにはRubyバージョンも明示されることがあり、そこから確認するというやり方もあります。

ただし、Gemfile.lockを直接編集してはならないというのが基本的なルールなので、もしもRubyバージョンを変更したい場合はGemfileを修正してからbundle installを実行し、Gemfile.lockを再生成するのが正しい手順です。Gemfile.lockの行を眺めるだけならともかく、手作業で変更するのは混乱の元になるので避けましょう。

バージョン差異による代表的なトラブル

Rubyはバージョンによって細かな差があり、ときにはコードの動作を左右します。代表的なトラブル例としては、メソッドが廃止(deprecated)されていたり、引数の仕様が少し変わってしまっていたりするケースがあります。

たとえば、Ruby 2系までは問題なく動いていたライブラリが、Ruby 3系では警告やエラーを出す場合があります。こうしたトラブルを避けるには、プロジェクト開始時点でRubyのバージョンをしっかり固定するか、あるいはプロジェクト全体で一斉に移行するかの判断が必要になるでしょう。

また、バージョンの違いによりスクリプトの実行速度が変わることもあり、特に大量のデータを扱うようなバッチ処理では、バージョン変更によってパフォーマンスが上下する可能性も否定できません。

バージョンの差異による問題を最小限にするためにも、まずは現在使っているRubyが何かをこまめに確認する習慣が大切です。

Docker環境でのバージョン確認

近年はDockerのようなコンテナ技術を使った開発が増えています。開発環境自体をコンテナ化しておけば、チームの誰が作業しても同じ環境を再現しやすいメリットがあります。RubyのバージョンもDockerイメージとしてあらかじめ指定しておくと、バージョン違いのトラブルが激減します。

しかし、Docker環境だとしても最終的にコンテナ内で実際にrubyコマンドを叩く瞬間はあります。例えば、次のようにしてコンテナ内に入ってからバージョンを確認できます。

docker exec -it <コンテナ名> /bin/bash
ruby -v

これで自分のマシン側のRubyではなく、コンテナの中で動いているRubyのバージョンを確かめることができます。Dockerのイメージを複数用意している場合は、それぞれ別のバージョンを使っているかもしれません。そこを正しく把握していないと、「本番環境ではエラーが起きるのにローカル環境では問題ない」という状況になる可能性があります。

DockerfileでRubyバージョンを指定することが多いため、開発チーム内ではDockerfileに書かれたバージョンを常にチェックし、実際にイメージをビルドした結果もruby -vで確認すると安心です。

よくあるエラーと対処法

バージョン関連で初心者の方が遭遇しやすいエラーとしては、「指定のバージョンがインストールされていない」「想定と違うバージョンが使われている」「ライブラリのインストールでバージョンエラーを起こす」などが挙げられます。

  1. 指定のバージョンがインストールされていない

    • rbenvやRVMなどで「特定のバージョンを使う」よう指定しても、そもそもそのバージョンが入っていないとエラーが出ます。まずはrbenv installrvm installで該当バージョンをインストールしましょう。
  2. 想定と違うバージョンが使われている

    • システムに複数のRubyが存在しているとき、$PATHの順番やシェルの設定ファイルの書き方で、古いRubyが呼び出されることがあります。.bashrc.zshrcでrbenvやRVMの初期化処理が正しく書かれているかを確認してみてください。
  3. ライブラリのインストールでバージョンエラー

    • Gemをインストールするとき、Gem側で「Ruby 3系以上が必要です」といった依存が設定されている場合、古いRubyではインストールが失敗します。バージョン要件を満たすためにRubyをアップデートするか、ライブラリを別のものに切り替えるなど検討しましょう。

いずれのエラーにしても、まずは実際に「いまのRubyバージョンはいくつか」を落ち着いて確認することが解決の近道です。

まとめ

ここまで、ruby バージョン 確認のさまざまな方法やシーンを見てきました。バージョン確認は単純に見えて、実務では意外なほど重要になります。というのも、バージョンが合っていないと開発チーム内の混乱を招いたり、ライブラリが正しく動作しなかったり、Dockerなどのコンテナでの挙動が変わったりするからです。

初心者のうちは、まずはターミナルやコマンドプロンプトでruby -vruby --versionを使う基本から始めてみましょう。そのうえで、複数のバージョンを扱う必要がある場面では、rbenvやRVMなどのバージョンマネージャーの導入を検討してください。Docker環境であっても最終的にはコンテナ内でバージョンを確認する手順が欠かせないため、その一連の流れを身につけておくとどんな開発環境に移っても困りにくくなります。

Rubyはバージョンアップのスパンが比較的短く、新しい機能がどんどん追加される言語です。最新の機能を使いたい場合や、既存のシステムをアップデートしたい場合にも、バージョン確認は最初に行うべきステップになります。

ぜひ、この記事で紹介した方法を参考に、Rubyのバージョン確認を習慣化してみてください。そうすることで、よりスムーズにRubyを学習・活用できるようになるでしょう。

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