MVCとは?初心者にもわかりやすい基本構造と活用シーン
はじめに
皆さんはWebアプリケーションの設計を考えるとき、どのようにコードを整理すればいいか迷うことはないでしょうか。 はじめは手探りでファイルを作ってしまい、どこに何を書けばいいのか混乱するかもしれません。 そんなときに役立つ考え方のひとつが、 MVC (Model-View-Controller) です。 MVCを理解しておくと、アプリケーションの構造をすっきり整理しやすくなります。 ここでは、初心者でもイメージしやすいように具体例を交えながら、MVCの仕組みや活用シーンを解説していきます。
MVCとは何か
MVC とは、ソフトウェアを開発するときに用いられる構造の一種です。 大きく分けて Model (モデル) 、 View (ビュー) 、 Controller (コントローラ) の3つの要素に分けて考えます。 これら3つの役割を明確に分けることで、コードの見通しが良くなり、あとから機能を追加しやすくなるといわれています。 この設計スタイルはWebアプリケーションによく使われていて、たとえばRails(Ruby on Rails)やLaravelなどのフレームワークにも取り入れられています。 次のセクションからは、それぞれの要素が具体的に何をするのかを見てみましょう。
モデル(Model)の役割
モデルは、アプリケーションのデータを扱う部分です。 データベースとやり取りをしたり、データの加工や整合性のチェックを行います。 また、ドメインロジックと呼ばれる核心的なルールや処理をまとめておく場合もあります。
モデルが活躍するシーン
- ユーザー情報の保存や読み込み
- 在庫管理などの計算ロジック
- チームやグループの管理
モデルがしっかりしていると、アプリケーションの核となる処理を安全かつ整理された形で行いやすいです。 特に実務ではデータベースの構造と1対1で紐づくことが多く、テーブルごとにモデルを用意しておくと理解しやすくなります。
ビュー(View)の役割
ビューは、ユーザーが直接目にする部分を担当します。 Webアプリケーションでいえば、HTMLやCSS、JavaScriptなどで画面を構成している部分が該当します。 そのため、見た目やレイアウトを整える役割が中心です。
ビューが注力するポイント
- ボタンやテキストボックスなどの配置
- デザインや配色の調整
- 画面上に表示すべきデータの整形
実務ではテンプレートエンジンを使って、モデルから受け取ったデータを画面に表示する形がよく採用されています。 ビューにロジックを集中させすぎると保守性が落ちるので、最低限の表示制御にとどめておくことが多いです。
コントローラ(Controller)の役割
コントローラは、モデルとビューをつなぎ合わせる調整役です。 ユーザーからのリクエストを受け取り、必要なデータをモデルに問い合わせたり、取得したデータをビューに渡したりします。 いわば、アプリケーション全体の進行をコントロールする存在といえます。
コントローラが司る流れ
- リクエストを受け取る
- モデルを使ってデータを取得・加工する
- ビューにデータを渡して画面を返す
実務の現場では、複雑な業務フローをどう振り分けるかが課題になることがあります。 その際、コントローラが各種処理を整理して、モデルやビューを適切に呼び出す役割を担います。
MVCが使われる場面
たとえばECサイトを考えると、商品一覧を見せたい、買い物カートに入れたい、注文したい、といった流れが想定できます。 このように機能が多岐にわたる場合、MVCで役割を分割しておくと、各部分に集中して開発を進められます。 モデルは在庫情報やユーザー情報などを扱い、ビューは商品画像や金額をきれいに表示し、コントローラはカートに追加するときのフローを制御します。
また、会員管理システムでも、登録フォームの表示やパスワード更新など、さまざまな画面が登場します。 モデルがユーザー情報の整合性を担保し、ビューが画面を描画し、コントローラが登録や編集の手順を実行します。 どちらの場合も、MVCで分けることで開発チーム内で作業分担もしやすくなります。
MVCはWebフレームワークで採用されることが多いですが、デスクトップアプリケーションやその他のソフトウェアにも応用可能です。
簡単なMVCのコード例
ここではNode.jsとExpressを用いた簡単な例を見てみます。 アプリケーションフォルダ構成は下記のようにします。
myapp ├── controllers │ └── userController.js ├── models │ └── userModel.js ├── views │ └── userList.ejs └── app.js
モデル(models/userModel.js)
// シンプルなデータ管理例 const users = []; function addUser(name) { users.push({ id: users.length + 1, name }); } function getUsers() { return users; } module.exports = { addUser, getUsers };
ビュー(views/userList.ejs)
<!DOCTYPE html> <html> <head> <meta charset="utf-8"> <title>ユーザー一覧</title> </head> <body> <h2>ユーザー一覧</h2> <ul> <% users.forEach(function(user){ %> <li><%= user.name %></li> <% }) %> </ul> </body> </html>
コントローラ(controllers/userController.js)
const userModel = require('../models/userModel'); function listUsers(req, res) { const allUsers = userModel.getUsers(); res.render('userList', { users: allUsers }); } function createUser(req, res) { if (req.body.name) { userModel.addUser(req.body.name); } res.redirect('/users'); } module.exports = { listUsers, createUser };
メインファイル(app.js)
const express = require('express'); const path = require('path'); const bodyParser = require('body-parser'); const { listUsers, createUser } = require('./controllers/userController'); const app = express(); app.set('view engine', 'ejs'); app.set('views', path.join(__dirname, 'views')); app.use(bodyParser.urlencoded({ extended: true })); app.get('/users', listUsers); app.post('/users', createUser); app.listen(3000, () => { console.log('Server is running on port 3000'); });
このように、モデルはデータ管理に集中し、コントローラがルーティングや処理の指揮を執り、ビューは画面表示を担っています。 コード量が増えても、機能ごとにファイルを分割しているため、読みやすさが保たれやすいです。 実務ではより大きな機能を扱うことになりますが、考え方は同じで、各担当がそれぞれの役割に徹することで整理しやすくなります。
MVCとその他のアーキテクチャ
MVC以外にも、MVPやMVVMなど類似の概念があります。 たとえばスマートフォンアプリでは、画面に表示するロジックをより分離しやすいMVVMが好まれる場合があります。 一方、MVCはWebアプリケーションでの定番構造として長く使われてきました。
違いを簡単に整理
- MVC
- コントローラがモデルとビューを直接連携
- Webアプリケーションで広く採用
- MVP
- プレゼンターという役割が、より画面表示に寄り添った制御をする
- MVVM
- ViewModelが画面(View)とデータを双方向にやり取りする
これらのアーキテクチャも含めて選択肢は複数ありますが、開発の目的やチームの規模に応じて最適な方法を選ぶと良さそうです。 初めて取り組む場合は、MVCがシンプルに理解しやすいかもしれません。
MVCにこだわりすぎず、プロジェクトの性質に合わせて柔軟にカスタマイズするのが大切です。
まとめ
ここまで、MVCの概要と、モデル・ビュー・コントローラがそれぞれ何を担当するのかを確認してきました。 開発時にコードが散らばりやすい部分を、役割ごとに整理することで見通しを良くするのがMVCの主な狙いです。 実務でもよく使われる考え方なので、最初のうちに押さえておくと多くのプロジェクトに対応しやすくなります。 皆さんもMVCを意識しながらコードを書いてみると、自然と整理された形で機能を追加できるのではないでしょうか。 これからWebアプリケーションを作るときに、役に立つかもしれません。